ISSN 1344−5774 葵 四 十 一 号 平 成 十 八 年 度 静 岡 県 立 中 央 図 書 館 41 号 平成 18 年度 関口隆吉書簡(勝海舟宛) 静岡県立中央図書館報 目 次 巻頭言………………………………………………………………………………………静岡県立中央図書館長 天 野 忍 01 Ⅰ 静岡県図書館界の動き……………………………………………………………………………………………………………… 02 Ⅱ 事業報告 1 図書係……………………………………………………………………………………………………………………………… 06 (1)資料の充実 (2)視聴覚資料の充実 (3)図書館利用状況 (4)予約・リクエストおよび相互貸借 (5)静岡県視聴覚ライブラリー (6)子ども図書研究室 (7)グランシップ県立図書館コーナー「えほんのひろば」 (8)書庫開放 (9)利用案内 (10)その他 2 新聞雑誌係………………………………………………………………………………………………………………………… 15 (1)逐次刊行物の充実 (2)特集記事の電算入力 (3)郷土雑誌の目次、静岡県関係記事・論文の電算入力 (4)静岡県内新聞雑誌総合目録 (5)新規受入雑誌の新着棚展示 (6)その他 3 一般調査係………………………………………………………………………………………………………………………… 18 (1)レファレンスサービスについて (2)市町立図書館などへの支援 (3)特別取扱資料等の保存と公開 (4)その他の関連事業 4 地域調査係………………………………………………………………………………………………………………………… 22 (1)地域資料の充実 (2)提供資料の充実 (3)郷土資料MARC提供 (4)市町立図書館の援助 (5)その他 5 企画係……………………………………………………………………………………………………………………………… 24 (1)図書館職員研修 (2)利用者からの声 (3)イベント等 (4)施設見学・視察、職場体験、図書館実習など (5)図書館だよりの発行・当館ホームページの運用 (6)数値目標および達成状況 (7)その他 《付録資料》平成 18 年度『県立中央図書館利用者アンケート』集計結果 6 振興係……………………………………………………………………………………………………………………………… 37 (1)市町立図書館振興 (2)関係団体との連携 (3)平成 18 年度協力車事業の統計 (4)平成 18 年度静岡県図書館大会 7 総務係……………………………………………………………………………………………………………………………… 42 (1)図書館協議会 8 管理係……………………………………………………………………………………………………………………………… 44 (1)施設設備の維持管理 (2)施設利用状況 9 歴史文化情報センター…………………………………………………………………………………………………………… 45 (1)県史編さん資料の保管・整理・公開 (2)利用状況 (3)レファレンス 10 ビジネス支援……………………………………………………………………………………………………………………… 47 11 その他 図書館文化祭…………………………………………………………………………………………………………… 49 Ⅲ 特 集 (1)館蔵『大法炬陀羅尼経』卷第十八について……………………………………………………………………………… 50 (2)関口隆吉と図書館構想……………………………………………………………………………………………………… 60 Ⅳ 資料紹介 鮪の大漁時における湊内の収支について…………………………………………………………………………… 65 表紙……「関口隆吉書簡」(勝海舟宛) 変わりゆく図書館 静岡県立中央図書館長 天 野 忍 今、図書館は大きな変革の時期を迎えている。 私自身、図書館の利用といえば、資料調査とかレファレンスなどが主であり、恥ずかしながら、図書館は本 の貸借が主な仕事、といった程度の認識であった。しかし、この 1 年間、初めて図書館に勤務するなかで、私 の浅はかな認識では、もはや仕事にならない、と痛感した。 いわゆる高度情報化の現実である。資料の所在確認から内容調査、必要箇所の複写など、一連の学習の流れ も、パソコンの利用無くしては、事がスムーズに運ばない状態となっている。ネットワークの構築により、一 館だけでなく、遠く離れた複数の図書館との連絡もたやすくなってきている。所定の手続きを取れば、読みた い本が遠い図書館から手元に届き、必要な箇所の複写も得られる。なんとも利用者、学習者にとって、便利な 世となったものである。 わが国では、毎日、約 200 冊余りの書籍が出版されており、本年度末、本館では雑誌を除くと約 60 万冊の所 蔵となる。県立図書館として、他館との役割の違いから、専門書や地域資料などを主体に選書がなされており、 年間約 3 万冊の受入れとなっている。すでに 40 年を経過した本館では、排架場所が飽和状態を迎えている。 そこで、議論となるのが、図書のデジタル化であり、ハイブリッド図書館の構想である。本館でも、限られ た予算のなかで、「葵文庫」などの貴重書のデジタル化を進め、活用に供している。確かに、デジタル化によっ て、貴重な資料もたやすく概要を知ることができ、便利であるが、研究者からはなおも実物に触れる機会が求 められている。一般図書のデジタル化が進めば、自宅での調査・学習もより進むと思うが、予算の上からも実 現は難しい。長年使われないからといって、古い図書を処分することは出来ない。見たい本を手にして開いた 時、その中から多くの情報を得、感動を覚えることができるのである。紙媒体の果たす役割は、なお大きなも のがある。やはり、しばらくはデジタル資料との共存化が現実であろう。 平成 18 年 3 月末、これからの図書館の在り方検討協力者会議から、「地域を支える情報拠点を目指して」をテ ーマとする『これからの図書館像』が報告された。そのなかで、地域や住民にとって、役に立つ図書館へと変わ っていくために必要な機能として、①課題解決を支援する相談・情報提供の強化、②印刷資料とインターネッ ト等を組み合わせた高度な情報提供、③学校、行政、各種団体との連携による相乗効果の発揮、④機能強化の ための図書館経営の改革など、を挙げている。この報告書を参考に、多くの図書館で取り組みが始まってい る。 本館では、昨年 4 月から、従来の「調べるを支援する」というキャッチフレーズを「調べる・考える・解決す る」に切り替え、学習者の支援強化を図るとともに、諸改革に取り組んでいる。学校・諸団体との連携では、 10 月に地元の NPO 法人金泥書フォーラムとの共催による図書館文化祭を開催し、隣接する県立大学・美術 館・埋蔵文化財調査研究所との間では、谷田サミットと称して数回にわたって会議を開き、相乗効果をねらっ て「文化の丘」づくりを進めている。まさに、県が主唱する「創知協働」の具現化である。 利用者サービスの向上という図書館の不易の部分を忘れずに、「待ち」の図書館イメージで終わるのでなく、 自ら文化を発信していくという姿勢で図書館づくりを進めていきたい、と考えている。 −1− Ⅰ 静岡県図書館界の動き(平成 18 年度) 1 図書館界をめぐる動き はじめに、教育界における大きな動きとして、昭和 22(1947) 年に制定された教育基本法の改正があげられる。 改正された教育基本法は、全 4 章 18 条で構成され、平成 18 年 12 月 15 日に公布・施行された。社会教育につ いては第 12 条に、①個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体に よって奨励されなければならないこと。②国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育 施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他適当な方法によって社会教育の振興に努め なければならないことが規定され、第 13 条では、学校、家庭、地域住民等の相互連携協力について、社会全体 で教育改革を推進していくことが期待されている。 つぎに、図書館界をめぐる動きとしては、文部科学省生涯学習政策局に設けられた、「これからの図書館の 在り方検討協力者会議」がまとめた、『これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−(報告)』が、 平成 18(2006)年 4 月に文部科学省のホームページ(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701 .htm 平成 19 年 3 月 31 日確認)に掲載され、冊子としても刊行された。 この報告書は、平成 13 年 7 月に文部科学省から告示された「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」施 行後の社会や制度の変化、新たな課題に対応して、これからの図書館運営に必要な視点や方策等について提言 を行っている。特に、地域の課題解決や調査研究を支援する図書館機能を重視し、その観点から図書館の主な サービスと経営の考え方について詳しく論じている。今後図書館が、「地域や住民にとって役に立つ図書館」と なり、地域の発展に欠かせない施設として、いかに改革、運営されていくかが期待されている。 ところで、文部科学省は平成 18 年 7 月 22 日、社会教育調査(平成 17 年 10 月調査)の中間報告を公開した。 この報告によると、社会教育施設全体に占める指定管理者制度導入の割合は 14.3 %で、うちもっとも割合の高 い施設は文化会館の 35.8 %、もっとも低い割合は図書館の 1.8 %であった。調査対象図書館 2,958 館のうち指 定管理者・管理受託者による図書館は 54 館であり、主な内訳は「民法第 34 条の法人」が 36 法人、「会社」8 社、 「NPO」7 団体となっている。このように各地で図書館の運営形態の在り方が検討されるなか、6 月 6 日衆議院 決算行政監視委員会第一分科会において、公立図書館、国立国会図書館などに関する質疑が行われた。質疑に 答えた中馬弘毅行革担当大臣からは、一定の行革や効率化を前提としながらも「図書館は地域や国の宝であり、 これを守り充実していくことは社会的な努め。基本的には公共サービスとして、自治体や国が運営方針を決め、 監督する義務がある。図書館を活用し、地域社会や国の発展につなげていく必要がある。」など、図書館の運営 形態に際して、各自治体において指針ともいえる答弁がなされた。(詳しくは、衆議院会議録、決算行政監視 委員会第一分科会の記録を参照 http://www.shugiin.go.jp /index.nsf/html/index_kaigiroku.htm 平成 19 年 3 月 31 日確認) そのほか、今年度は福井県の男女共同参画施設における図書排除を巡る問題や、犯罪を犯したとされる未成 年者の実名と顔写真を掲載した資料の提供のあり方、ハンセン病関係図書の件名の付与の仕方などが、国民の 知る権利とプライバシー保護の問題や、図書館の自由に関わる問題として全国紙などで報道され、各図書館の 対応のあり方が問われた。 2 県立中央図書館の動き 県立中央図書館は昨年度開館 80 周年を迎え、平成 18 年度は新たな県立中央図書館の発展をイメージする「調 べる、考える、解決する…県立中央図書館」のキャッチフレーズを県広報アドバイザーから提案いただいた。 また、職員からも図書館の運営姿勢を表明する標語を募集し、「私たちは信頼される図書館をめざします」をス ローガンに掲げ、図書館活動・図書館サービスを展開することにした。館内の掲示については閲覧室入口に掲 −2− 示板を設置し、規格の統一や充実を図った。また、広報誌『静岡県立中央図書館だより』やホームページについ ても内容の刷新を図るなど、図書館の運営姿勢や活動内容が県民にわかりやすく、利用しやすい図書館となる ような広報活動に努めた。 さらに、新しい時代に対応した図書館サービスの具体的展開を図るため、全職員が 4 グループに別れ、5 年 先を見据えた図書館活動やサービスの在り方を検討・協議し、第 2 次中期計画を策定した。全体で約 40 項目の 内容について今後、検討・実施・評価していくことになる。昨年から教育委員会内部に設けられた新県立中央 図書館基本構想についての検討会議は今年度も引き続き開催された。 県立中央図書館の大きな記念事業として、文字活字文化の振興や静岡県創立 130 周年を記念し、NPO 金泥書 フォーラムと連携して「図書館文化祭」を行った。初めての NPO との共同事業は大変盛況であり、県民の文化 活動・生涯学習活動の拠点としての図書館活動をさらに広く理解していただくことができた。 ビジネス支援サービスについては、市町立図書館への啓発を図るために昨年度は、『図書館のビジネス支援 はじめの一歩』を作成した。今年度はさらに、県内公共図書館職員のレファレンスサービスのスキルアップを 図るため、静岡市立中央図書館や産業支援創造機構と連携して、県内公共図書館職員に向けての、ビジネス支 援サービス研修会を実施した。各図書館や図書館員のビジネス支援サービスへの関心は高く、今後も引き続き ビジネス支援サービスや医療、法律などのサービスについても職員研修を実施していく必要があると思われる。 そのほか、県内市町立図書館や図書館未設置町の図書館運営支援、県横断検索システムの充実、子ども図書研 究室の充実などに努めた。 なお、当館は今年度「関東地区都県立図書館副館長会議」の担当県となった。変革時代における新しい図書館 活動のあり方について、平成 18 年 11 月 24 日・ 25 日の両日、静岡市のペガサートなどを会場に関東地区公共 図書館の副館長など関係者が参加し、図書館をめぐる今日的問題についての対応や図書館経営戦略、利用者サ ービスのあり方について熱心に研究協議が行われた。 その他、県民や地域に向けて当館を始めとする近隣 4 機関(県立中央図書館、県立大学、県立美術館、財団 法人静岡県埋蔵文化財調査研究所)が協同して情報発信していこうとする会合が設けられた。会合では、4 機関 と県民・地域が一体となった「創知協同」による文化の丘づくりを、今後どのように展開していくか等が話し合 われた。 県立中央図書館の主な事業は次のとおりである。(毎年開催している図書館講座などは省略した。) 5 月、図書館活用・ビジネスセミナーの開催(∼ 3 月) 6 月、子ども図書研究室講演会、県庁東館ギャラリーで子ども図書研究室の活動などを展示紹介 8 月、県民の日のイベント事業として、オリジナルブックカバーの作成・配布 「草柳大蔵氏取材資料展示」:井上靖についての草柳氏直筆原稿やコンテなどを展示 静岡県読み聞かせネットワークとの共催による静岡県子ども読書フェスティバルの開催 10 月、「図書館文化祭」の開催。利用者アンケートの実施。「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」の協力展 示(∼ 11 月) 11 月、静岡県図書館大会、関東地区都県立図書館副館長会議の開催 1 月、静岡県読書推進運動協議会との共催による特別講演会の開催 3 月、「葵文庫の会」会員による貴重書講座の開催 ビジネス支援サービス研修会の開催。県の「ひとり 1 改革運動」で、県立中央図書館創立 80 周年記念 事業の 「オリジナルブックカバー」作成・配布事業が表彰される。 *図書館講座などの詳細については P.26 以降を参照してください。 −3− 3 県内市町立図書館 (室) の動き 図書館振興の状況 静岡県の公立図書館は、平成 18 年度末において、35 市町に設置されており、設置率は 86 %と比較的高 い。 平成 18 年度は浜松市立城北図書館が移転新築し、浜松市立中央図書館の補完機能をもつ第 2 中央図書館と して開館した(平成 18 年 10 月 1 日)。静岡県内初のコンピュータ制御による自動閉架書庫を設置し、浜松市 立 21 図書館の資料保管機能を担うとともに、物流の拠点館として各館からの資料請求に迅速に対応してい る。また、BM2 台を集結して遠隔地へのサービスも実施している。「ビジネス支援」を重点サービスとして掲 げると同時に、「音楽資料コーナー」、「個人研究室」及び「グループ研究室」を配置して、市民の自主的な学習 支援にも力点を置き、仕事にも生活にも役立つ図書館を目指している。 また、町民センターおかべ図書室は、条例が制定され平成 19 年 4 月 1 日に岡部町立図書館となる予定であ る。なお現在、掛川市立大東図書館(平成 19 年 4 月 1 日開館予定)の建設が完了し、館内では開館準備が進め られている。 藤枝市は平成 18 年 7 月に新図書館整備基本計画がまとめられ、藤枝駅前に民間活力を導入して図書館を含 む官民複合施設を整備する方針が発表された。さらに平成 19 年 2 月には、シネマコンプレックスや市立図書 館、商業施設等が入った官民複合施設「BiVi 藤枝(仮称)」の整備を提案した業者を事業者として決定した。ま た富士市では、平成 18 年 10 月から富士交流プラザ(仮称)に併設される、新西図書館の建設が始まった。同 市では、平成 19 年 7 月から中央図書館大淵分室の建設が始められる。なお、開館はどちらも平成 20 年 4 月 の予定である。 合併に伴う変更 平成 18 年度には新たな自治体の合併はなかったが、平成 17 年 7 月に 12 市町村が合併して誕生した浜松市 では、旧市町村ごとに異なっていた個人貸出冊数及び貸出期間を統一するとともに、それまで運用されてい た 9 つの旧システムを統合した。これにより、市内 21 館 1 分室(合計資料約 220 万冊)をネットワークで結ぶ とともに、IC タグによる管理・サービスを平成 18 年 10 月 1 日から開始した。 子ども読書活動 平成 13 年制定の「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき策定された「静岡県子ども読書活動推進 計画(平成 16 年 1 月)」に続き、平成 16 年の河津町を始めとして各市町において子ども読書推進計画の策定が 計画され、平成 18 年 1 月末で 17 市町において策定され、同 3 月末では計 27 市町において策定される予定で ある。 また、県教育委員会が文部科学省より平成 16 年から 3 年間の委託事業として指定を受け、吉田町と連携・ 協力して行っている「学校図書館資源共有ネットワーク推進事業」は 3 年間の研究期間の最終年度を迎え、平 成 18 年 11 月の静岡県図書館大会を始めとして、県内外にてその成果が発表・報告された。 IT環境の整備 県内市町立図書館のインターネット環境も着々と整備された。平成 18 年度末で、Web-Opac 公開館が 74 館、資料の予約可能館が 68 館となっている(館数には県図協加盟の分館数を含む)。また、平成 15 年度に運 用を開始した静岡県横断検索システム「おうだんくん」へは平成 18 年度末で 78 館の参加館があり、県内図書 館所蔵資料の検索の利便性がさらに向上した。 その他 平成 18 年 8 月には川根町が静岡県公共図書館等の資料相互貸借に関する協定に加盟し、県内の自治体の加 盟率は 100 %となった。 ビジネス支援についての研究も進み、平成 18 年度は浜松市立城北図書館等でもビジネス支援サービスが開 始された。さらに、医療・健康等の情報提供のあり方についても研究が始まった。 −4− 平成 18 年 11 月に県内の公立図書館としては初めて、浜松市立中央図書館駅前分室に指定管理者制度が導 入されることとなった。 4 大学図書館等の動き 平成 18 年 10 月、静岡県公共図書館等の資料相互貸借に関する協定に、浜松大学附属図書館が加盟した。こ れにより県内の大学・専門図書館の加盟率は 67 %(30 館中 20 館)となった。 静岡大学附属図書館と静岡県立中央図書館は平成 18 年 4 月から試行として、静岡産業大学図書館と磐田市立 図書館は平成 18 年 9 月から正規に、相互貸借資料及び個人返却資料の搬送を開始した。 平成 16 年 11 月に発足した「東海地区図書館協議会」の事業の一つとして、平成 17 年 5 月に成立した「相互貸 借に関する協定」に基づく相互貸借、文献複写等のサービスに続き、本年度は「レファレンス便覧」を試作する 等、レファレンスにおける連携・協力が模索された。 平成 18 年 7 月の「大学・専門図書館研修」 (県図書館協会・県教委共催)及び県図書館大会の大学図書館分科会 では、情報検索・活用能力の向上及びレファレンス技術向上等のテーマが取り上げられた。 5 県図書館協会等の動き 平成 18 年 9 月、静岡県立子ども病院図書室が新たに加盟し、静岡県図書館協会加盟館数は 72 館となった。 静岡市に続いて浜松市が平成 19 年度から政令指定都市となる予定で、自治体間における財政状況等の格差が 懸念される中、各図書館のネットワークの核としての県図書館協会が果たす役割に期待が寄せられている。 い ま これから 本年度の静岡県図書館大会は、平成 18 年 10 月 17 日に、「みつめ直そう図書館の現在と未来」を総合テーマに して、1,100 人を超える参加者を得て、静岡県コンベンションアーツセンター“グランシップ”を会場に開催さ れた。午前は「『これからの図書館像』を語ろう」と題して、常世田良・薬袋秀樹・田村孝子の 3 氏によるライブ トークが、午後はそれぞれのテーマのもと、8 つの分科会で研修・討議が行われた。 県図書館協会以外の各団体について本年度を振り返ってみると、平成 18 年 8 月 6 日には、県読み聞かせネッ トワーク主催、県読書推進運動協議会・県教育委員会の後援により、 「第 6 回静岡県子ども読書フェスティバル」 が、県立中央図書館を会場に開催された。各団体の活動展示の他、各団体によるワークショップ等が行われ、 午後の全体会では「読み聞かせの楽しさ∼自作の読み聞かせとお話∼」と題して、絵本作家の藤本ともひこ氏に よる講演会が行われた(参加者約 350 名)。 平成 18 年 8 月 10 日には、県読み聞かせネットワーク・県読書推進運動協議会・県教育委員会の共催で「静岡 県読書推進フォーラム」が静岡市民文化会館にて開催された。午前は表彰式に続いて、「本棚の隙間から世界を のぞく」と題して、俳優の児玉清氏による講演が行われ、午後からは「文字・活字文化の振興と『読書県しずお か』づくり」をテーマに、児童文学作家の肥田美代子氏・前静岡県教育長の鈴木善彦氏らによるパネルディスカ ッションが行われた(参加者約 700 名)。 平成 19 年 1 月 13 日には、県読書推進運動協議会・県教育委員会・県読み聞かせネットワーク主催の特別講 演会が開催され、「こころの健康と読書」と題して、精神科医の大原健士郎氏による講演会が実施された(参加 者約 130 名)。 −5− Ⅱ 事業報告 1 図書係 資料の充実 資料課及び調査課の全職員を 0 ・ 1 類及び外国語、2 ・ 7 類、3 類、4 ・ 5 ・ 6 類、8 ・ 9 類の 5 部類に分け 選書を行う、部類別選書体制を継続して実施した。また、原則として、部類別選書会議を毎週火曜日、高額 の資料や継続とする資料の確認等を行う選書会議 1 を毎週水曜日に定着させ、発注・受入業務の効率化と新 刊図書の速やかな提供に努めた。 また、児童書については、昨年同様に全点購入(コミック、ゲーム攻略本及び学習参考書等を除く)の継続 と、各分野で評価を得ている基本図書の複本購入をすすめた。 ア 一般図書資料 平成 18 年度末現在の一般図書資料の蔵書冊数は 415,374 冊であり、分類別の構成比は別表のとおりで ある。平成 18 年度の受入図書冊数は、15,099 冊(昨年度 15,875 冊)であった。その内訳は、購入が 13,365 冊で、1 冊あたりの平均購入単価は約 3,761 円であった。また、寄贈図書は 1,720 冊、区分換・管理換に よるものが 14 冊であった。 平成 18 年度分類別蔵書数 (冊) 18 年度受入数 8言語 2.3% 9文学 12.4% 0総記 9.5% 1哲学 5.8% 7芸術 6.5% 2歴史 11.5% 合 計 6産業 6.7% 415,374冊 5技術 9.6% 3社会科学 27.1% 4自然科学 8.6% 0 総 記 1,534 39,639 1 哲 学 774 24,010 2 歴 史 1,296 47,916 3 社会科学 4,813 112,715 4 自然科学 1,386 35,518 5 技 術 1,834 39,873 6 産 業 1,099 27,698 7 芸 術 886 27,030 8 言 語 372 9,608 9 文 学 1,105 51,367 15,099 415,374 合 イ 18 年度末蔵書数 計 児童図書資料 平成 18 年度の受入図書冊数は、6,341 冊である。内訳は、以下の表のとおりである。1 冊あたりの平 均購入単価は、児童日本語は約 1,400 円、児童外国語は約 2,100 円であった。 平成 18 年度中増減 平成 17 年度末 蔵 書 数 購 入 平成 18 年度末 寄 贈 分類換 区分換 管理換 合 計 蔵 書 数 児童日本語 36,698 冊 5,769 冊 548 冊 △3冊 0冊 0冊 6,314 冊 43,012 冊 児童外国語 360 冊 21 冊 3冊 3冊 0冊 0冊 27 冊 387 冊 37,058 冊 5,790 冊 551 冊 0冊 0冊 0冊 6,341 冊 43,399 冊 合 計 −6− ウ 外国語図書資料 平成 18 年度末の外国語図書資料の蔵書冊数は、10,141 冊である。 平成 18 年度は、購入 98 冊、寄贈 139 冊、計 237 冊を受入れた。言語別の受入数は、英語 176 冊、中 国語 52 冊、ロシア語 7 冊、朝鮮語 1 冊、ドイツ語 1 冊である。購入図書の主な内訳は、アメリカの小学 校 用 教 科 書( 1 年 生 か ら 6 年 生 ま で 4 教 科 分 )、 最 近 10 年 間 の ブ ッ カ ー 賞 受 賞 作 品 、 Cambridge University Press 発行のシェークスピアシリーズ補完分などである。寄贈図書の内訳は、アメリカの文学 作品や小説、中国語の参考図書や古典文学、発行所寄贈による統計資料や日本文学を翻訳した図書など である。 本年度は、昨年購入したイギリスの小学校国語の教科書が多読用として、また、アメリカの中学・高 校の教科書が参考図書として、よく利用された。新たに受入れた資料も各方面で活用されるよう期待す る。 視聴覚資料の充実 平成 18 年度の視聴覚資料の受入数は 181 点で、内訳は下表のとおりである。本年度は、シリーズの継続収 集を進めるとともに、古典芸能・民俗芸能資料や朗読 CD の収集に努めた。 平成 18 年度受入数 平成 17 年度末 所 蔵 数 ビデオテープ 購 入 寄 贈 平成 18 年度末 合 計 所 蔵 数 1,817 点 10 点 38 点 48 点 1,865 点 D 267 点 65 点 20 点 85 点 352 点 C D 95 点 38 点 10 点 48 点 143 点 合 計 2,179 点 113 点 68 点 181 点 2,360 点 D V 朗 読 図書館利用状況 本年度は、子どもの読書推進運動の広がりや「おはなしかい」の定着で、グランシップ県立図書館コーナー 「えほんのひろば」がよく利用された。 ア 入館者数 平成 18 年度の本館入館者数は 227,620 人、グランシップ県立図書館コーナー「えほんのひろば」の入館 者数は 19,223 人であり、両者を併せた総合入館者数は 246,843 人となった。平成 17 年度末の入館者数合 計と比較して、713 人の増加となった。 イ 登録者数 平成 18 年度の個人新規登録者数は、本館で 3,230 人、グランシップ県立図書館コーナー「えほんのひ ろば」で 349 人、合計 3,579 人であった。 ウ 貸出状況 平成 18 年度の個人利用者への貸出数は、別表のとおりである。 平成 18 年度 個人利用者への貸出数 図 書 雑 誌 視聴覚資料 児 童 本 館 118,293 冊 11,411 冊 ― 9,421 点 グランシップ 762 冊 114 冊 20,103 冊 408 点 合 計 119,055 冊 11,525 冊 20,103 冊 9,829 点 本館は非来館型利用が増加したことにより、入館者数は横ばいであったが、貸出人数・貸出数は増加 −7− した。グランシップでは、入館者数・貸出人数・貸出数ともに昨年度に比べ増加し、特に児童書の貸出 冊数は昨年度に比べ大きく増加した。 なお、平成 18 年度は、貸出数に Web 個人サービスによる継続貸出を加えた。 予約・リクエストおよび相互貸借 ア 予約・リクエストの状況 平成 18 年度のリクエスト(予約・借受・購入)の受付数は別表のとおりであった。 予 約 借 受 図書・雑誌 2,460 冊(1,368 冊) 視 聴 覚 213 点(74 点) ※予約の( 購 入 623 冊 71 冊 − − )内は、web 予約の内数 ※購入は、注文中の図書も含む 予約・リクエスト冊数は昨年度より増加した。特に、予約冊数は昨年度 1,725 冊から 2,673 冊と大幅に 増加している。また、Web 予約の占める割合は 53.9 %になっている。予約・リクエストの制度について の認知度が高まってきていることに加え、当館ホームページを通じての様々なサービス提供が利用者に 受け入れられ、定着してきていると思われる。 イ 相互貸借状況 県内外の図書館からの借受については、昨年度 511 冊から 623 冊と大幅に増加した。県内図書館から の借受については、静岡県横断検索システムへの参加館が本年度さらに増え、ヒットすることが多くな ったことが増加の理由として挙げられる。また、県外図書館からの借受も可能であるということが利用 者に認識されてきており、県外図書館からの借受も増えていると考えられる。 県内市町立図書館への協力貸出は、8,171 冊(点)、であった。県外図書館への貸出は、当館のユーザ ー ID を取得している市町立図書館からの借受依頼が多く、全体数は昨年度 485 冊から 591 冊と増加し た。 県内公共機関等貸出は、本年度は 12 件、291 冊であった(昨年度は 20 件、251 冊)。件数は減ったが、 中学、高校からの申し込みにより、一件あたりの貸出数が多かったため貸出冊数は増加した。 平成 18 年度 相互貸借件数/冊数 国 立 国 会 図 書 館 県 外 図 書 館 県内市町立図書館 県 内 公 共 機 関 等 貸 出 借 受 − 18 件 / 29 冊 341 件 / 591 冊 178 件 / 301 冊 (協力貸出) 図書・雑誌 8,130 冊 視聴覚資料 41 点 12 件 / 291 冊 183 件 / 293 冊 − 静岡県視聴覚ライブラリー 平成 18 年度の視聴覚資料の受入数は 36 点で、内訳は下表のとおりである。貸出団体の需要を踏まえ、資 料の収集をした。 −8− ア 資料所蔵数 平成 18 年度受入数 平成 17 年度末 所 蔵 数 購 入 寄 贈 平成 18 年度末 所 蔵 数 合 計 16 ミリフィルム 2,200 点 ― ― ― 2,200 点 ビデオテープ 3,304 点 2点 16 点 18 点 3,322 点 22 点 9点 9点 18 点 40 点 295 点 ― ― ― 295 点 5,821 点 11 点 25 点 36 点 D V D そ の 他 ※ 合 計 5,857 点 ※その他(スライド・ 8 ミリフィルム・カセットテープ等) イ 貸出数 社会教育関係 学校教育関係 合 計 16 ミリフィルム 84 点 18 点 102 点 ビデオテープ 258 点 95 点 353 点 0点 3点 3点 342 点 116 点 458 点 D V D 合 計 子ども図書研究室 ア 目的 「子どもの読書活動の推進に関する法律」 (平成 13 年 12 月)及び「子どもの読書活動の推進に関する基本 的な計画」 (平成 14 年 8 月)に基づき、平成 16 年 1 月に「静岡県子ども読書活動推進計画」が策定され「読 書県しずおか」をめざすことになった。 これに基づき、子どもの読書活動推進のために市町立図書館(室)や児童書研究者等へのサービス支援 を目的として、平成 16 年 6 月 18 日「子ども図書研究室」を開室した。 イ 基本方針 (1)子ども図書資料及び研究用資料の収集、保存 (2)調査研究への支援(レファレンス) (3)市町立図書館(室)等への支援、協力 (4)その他、読書活動の推進に対する支援 ウ 利用対象者 15 歳以上(ただし、中学生は除く)とする。 例:(1)児童書・児童文学研究者、作家・画家・編集者、学生、児童書愛好者及び保護者 (2)子ども文庫・親子読書関係者、読み聞かせボランティア (3)学校図書館関係者、教員 (4)図書館関係者、図書館ボランティア等 エ 開設場所 静岡県立中央図書館インフォメーション棟 1 階 92 ㎡ 研究室書庫(167.68 ㎡)を併設。 オ 開室時間 午前 9 時から午後 5 時まで。 ただし、(1)火∼金曜日の午後 2 時から午後 5 時までは職員が在室する。 (2) 上記以外の日・時間については、施設開放とし、利用者の希望があった時に子ども図書 研究室を開室する。この場合は、入室の際、貸出カードを預かる。 −9− カ 子ども図書研究室排架資料 (1)絵本(外国語絵本を含む) (2)子ども図書 (3)子ども図書研究書等 (4)子ども図書関係雑誌 キ 収集状況 児童書蔵書数 43,399 冊(平成 19 年 3 月 31 日現在) 平成 13 年度から児童書の収集を始めた。 平成 15 年度から児童書全点(コミック、ゲーム攻略本、学習参考書等を除く)を収集している。 ク 利用者用パソコン 蔵書検索用パソコン 1 台 調査研究用パソコン 1 台 ケ 18 年度新規に取り組んだこと (1)職員在室日の増加 平成 18 年度から、職員在室日を従来の火・水・金曜日から 1 日増やし、火・水・木・金曜日とし た。 また、1 日の在室時間を従来の午後 1 時∼ 5 時から午後 2 時∼ 5 時とした。 これによって、職員の在室日が利用者に分かりやすくなり、利用しやすくなった。 (2)子ども図書研究室書庫の開架書庫化 平成 18 年 6 月 29 日(木)から、研究室書庫を閉架書庫から開架書庫へと変更した。 利用者は、書庫出納によらず、書庫内に自由に入り、資料を見ることができる。 これにより、職員不在時においても、児童書蔵書数のうちの約 9 割を手にとって見ることができ ることとなった。 コ 利用状況 平成 18 年度 開室日数 入室者数 火・水・木・金 (担当者在室) 土・日 (不在) 月 (不在) 貸出冊数※ 1 4月 26 日 57 人 37 人 19 人 1人 340 冊 5月 27 日 164 人 127 人 35 人 2人 361 冊 6月 29 日 144 人 132 人 11 人 1人 388 冊 7月 29 日 67 人 55 人 9人 3人 867 冊 8月 30 日 156 人 131 人 16 人 9人 365 冊 9月 27 日 107 人 95 人 12 人 0人 569 冊 10 月 29 日 56 人 45 人 7人 4人 1,429 冊 11 月 26 日 27 人 17 人 5人 5人 412 冊 12 月 25 日 95 人 47 人 28 人 20 人 439 冊 1月 25 日 90 人 52 人 36 人 2人 359 冊 2月 13 日 42 人 12 人 29 人 1人 179 冊 3月 29 日 50 人 16 人 9人 4人 449 冊 計 315 日 1,055 人 794 人 211 人 50 人 6,157 冊 平成 17 年度 315 日 884 人 450 人 ※2 236 人 198 人 ※2 4,946 冊 ※ 1 子ども図書研究室等の資料の貸出冊数(協力貸出・県内公共機関等貸出・研修等での貸出冊数。 グランシップでの個人貸出は含まない。) ※ 2 平成 17 年度の担当者在室日は火・水・金、不在日は土・日と月・木であった。 − 10 − サ 利用内容 (1)学校関係者:大型絵本の貸出、学校図書館での資料購入のための選書、総合的な学習の時間等に使 用する資料の相談等。 (2)図書館関係者:寄贈希望図書の選書、仕掛け絵本購入のための選書、絵本の内容確認等。 (3)そ の 他:学童保育開設に当たっての選書、絵本の比較検討、図書館ボランティア等による子 ども図書研究室の見学利用等。 シ 子ども図書研究室講演会 子どもと本に関わる 15 歳以上 (中学生を除く)の県民の方々を対象として講演会を開催した。 (1)日 時 平成 18 年 6 月 28 日(水) 13:30 ∼ 15:30 (2)会 場 県立中央図書館 視聴覚モデルルーム (3)演 題 「子どもと読書−「読み聞かせ」から「ひとり読み」 へ」 (4)講 師 宮川健郎 氏(明星大学人文学部教授) (5)参加者数 105 人 ス 子ども図書研究室講座(外部講師) (1)第 1 回 ア 日 時 平成 18 年 5 月 26 日 (金) 10:00 ∼ 12:00 13:00 ∼ 15:00 イ 会 場 県立中央図書館 視聴覚モデルルーム ウ 演 題 「ピーターラビットの世界」 「ホフマンのグリム童話の世界」 エ 講 師 池田正孝 氏 オ 参加者数 158 名 (2)第 2 回 日 時 土曜コース:平成 18 年 12 月 2 日・平成 19 年 1 月 13 日(2 回連続)10:00 ∼ 12:00 ア 平日コース:平成 18 年 12 月 6 日・平成 19 年 1 月 17 日(2 回連続)10:00 ∼ 12:00 セ イ 会 場 県立中央図書館 中集会室 ウ 演 題 「作ってみよう手袋人形 演じてみよう手遊び・わらべ歌」 エ 講 師 久保節子 氏 オ 参加者数 土曜コース 33 人 平日コース 34 人 子ども図書研究室だより No.25(H18.4)∼ No.36 (H19.3)発行 配布先:県内教育委員会、県内小・中・高等学校、県内市町立図書館、図書館協議会委員、読み聞か せネットワーク役員等 ソ その他 (1)見学等 ア 島田市図書館ボランティア(5 月 11 日 21 名) 見学 イ 田原市中央図書館職員(7 月 5 日 3 名) 見学 ウ 焼津市みなと幼稚園「絵本の会」 (7 月 12 日 11 名)絵本の選び方についての講義及び見学 エ 富士市吉永おはなしの会(7 月 20 日 3 名) 資料紹介及び見学 オ 静岡市立中田小学校教諭ほか(8 月 4 日 11 名) 学校図書館購入資料選定 カ とこは幼稚園読みきかせボランティア(9 月 12 日 4 名) 資料紹介及び見学 キ 藤枝子どもと本をつなぐ会(9 月 20 日 37 名) 見学 ク 藤枝市子ども読書活動推進計画策定懇談会(12 月 18 日 15 名) 見学 ケ 焼津市図書館協議会(2 月 21 日 9 名) 見学 − 11 − コ 掛川市図書館ボランティア等(2 月 24 日 24 名) 見学 (2)運営相談等 ア 伊豆の国市:講師紹介 イ 掛川市:講師紹介 ウ 静岡県子ども読書フェスティバルにて県立図書館コーナーの設置(絵本展示、読み聞かせ) エ 静岡アートギャラリーにて開催のブラティスラヴァ世界絵本原画展に合わせた展示 オ 牧之原市:家庭教育学級にて講師をするにあたり、紹介する資料や内容の相談 カ 富士宮市:サイエンスワールドにて県立図書館コーナーの設置(絵本展示、読み聞かせ) キ 芝川町:寄贈を受けるにあたり、具体的な資料選定についての相談 ク グランシップにて開催のねんりんピックへ絵本の貸出 ケ 富士川町:子ども文化祭へ絵本の貸出 (3)当館職員への講師依頼等 ア 「平成 18 年度しずおか県民カレッジ (読み聞かせ短期講座)」講師(読み聞かせの実践) 10 月 26 日(牧之原市) 、11 月 10 日(袋井市)、11 月 30 日(焼津市) イ 賀茂地区公共図書館研修会講師(おはなし会プログラムの色々と著作権について) (4)その他 ア 県庁展示 県庁東館4階ギャラリーにて 6 月の 1 ヶ月間、子ども図書研究室及びグランシップ県立図書館 コーナー「えほんのひろば」を紹介する展示を行った。 イ 静岡県読書ガイドブック「本とともだち」 静岡県教育委員会社会教育課発行の読書ガイドブック「本とともだち」編集委員として参加する とともに、冊子への掲載本の検討に当たり、絵本等を提供した。 グランシップ県立図書館コーナー 「えほんのひろば」 このコーナーは、平成 15 年 4 月 1 日にそれまでの 1 階のスペースから 2 階の映像ホール前(95.23 ㎡)に移 転し、絵本を中心としたスペースに変更した。また、平成 18 年 4 月から、名称に「えほんのひろば」を加え た。 排架資料は、平成 18 年度末現在で、絵本が約 4,600 冊、『シャーロック・ホームズ全集』、『チャップリン作 品集』、 『人形三国志』、 『淀川長治名作映画ベスト&ベスト』 の 4 タイトルのビデオが約 150 本ある。利用者は、 親子連れが多く、特におはなしかいを行っている火曜日・木曜日の午前中は集中して来館者がある。その他、 本館資料の返却のみで立ち寄る利用者もある。 カウンター勤務は、木曜日が本館の資料課職員と非常勤職員、他の曜日は臨時職員と非常勤職員が担当し た。また、本館との搬送業務は、原則火曜日は市内巡回で、金曜日は資料課・調査課の職員が行った。 「展示コーナー」では、季節の行事やグランシップのイベントに併せたテーマで展示を行うとともに、絵本 架を利用して、簡易展示も実施した。今後はそれらの展示リストを整備し、テーマによるセット貸出のよう な形で、協力貸出などにも応用していきたい。 おはなしかいは、絵本の読み聞かせのほか、手遊び、手袋人形、パネルシアター、紙芝居などである。ま た、3 回参加した子どもには、シールや絵葉書等に簡単な絵本の紹介をつけたものをプレゼントした。 5 月 2 日から 7 日にグランシップで開催されたイベント「グランシップのこどものくにえほんのくに」に 合わせて「えほんひろば」でも絵本の展示や子どもたちによる飾りつけ、イベント会場での職員とボランテ ィアによるおはなしかいを行った。 平成 18 年度の新しい取り組みとして、第 1 に、4 月から 「えほんのひろば」 という愛称をつけたことにより、 − 12 − 「絵本を中心としたスペース」であることを PR するとともに、県立図書館コーナーという名前から連想して 本館と同様な場所と誤解されることを少なくした。 第 2 に、4 月から木曜日午後のおはなしかいの開始を 30 分遅くし、15 時スタートとした。これは、「幼稚 園から帰ってから参加できるよう、もう少し遅くしてほしい」という要望による。 第 3 に、6 月から、毎週火曜日に「0 歳からのおはなしかい」として、おはなしかいの回数を増やした。より 多くの方に来館していただくため、おはなしかいのある日とない日では来館人数に差があることに着目し、 おはなしかいのできる非常勤職員を採用し、毎週火曜日におはなしかいを実施することにした。また、特徴 を持たせるため、0 ∼ 1 歳ぐらいの子に焦点を絞ったおはなしかいとした。結果として予想以上の親子が集 まったことから、ブックスタートなどの影響もあり「0 ∼ 1 歳ぐらいの子を対象にしたおはなしかい」が求め られているのではないかと思われる。 第 4 に、9 月から「ちょっとおにいさんおねえさんむけの絵本」として、対象年齢が小学生以上と考えられ る絵本をまとめて排架した。これは、絵本の排架スペースに余裕がなくなってきたことと対象年齢が高い絵 本がわかるようにしたいということによる。その他、要望の多かった「きょうりゅうのえほん」もまとめて排 架した。 このことにより、テーマ別に常にまとめて排架してあるのは、「あかちゃんえほん」 「のりもののえほん」 「きょうりゅうのえほん」 「ちょっとおにいさんおねえさんむけの絵本」 「よい絵本」 「外国語の絵本」になった。 展 示 一 覧 テーマ展示 簡易展示 4月 のりもの はるのえほん 5月 のりもの/絵本は幼い子だけのもの? おかあさんのえほん 6月 世界の昔話 おとうさんのえほん/あめのえほん 7月 世界の昔話/科学の絵本・工作の絵本 あめのえほん/たなばたのえほん なつのえほん/きょうりゅうのえほん 8月 科学の絵本・工作の絵本 なつのえほん/きょうりゅうのえほん 9月 おじいちゃんおばあちゃんの絵本 おつきさまのえほん/あきのえほん 10 月 日本の昔話 あきのえほん 11 月 お父さんもお母さんも読んだ絵本 たべもののえほん 12 月 クリスマスの絵本/誕生日の絵本 クリスマスのえほん 1月 誕生日の絵本/鬼と豆の絵本 おしょうがつのえほん/ふゆのえほん 2月 鬼と豆の絵本/ともだちの絵本 ふゆのえほん 3月 ともだちの絵本 ふゆのえほん/はるのえほん − 13 − おはなしかい活動実績(平成 18 年 4 月∼平成 19 年 3 月) 参加者人数 活 動 日 回 数 毎週火曜日 10:30 ∼ 30 618 人 20.6 人 非常勤職員が実施 毎週木曜日 10:30 ∼ 43 781 人 18.2 人 2 つのボランティアグループが交代で実施 毎週木曜日 15:00 ∼ 39 462 人 11.8 人 本館職員が実施 第 3 日曜日 10:30 ∼ 12 167 人 13.9 人 ボランティアグループが実施 その他 4 備 考 総 数 1 回平均 83 人 20.8 人 7/23 9/24 12/10 3/25 <おはなしかいスペシャル> ボランティアの 1 グループによる絵 本の読み聞かせ、歌、芝居など 書庫開放 調査研究を目的とする利用者に対して、図書館資料を有効に提供するため、普段利用者が入ることのでき ない書庫(一般資料書庫、雑誌書庫)に入る機会を設けた。 ・ 6 回実施、参加者数合計 延べ 23 人 利用案内 ・ 4 回実施、参加者数合計 延べ 7 人 その他 平成 18 年度に取り組んだこと ア 県立中央図書館 ①閲覧室内新着図書コーナーを再編成し、郷土資料、一般資料、視聴覚資料の新着資料と、新規受入 雑誌をまとめて紹介するようにした。 ②ヨメール(音声読み上げソフト)専用パソコンを設置し、総合案内カウンターとレファレンスサービ スカウンターに「耳マーク」の表示と、筆談用紙を用意した。 ③「図書館協力における現物貸借で借受けた図書の複製に関するガイドライン」策定に伴い、国立国 会図書館からの借受資料の複写についても承認を受けた。 ④子ども図書研究室の職員在室日を従来の火・水・金曜日から、火・水・木・金曜日と 1 日増やし、1 日の在室時間を従来の午後 1 時∼ 5 時から午後 2 ∼ 5 時とした。 ⑤子ども図書研究室書庫を 6 月 29 日(木)から、閉架書庫から開架書庫へと変更した。 イ グランシップ県立図書館コーナー「えほんのひろば」 ① 4 月から、「えほんのひろば」という愛称をつけた。 ② 4 月から、木曜日午後のおはなしかいの開始を 30 分遅くし、15 時スタートとした。 ③ 6 月から、毎週火曜日に「0 歳からのおはなしかい」として、おはなしかいを増加した。 ④ 9 月から、「ちょっとおにいさんおねえさんむけの絵本」として、対象年齢が小学生以上くらいと考 えられる絵本をまとめて排架した。 − 14 − 2 新聞雑誌係 逐次刊行物の充実 新聞・雑誌は、所蔵総タイトル 9,019 タイトルで、内 3,787 タイトル(購入 1,015、寄贈 2,772)を継続して収 集し保存している。その内、新聞は 42 タイトル(内 39 タイトルを継続)である。分類別の構成比は別表のと おりである。改題等による書誌データの変更をタ イトル数に加えていることもあり、所蔵総タイト 逐次刊行物所蔵タイトル数 ル数は増加している。 資料充実費については、前年並みの予算が確保 7芸術 4% された。今年度は継続資料の値上がりが見られた 8言語 1% が、雑誌の休廃刊もあったため継続購入雑誌の購 9文学 8% 読中止は避けられた。今後も購入タイトル数の確 0総記 26% 6産業 11% 保に努めたい。寄贈雑誌は 74 タイトルを新規に受 入れた。 合 計 9,019タイトル 新聞は、新たに日経金融新聞の購入を開始した。 5工学 11% 新聞マイクロフィルムは、静岡新聞静清版と県内 2歴史 6% 版替分、中日新聞東海本社版と地方版、朝日新聞、 毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞の各静岡版を 3社会科学 26% 継続購入した。また、平成 17 年度からは、静岡新 報等のマイクロフィルムからの複写製本版を閲覧 1哲学 2% 4自然科学 5% に供している。 特集記事の電算入力 平成 10 年 5 月から、受入時に特集記事の電算入力をしている。それにより、館内蔵書検索端末やインター ネットの当館ウェブサイトから、キーワードで特集記事やその掲載誌を検索できるようになっている。平成 18 年度に目立った特集記事には、「内部統制」 「格差社会」 「いじめ」 「教育基本法」 「Web2.0」 「モーツァルト」 「見 える化」等がある。最新情報が得られるという雑誌の特性と、豊富な所蔵タイトルがさらに活用されるよう、 今後も特集記事の入力に努めていきたい。また、平成 16 年 3 月より当館ウェブサイトの蔵書検索で、所蔵す る雑誌各号の特集記事まで巻号一覧画面に表示されるようになり、平成 17 年度には、さらに「新聞・雑誌五 十音順蔵書検索」機能が追加された。 なお、県内公共図書館の雑誌所蔵状況は、当館ウェブサイトの「県内新聞雑誌総合目録」 「おうだんくん(静 岡県横断検索システム)」で検索可能となっている。 郷土雑誌の目次、静岡県関係記事・論文の電算入力 郷土雑誌の利用を促進するとともに利便性を高めるために、平成 11 年度より郷土雑誌の目次の電算登録を 始めた。目次入力雑誌は、当初の 17 タイトルから今年度は休・廃刊等による受入停止分も含めて 37 タイト ルとなっている。また、一般雑誌に掲載された静岡県関係の論文・記事名もデータ入力を行っている。利用 者自身が館内の利用者端末や当館のウェブサイトの蔵書検索で、キーワードから記事や掲載誌を検索するこ とができるようになっており、レファレンスサービスにも活用されている。 − 15 − 資料 目次入力をしている郷土雑誌一覧 請求記号 タ イ ト ル( 出 版 者 ) 刊行頻度等 1 SZ00-22 季刊・清水(戸田書店) 年刊 2 SZ00-41 季刊・しずおかの文化(静岡県文化財団) 季刊 3 SZ02-1 本道楽(本道楽発行所) 4 SZ06-3 静岡県博物館協会研究紀要(静岡県博物館協会) 年刊 5 SZ06-8 浜松市博物館館報(浜松市博物館) 年刊 6 SZ20-1 地方史静岡(地方史静岡刊行会) 停止 7 SZ20-3 静岡県郷土研究(静岡県郷土研究協会) 停止 8 SZ20-5A 古城(静岡古城研究会) 年刊 9 SZ20-9 静岡県近代史研究(静岡県近代史研究会) 年刊 10 SZ20-11 静岡県考古学研究(静岡県考古学会) 年刊 11 SZ20-17 静岡県史研究(静岡県教育委員会文化課県史編纂室) 12 SZ20-18 静岡県埋蔵文化財調査研究所研究紀要(静岡県埋蔵文化財調査研究所) 年刊 13 SZ20-23 静岡県の歴史と文化(静岡県の歴史と文化研究会) 不定期刊 14 SZ21-1 駿河(駿河郷土史研究会) 年刊 15 SZ21-2 沼津史談(沼津史談会) 年刊 16 SZ21-3 伊豆史談(伊豆史談会) 年刊 17 SZ21-7 かわのり(芝川町郷土史研究会) 年刊 18 SZ21-13 黒船(黒船社) 19 SZ21-14 沼津市歴史民族資料館紀要→沼津市博物館紀要(沼津市博物館) 年刊 20 SZ21-33 地方史研究(御殿場市教育委員会) 不定期刊 21 SZ21-36 月の輪(富士宮市郷土史同好会) 年刊 22 SZ21-37 小山町の歴史(小山町役場町史編纂室) 停止 23 SZ21-39 裾野市史研究(裾野市史編纂室) 停止 24 SZ22-28 清見潟(清水市郷土史研究会) 25 SZ23-5 土のいろ(土のいろ社) 26 SZ23-18 遠江(浜松市跡調査顕彰会) 年刊 27 SZ23-19 磐南文化(磐南文化協会) 年刊 28 SZ23-27 ふるさと袋井(袋井地方史研究会) 年刊 29 SZ23-34 榛原(ハリハラ) (榛原町教育委員会) 30 SZ38-3 静岡県民族学会誌(静岡県民俗学会) 年刊 31 SZ40-5 遠州の自然(遠州自然研究会) 年刊 32 SZ45-1 静岡地学(静岡県地学会) 年2回刊 33 SZ47-6 静岡県自然誌(静岡県自然誌研究会) 季刊 34 SZ61-5 静岡県茶業試験場研究報告(静岡県茶業試験場) 不定期刊 35 SZ70-5 伊豆の郷土研究(田方地区文化財保護審議委員連絡協議会) 年刊 36 SZ82-1 静岡・ことばの世界(静岡県方言研究会) 不定期刊 37 SZ90-81 静岡近代文学(静岡近代文学研究会) 年刊 停止 停止 停止 年刊 停止 − 16 − 停止 「静岡県内新聞雑誌総合目録」 平成 16 年 3 月から、県内の公立図書館(室)の新聞・雑誌の所蔵情報を載せた「静岡県内新聞雑誌総合目録」 がウェブ公開されるようになった。インターネットでの総合目録公開は、各図書館のみならず一般利用者が それをいつでも検索できるようになった点でも大きな変化であった。県内で初めて所蔵する雑誌の書誌デー タは当館で入力し、県内各市町図書館(室)が自館の所蔵情報をいつでも最新のものに更新できるようになっ ている。各図書館の担当者が共通認識のもとに情報の更新ができるように、平成 18 年度も所蔵情報の入力 方法等の操作研修を 5 月に当館で行った。 また、当館ウェブサイトのトップページに「県内公立図書館の新聞・雑誌の検索」というメニューが表示さ れた。「おうだんくん」に参加していない図書館の所蔵状況もわかるという利便性が理解され、さらに広く活 用されることを期待する。 新規受入雑誌の新着棚展示 現在閲覧室に排架されている雑誌は約 1,500 タイトルで、2,000 タイトル以上はそのまま書庫へ排架となり、 書庫出納で閲覧に供している。寄贈されてくる雑誌の中から定期的に選書を行い新規に受入をする雑誌を決 めているが、なるべく利用者の目に触れて手にとってもらえるように、平成 18 年度からは新規に受入れ始 めた雑誌を一定期間新着棚に展示し、紹介に努めた。 その他 貸出可能な付録 CD は、『日本語ジャーナル』と『English Journal』の 2 誌であったが、語学雑誌の付録 CD は本誌との関連も高いため、平成 19 年 1 月から、他の語学雑誌の付録音声 CD も貸出しを始めた。 また、雑誌新規購入のリクエスト用紙を閲覧室に設置した。 − 17 − 3 一般調査係 レファレンスサービスについて ア 平成 18 年度レファレンスサービスの概要 今年度のレファレンスの総件数は 9,150 件で、昨年度の 8,024 件に比べて 1,126 件増加した。寄せられ た質問の全体的な特徴としては、郷土静岡に関する質問の数は昨年度とさほど変わらなかったのに対し、 歴史・自然科学・産業・文学といった分野の一般的な質問が増加していること、来館者による質問が 1,000 件近く増加していること、また近年減少傾向にあった所蔵・所在調査の件数が増加していること が挙げられる。 総件数増加の要因であるが、入館者数がさほど増えていないにもかかわらず来館者による質問件数が 大幅に増加していることから、平成 18 年度初めに新しくしたレファレンスサービスカウンターのサイン の影響があったものと考えられる。サインの文面をそれまでの 「レファレンス ご質問はこちらに」 から、 「「調べる」をお手伝いします。レファレンスサービス」と明確にサービス内容を伝えるものに変えたこと により、当館に不慣れな来館利用者の質問を促したり、所蔵・所在調査といった比較的容易な質問をす ることに対する抵抗感を減らしたりする効果があったのではないだろうか。 市町立図書館からのレファレンスの依頼件数、つまり市町立図書館に対する直接的なレファレンス支 援の件数は、市立図書館からが 236 件、町立図書館からが 57 件であった。市立図書館の依頼件数は昨年 度から若干増加したが、町立図書館の依頼件数は半分近くに減少している。これは合併による町自体の 減少の影響が大きいと思われるが、合併が一段落した今後の件数の変動には気をつけたい。また、件数 がさほど増えていない市町立図書館についても、直接的支援を今以上に行う余地があるのかどうか、状 況を見きわめながら適切に取り組む必要がある。 県庁や市役所、学校といった公共機関からの質問件数は、昨年度に比べて若干増加しているとはいえ、 まだ図書館の利用が浸透してきているといえる段階ではないようである。事業所からの質問件数につい ては、所属を全て把握した上での数字ではないため評価は難しいが、昨年度に引き続き増加傾向にあ る。 来館や電話などで利用者から直接寄せられる質問に対処しつつ、市町立図書館への直接的・間接的な レファレンス支援をいかに充実させていくかという県立図書館としての課題が浮き彫りになった 1 年で あった。 平成 18 年度レファレンス件数 イ (単位:件) ①書誌・文献・事実調査件数 5,462 うち郷土に関するもの 1,366 ②所蔵・所在調査件数 3,688 うち郷土に関するもの 550 ③調査件数合計(① + ②) 9,150 うち郷土に関するもの 1,916 パスファインダーなどの改訂・作成 「調べるを支援する」ためのリーフレットとして、「本の道標(みちしるべ)」 (パスファインダー)を引き 続き改訂・作成した。今年度は新規に「インターネットで資料の所在を調べる」 「 漢詩の出典を調べる」 「ビジネスに関する統計を探す」 「医療情報を探す」の 4 つのパスファインダーを作成した。これは当館の 利用者に向けたものであるが、県内の図書館においても参考にしていただくため、事例集の特集として 掲載した。既刊のパスファインダーについては、随時内容の見直しを図り、改訂を行っている。 ウ データベースなどの充実 ビジネス支援事業の一環として、CD-ROM 検索用パソコン 2 台と商用データベース用パソコン 2 台を 設置している。従来から導入している商用データベースは、ELDB(Electronic Library Data Base)、日経 テレコン 21、聞蔵Ⅱ(朝日新聞記事検索サービス)、NICHIGAI-WEB サービス、静岡新聞記事 DB(G − − 18 − Search)、近代新聞検索(NPO エイジングブライト倶楽部)、Jfax(経営情報提供サービス)である。今年 度、JapanKnowledge を新しく導入した。 市町立図書館などへの支援 市町立図書館などにおけるレファレンス業務の充実を図るため、レファレンス業務に関する情報提供、研 修として次の事業を実施した。 ア 「レファレンス事例集」の発行 レファレンス事例を検討し、知識や技術を共有することは、組織としてレファレンスサービスの質を 保証するための基礎である。また、事例はレファレンスマニュアルやツール整備の材料ともなる。市町 立図書館におけるレファレンス業務等にも役立てていただけるよう、調査過程を重視したレファレンス 事例をまとめ、加えてテーマごとの特集を組んだ。今年度のレファレンス事例集は、「パスファインダ ー」を特集として 1 回(平成 19 年 1 月)発行し、県内各図書館や要望のあった県内諸機関・団体に、配布 した。 イ レファレンス研修の実施 静岡県教育委員会と静岡県図書館協会が共催する図書館職員研修のうち、次の部分を一般調査係が担 当した。基礎研修(全 3 日間)のうちの「初級レファレンス」 (1 日)、専門研修(レファレンス応用・演習: 全 2 日間)のうちの「インターネット情報検索」 (1 日)である。 基礎研修の「初級レファレンス」は、大きく 4 つの部分から構成される。1 つはレファレンスとは何か を確認する概論である。ビデオ教材を利用し、実際のレファレンスがどのように展開されるのかを示し、 レファレンス業務の意義や心構え等を解説した。第 2 は基本参考資料の紹介で、例題を示しながら参考 資料の特徴や使い方を解説した。第 3 はインターネット情報源の紹介で、主に所蔵検索をする際の基本 的サイトについて例題を通して紹介した。第 4 はレファレンス演習で、基本参考資料を用いて演習を行 った。会場は、東部は三島市立図書館、中部は当館、西部は浜松市立浜北図書館で実施した。中部の参 加者申込が多かったことから、2 グループに分け 2 回行ったので、今年度の基礎研修は計 4 回になった。 専門研修の「インターネット情報検索」はレファレンス業務の経験者を対象にした研修で、主に検索エ ンジン活用法の説明、レファレンスに有用と思われるサイトの紹介をしている。今年度は昨年まで使用 していたテキストを変更し、検索エンジンの活用、法情報、医療情報、統計情報の 4 部で構成した。イ ンターネットを使った講習会では、1 人 1 台のパソコンが用意されることが研修効率や受講満足度を高 めるために重要である。そのため、受講者を 2 つのグループに分け、2 つの研修会場を使用して実施し た。 基礎研修「初級レファレンス」実施状況 実 施 日 会 場 受講者人数 平成 18 年 5 月 18 日(木) 静岡県立中央図書館 28 名 平成 18 年 5 月 24 日(水) 静岡県立中央図書館 20 名 平成 18 年 6 月 1 日(木) 浜松市立浜北図書館 32 名 平成 18 年 6 月 7 日(水) 三島市立図書館 18 名 専門研修「インターネット情報検索」実施状況 実 施 日 平成 18 年 10 月 18 日(水) 会 場 静岡県総合教育センター − 19 − 受講者人数 44 名 ウ 出前研修 市町立図書館の依頼を受け、担当職員が市町立図書館へ出向き、研修を実施する。 本年度は著作権に関する研修の依頼が 2 件あり、職員を派遣した。 御前崎市立図書館〔平成 18 年 7 月 28 日(金) 対象:図書館職員〕及び、藤枝市立図書館〔平成 18 年 11 月 22 日(水) 対象:ボランティアグループ〕。 特別取扱資料等の保存と公開 ア 特別取扱資料について 当館では「葵文庫」や「久能文庫」をはじめ、郷土関係の古文書などの貴重な資料を多数所蔵している。 資料については公開が原則であるが、特別取扱資料の中には紙質が脆くなっていて破損しやすいもの、 今後入手が不可能なものも少なくないため、保存に充分な注意を払う必要がある。保存と公開のバラン スの取れた資料活用に努めていきたい。 特別取扱資料のうち「葵文庫」、「久能文庫」、「上村翁旧蔵浮世絵集」等、特に資料的価値の高い資料や マイクロフィルム等を、静岡県総合教育センター(あすなろ)の収蔵庫で温度 20 ℃、湿度 50 %に設定さ れた最新の空調設備により保管・管理している。これら資料の閲覧については、毎月 1 回、年間 12 回の 閲覧日を設定している。平成 18 年度は 12 回の閲覧日で、延べ 51 人が、計 866 点(前年度 248 点)の資料 を閲覧した。閲覧冊数が前年比約 3.5 倍に増加した理由として、上智大学、北九州市立大学、鹿児島大 学、東京国立博物館および東京大学史料編纂所等の研究機関による調査・研究(科学研究費補助金制度 による学術研究を含む)が相次いだことが考えられる。 あすなろ収蔵庫の薫蒸を、平成 18 年 11 月 5 日にブンガノンとライセントを使用して実施した。 虫食いや劣化等で破損の著しい資料については、専門業者に修復を依頼するのと同時に、マイクロフ ィルムや複製本を作製し、公開と利用に供するよう努めている。今年度は、劣化損傷の著しかった『相 模國風土記』 (Q291/15)ほか 6 タイトル 13 点を専門業者に依頼し修復を行った。さらに葵文庫洋装本に ついては、『Principes de géologie,traduit par Mme T.Meulien』 (AF119/2)など 12 タイトル 6,540 コマのマ イクロフィルムを作製した。 イ 掲載放映許可、特別取扱資料館外貸出等について 平成 18 年度は、当館所蔵資料の掲載又は放映を 55 件許可した(前年度 55 件)。その内訳は掲載 42 件 (同 46 件)、放映 13 件(同 9 件)であった。葵文庫等の貴重資料 30 件、県政ニュース関係の映像資料 4 件 (同 2 件)、『上村翁旧蔵浮世絵集』4 件(同 16 件)が主なものである。 依頼者は、事前にインターネットで当館のホームページを調べ、画像などを確認しており、デジタル データでの提供を望むケースが多い。今年度は、11 件(同 12 件)がデジタルデータでの提供であった。 特別取扱資料(貴重書など)の館外貸出については、次の 6 件(133 点)を許可した。 ①國學院大學院友会静岡県中部支部研修会 ②衆議院憲政記念館「女性参政 60 年特別展」 ③富士市立博物館市制 40 周年記念特別展「富士山ゆかりの名品展」 ④日本近世文学会秋季大会 (特別展示) ⑤フェルケール博物館企画展 「三保物語」 ⑥三島市郷土資料館企画展 「三島と女性−歴史の中の女性たち−」 ウ 貴重書講座 当館所蔵の貴重書を紹介する貴重書講座を、毎年 1 回実施している。今年度は、講師を「葵文庫の会」 会員の堀尾弘和氏(常葉学園大学非常勤講師 元静岡県立中央図書館資料課長)にお願いし、平成 19 年 3 月 3 日(土)に、静岡県立中央図書館視聴覚モデルルームを会場に開催した。 − 20 − 「葵文庫と貴重書に見る日本の科学の夜明け −江戸から明治へ」と題した 1 時間 30 分の講座は、幕末 から明治初期にかけて、宇宙観や科学的知識が洋書からの翻訳等により日本に紹介された様子を具体的 な資料を例示しながら解説された。オランダ国立公文書館に残されていた 1789 年の送り状や仕分票(『世 界四大洲新地図帳』のものと思われる)も紹介され、とても興味深い内容であった。パワーポイントを用 いて、視覚的でわかりやすい解説が行われた。普段、目にすることの少ない『厚生新編』 『訓蒙窮理図解』 『天変地異』等の貴重書(講座で紹介された資料を主とした 18 タイトル)も展示され、講座後も多くの参 加者が熱心に見学をしていた。参加人数は 33 人であった。 その他の関連事業 ア 商用データベース講座 県民を対象とし、当館で導入している商用データベースの使い方を解説する講座を開催した。 商用データベース研修実施状況 実 施 日 イ 会 場 受講者人数 平成 18 年 7 月 1 日(土) 静岡県立中央図書館(新聞・雑誌記事の検索) 17 名 平成 18 年 9 月 30 日(土) 静岡県立中央図書館(法情報の検索) 10 名 平成 18 年 10 月 29 日(日) 静岡県立中央図書館 (記事検索、法情報の検索) 11 名 平成 18 年 11 月 16 日(木) 静岡県立中央図書館 (知識探索サイトの検索) 7名 音訳奉仕員養成講習会 静岡県点字図書館が主催する音訳奉仕員養成講座のプログラムの 1 つとして「調査・レファレンス講習 会」を一般調査係で担当している。音訳や点訳に不可欠な「読み」の調査方法を、人名・地名、書名・作 品名などの読みを調べる基本参考図書を紹介しながら、例題や演習問題を交えて解説した。受講者は県 内各地の音訳・点訳ボランティアとして活躍する方々で、大変熱心に取り組んでいただいた。実施日、 受講者数は次のとおりである。 実 施 日 平成 18 年 10 月 5 日(木) ウ 会 場 受講者人数 静岡県立中央図書館 21 名 学校図書館職員研修 静岡県高等学校図書館研究会が主催する「平成 18 年度静岡県高等学校図書館研究大会」 〔平成 18 年 8 月 22 日(火) 会場:静岡県立中央図書館〕において、第 2 分科会「パスファインダーについて」に講師を派 遣した。パスファインダーの目的、機能、作成の手順や利点などを説明した。 エ 関係機関との連携など 「葵文庫の会」会員との連絡会を平成 18 年 8 月 26 日(土)及び、平成 19 年 3 月 3 日(土)に実施した。葵 文庫資料をはじめとする当館貴重資料関連事業についての報告及び意見交換、来年度の貴重書講座の予 定及び講師依頼、組織運営についての確認などを行った。 − 21 − 4 地域調査係係 地域資料の充実 静岡県に関する全分野および県人著作物の収集と保存を目指し、新刊書はもとより、古書等の収集により 蔵書の充実を図っている。資料の受け入れは、原則として 1 資料につき 2 冊として、1 冊は貸出できるよう にし、もう 1 冊は貸出を禁止して、保存用としている。個人や団体の出版情報に留意し、毎朝の各新聞の出 版案内記事のチェック等により、情報の収集に努めている。 平成 18 年度の受入資料数は 5,126 冊で、これにより、平成 19 年 3 月末現在における地域資料の蔵書総冊数 は 97,147 冊となった。 郷土資料の NDC10 分類による内容構成は、図のとおりである。 ア 購入資料 郷土資料内容構成 平成 18 年度の受入資料数は、新刊書が 769 冊、古書 520 冊である。新刊書については、平成 18 年度は特に ジャンルを決めず、いろいろな分野の出版情報やオン ライン書店のホームページを検索し、静岡県に関連す 8言語 0.3% 7芸術 5.0% 9文学 0総記 7.3% 7.2% 1哲学宗教 1.2% る資料を収集した。 また、プランゲ文庫新聞コレクション静岡県内刊行 分のマイクロフィルム 223 リールを購入した。プラン ゲ文庫はメリーランド大学が所蔵している米軍占領下 6産業 11.6% 5技術 7.1% 蔵書総冊数 97,147冊 2歴史 21.0% 時代の検閲資料群で、大変貴重なものである。 古書については、地域史(誌)、社史、団体誌、学校 誌、個人史など歴史的背景をもつ資料及び郷土人の著 4自然科学 4.5% 3社会科学 34.7% 作を主たる収集対象とした。 イ 寄贈資料 個人、団体の出版物や県、市町の行政刊行物など、通常の流通ルートでは手に入りにくい資料も収集 している。 寄贈図書のうち多数を占める県発行の行政資料は、毎週 1 回県民サービスセンターに立ち寄り、収集 している。 また、各市町発行等の行政資料についても、各市町の部署等に依頼して、積極的な収集に努めてい る。 静岡新聞社が開催した「第 6 回静岡県自費出版大賞」の応募作品についても引き続き当館に寄贈され、 例年どおり大賞や奨励賞をはじめとした展示を行った。 ウ その他 市町の例規集は、従来の加除式図書の追録発行をとりやめ、CD-ROM やホームページ上で公開される ことが多くなったが、当館ではどの媒体で刊行されても利用者に支障のないよう、また常に最新の情報 に接することができるよう、対応している。市町村合併により媒体を変更した冊子体の例規集も保存し、 合併前の旧市町村の例規等に関する調査にも対応できるようにした。また、CD-ROM 等で刊行される例 規の改訂に関しては、各版を時系列的に確認できるようそれぞれを受入登録した。 提供情報の充実 ア 目次の入力 当館所蔵の地域資料のうち、「富士山関係資料」および地誌類等、目次が特に検索キーワードとして有 効になると判断した資料については、目次の入力を行っている。この目次の情報については 1 書誌につ − 22 − き約 10,000 字の情報入力が可能で、より詳細な入力ができ、県立図書館のホームページで検索し、書誌 データとともにダウンロードすることができる。 イ 各種の主題別目録 当館所蔵の郷土資料には、その資料によって「小学生向」 「中学生向」 「小中学生向」等と対象区分を付与 したり、「女性」、「災害」、「富士山」及び「東海道」等の特定の主題に関係する資料には書誌区分を付与し ている。その結果、『子どもが使える郷土資料図書』、女性関係図書、災害関係図書などの最新の目録を いつでも出力できるようにしている。 ウ 汚破損本の修理、製本 利用が多く、破損した資料は、今後の利用や保存に耐えるよう修理や再製本等行っている。今年度は 貴重書である『駿河国安倍下村年貢割付』の 17 点の裏打ち修理のほか、401 点の資料の再製本等を業者発 注した。また、特別整理期間中には集中的に汚破損本の修理や背の書名付けを行った。 郷土資料 MARC の提供 ア 郷土資料 MARC 地域調査係では、郷土資料に関する受入資料の書名や著者等の書誌データを自館で作成し、その情報 を郷土資料 MARC として提供している。各図書館や個人でダウンロードが可能であり、形式も、分解型 に加え、新分解型、変換プログラム用(図書館専用ページのみで提供)のデータ形式から選択してするこ とが可能である。現在は作成日の翌日以降にホームページ上で公開されている。 郷土資料 MARC は、各館における郷土資料に関する書誌作成作業の軽減化を図るとともに、県内の郷 土資料データの標準化を目指して今後も継続し、迅速に提供していく予定である。 市町立図書館への援助 ア 運営相談 地域調査係では、各市町立図書館等からの依頼により、郷土資料の収集及び分類・整理方法、排架な どについての各種相談に応じている。 イ 除籍図書の受入 各館等の事情により不要とする郷土資料がある場合、当館未所蔵の資料については受入をする方針で ある。今年度は中部教育事務所移転に伴う不要資料等の受入を行った。 その他 ア 地域分類表の改訂 地域資料については、一般資料の分類とは分けて地域分類表により分類しているが、より利用しやす いよう改訂をしている。市町村合併に伴う改訂では従来から継続して受け入れている資料が支障なく排 架できるよう、また新旧市町村ができるだけ合併前後で近い分類にまとまるように留意している。 イ 個人情報保護法への対応 平成 17 年 4 月 1 日より施行された個人情報保護法に関連して、当館が所蔵する詳細な個人情報を含む 資料については、袋とじ等の処理を行い、名簿の閲覧・複写および貸出を禁止する等の措置をとってい る。 また、寄贈資料に個人寄贈者名を明記するかどうか等、寄贈受付時に寄贈者の意向を受け入れている。 − 23 − 5 企画係 図書館職員研修 平成 15 年度まで県教育委員会と県図書館協会で別々に行っていた研修を、平成 16 年度からはすべて共催 化し、研修内容の精選と体系化を図った。本年は、時宜に適った研修を企画し、多くの公共図書館職員の参 加を得るよう努めた。 ①基礎研修 ア 基礎研修 (基礎理論・実務) 期 日 平成 18 年 5 月 11 日(木) 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 97 名 ・「図書館と法」 日本図書館協会参与 酒川玲子 内 容 ・「障害者サービス概論」 埼玉県立浦和図書館主任司書 佐藤聖一 ・「窓口接遇研修」 イ 有限会社アビット代表取締役 浅川洋子 レファレンス研修(基礎) (木)平成 18 年 5 月 24 日 (水) 平成 18 年 6 月 1 日 (木) 平成 18 年 6 月 7 日 (水) 期 日 平成 18 年 5 月 18 日 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 28 名 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 浜松市立浜北図書館 パソコン室 三島市立図書館 外国語・パソコン教室 20 名 32 名 18 名 内 容 ・「初級レファレンス」 県立中央図書館調査課一般調査係職員 ②専門研修 ア 児童・青少年サービス研修 期 日 平成 18 年 6 月 20 日(火) 会 場 掛川市立中央図書館 会議室A、B 参加人数 43 名 内 容 ・「図書館展示術」 イ 図書館・メディア研究所所長 小畑信夫 大学・専門図書館研修 期 日 平成 18 年 7 月 7 日(金) 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 37 名 内 容 ウ ・「大学図書館サービスの方向性」 同志社大学総合情報センター係長 井上真琴 ・「レファレンス能力を高めるために」 同 レファレンス研修(応用) 期 日 平成 18 年 9 月 28 日(木) 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 46 名 内 容 ・「中小公共図書館におけるレファレンス・サービスの実践とその技術」 千葉経済大学短期大学部助教授 斎藤誠一 − 24 − エ レファレンス研修(応用・演習) 期 日 平成 18 年 10 月 18 日(水) (あすなろ)情報学習室・情報研修室 1 会 場 静岡県総合教育センター 参加人数 44 名 内 容 ・「テーマ別レファレンス演習」 オ 県立中央図書館調査課一般調査係職員 運営研修 期 日 平成 18 年 10 月 3 日(木) 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 34 名 内 容 カ ・「新しい地域づくりに挑戦する公共図書館のミッション」静岡県広報アドバイザー 川部重臣 ・「自治体組織の中の図書館」 浦安市立中央図書館長 森田正己 総合研修 期 日 平成 18 年 11 月 22 日(水) 会 場 島田市立金谷図書館 会議室 参加人数 34 名 内 容 ・「図書館の新しい魅力を実現する広報誌のプランニング」 静岡県広報アドバイザー 川部重臣 ③特別研修 ア 県外視察研修 期 日 平成 18 年 11 月 29 日(水) 会 場 愛知県田原市中央図書館 参加人数 37 名 ④その他 ア 静岡県横断検索・相互貸借システム及び静岡県内市町図書館所蔵新聞雑誌総合目録操作研修 期 日 平成 18 年 5 月 25 日(木) 会 場 静岡県立中央図書館 視聴覚モデルルーム 参加人数 39 名 講 師 県立中央図書館資料課図書係、及び新聞雑誌係職員 利用者からの声 ア 提案ボックス 「提案ボックス」を設置することによって、利用者からの意見・要望を直接収集することができた。こ うした声を活用し、利用者が必要とする情報を提供したり、図書館運営の改善に努めた。 「提案ボックス」件数統計 4月 5月 6月 7月 8月 9月 提案件数 11 3 2 6 4 3 4 2 回答件数 3 5 1 6 1 2 2 3 − 25 − 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 計 2 5 1 4 47 3 2 4 3 35 提案の内容は、排架、選書、施設、マナー等多岐に渡っており、図書館運営上参考になるものも多か った。提案に対する回答を検討するなかで、見なおしや改善を図り、利用者サービスに結びついたもの も少なくない。ただ「暖房の風がかえって寒い」、「冷水機がほしい」など、当館の施設・設備に関する 要望については老朽化のために十分な対応ができなかった。 <今年度、提案ボックスに寄せられた要望をもとに改善された主なもの> 洗面台の横に荷物の置き台を設置、避難経路図を新たに目に付く場所に掲示、子ども図書研究室の配 置図をわかりやすく改良、新着棚の本の入れ替え方法の改善、ビジネスコーナーに椅子を設置、休憩コ ーナーの掲示の改善など。 イ 利用者実態調査 当館では、平成 9 年度から継続的に来館者に対して利用調査を実施し、利用者の来館目的や利用資料 等について調査してきている。本年度は、当館への交通手段についてと、利用しやすい開館時間帯につ いて調査項目に追加した。 <調査の概要> 調査対象 (ア)来館者(有効回答数: 317) (イ)当館ホームページ(同: 7) 調査期間 平成 18 年 11 月 9 日(木)∼ 11 月 15 日(水)の 7 日間 <分析結果> 「平成 18 年度『静岡県立中央図書館利用者アンケート』集計結果」 P.31 ∼ P.36 イベント等 ア 図書館講座 (ア) 「商用データベース活用講座」 日 時 講 師 内 容 募集 応募 参加 備考 県立中央図書館で利用できる商用デ ータベースの紹介、商用データベー 10 人 10 人 9 人 希望者多 スの基本的な使い方、ニュース記事 数につき、 等の検索方法など 調査課 午前と午 一般調査係職員 後の 2 回 7 月 1 日(土) 10 人 10 人 8 人 実施 14:00 ∼ 15:30 7 月 1 日(土) 10:00 ∼ 11:30 県立中央図書館で利用できる商用デ 9 月 30 日(土) 調査課 ータベースの紹介、商用データベー 10 人 10 人 10 人 14:00 ∼ 15:30 一般調査係職員 スの基本的な使い方、判例や法令等 の検索方法など 県立中央図書館で利用できる商用デ 11 月 16 日 (土) 調査課 ータベースの紹介、商用データベー 10 人 8 人 7 人 14:00 ∼ 15:30 一般調査係職員 スの基本的な使い方、ジャパンナレ ッジの使い方など − 26 − (イ) 「貴重書講座」 日 時 講 師 内 容 募集 応募 参加 備考 3 月 3 日(土) 堀尾弘和(常葉大 講演会「葵文庫と貴重書に見る日本 50 人 37 人 33 人 の科学の夜明け」 13:30 ∼ 15:00 学非常勤講師) (ウ) 「子ども図書研究室講座」 日 時 講 師 5 月 26 日(金) 10:00 ∼ 12:00 池田正孝 (東京子ども図 書館理事・中央 5 月 26 日(金) 大学名誉教授) 13:00 ∼ 15:00 12 月 2 日(土) 10:00 ∼ 15:00 久保節子 (常葉学園短期 大学非常勤講 師・静岡おはな 1 月 13 日(土) しかご主宰) 10:00 ∼ 12:00 内 容 募集 応募 参加 備考 講演会「児童文学作品の魅力∼その 舞台や風物をたどって∼」―ピータ 50 人 88 人 80 人 ーラビットの世界― 絵本の舞台をスライドにより紹介 講演会「児童文学作品の魅力∼その 舞台や風物をたどって∼」―ホフマ 50 人 82 人 78 人 ンのグリム童話の世界― 絵本の舞台をスライドにより紹介 ・ 1 日目: 19 人 おはなし会における手袋人形や手遊 2 回連続 びの役割(講義)、手袋人形・手遊 20 人 21 人 講座土曜 び・わらべ歌の実演と演習 コース ・ 2 日目: 14 人 受講生の発表と講評 12 月 6 日(水) 10:00 ∼ 15:00 19 人 〃 〃 2 回連続 講座水曜 コース 20 人 22 人 1 月 17 日(水) 10:00 ∼ 12:00 15 人 (エ) 「音訳・点訳のためのインターネット活用講座」 日 時 講 師 6 月 10 日(土) 情報 13:30 ∼ 16:30 ボランティア 12 月 2 日(土) 情報 13:30 ∼ 16:00 ボランティア 内 容 募集 応募 参加 備考 音訳や点訳をするときに必要な「読 IT 講習用 みを調べる」ために、インターネッ 15 人 14 人 13 人 パソコン使用 トを活用するための実習。 音訳や点訳をするときに必要な「読み を調べる」ために、インターネットを 50 人 40 人 13 人 講座形式 活用するための方法について (オ) 「パソコンによる情報活用講座」 日 時 講 師 7 月 15 日(土) 情報 13:30 ∼ 16:00 ボランティア 内 容 募集 応募 参加 ブログの概略説明、ブログの特徴と マナー、ブログ開設の準備 21 人 2 回連続 講座 20 人 23 人 7 月 22 日(土) 情報 13:30 ∼ 16:00 ボランティア ブログの開設、ブログの新規作成、 ブログの管理 10 月 14 日 (土) 情報 13:30 ∼ 16:00 ボランティア ブログの概略説明、ブログの開設、 15 人 10 人 9 人 ブログの新規作成、ブログの管理 − 27 − 備考 19 人 イ 展示 (ア)教育委員会文化課との共催による展示 展示会名称 ウ 実施期間 1 パネル展示「こけら経」 6 月 5 日(月)∼ 6 月 16 日(金) 2 パネル展示「静岡の古墳」 12 月 4 日(月)∼ 12 月 15 日(金) 3 パネル展示「話題の遺跡」 2 月 15 日 (木)∼ 2 月 27 日(火) 開催場所 閲覧室 入 口 その他 (ア)オリジナル ブックカバー 静岡県誕生 130 周年を記念し、当館所蔵の資料によるオリジナルブックカバーを作製。平成 18 年 8 月 19 日から 23 日にかけて当館入口にて希望者に配布。 施設見学・視察、職場体験、図書館実習など ①職場体験(生徒・学生) 校 種 男 女 計 中 学 校 12 人 6人 18 人 高等学校 2人 2人 4人 大学・短大 0人 3人 3人 計 14 人 11 人 25 人 ②社会体験研修(教職 10 年研修) 校 種 男 女 計 養護学校 0人 1人 1人 高等学校 2人 1人 3人 計 2人 2人 4人 校 種 男 女 計 高等学校 2人 0人 2人 計 2人 0人 2人 校 種 男 女 計 大 学 0人 1人 1人 大 学 院 1人 0人 1人 計 1人 1人 2人 ③初任者研修(教員) ④図書館実習 − 28 − ⑤施設見学 校 種 校数・団体数 人 数 小 学 校 1校 93 人 中 学 校 5校 53 人 高等学校 1校 78 人 大 学 2校 2人 教 職 員 1 188 人 一 般 13 組 188 人 計 425 人 図書館だよりの発行・当館ホームページの運用 ① 静岡県立中央図書館だより No.302(H 18.5)∼ No.307(H 19.3)発行 配布先:県内教育委員会、県内小中高等学校、県内市町立図書館等 ② 当館ホームページのリファイン ア 「簡単検索機能」 の提供 当館ホームページの各ページの上部からワンクリックで蔵書検索および県内図書館の横断検索 を可能にした。なお、簡単横断検索については全国都道府県立図書館ホームページ初である。 イ ホームページメニューのカテゴリ開閉を可能にした。 ウ クローズアップアイコンを使いやすくデザイン・配置した。 数値目標および達成状況 静岡県立中央図書館では、「公立図書館の設置及び望ましい基準」 (平成 13 年 7 月 18 日 文部科学省告示) や静岡県教育計画「人づくり 2010 プラン」 (静岡県教育委員会)をもとに平成 15 年度から数値目標を設定し、 計画的に図書館サービスの向上をはかり、一定の成果をあげてきた。 当館は、県民の生涯学習の場としての図書館、市町立図書館のための図書館及び資料情報センターとして の図書館として、県民の教育及び文化の向上に寄与することを基本方針としている。 数値目標の達成率については以下のとおり。 評 価 指 標 平成 18 年度 年間数値目標 平成 18 年度 実 績 達 成 率 1 入館者数 260,000 人 246,843 人 94.9 % 2 個人への貸出資料数 150,000 点 160,512 点 107.0 % 3 市町立図書館等への貸出資料数 8,000 点 8,063 点 100.8 % 4 レファレンス調査受付件数 8,300 件 9,150 件 110.2 % 5 ホームページアクセス件数 2,670,000 件 4,059,652 件 152.0 % 6 利用満足度 各項目 80 %以上 (重点は蔵書と資料の見つけやすさ) − 29 − 各項目満足度 平均 84.7 % その他 今年度当県は、「関東地区都県立図書館副館長会議」の担当県となった。変革期における新しい図書館活動 のあり方について、平成 18 年 11 月 24 ・ 25 日の両日静岡市葵区の 「ペガサート 7 階静岡市産業交流センター」 等を会場として開催した。関東地区の公共図書館の副館長等関係者が参加し、図書館をめぐる今日的問題に ついての対応や図書館経営、利用者サービス等について熱心に研究協議が行われた。 今年度の特別整理は 2 月 1 日(木)から 14 日(水)まで、閲覧室と子ども図書研究室を主に行った。 − 30 − − 31 − − 32 − − 33 − − 34 − − 35 − − 36 − 6 振興係 市町立図書館振興 ア 市町立図書館運営の支援・協力 (ア)市町立図書館運営の支援 a 図書館未設置町等への訪問 平成 18 年 4 月現在で、公民館図書室等のみで条例制定の図書館をもたない町(西伊豆・函南・ 富士川・由比・川根・岡部・川根本町の 7 町)へ県教育委員会社会教育課職員・館長又は副館長及 び企画振興課職員で訪問して、図書館建設促進、図書館の活動振興に関わる助言等を行った。 b 図書館活動振興に関わる運営相談 市町立図書館等からの要請により、訪問したり来館を受けたりして、図書館活動振興に関わる 助言等を行った。図書館の運営改善・レファレンス業務について(藤枝市)、図書館講座開催につ いて(磐田市他)、外国語資料について(掛川市)、児童サービスについて(西伊豆町:賀茂地区図 書館研究会講師派遣)、図書館ボランティアの養成について(島田市、藤枝市)、子ども読書推進 事業について(一日えほんとしょかん:富士川町で開催)、著作権について(藤枝市:講座の講師派 遣)等々。訪問に際しては、調査課や資料課と連携を取り対応した。その他、指定管理者制度、 相互貸借の受益者負担等、著作権、子ども読書推進計画等についてなど、多種多様な相談を協力 車で訪問した際や、電話等で受けた。 c 当館児童書を用いた子ども読書イベントの開催(一日えほんとしょかんIN○○) 当館児童書を用いた子ども読書のイベントを、富士宮市(10/19 川町(11/12 サイエンスワールド)、富士 子ども文化祭)で、各自治体と共催により実施した。当館児童書の展示と各町のボ ランティアによる読み聞かせや紙芝居などが行われ、参加者は富士宮市 550 人、富士川町 200 人 であった。 (イ)協力車の定期運行による資料・情報の提供等 市町立図書館等への協力車の定期運行 (協力車事業の統計 P.38 参照) を実施し、情報の交換及び収集、 資料の提供、事務連絡等を行い、各館との連携を図った。 協力車事業は協力車による 8 コースの定期運行と、宅配による資料の搬送を 1 年間の試行として計 画した。 (ウ)参考資料・二次資料の作成・提供 「図書館協力ハンドブック PLUM2006」、「静岡県図書館情報メールマガジン(第 71 号∼第 94 号)」を発 行した。 イ 職員研修(別項一覧表 P.24 参照) ウ 図書館活動の振興・奨励 (ア)静岡県図書館大会の開催(平成 18 年度静岡県図書館大会 P.39 参照) (イ)読書活動の広報 (ウ)読書グループ活動の援助・協力 関係団体との連携 ア 静岡県図書館協会 県内図書館の連携を図り、情報交換するとともに、図書館の振興を図った。合併による年会費減と団 体事務取扱職員確保のため、平成 16 年度に会費の値上げを協議し、平成 17 年度から施行した。 (ア)平成 18 年度静岡県図書館大会開催 (イ)職員研修(別項一覧表 P.24 参照) − 37 − (ウ) 「職員名簿」の発行 (エ) 「静岡県図書館協会報」 (No50、51 号)の発行 イ 静岡県読書推進運動協議会 県内優良読書グループを表彰するなど、県民の読書活動の推進を図った。 (ア)優良読書グループ表彰 (イ) 「読書活動だより」の発行 (ウ) 「静岡県子ども読書フェスティバル」の共催による開催 静岡県読み聞かせネットワークとの共催で、8 月 6 日、県立中央図書館を会場に実施した。各団 体の活動展示の他、ワークショップ等が行われ、午後の全体会では「読み聞かせの楽しさ∼自作の 読み聞かせとお話∼」と題して、絵本作家の藤本ともひこ氏による講演会が行われた。(参加者 350 名) (エ)県教育委員会・県読み聞かせネットワーク共催による「特別講演会」の開催 平成 19 年 1 月 13 日、県立中央図書館を会場に、「こころの健康と読書」と題して、精神科医の大 原健士郎氏による講演が行われた。(参加者 130 名) ウ 静岡県読み聞かせネットワーク 事務局の連絡先として、問合わせに対する案内、会場の提供、役員会へのオブザーバー出席、運営ア ドバイス、情報交換等を行った。 平成 18 年度協力車事業の統計 ア 訪問館数 (単位:館) 市 月の訪問回数 町 市分館 専 門 (公民館図書室含む) 合 計 前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期 2回 14 13 0 1 0 0 1 1 15 15 1回 9 10 5 3 12 16 4 4 30 33 合計 23 23 5 4 12 16 5 5 45 48 ※協力貸出冊数、相互貸借資料冊数の前年度実績から月の訪問回数を設定している。 イ 平成 18 年度協力車運行状況 コース名 訪問館数 訪問回数 前期 後期 前期 後期 中 部 8 8 6 6 伊 豆 13 15 6 中 西 7 7 県 央 6 7 コース名 訪問館数 訪問回数 前期 後期 前期 後期 岳 駿 6 6 6 6 6 西 部 7 7 6 6 6 6 東 部 6 7 6 6 6 6 浜 名 湖 7 6 6 6 96 回(延べ日数 108 日) 合 計 − 38 − ウ 協力車による資料搬送数(過去 5 年間) (単位:点) ①県立資料搬送数 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 市立図書館 3,034 5,862 9,298 12,576 11,800 町村立図書館 4,902 4,364 3,332 2,234 2,464 そ 他 1,108 2,996 4,640 2,072 2,078 合 計 9,044 13,222 17,270 16,882 16,342 の (単位:点) ②市町村等資料搬送数 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 市立図書館 12,690 14,803 15,387 27,883 30,330 町村立図書館 2,012 3,124 2,711 2,536 1,098 他 198 355 363 631 170 合 計 14,900 18,282 18,461 31,050 31,598 そ の (単位:点) ③県立個人貸出資料の市町村図書館等窓口返却資料搬送数 各窓口(開始日) 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 2,852 4,833 5,764 5,031 5,617 5 2 22 11 73 856 1,119 1,054 1,297 1,792 991 1,141 732 587 965 1,978 1,472 4,371 4,633 3,641 市町村立図書館 (平成 11 年 5 月 1 日から) 県総合教育センター“あすなろ” (平成 11 年 5 月 1 日から) 県サービスセンター(ブックポスト) (平成 11 年 11 月 1 日) 県男女共同参画センター“あざれあ” (平成 13 年 2 月 15 日から) グランシップ (平成 14 年 8 月 13 日から) 静岡大学 (平成 18 年 4 月 1 日から) 1,452 合 計 6,682 8,567 11,943 11,559 13,540 (単位:点) ④ ①②③の総合計 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 ① 県 立 資 料 9,044 13,222 17,270 16,882 16,342 ② 市町村等資料 14,900 18,282 18,461 31,050 31,598 ③ 個人返却資料 6,682 8,567 11,943 11,559 13,540 合 計 30,626 40,071 47,674 59,491 61,480 平成 18 年度 静岡県図書館大会 静岡県教育委員会、静岡県図書館協会、静岡県読書推進運動協議会の主催による第 14 回の静岡県図書館大 い ま これから 会は、「みつめ直そう図書館の現在と未来」を総合テーマとして、11 月 6 日(月)、静岡県コンベンションアー ツセンター“グランシップ”において 1,102 名の参加者を集めて開催された。 − 39 − 開会式は、辰巳なお子大会運営委員会副委員長(浜松市立中央図書館長)の司会により、荻野弘三大会運営 委員会委員長(富士市立中央図書館長)による開会の言葉で始まり、その後、遠藤亮平静岡県教育委員会教育 長、天野忍静岡県図書館協会長(静岡県立中央図書館長)の挨拶があった。 続く表彰式では、長年にわたって図書館業務に携わり功労のあった図書館職員や協議会委員、また意欲的 な活動が評価された優良読書グループの表彰があり、あわせて野間読書推進賞受賞者が紹介された。表彰さ れた方々は、次のとおりである。(敬称略) ☆全国公共図書館協議会表彰 鈴木かづ子(元天竜市図書館協議会委員)、田中由未子(浜松市立可新図書館) 、 磯部理恵 (浜松市立中央図書館)、大城美帆子(浜松市立浜北図書館) 、 久保田豊子(静岡県立中央図書館) ☆静岡県図書館協会表彰 島田洋子 (浜松市立中央図書館)、神戸美紀(清水町立図書館) 、 大石博昭 (静岡大学附属図書館)、近藤久直(静岡大学附属図書館) 、 真中 進 (静岡大学附属図書館浜松分館)、伊藤時久(浜松学院大学図書館) ☆優良読書グループ表彰 ・ (社)読書推進運動協議会長賞 たぬきのもり(浜松市) ・静岡県読書推進運動協議会長賞 富士見小読み聞かせの会(富士宮市)、やよい会(静岡市) 、さくらんぼ(島田市)、 はまゆふの会(浜松市)、文学の旅研究会(浜松市)、七色クレヨン (新居町) ☆野間読書推進賞(個人の部) 山本 悟 (伊東市) 表彰式後に行われた、日本図書館協会事務局次長の常世田良氏による情勢報告では、図書館における指定 管理者制度の状況等が伝えられた。 午前の最後には「『これからの図書館像』を語ろう」をテーマとして、文部科学省生涯学習政策局社会教育課 に設けられた「これからの図書館の在り方検討協力者会議」に委員として参加された、常世田良氏、薬袋秀樹 氏、田村孝子氏の 3 人の方によるライブトークが行われた。 午後は 8 つの分科会が開かれ、指定管理者制度等の図書館が直面している課題をめぐる報告や討議、児童 文学作家のあまんきみこ氏による講演、読書会のあり方に関する発表等が行われた。各分科会の概要は、以 下のとおりである。(敬称略) 第 1 分科会「図書館サービスの今」∼指定管理者制度を考える∼ (参加者 170 人) ①事例報告「受託者から見た公立図書館の指定管理者制度」 報告者 佐藤 達生(図書館流通センター営業企画事業部) ②事例報告「富士宮市立図書館における指定管理者制度検討の経緯について」 報告者 岩崎 良一(富士宮市立中央図書館) ③総括講演 講 師 常世田 良(日本図書館協会事務局次長) 第 2 分科会「やってみたっていいじゃない YA だもの」∼ヤングアダルトサービス実践編∼ (参加者 121 人) 講 演 「YA 的ブックガイド(リスト)の作り方」 講 師 松木 近司 (YA 朝の読書ブックガイド事務局) − 40 − 第 3 分科会「あまんきみこさんと語ろう」∼子どもと本との素敵な出会い∼ (参加者 478 人) 講 師 あまん きみこ(児童文学作家) 対談者 吉住 幸子(御前崎市教育委員会幼児教育室) 浅井 稔子(菊川市立小笠北小学校) *対談後、講師により自作『おかあさんの目』と『あきのちょう』の朗読が行われた。 第 4 分科会「蔵書の充実をどう図るか」∼利用者の要求と資料収集の現況∼ (参加者 77 人) ①講 演「福島県矢祭町の『買わない宣言』の行方」 講 師 西河内 靖泰(元荒川区立南千住図書館員) ②講 演「『これからの図書館像』と資料収集の課題」 講 師 薬袋 秀樹(筑波大学大学院教授) ③討 論「活用される資料の収集とは何か」 第 5 分科会「本とこころのユニバーサルデザイン」∼高齢化社会と図書館の役割∼ (参加者 47 人) 講 演 「本とこころのユニバーサルデザイン」 講 師 渡部 幹雄(愛荘町立愛知川図書館長) 第 6 分科会「これからの読書会のあり方」∼魅力的な読書会の条件∼ (参加者 46 人) ①実践発表 発表者 川本 千代子(みつあい読書グループ) ②講 演「生涯学習としての読書会」∼四十四年の読書会運営から∼ 講 師 高橋 惣一(社会人読書会代表・聖徳大学講師) 第 7 分科会「共に育てよう!子どもたちを!」 ∼学校図書館は何を求めているのか?公立図書館は何ができるのか?∼ (参加者 117 名) ∼資源共有ネットワーク推進事業をとおして∼ ①事例報告「読む楽しさ学ぶよろこびにあふれる学校図書館」 発表者 紅林 幸子(吉田町立中央小学校) 山内 聖子(吉田町立図書館) ②事例報告「磐田市内高等学校の活動」 発表者 鈴木 良幸(静岡県立磐田西高等学校) ③質疑応答とまとめ 助言者 中村 都美(静岡市立玉川中学校) 第 8 分科会「情報リテラシーを育む戦略的取り組みを考える」∼大学と図書館を結ぶ架け橋として∼ (参加者 32 人) ①講 演「授業というよりも、もはやひとつのプロジェクト。」 講 師 平野 雅彦(情報プランナー) ②事例報告「東海大学付属図書館清水図書館における図書館利用ガイダンス」 報告者 大倉 正次(東海大学付属図書館清水図書館) ③事例報告「常葉学園大学附属図書館のインフォメーションリテラシーとの関わり」 報告者 矢部 晶子(常葉学園大学附属図書) − 41 − 7 総務係 図書館協議会 委 員 職 名 氏 名 現 職 会 長 中山 慶子 静岡県立大学(教授)同附属図書館長 副会長 吉住 幸子 御前崎市教育員会幼児教育係長 なぶら子ども読書活動担当 委 員 加藤 誠一 静岡市立森下小学校校長(静岡県教育研究会学校図書館研究部長) 委 員 安達めぐみ 美術評論家 委 員 西郷 清子 静銀ビジネスクリエート(株)経営管理部担当部長 委 員 草谷 桂子 トモエ文庫主宰者 委 員 大河内昭宏 県ユニバーサルデザイン行政専門アドバイザー 委 員 土橋 幸彦 委 員 平岡 彦三 委 員 高部 和則 (株)静岡新聞社編集局長 富士市教育長 (株)松坂屋静岡店人事・総務スタッフ課長 <第 1 回> 日 時:平成 18 年 10 月 25 日(水)午前 9 時 30 分∼午前 11 時 15 分 場 所:静岡県立中央図書館視聴覚モデルルーム 出席者:委員 7 人 議 事:ア 会長・副会長の選出について 会長に中山慶子委員、副会長に吉住幸子委員が推薦・選出される。 イ 県立中央図書館の現況等について ・基本方針 ・利用状況 ・図書館利用者アンケート等について ウ 協議会委員からの提言等に対する現状・検討結果等について エ 平成 18 年度県立中央図書館の事業と課題について ・平成 18 年度県立中央図書館の主要事業 図書館文化祭 静岡県図書館大会 ・静岡県立中央図書館第 2 期中期計画 − 42 − <第 2 回> 日 時:平成 19 年 2 月 20 日(火)午前 9 時 30 分∼午前 11 時 20 分 場 所:静岡県立中央図書館視聴覚モデルルーム 出席者:委員 9 人 議 事:ア 県立中央図書館の現況等について ・基本方針 ・利用状況 ・利用者アンケート イ 協議会委員からの提言等に対する現状・検討結果等について ウ 平成 18 年度県立中央図書館の事業と課題について ・重点・主要事業の進捗状況 ・静岡県立中央図書館第 2 期中期計画の進捗状況 エ 平成 19 年度県立中央図書館の事業等について − 43 − 8 管理係 施設設備の維持管理 図書館施設利用者へ、安全で快適な環境整備を図るため、下記の修繕などや日常的な施設設備の維持管理 業務を行った。 修繕関係 ア (ア)監視カメラ配線整備 子ども図書研究室の書庫開放のため、監視カメラの配線等整備した。 (イ)資料棟 1 階駐車場壁面クラック補修 地盤沈下により生じた壁面クラックの補修を実施した。 設備関係 イ (ア)空調機修繕 蒸気バルブの自動制御機器を交換した。 施設利用状況 各種研修・会議・文化教養の場として、会議室・講堂・展示室の利用促進を図った。主な利用団体、利用 目的としては、社会教育並びに図書館関係団体主催による研修会、連絡者会議、NPO 団体や市民サークル等 による会議、講習会等に利用された。 各施設の外部利用人数は以下のとおりである。 施設利用状況(平成 18 年 4 月 1 日から平成 19 年 3 月 31 日まで) レクチャー視聴覚モデ ルルーム ルーム 中集会室 小集会室 A 小集会室 B (単位:人) 展示室 合 計 上半期 1,649 1,286 514 313 489 102 4,353 下半期 867 588 137 184 285 0 2,061 2,516 1,874 651 497 774 102 6,414 合 計 − 44 − 9 歴史文化情報センター 県史編さん資料の保管・整理・公開 ア .保管・整理 当センターは『静岡県史』編さん事業の過程で集められた県内外の古文書類・絵図の写し・写真資料や他県 史・県内市町村史を中心とする刊本、昭和前期以前の県内発行新聞各紙など 16 万点以上を保管している。 現在、保管する古文書及び写真資料等の目録の作成及び修正を継続して行っている。 本年度、中世、近世資料については、県内における古文書資料名等の点検・修正を終了した。また、中世 資料の所蔵者別資料目録を作成した。近現代資料は県内所蔵者の約 90 %の古文書資料名等の点検・修正を 終了した。また、合併以前の 21 市について、所蔵者別資料目録を作成した。 平成 16 年度より所蔵刊本 8,000 冊の県立中央図書館業務システムへの登録を進めてきたが、郷土資料の登 録が完了した。 イ .公開 刊本・新聞に関しては簡単な手続きの上閲覧ができるが、貸出はしていない。古文書類については、目録 作成が終了したものから順次原所蔵者に対し資料利用公開の許可申請を行い、公開許可の回答が得られたも ののみを公開している。 現在までに県外公共機関と県内公共機関・企業・個人所蔵の中世・近世の主要資料及び近現代資料につい て作業が終了しつつある。申請件数の約 7 割が公開可能である。 本年度は県内 615 ヶ所(再申請を含む)に対して、将来のインターネット上での公開も含め収集資料の公開 許可申請を実施した。回収率 73 %、回答結果は、「公開可」419 ヶ所、「条件付公開可」13 ヶ所、 「公開不可」16 ヶ所、「保留」1 ヶ所、「未回答」154 ヶ所、「所蔵者所在不明」12 ヶ所であった。 利用状況 本年度当センターの開館日数は 245 利用点数内訳(総数 2,938点) 日、来所者人数 237 人、利用内訳は新聞 点 閲覧点数 70 点(26 件)、古文書閲覧点数 2000 1,639 点 (69 件) 、複写申請 862 点 (70 件)、 資料利用申請 43 点(34 件)、レファレン 1500 ス 324 点(1 件 1 点としてカウント)であ った。 1000 資料利用とは当センターが保管してい る資料・フィルム等を刊本・論文・雑 誌・ホームページ等へ掲載、各種イベン 500 トで展示、テレビ等で放映するため貸し 出すことである。雑誌掲載や放映資料で 0 新 は、富士山宝永噴火の絵図、今川氏や朝 聞 鮮通信使に関する写真借用の申請が多く 閲 あった。また、現在、市史や町史を編さ 覧 古 文 書 閲 覧 複 写 申 請 資 料 利 用 申 請 レ フ ァ レ ン ス 件 数 ん中である伊豆の国市、沼津市、磐田市 等の資料調査に協力したり、千葉県文書館より依頼を受け、県史編さん収集資料の整理、保存、公開状況の 調査に協力したりした。今年度は、「総合的な学習の時間」における学習の場として活用依頼はなかったが、 今後も、これらの事業にできる限りの協力をしていきたい。 − 45 − レファレンス レファレンスの方法としては、電話が 76.9 %、ファックスが 4.0 %、郵便によるものが 4.3 %で、直接来 所してのレファレンスは 13.9 %であった。 利用者は、県内外の一般の方が 42.6 %、県庁内(議会図書館・県立中央図書館等を含む)が 21.0 %、県内外 の自治体(図書館・県市町村史編さん室等を含む)が 17.6 %であった(ただし県教委や県立中央図書館を介し てのレファレンスは庁内としてカウント)。また、新聞社・出版社・放送局が 8.4 %、研究者・学生が 5.9 %、 その他法人等からの問い合わせが 4.6 %であった。一般の方については、「県民サービスセンター」を経由し た県内の歴史や刊行物についての問い合わせが増加しつつある。 レファレンスの内容は、静岡県の歴史・民俗に関するものが 46.9 %で、内容は専門的なものから観光案内 的なものまで様々である。資料の利用に関するものが 32.7 %、『静岡県史』や県史編さん事業の内容に関する ものが 3.4 %、その他、所蔵調査や刊行物に関する問い合わせ等が 17.0 %であった。 レファレンス対象 % 25 20 15 10 5 0 新 出 放 研 聞 版 送 究 社 社 局 者 学 生 一 般 県 内 一 般 県 外 自 庁 治 体 の 内 集計の際、四捨五入しているので、合計と内訳の計は一致しない場合がある。 − 46 − そ 他 10 ビジネス支援 平成 15 年度からの概要 ・平成 15 年 7 月、レファレンスコーナーの一部を使いビジネスコーナーを設置 ・平成 16 年 4 月、ビジネスサービス委員会を設置 ・平成 16 年 6 月、「静岡県ビジネス支援図書館連絡協議会」を設置(主管は社会教育課) ・平成 16 年 7 月、「図書館活用・ビジネスセミナー」を開始 ・平成 16 年 10 月、ビジネスコーナーに「図書館活用・ビジネスセミナー」のテーマに合わせて関連資料を 開催前後に展示 ・平成 16 年 11 月、静岡県ビジネス支援図書館連絡協議会が提言書「静岡県における図書館のビジネス支援 政策について」をまとめ、県教育長に提出。 ・平成 18 年 3 月、協議会の提言に基づき『図書館のビジネス支援 はじめの一歩』を作成・発行。協議会は 解散となる。 商用 DB 等利用実績(17.4 ∼ 18.3) 17/4 5 6 7 (単位:人) 8 9 10 11 12 18/1 2 計 3 商用 DB 54 60 65 46 111 68 67 76 51 73 55 49 775 CD-ROM 9 15 15 7 21 13 9 14 3 1 0 1 108 18/4 5 6 7 8 9 10 11 12 19/1 2 計 3 商用 DB 45 65 60 69 66 60 87 57 64 55 28 80 736 CD-ROM 2 2 1 5 1 3 4 1 0 1 1 0 21 パソコン 4 台をレファレンスサービスカウンター前に設置(商用 DB 用 2 台、CD-ROM 用 2 台) 導入商用データベース ELDB(Electronic Library Data Base)、日経テレコン 21、聞蔵Ⅱ(朝日新聞記事検索サービス)NICHIGAIWEB サービス、静岡新聞記事 DB(G-Search)、近代新聞検索(NPO エイジングブライト倶楽部)、Jfax(経営 情報提供サービス)、JapanKnowledg 平成 18 年度関連事業 ア 図書館講座「図書館活用・ビジネスセミナー」 (ア)内容・ビジネス界で活躍している講師による質疑応答を含む講演会(1 時間程度) ・当館職員による蔵書やデータベースの検索、レファレンス機能などの紹介(30 分程度) (イ)回数等 年間 5 回 土曜日 10 時 30 分∼ 12 時 (ウ)会場 県立中央図書館 (エ)日時・講師・演題・募集・参加者数 日 時 講 師 萩原和幸(フリー 5 月 20 日(土) ランスフォトグラ ・調査課職 10:30 ∼ 12:00 ファー) 員 内 容 募集 参加 備 考 講演会「銀塩魂 フリーランスフォトグラ ファーの仕事」 (萩原和幸) と図書館職員に 50 人 32 人 よるデータベース検索方法やレファレン ス機能紹介 講演会「英語で仕事! 翻訳・通訳の現場 7 月 29 日(土) レッドフォード賀 から」 (レッドフォード賀代子) と図書館職 50 人 75 人 代 子( 翻 訳・通 員によるデータベース検索方法やレファ 10:30 ∼ 12:00 訳) ・資料課職員 レンス機能紹介 − 47 − 希望者多 数につき 定員拡大 9 月 30 日(土) 山本麗子(心理療 講演会「人を助ける仕事 心理療法士の想 い」 (山本麗子)と図書館職員によるデータ 50 人 63 人 ・調査課職員 10:30 ∼ 12:00 法士) ベース検索方法やレファレンス機能紹介 駒形榮一(NPO 法 11 月 25 日 (土) 人マンパワーカフ ・資料課 10:30 ∼ 12:00 ェ理事長) 職員 希望者多 数につき 定員拡大 講演会「産業支援型・地域支援型 NPO の 挑戦∼熟練技能、ふたたび社会へ」 (駒形榮 50 人 31 人 一)と図書館職員によるデータベース検索 方法やレファレンス機能紹介 杉山孝(静岡市中 講演会「自立した企業、自立した職業人∼ 1 月 27 日(土) 小企業支援センタ 新しい時代の会社のあり方、働き方をさぐ 50 人 18 人 ー・プロジェクト る」 (杉山孝)と図書館職員によるデータベ 10:30 ∼ 12:00 マネージャー) ・資 ース検索方法やレファレンス機能紹介 料課職員 (オ)その他 「静岡県中部地区 SOHO 推進協議会(SOHO@Shizuoka)」には講師依頼をはじめ、種々ご協 力をいただいた。 イ 「商用データベース活用講座」 (定員 10 人) 県民を対象とし、当館で導入している商用データベースの使い方を解説する。 第1回 7 月 1 日 (土) 新聞・雑誌記事の検索 受講者 午前 9 人、午後 8 人 第2回 9 月 30 日(土) 法情報の検索 受講者 10 人 第3回 10 月 29 日(日) 記事の検索、法情報の検索 受講者 11 人 第4回 11 月 16 日(木) 知識探索サイトの検索 受講者 7 人 ウ 公立図書館ビジネス支援サービス研修 参加者 16 人 公立図書館(室)の職員等を対象とし、図書館のビジネス支援サービスに必要な基礎的知識や技 術、発想を養う。昨年度発行した『図書館のビジネス支援 はじめの一歩』についても解説。 日 時 平成 19 年 3 月 1 日(木)10 時∼ 16 時 05 分 当館と静岡市立中央図書館の共催 講 師 静岡市立御幸町図書館長 豊田高広氏 (財)しずおか産業創造機構企業支援チーム主査 鈴木俊充氏 当館職員 内 容 午前 レファレンス研修 講師 当館調査課一般調査係職員 午後「ビジネス支援サービスを企画しよう」 (グループワークショップ) 講師 豊田高広氏 鈴木俊充氏 エ 支援機関連携推進会議への出席 財団法人しずおか産業創造機構主催の当会議は一昨年度、当館が財団法人しずおか産業創造機構との 間に結んだ 「静岡県内中小企業に対する支援協力に関する基本協定書」に基づいて開かれた。 ・ 5 月 23 日(金)13 時 00 分∼ 16 時 30 分 ホテルプリヴェ静岡ステーション 議 題 ・(財)しずおか産業創造機構の本年度事業について ・「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」啓発・普及セミナー(講演) ・平成 19 年 3 月 8 日(木)13 時 30 分∼ 15 時 30 分 ホテルセンチュリー静岡 議 題 ・平成 19 年度 国の中小企業支援施策の概要について ・平成 19 年度 中小企業基盤整備機構の中小企業支援施策の概要について ・平成 19 年度 静岡県の中小企業施策の概要について オ しずおか夢起業推進会議(県商工労働部新産業室主催)にオブザーバーとして出席 第 1 回 6 月 22 日(木) 第 3 回 12 月 21 日(木) − 48 − 第 4 回 平成 19 年 3 月 14 日(水) 11 その他 図書館文化祭 「図書館文化祭」開催趣旨 当館では平成 17 年に成立した「文字・活字文化振興法」を記念して、人類が長い歴史の中で蓄積してきた 文字・活字文化の伝統を継承しその発展に寄与するため、「NPO 法人金泥書フォーラム」と共催し、福島久幸 氏による金泥書と県立中央図書館所蔵貴重資料の交流展示および高田信敬氏などによる記念講演を行うこと とした。 また、今年は明治 9(1876)年 8 月に静岡県が誕生して 130 周年を迎えた。図書館ではこれを記念し、初代 静岡県知事であり当館の創立の基礎を築いた「関口隆吉」について、関係資料の展示や記念講演、併せて各種 記念事業を行い当館の新しい図書館サービスを紹介した。 日時・場所 平成 18 年 10 月 21 日(土)∼ 10 月 29 日(日) 県立中央図書館会議室 全室 NPO 法人金泥書フォーラムイベント内容 (期間中の参加者約 670 人) ア 金泥書展示 平成 18 年 10 月 21 日(土)∼ 10 月 29 日(日) イ 講 演 会 平成 18 年 10 月 22 日(日) 13:30 ∼ 16:00 講演会テーマ:「古典籍を見る・読む・書く楽しみ」 演 題:「古典籍みちしるべ」 高田信敬氏 鶴見大学日本文学教授 演 題:「古代の紙と恋して」 福島久幸氏 金泥書法研究家 ウ 朗読・実演 平成 18 年 10 月 26 日(木) 土橋 通氏「菩多尼訶経」の朗読 平成 18 年 10 月 28 日(土) 福島久幸氏「金泥書法」の実演・説明 県立中央図書館イベント内容 ア 講演会 平成 18 年 10 月 29 日(日)13:30 ∼ 15:00(参加者 49 人) 演 題:「関口隆吉と図書館構想」 静岡県立中央図書館長 天野忍 *講演にあわせ、関口隆吉関係資料を一部展示し、講演会終了 後、希望者に貴重書庫などの案内を行った。 イ 各種イベント概要 ① 貴重資料展示(見学者約 80 人) 当館所蔵貴重資料と金泥書の比較展示と、講演にあわせた関口隆吉関 係資料の展示を行った。展示資料解説図録を配布した。 ② イギリス児童文学パネル・資料展示 閲覧室入口で、「イギリス児童文学の故郷をたずねて」と題して、イギ リス児童文学作品に描かれた景色や風景の写真(東京子ども図書館理 事の池田正孝氏撮影)を中心とした展示を行った。 ③ インターネット利用講座 所要時間約 45 分程度でインターネット利用講座を行った。 定員 6 名× 2 回(参加者 11 人) 講座内容: 10:00 ∼ 10:45「新聞・雑誌記事を探す」 11:00 ∼ 11:45「法情報を探す」 ④ クイズ!カンタン古文書読み下し 随時受付: 10:00 ∼ 12:00(参加者 30 人) 当館所蔵古文書の読み下しを行い、回答者にはブックカバーなどをプレゼントした。 − 49 − Ⅲ 特 集 1 館蔵『大法炬陀羅尼経』卷第十八について ∼まぼろしの鹿嶋社奉納宋版一切経∼ 県文化財保存協会常任理事 (元 県立中央図書館長) 石 田 行 Ⅰ はじめに 静岡県立中央図書館の貴重書と云われるものの中に、『大法炬陀羅尼経』 (だいほうこだらにきょう)卷第十八 (折本装 1 帖)という経典がある(以下、「県立本」という)。この経典は北インドの僧闍那崛多(じゃなくった)が (1)、隋の開皇 12 から 14 年(一説には 13 から 16 年)にかけて漢訳したもので(2)、『大正新脩大蔵経』第 21 卷密教 部 4 に収録されている。 この「県立本」は、明治から昭和にかけて陸軍軍人、官僚、政治家など多方面にわたって活躍した田中光顕 (みつあき)伯爵が、大正 14 年 7 月、開館間もない静岡県立葵文庫に寄贈されたもので(3)、巻末に、以下のよう な藤原時朝の墨書による識語が認められる (写真D)。 奉渡唐本一切経 建長七年 乙 常州 十一月九日於鹿嶋社遂供養 前長門守従五位上行藤原朝臣時朝 卯 笠間 (原文は、縦書き) 読み下すと、以下のようになる。 奉渡(奉納)唐本(宋版)一切経(の内) 建長七年乙卯(きのと、う)十一月九日/鹿嶋社 に於て供養す/常州笠間/前(さき)の長門守/ 従五位上行/藤原朝臣時朝 上記の識語中の「行」は、位(くらい)が高く官が低い という意味を表す用語で、長門守は通例正六位下に相 当するが、それ以前の判官時代に五位尉になっていた ので、 長門守時代に大国の国司なみに従五位に叙せら れていたことを意味している(4)。 この識語は、後述するように、「県立本」がいわゆる まぼろしの鹿嶋社奉渡唐本一切経の内の一帖であるこ とを示す証左であり、併せて古版本としての価値を決 定付ける重要な指標でもある。今回、「県立本」につい て改めて調査する機会に恵まれたので、以下にその概 要を報告し、あわせて大方のご叱正を乞い願う次第で A.折本表紙 B.帙 ある。 − 50 − (1)闍那崛多伝は 『続高僧伝』2(『大正新脩大蔵経』50 史伝部 2 所収) (2)『歴代三宝紀』 12(『大正新脩大蔵経』49 史伝部 1 所収) (3)裏表紙には、 「田中君光顕所寄贈、明治廿四年三月上旬、伊藤徳裕珍蔵」と墨書されているので、田中光顕伯 爵以前の旧蔵者は伊藤徳裕氏であったと考えられる。ただ、伊藤徳裕氏が如何なる経歴を有する人物である かは、残念ながら、現時点においては判然としない。 (4)『笠間市史』 上(笠間市史編纂委員会、1993)P.159 Ⅱ 鹿嶋社奉渡唐本一切経の由来 鹿嶋社奉渡唐本一切経とは、建長七年(1255)十一月九日、藤原時朝(笠間時朝)が常陸の国一宮の鹿嶋社に奉 納、供養した宋版一切経のことで、各巻末には、原則として藤原時朝の上記のような墨書による識語が確認さ れる(5)。 因みに、五千数百卷に及ぶ一切経の各帖に 識語を記す作業には莫大な労力を必要とする ので、「一見すると諸本すべて同筆のごとく みえるが、子細に観察すれば似て非なるもの があり、全巻一筆でないことがわかる。巻数 も非常に多かったためにおそらく何人かが分 担執筆したのであろう」といわれている (6) 。 この小山説は、「県立本」の識語(写真D)と他 の所蔵本のそれ(写真F)とを丹念に比較する ことによって理解されるが、それにしても書 体、書式等が酷似していることに驚かされる (7)。 一切経の奉納、供養者である藤原時朝は、 鎌倉幕府の御家人として活躍する一方歌人と しての才能も豊かで、『入京田舎打聞集』や 『新和歌集』などに多くの和歌を残しており、 加えて、笠間一帯の寺社はじめ京都の蓮華王 院(三十三間堂)に多くの仏像を建立・奉納す るなど、信仰の厚い武人としても知られてい た(8)。こうした仏教に対する熱い信仰を最も 象徴的に伝えるものが、鹿嶋社への唐本(宋 版)一切経の奉納・供養であった(9)。 C.巻首の部分(右下の「短」 は千字文で函号を示す) 時朝による一切経の奉納・供養について は、時朝とゆかりの深い歌集『新和歌集』 (藤原為氏撰)第五(『新編国歌大観』六卷、私撰集編Ⅱ所収)に 鹿嶋社にて唐本一切経供養し侍りけるとき、ひごろはあめやまず侍りけるが、 今日しもそらはれて ことゆえなく供養とけぬる事とて 導師 権僧正隆弁 今よりや 心のやみも はれぬらむ 神代の月の 影をうつして 返し 藤原 時朝 ちはやぶる 神よの月の あらわれて 心のやみは いまぞはれぬる と見えるように、鎌倉鶴ヶ岡八幡宮の第九世別当職権僧正隆弁を導師に迎えて、盛大かつ厳粛に一切経供養を していた様子が偲ばれる。また、時朝の家集 『前長門守時朝入京田舎打聞集』 (『桂宮本叢書』第六卷所収)にも − 51 − 建 長 八 年 秋 の こ ろ 、 唐 本 一 切 経 を か し ま( 鹿 嶋 )の 社 に て 供 養 し た て ま つ り け る 、 導 師 若 宮 別 当 僧 隆 弁 坊 へ く よ う( 供 養 )の 日 は 、 彼( か の )は か ら ひ た る へ き よ し 、 申 つ か は し た り け れ は 、 月のころならはよかりなんとて 権僧正隆弁 神もなを くらきやみをは いとひつつ 月のころとや ちきりをきけむ 返事 (藤原 時朝) 久方の あまのとあけし 日よりして やみをはいとう 神としりにき と見え、翌建長八年にも隆弁を導師に迎え、唐本一切経を供養したことが分かり、この一切経供養が、当時す でに所謂一切経会(いっさいきょうえ) として年中行事化していたことが推察される。 (5)「県立本」 の識語には 「奉渡唐本一切経」とあるが、他の奉納経には通常 「奉渡唐本一切経内」と墨書されている のが一般的である(写真F)。 (6)小山正文 「笠間時朝鹿嶋社奉渡唐本一切経」 (『同朋大学仏教文化研究所報』15,2002.3)。なお、小山氏作成の 「残存目録稿」60 帖のうち、No18,21,35 の 3 帖には、墨書による識語が欠落しているという。 (7)大口理夫 『日本彫刻史研究』 (創芸社、1948)には、これら一連の識語について「鎌倉風の書体を示し、建長当 時のものとして疑う余地はない」とある(P.205)。 (8)時朝の曾祖父朝綱は、焼失した東大寺大仏殿再建の折り、6 万貫もの費用を投じて観音菩薩像を寄進し(『吾 妻鏡』建久五年六月廿八日の条)、父朝業、叔父頼綱は、法然を師としてそれぞれ出家するなど、宇都宮一族 による崇仏環境にも恵まれていた。 (9)藤原時朝の生涯と業績全般については *ふるさと文庫『笠間時朝∼その生涯と業績∼』上下(笠間史談会、1980,1981) *『笠間市史』上(笠間市史編纂委員会、1993)第三編中世の笠間 第一章武家社会の成立と笠間時朝 藤原時朝の仏教信仰、とりわけ仏像建立などの作善事業については、上記文献のほか *大口理夫「藤原時朝とその造像」 (『画説』第 10 冊、1937.10) *大口理夫「時朝願経」 (『画説』第 13 冊、1938.1) *川勝政太郎「笠間時朝の作善とその背景」上下(『史跡と美術』43 − 6,7、1973.7.8) *大口理夫『日本彫刻史研究」』 (創芸社、1948) 藤原時朝と新和歌集等との関係については *橋川正「新和歌集の研究∼特に藤原時朝について∼」 (『歴史と地理』5 − 3、1920.3、同氏『日本仏教文化 史の研究』中外出版、1924 所収) などに詳しい。 Ⅲ 宋版一切経の開版と我が国への将来 「県立本」の報告に移る前に、宋版一切経と我が国への将来について簡単に触れておきたい。ここに云う一切 経とは、漢文に翻訳された仏教経典(一部中国人の著述も含む)の総称であり、漢訳大蔵経とも云う。漢訳大蔵 経はもともと筆写によって伝えられてきたが、宋代以後、木版による開版・印行が行われるようになった。 宋版一切経の開版で最も古いものは蜀本といわれ、北宋の太平興国年間(976 ∼ 983)に完成した官版で、開 版開始の紀年から「開宝勅版」とも云われる(毎版二十三行、行十四字、全 5048 卷)。続いて福州(福建省)東禅 寺版が元豊 3 年(1080)から政和 2 年(1112)にかけて開版され(私版、毎版三十行、行十七字、毎半折六行、全 6108 卷)、福州(福建省)開元寺版も政和 2 年(1112)に開版された(私版、毎版三十行、行十七字、毎半折六行、 全 6132 卷)。更に北宋末期から南宋の紹興 2 年(1132)頃にかけて、湖州(浙江省)思渓の円覚禅院で王氏一族の 浄財によっていわゆる湖州思渓(円覚禅院)版(私版、毎版三十行、行十七字、毎半折六行、「前思渓版」ともい う)が開版された。後に王氏の没落によって一時中断されたが、淳祐年間(1241 ∼ 52)に法宝資福禅寺において − 52 − 復興が企てられ、補刻、続刻が行われた(「後思渓版」という)(10)。 日宋貿易盛行の過程で、中国からの書籍の輸入も夥しく、宋版一切経もまた、こうして我が国に将来される 周然 ようになった。時朝の鹿嶋社奉納以前においても、例えば寛和 2 年(986)、入宋僧奔 (ちょうねん)が官版蜀 本蔵経(下賜本)を将来したのをはじめ(我が国における宋版一切経将来の初例)、建久 6 年(1195)、俊乗房重源 が宋版一切経(2 部以上)を将来して醍醐寺に一切経蔵を造り、続く建暦 1 年(1211)には鎌倉永福寺で栄西を導 師に迎えて宋版一切経が供養され、将軍実朝も臨席するなど、例示に事欠かない(11)。 鎌倉時代には、将軍はじめ僧侶や有力武人たちが豊富な財力を背景に宋版一切経を入手し、寺社に奉納・供 養する「一切経会」が流行し、このことが、当時彼らのステータスを顕示する有力な手段ともなっていたと考え られる。建長七年十一月九日の藤原時朝による鹿嶋社への唐本一切経奉納・供養は、まさにこうした時流のな かで行われたものであり、仏教に対する厚い信仰心とともに、時朝の社会的かつ財政的基盤の強大さを物語る ものでもあった。 (10)宋版一切経の開版については、辻善之助 『日本仏教史』第二卷、中世編之一(岩波書店、1947)、『日本古典籍 書誌学辞典』 (岩波書店、1999.3)、『重要文化財指定記念特別展 唐物と宋版一切経』 (神奈川県立金沢文庫、 1998)、『古典が語る∼書物の文化史∼』 (山本信吉、八木書店、2004)第四章の三「宋版一切経」、尾崎康「宋版 鑑別法」 (『ビブリア』85 号、1985)など参照。 (11)辻善之助 『日本仏教史』第二卷中世編之一、川瀬一馬「古写経概説」 (同氏『日本書誌学概説 増訂版』講談社、 1972 所収) Ⅳ 「県立本」は南宋の湖州思渓(円覚禅院)版 1 佐々木信綱博士の考証文 「県立本」には、田中光顕伯爵にたいする佐々木信綱博士の考証文が付けられている。この考証文は、28 字× 26 行、728 字詰原稿用紙一枚にペン書きされ、末尾に「大正十五年八月十九日 佐々木信綱」と墨書(草書体)さ れている。そして二枚目の原稿用紙には、藤原時朝に至る簡単な家系図が書かれている。一枚目の考証文は、 『葵文庫ト其事業』 (静岡県立葵文庫発行)3 号(大正 15.9.1)に活字化されているが、この中で信綱博士は、藤原 時朝、父朝業とその兄頼綱がともに優れた歌人であること、頼綱は女を藤原定家の子為家に嫁がせていること などを紹介した後、次のように指摘されている(文中の番号、下線は筆者)。 時朝はまた、①建長七年十一月鹿島の社に宋版一切経を奉納せり。日頃雨ふりけるに供養の日しも晴れ たりしかば、時朝 千早ふる 神代の月の あらはれて 心のやみは いまぞ晴れぬる その経は今も世上に往々散見せり。②そは紹興二年頃印刷せし宋版思渓圓覚院本にて、いつの頃にか 舶載せられて、坂東の地にありしものならむ 下線部①は、巻末の時朝による識語から、「県立本」も鹿嶋社奉納経の内の一帖であること、下線部②は、鹿 嶋社奉納経(「県立本」も同様)が宋版の中でも南宋初期の紹興年間に開版・印行された(湖州)思渓(円覚禅院)版 であることを、それぞれ明らかにされている。ここでは信綱博士が、「県立本」を宋版思渓円覚禅院本とされた 根拠は明確にされていないが、試みに、この考証文が書かれた大正 15 年(1926)以前の文献を調べて見ると、 橋川正氏が「新和歌集の研究∼特に藤原時朝について∼」 (『歴史と地理』5-3、1920.3)のなかで、次のように述べ られていることに注目したい。 この一切経(時朝が鹿嶋社に奉納した唐本一切経のこと∼筆者)の現存するものを見ると宋版思渓圓覚院本で ある。思渓本とすれば紹興二年前後即ちわが崇徳天皇長承元年前後に印刷され、何時の頃にか舶載されて坂東 − 53 − の地にもたらされたのである。 D.巻末の部分(右) 、字音釈(中)、時朝の墨書による識語(左) こうして見ると、信綱博士の考証は、或いはこの橋川論文を踏まえてのものではなかろうか(12)。 貞松修蔵初代静岡県立葵文庫長は、信綱博士の考証文を踏まえて、「此書(県立本のこと)は建長七年に藤原 時朝が常陸鹿島社に宋版一切経全部を奉納せしが、後地方に散逸し転々して本文庫に納まったのである」と結 論付けておられる(『葵文庫ト其事業』3 号)。因みに、湖州思渓(円覚禅院)版が他の宋版と異なる点は、各帖ご との巻末に字音釈が付いていることだと云われれる(写真D、識語の右側の部分)。字音釈とは、本文の漢字を 抜き出して発音や意味を注記することで音義とも云い、東禅寺版など他の宋版では、字音釈は別帖仕立てが一 般的であるといわれている(前掲『唐物と宋版一切経』参照)。 ただ、小山論文では「裏面に『全蔵経』の黒印、『法宝蔵司印』の朱印が捺されているなどの点より、南宋の後 思渓法宝資福禅寺版とわかる」と、鹿嶋社奉納宋版一切経の多くが南宋初期に刻印された思渓円覚禅院版(前思 渓版)ではなく、凡そ一世紀後に、法宝資福禅寺で続刻された後思渓版であると指摘されているが、「県立本」 について見ると、裏面に上記のような印記は見あたらない(13)。 『大法炬陀羅尼経』卷第十八が静岡県立葵文庫に所蔵されていることを明記した文献上の初見は、筆者が調査 しえたところでは、辻善之助『日本仏教史』第二卷・中世編之一(岩波書店、1947)P.186 で(14)、以後出版された 『笠間時朝∼その生涯と業績∼』 (前出) も辻説を踏襲し、直近の小山論文 (前出) では、出典の明記は無いものの、 「残存目録稿」NO.51 に静岡県立図書館所蔵として著録されている(巻末の添付一覧参照)。 − 54 − 2 形態、書誌事項等 形態(E折本装参照) 毎版三十行、行十七字、毎折面六行の折本装(表紙は淡い茶色 29,8 × 11,3cm)で、字体は筆勢に富み、かつ 美しく、宋版独特の力強さが感じられる。表紙の題簽(貼紙)には「大法炬陀羅尼経卷第十八 如化品第四十五、 縁生法品第四十六」 と墨書され、濃紺色の帙 (「宋版一切経之内大法炬陀羅尼経卷第十八」 と墨書された題簽あり) に収められている(写真A、B)。 E.折本装(毎版 30 行、行 17 字、毎折面 6 行) (2)書誌事項等 毎版の糊代部分(版心部分)<特に糊が剥げている箇所>に、例えば 浙 (E折本装の例) 短 大法炬経十八巻 二 万懈 短 大法炬経十八巻 七 王睿 などと云う文字が刻まれていることが分かる。このことについては、前出小山正文論文に「諸所に散在する時 朝奉渡の<唐本一切経>は、現物を実見するに巻首の題記を見ず、一紙毎の右糊しろ部分に千字文の函号、経 浙 」、五∼十には 名、巻数、帳数、刻工名が認められ(後略)」という説明と符合する (15)。帳数一∼四には「万懈 「王睿」、十一∼十三には「厳」(16)という刻工と思われる人名が確認されることから、この卷第十八は恐らく三名 の手によって刻印されたものと推定される。長澤規矩也「宋刊本刻工名表初稿」 「宋刊本刻工名表」 (『長澤規矩也 著作集』 「 3 宋元版の研究」 汲古書院、1983) によれば、このうち王睿は、南宋浙刊本 『妙法蓮華経』 (天理図書館本) の刻工十一人のなかにその名を見出すことができる。また、宋代の刻工で「厳」字のつく人名には「厳定」 「厳忠」 「厳説」らが確認されるほか、単に「厳」一字の人名も『景文宋公文集』 (宮内庁書陵部本)に見られるが、これらが 「県立本」に見える刻工と同一人物であるか否かは、俄に断定し難い。 (12)この論文は、後に同氏 『日本仏教文化史の研究』 (中外出版、1924.8)に再録されている。なお、信綱博士は、 上記の考証に続けて「時朝と時を同じゅうして、笠間郡稲田郷に親鸞上人在住し、教行信證を記されたり。 − 55 − 或いは上人この一切経を一覧せしこともあるべきか」と記し、このころ坂東の地を訪れた親鸞とこの一切経 との邂逅の可能性を示唆されているが、橋川氏も、上記の文に続けてほぼ同様の推論を述べていることから も、信綱博士の考証が橋川論文(或いは単行本)を根拠にされている可能性は、かなり高いものといえるので はなかろうか。しかしながら、親鸞の常陸の国入りが建保 2 年(1214)であること(時朝は、当時 11 才)、親 鸞の帰京が時朝の一切経奉納時(建長 7 年、1255)より約 20 年前であることなどから、上記の推測は実現し なかった可能性が高い(赤松俊秀『親鸞』吉川弘文館、今井雅晴『親鸞と東国門徒』吉川弘文館など)。 (13)「後思渓法宝資福禅寺版」 (下線は筆者) と明記しているのは、小山論文のみである。他方、 「思渓円覚禅院本」 (下線は筆者)としているのは、前出橋川論文のほか、『弘文荘待賈古書目』第 3 号(1958)掲載の『大方広華厳 経』卷第三(「南宋紹興頃刊」という表記)で、ほかは「湖州思渓版」 「南宋版」 「宋版」などと表記されている(『龍 門文庫善本書目』 『石井積翠軒文庫善本書目』 『大東急記念文庫貴重書解題』など)。 (13)こうした点については、 「日本に現存する宋元版一切経のほとんどが混合蔵である事実を顧慮すれば、時朝 奉渡の「宋版一切経」も思渓版だけで構成されていたと考えないほうが無難であろう」 (小山論文)という事実 にも留意すべきであろう。 (14)著者が存在を確認された六帖のうちの一つに、 「静岡葵文庫蔵大法炬陀羅尼経十八」を挙げている。 (15)この 「短」は千字文で、巻首右下(写真C)、巻末左下(写真D)にも見え、収納する函号を示す。 (16)一口に 「厳」といっても、「厳」 「嚴」 「 」という三様の書体が確認される。 Ⅴ まぼろしの鹿嶋社奉渡唐本一切経 (残存状況) 藤原時朝によって鹿嶋社に奉納 された五千数百卷に及ぶと思われ る唐本一切経は、残念ながら現在、 鹿島神社には一帖も残っていない という。 小山正文氏の調査によれば、明 治元年(1868)の神仏分離令に伴う 排仏毀釈運動が起こる遙か以前の 江戸時代後期から、多方面に流出 あるいは散佚していく過程が、現 存する幾つかの経本に記された記 述によって知られるという(同氏 前出論文)。 そこで、筆者が今回調査しえた 範囲ではあるが、鹿嶋社奉渡唐本 一切経の所在(残存)状況(点数)に 言及している文献を時系列的に挙 げてみると、次の通りである。 F.「正法念処経」卷第二十三の識語(「弘文荘古版本目録」1974 より) ①橋川正「新和歌集の研究∼特に藤原時朝について∼」 (1920.3) (同氏『日本仏教文化史の研究』中外出版、1923.8 に再録、P.205)< 6 帖> ②辻善之助『日本仏教史』第二卷中世編之一(岩波書店、1947.12)P.186 < 6 帖> ③大口理夫『日本彫刻史研究』 (創芸社、1948 所収「藤原時朝とその造像」補記一)< 2 帖> *このうち 1 帖は、所蔵機関のみで経名が不明 − 56 − ④ふるさと文庫『笠間時朝∼その生涯と業績∼』下(笠間史談会、1981.1)P.178 ∼ 181 <実地調査によるもの> 10 帖、<文献によるもの> 10 帖、<笠間市稲荷神社書簡から>(2 帖)、<弘文荘 古版本目録>(1974 年版のこと−筆者) (1 帖) *重複する経典があるので、合計 22 帖 ⑤『笠間市史』上巻(笠間市史編纂委員会、1993)< 22 帖> そのほか文献により判明しているもの 12 卷(主な所蔵機関のみ) ⑥小山正文「笠間時朝鹿嶋社奉渡唐本一切経」 (『同朋大学仏教文化研究所報』15,2002.3.15)< 60 帖> *末尾掲載の「残存目録稿」参照 上記文献①∼⑤に見える残存状況を、⑥小山正文氏作成の「残存目録稿」 (ただし、筆者の都合から形式を一 部変更、或いは省略してある)の該当欄に○●□■◇の各記号で表示したものが、末尾に掲載した「鹿嶋社奉渡 唐本一切経残存一覧」である。 以上のことから明らかなように、地元の笠間史談会は実地調査、文献調査等によって、二十二の残存経本を 所蔵機関等を付し『笠間時朝∼その生涯と業績∼』下に採録しており、『笠間市史』上もまた、所蔵機関のみの表 示を含め、経名に若干の異同はあるものの二十二の残存経本を収録している。 一方、小山正文氏は上記論文の中で詳細な調査を重ねられ、実に六十点に及ぶ残存経本を発掘・指摘された (それでもこれは、全体の 2 %程度の残存量だという)。因みに、これを都府県別に見ると、東京都 21 帖、茨城 県 12 帖、京都府・奈良県各 4 帖、千葉・愛知・神奈川県各 2 帖、栃木、静岡、兵庫、大分県各 1 帖というよう に、所蔵機関の不明なもの 9 帖を除いても 11 都府県に及んでいる。いずれにしても、小山氏作成の「残存目録 稿」は、今後調査を進めるうえでの出発点となる貴重な情報源になることは間違いない。 それにしても、未だ確認されていない九十数パーセントの経本は、一体何処に存在するのか、それとも明治 元年の神仏分離令に伴う廃仏棄釈を機に、その大方が散佚してしまったのか。今後の調査に期待したい。 Ⅵ おわりに 今回の調査によって、「県立本」は、所謂まぼろしの鹿嶋社奉納宋版一切経の内の数少ない貴重な一帖(湖州 思渓円覚禅院版)であることが改めて確認された。 地元の茨城県では、これらの経本のうち『経律異相』卷第三十九(西念寺)、『放光般若波羅密経』卷第五・『摂 大乗論本』 卷第三・ 『仏説仏名経』 卷第二 (以上、笠間稲荷神社)、 『続高僧伝』 卷第三十・ 『集神州塔寺三宝感通録』 卷中(以上、山崎金太郎氏)の六帖が有形文化財(書跡)として県の指定を受けている(2006.3 現在、インターネ ット検索)。因みに本県においては、宋版本として国・県の文化財に指定されているのは、宋版『石林先生尚書 伝』一冊(清見寺、重文)、宋版『放光般若経』卷第二十三(修禅寺、県指定)、宋版『錦繍万花谷』三冊(龍潭寺、 重文)の三点のみである(『静岡県文化財保存協会創立 40 周年記念会報』< 2004.11 >掲載の「国・県指定文化財 一覧」)。 こうした実態を知るにつけても、今後、「県立本」が歴史的にも書誌的にも価値の高い古版本として、より多 くの県民の方々に理解と関心を持っていただけるよう微力ながら努力していきたいと考えている。本稿を作成 するに当たり、資料調査、複写依頼等で森谷明調査課一般調査係長(現企画振興課長)に大変お世話になった。 末尾ながら、記して謝意を表したい。(2007.3 稿了) ■本稿は、平成 18 年度当館職員研修会(2006.11.30)で報告した内容を一部修正或いは加筆したものである。な お併せて今回、館報『葵』41 号(平成 18 年度) に掲載の機会を与えていただいたことを感謝したい。 − 57 − − 58 − − 59 − 2 関口隆吉と図書館構想 静岡県立中央図書館長 天 野 忍 は じ め に 平成 17 年 11 月、本館は創立 80 周年を迎えた。それを記念して、コレクションであ る 「葵文庫」 (江戸幕府旧蔵書) や 「久能文庫」 (主に関口隆吉旧蔵書) などの貴重書を展示し、 それらの主な書籍の概要を記した『しずおかの貴重書』を刊行して、広報に努めた。平成 18 年、静岡県政 130 年が経過し、初代静岡県知事関口隆吉が私費による公開図書館設 立の構想を立ててから 120 年の歳月が流れた。 今、生涯学習の拠点である図書館を取巻く環境は大きく変化している。今後の図書館 の在り方を示した『これからの図書館像』を参考に、各地で「新しい図書館づくり」が進め 元老院議官時代の関口隆吉 られている。このような時に、あらためて関口知事の思いや考え方などを学び、将来を 見通した県立図書館の在り方を考えていくことは、大変意義深いことである、と考える。 そこで、今回、「関口隆吉と図書館構想」と題し、関口の事績と人となりにも触れながら、公開図書館として の久能文庫(書籍の総体を意味する「久能文庫」と区別する)の設立構想について述べる。 参考文献として、関口隆克覆刻の『関口隆吉伝』 (昭和 59 年)、八木繁樹著の『関口隆吉の生涯』 (昭和 58 年)、 下村和夫論文の「久能文庫と関口隆吉」 (昭和 54 年『地方史静岡』第 9 号)などのほか、現在、静岡県総合教育セン ターに保管されている「久能文庫」の関係資料、静岡浅間神社境内の顕徳碑(明治 23 年)と菊川市長池洞月院境 内の顕徳碑(明治 25 年)の碑文、『久能山叢書』、県立中央図書館刊行の『久能文庫目録』増補改訂版(平成元年) などを引用する。文中、全ての敬称を略した。 Ⅰ 久能文庫設立構想 1 明治の中ごろ、公開図書館として私費による久能文庫を設立しようとしたのはなぜか。 このことに関わる資料として、明治 19 年(1886)11 月、関口が定めた「久能文庫建設の広告」、及び「寄附書 籍の要則」がある。 関口は、「久能文庫建設の広告」のなかで、 日進月歩の文明開化の時代となり、日本は近代国家として目覚しい発展を続けて、急激に欧米化が進んで いる。こういう中で、久能文庫を建設するのは、或いは時代に逆行するものといわれるかも知れない。し かし、これはもともと私の古いものを好むという物好きから出発したものであって他意はない。(意訳) と述べている。文明開化という動きの中で、あえて文庫の建設を図り、ともすれば捨て去られ、省みられなく なってしまっているわが国独自の貴重な文化を守ろうとする考えや姿勢を示している。 ここで、明治初年から 19 年頃に至るまでの、関口の事績や社会の動きについて触れる。 明治 4 年(1871)の末、関口は静岡藩役人を辞して明治政府に出仕し、福岡・山形・山口など各地の県令を歴 任した。そして、着実な実績を買われ、明治 14 年(1881)、元老院議官となり、17 年には高等法院(今の最高裁 判所)の判事に任じられて、中央政府の高官として多くの実績をおさめている。 明治 10 年代は、西南戦争を境に不平士族の反乱が影を潜め、自由民権運動の展開や相次ぐ政党の設立、内閣 制度の誕生といった動きが見られ、近代国家としての形が次第に整えられていった時代である。いわば、極端 な欧化主義の名のもとに、古い時代の歴史や文化が否定され、貴重な資料がいとも簡単に捨て去られて省みら れなくなっていた状況下にあり、もと幕臣の関口としては、忸怩たる思いの毎日であったようである。 − 60 − 関口は続けて、 そもそも欧米の学問をした諸学士が、論文を書いたり研究発表したりするときは、遠い昔のギリシャ・ロ ーマ等の古典などたいへん重視し、まるで金か玉か何かのように考えている。 一方、私が今まで物好きで集めた少しばかりの古書や古文書も、博学の学士、史学者などが、本でも書こ うというときには、お役に立っていないわけではなく、かなり引用されており、結構なことでありがたい。 (意訳) とも述べて、物事を実証的に捉える姿勢を尊重し、蒐集した図書が広く活用されていることを歓迎している。 ところが、文庫建設の構想は、明治 22 年 5 月、関口の列車事故による急死で、不幸にも頓挫してしまう。事 実、「久能文庫建設の広告」と「寄附書籍の要則」は、関口の死後に書箱の中から発見されたといわれており、新 聞に広告が掲載されることもなく、公表されずに終わり、「文庫寄附書籍細目規則」も定められなかった。 それはともあれ、わが国の近代国家建設に向けた揺籃の時代、為政者として図書活用の有用性を深く認識す るなど、卓抜した識見を持ち、あえて私費を投じてまで図書館を建設して広く利用に供しようと考えたわけで、 その構想は、欧米に倣った近代公開図書館建設の先駆けとして高く評価されるべきものである。 2 久能山東照宮の境内に、久能文庫を設立しようとしたのはなぜか。 「寄附書籍の要則」第 1 條に、久能文庫を久能山上に創立し、「当分、神庫ヲ代用スルコト」とある。関口没後 に協議された「久能文庫建設目論見現況」では、その位置を「東照宮境内の五層塔の址」と定めている。これより 先、久能山では、明治 6 年 8 月、神仏分離によって三代将軍徳川家光の時代の建立になる五重塔が取り払われ、 空地となっていた。久能文庫の名称も、東照宮境内に置かれることから名付けられたものと思われるが、何故、 東照宮境内に設立しようとしたのか、明記されていない。 このことに関し、幕臣としての関口の経歴や人となり、東照宮との関わりなどを述べる必要がある。 天保 7 年(1836)9 月、関口は、江戸本所相生町に関口隆船の 2 男として生れている。碑文に「幼にして敏慧、 奇童の称あり」とあり、「身体はむしろ小さいけれども、非常に賢くて物分りが早く、人の上に立つ気品が備わ っている」といわれていた。 嘉永 5 年(1852)、17 歳の時に、父の隠居によって将軍の弓を預かる御持弓与力となっている。すでに、剣術 で知られていた斉藤弥九郎の練兵館の門下生となっていて、水戸の藤田東湖などの薫陶を受けており、「四書 五経」などを学んで武士としての素養を修めていた。 嘉永 6 年(1853)、アメリカ東インド艦隊指令長官ペリーやロシア使節プチャーチンが武力を背景に開港を求 めて来航したため、社会は大混乱となり、幕府政治も大きく揺らいでいた。このような動きのなかで、万が一 の場合に備えて兵法を学び、大橋訥庵や久坂玄瑞など、多くの尊皇攘夷論者とも交わって活動した。そして、 文久 2 年(1862)、坂下門外の変に参画したとの嫌疑を受けたため、病気と称して職を辞し、家を義弟に譲り、 塾を開いて子弟の教育にあたっている。 慶応 2 年(1866)、15 代将軍徳川慶喜のもと、フランス公使レオン・ロッシュの建策を容れた幕政改革のなか で、関口は、高橋泥舟や山岡鉄舟、勝海舟などの有能な幕臣たちと懇意になり、次第に頭角を現す。そして幕 府崩壊の混乱のなかで、常に慶喜の身辺に仕えて恭順の意を内外に示し、徳川家に朝敵の汚名を蒙らせないよ う命がけで奮闘したといわれる。主家徳川家に対する忠義を重んじた人となりがよく現れている。 慶応 4 年(1868)5 月、関口は、駿府藩の留守居役となって江戸に留まり、中央政府や他藩との交渉にあたる 公議人、続いて公用人に任じられている。そして、明治 2 年(1869)1 月、新政府の命を受け、山岡鉄舟ととも に、江戸城紅葉山に祀られていた東照宮と歴代将軍の霊廟を他に移す計画にあたっている。その結果、明治 3 年 7 月に紅葉山東照宮の神像が久能山に移されることになり、これを機に次第に久能山との信頼関係が深まっ たものと考える。 明治 17 年(1884)9 月、49 歳の関口は、地元と縁のない者から県令を選ぶという慣例を破り、政府高官である − 61 − 元老院議官から一地方である静岡県の県令となって着任した。当時、静岡県は、旧幕臣が多く、財政的にも逼 迫していて難治県といわれていた。関口は、父祖の地の県令となって赴任することを光栄に思い、精力的に県 内各地を視察した。富士郡田子の浦に石水門を建設して塩害を防ぎ、天竜川から磐田原に疎水を引いて遠州地 方の灌漑を進めるなど、着実な県政を進めるとともに、明治 19 年、暇をみては、徳川氏関係の廟墓や寺院など を訪ねて私費による修復を進めている。明治 21 年 5 月、久能山東照宮が別格官幣社に列したが、その背景には、 関口の政府への大きな働きかけがあった。 このように、関口は、徳川家に対する敬愛の念が深く、旧幕臣としての気概を忘れることなく、勤勉で実直 な態度に終始した。実務政治家、行政官として、久能山東照宮と深いかかわりを持つなかで、祀官出島竹斎を 文庫設立の担当者と定め、久能文庫を久能山東照宮境内に設置することを決めた、と考える。 因みに、出島は、文化 13 年(1816)、有渡郡小鹿(おしか)村の生れで、本居宣長の学風を慕って勤王の志篤 く、紺屋町で皇学舎を開いて教育にあたり、明治 20 年(1887)、73 歳で亡くなっている。 3 「久能文庫」のなかで、特に兵法書や備荒救荒書が多いのはなぜか。 平成元年、関口没後 100 年を記念して「関口隆吉関係資料展」が開催され、『久能文庫目録』増補改訂版が編集 発行された。それによると、「久能文庫」の構成は、大正 13 年(1924)から昭和 59 年(1984)までの間に、関口家 から計 4 回にわたって寄贈された書籍・資料からなっていることが知られる。 関口は、知事としての公務の暇をみては、県内各地の珍しい書籍や資料などを集め、自ら模写するなどして 整理保存に努めた。蒐集にあたっては、養嗣子隆正の助力もあり、「久能文庫」の本体をなすものが出来あがっ ていったのである。それに要した莫大な費用はすべて自費で賄い、些少なものでも県費から支出させなかった といわれる。 「久能文庫」には、隆吉が直接蒐集しなかったと思われる資料も含まれており、これらを除いて文庫の特色を みてみると、まとまりのあるものとして兵法書と備荒救荒書が挙げられる。 いうまでもなく、兵法書に関しては、軍事学に強い関心を持っていたことと深い関係がある。その背景には、 ペリーやプチャーチンなどの来航以来、次第に尊皇攘夷運動が高まるなかで、万一の場合にそなえて、嘉永 6 年(1853)、18 歳の折、吉原守拙の門に入って安政 3 年(1856)にいたるまでの 2 年間、専ら兵法を学んで「連兵 七等の秘訣」を与えられ、長沼流兵法教授を命じられたことが挙げられる。馬術は帯金弥四郎、弓術は安富小 膳、泳法は山田豊太郎、武家故実は稲生虎太郎に学び、砲術は韮山の江川坦庵の書籍などで研究したといわれ る。 慶応 3 年(1867)1 月、逼迫していた家計の改革のため、『治計考』を著して家族の理解を求め、僻村への隠居 を考えた。生活は苦しく、不遇の時期でもあった。刀剣鑑定に詳しく、かなりの器物や蔵書を持っていたので、 家計のためにほとんどを処分している。残念ながら売却された蔵書の全容はわからないが、おそらく大切にし ていた兵法書は手許に残されたのではないか、と考えられる。 「久能文庫」の兵法書を見ると、長沼流兵法一門の著作が中心となっている。長沼流兵法の奥儀を会得した関 口は、その教義書の所蔵は当然のことながら、極端な欧化政策が進むなかで、失われていく武士道の精神をの ちに伝えていく好個の資料として、これらの兵法書をとらえていたのではないか、と思う。 因みに、南部藩出身の新渡戸稲造が、アメリカにおいて英語で『武士道』を著したのは、明治 33 年(1899)の ことである。 備荒救荒書は、凶作や災害の現状を述べ、それに対する備えや対処の仕方などについて、まとめた書物であ る。明治 13 年(1880)、政府は、備荒儲蓄法を制定し、全国に公債証書または預金による儲蓄をよびかけてい る。明治 16 年(1883)、元老院議官の職にある関口は、東京・関東・東海の 1 府 8 県を巡察して、太政官に大部 の復命書を提出した。このなかで、全国に及ぶ農政論を展開し、政府が定めた備荒儲蓄法の実態について、金 のたくわえがほとんどで穀類の現物儲蓄がない、と指摘し、法を改正して穀物儲蓄を勧めるよう求めている。 − 62 − そして、天明・文化・天保の飢饉の概況を摘録し、閲覧に供するので、よく分析検討されたいとも述べている。 街を歩いていても、徳川氏や明治維新に関わる書籍や救荒書などがあれば、必ず買い求めたといわれる。 明治 17 年(1884)、静岡県令となった関口は、県政を進めるにあたり、社会の安定と繁栄のためには農政の 安定が大切と考え、その充実を図っている。とくに明治 18 年の頃は、「明治期の飢饉」といわれた状況にあり、 精力的に救荒の書や古文書、絵図を蒐集・整理し、自ら『歉歳表記』という本を著している。この本は、寛永 19 年(1642)から天保 7 年(1836)までの約 200 年間の飢饉の年を挙げ、その参考資料を示し、史実を調べて正誤を 正している。そして、凶作は、実は天災ではなく人災である、との強い信念のもと、多くの人たちに役立つよ うに、蒐集した多くの救荒書を『救荒叢書』として全集の形で出版する計画まで立てている。また、しばしば大 日本報徳社長の岡田良一郎を掛川に尋ね、月岡の私邸にも招いて県政や国政を語り合っている。 このように、関口の政治家、行政官としての農政重視の基本姿勢を支えたのは、幼い頃に父母や周囲の大人 たちから聞いた天保の大飢饉の惨状や対策などの話であり、二宮尊徳の報徳仕法による農村復興の話であり、 幕末に同士で農学の大家でもあった舟橋随庵から学んだ農政学の理論などであった。 「久能文庫」には、わが国最初の本格的備荒書である建部清庵著の『民間備考録』 (文政 7 年(1824)版、飢饉対 策の責任は村役人であると主張)、江戸期の農業ジャーナリストといわれる大蔵永常の『農家心得草』 (写本)、 蛮社の獄で弾圧された高野長英の『二物考』 (天保 7 年版)、天保 7 年の飢饉の状況を明治 18 年頃にまとめた『遠 州救荒小録』など、飢饉の惨状や対策などに触れた多くの貴重な書籍が含まれている。 4 関口の急逝後、建設計画が頓挫したのはなぜか。 明治 22 年(1889)4 月 11 日、関口は、愛知県招魂祭に招待され、名古屋に向う途中、不運にも安倍川鉄橋手 前で列車事故に遭遇し、左足を負傷した。これがもとで、5 月 17 日、遂に帰らぬ人となり、遺言によって静岡 市大岩の臨済寺に埋葬された。会葬者 5,000 人を数えたといわれる。 関口が亡くなって 2 ヵ月後の 7 月 15 日、関口家の委嘱を受けた評議者が集まり、久能文庫設立のための協議 を行い、「久能文庫設立目論見現況」を定めた。評議者として、久能山東照宮宮司の柳沢保申(伯爵、もと大和 郡山藩主)の代理杉浦雅勝、県警部長の相原安次郎、安倍郡長の近藤弘、静岡県立尋常師範学校長兼静岡県学 務課長の蜂屋定憲、県属の大井重古、宇都野正武の 6 名、関口家からは隆正と弟の潜が出席している。 因みに、杉浦雅勝は東京上野の東照宮祀官を勤めた人物で、隆吉の依頼を受けて調査探求にあたっており、 近藤弘と宇都野正武の二人は、のち、明治 33 年 9 月から大正 13 年 5 月まで、東照宮の宮司を勤めている。 協議項目として、発起者・目的・位置・構造・経費・保存費・書籍・保管者が挙げられ、確認や検討がなさ れており、建物の構造は、千鳥破風多門造 2 階建、土瓦葺桁行 5 間、梁間 3 間、軒高 16 尺、正面 1 間庇、とな っている。そして、22 年 11 月起工、23 年 3 月落成見込とあり、建築費見積高 700 円は宮司寄附、保管者は東 照宮神職と定められている。 しかし、五重塔跡に建てられる予定であった久能文庫は、遂に日の目を見ることなく、すでに久能山東照宮 に納められていた関口の蒐集書は、大正末年まで東照宮の社務所に神職によって保管されることとなったので ある。 評議者らは、関口が崇敬した東照宮の関係者であり、古き友人であり、職場の部下であり、いわば、関口個 人への畏敬の念を強く抱いていた人々であった。そして、関口が亡くなると、たがが外れたような状態となり、 設立に向けた熱意も急速に薄らいでいったのであった。久能山では、出島竹斎のあと、三宅康保(もと三河田 原藩主)が祀官となり、さらに明治 22 年 3 月、伯爵の柳沢保申が宮司となっている。総責任者の立場にある柳 沢は、理由はともあれ、杉浦を代理に立てて対応しており、責任者としての姿勢が問われても仕方なく、残念 ながら、いずれも、関口の崇高な理念や溢れる熱意を汲み取って、それを具現化していく後継者としての立場 に立っていなかった、と思われる。これに加え、関口父子による私的な蒐集書を主体とする久能文庫設立構想 の限界もあって、頓挫してしまったのではないか、と思う。 − 63 − Ⅱ 今後の活用に向けて 明治 23 年、文学博士の中村正直は、碑に 人となりは、深く考えて寡黙であり、智略をもってよく徳川氏や政府に仕え、ことにあたっては、寛大な 心と剛直さで臨んだ。博学にして勤勉家であり、わが国のみならず、外国の古典にも通じ、刀剣や茶道具 などの鑑定もした。質素を旨としてよく人に施し、親戚や旧友に貧しいものあればよく面倒を見た。官吏 として、清廉にして潔白、えこ贔屓することなく処したので、人々から信頼された。(意訳) と記している。薩長藩閥政治が展開され、不正が横行し、欧米化の名のもとに、古きよきものが急速に失われ ていくなかで、関口は、旧幕臣としての気概を忘れることなく、時代の流れを真摯に受け止めながら、実直な 姿勢で政治に臨み、その精神は公開図書館建設の構想ともなって昇華していったのである。 残念ながら、後継者を得られず、直ちに図書館は建設されなかったが、大正 14 年、葵文庫の開館によってそ の理念は見事に受継がれ、本館が存在する基本理念ともなっている。 現在、「葵文庫」と「久能文庫」は、耐震上の理由から、掛川の静岡県総合教育センターに保管されている。一 月のうち、定められた 1 日を利用日として対応しているが、研究者には大きな不便を強いている。 現代に生きるわれわれには、高度情報化の流れのなかで、氾濫する情報を識別し、再構成して効果的に活用 していく力が求められている。図書館では、情報が高度化し、ネットワーク化が進んで、生涯学習社会の拠点 としての機能強化とともに、将来を担う人づくりの上で大きな役割が期待されている。本館においても、資料 の充実やシステムの改善が進められ、県民の生涯学習の向上に寄与するため、最大限の努力が払われている。 しかし、建設されて 40 年近くが経過し、耐震性、狭隘化、バリアフリーなど、施設上の問題点を多く抱えてお り、新しい図書館づくりが必要となっている。 このような時に、あらためて静岡県知事関口隆吉の人となりを知り、温故知新の考え方にたって、ことにあ たっていくことは、大いに意義があることと考える。 ※本稿は、平成 18 年 10 月 28 日、静岡県図書館文化祭において講演した内容を再構成したものである。 − 64 − Ⅵ 資 料 紹 介 鮪の大漁時における湊内の収支について∼南伊豆町「妻良区有文書」 1 はじめに 南伊豆町の妻良区は、伊豆半島の南端である石廊崎から波勝岬の間にある港町である。県立中央図書館歴史 文化情報センターで所蔵している紙焼(CH)資料は 55 点あり、すべての資料について、歴史文化情報センター 内での公開と平成 20 年度に開始予定であるインターネットによる目録等の公開の許可を頂いている。史料の内 容は積荷改や難船処理など湊に関するものが多いが、中でも貴重な史料が鮪や鯆(イルカ)の大漁に関する割振 勘定帳である(1)。 2 天保 6 年の鮪大漁のときの収支について 西伊豆地方の鮪漁や鯆漁は「建切」 (たてきり)網漁といって、黒潮に乗って駿河湾に入ってくる鮪や鯆の群れ に対し、湊口を網で仕切って捕獲する方法であった(2)。最初に、天保 6 年(1835)に、妻良村と、同じ浦を共有 する子浦村が協力して、約 2,400 本の鮪を妻良湊に追い込み、水揚げされたときの史料の冒頭を掲げる(3)。 天保六年四月十七日昼時、大鮪千八百余両浦(妻良・子浦)にて湊口立切(建切)子浦湊江曳寄、同日七つ時よ り十七日十八日迄取切、又妻良湊内にも鮪なぶら(群れをなして)入来候、めら網にて五百本余立切(建切)、十 九日より廿一日迄取揚、両浦にて都合(合計)弐千四百余水揚いたし、(以下略:( )は筆者が書入れ) この大漁に際し、妻良村と子浦村が相談して割振りを決定した。 まず、鮪の代金は金 1,219 両 3 分 2 朱と 675 文であり、これが総収入である。この中から金 9 両 3 朱は隣の 「東子浦へ気付」 (子浦村は東西に分かれていた)として渡し、残り 1,210 両 3 分余について妻良村と子浦村で折 半している(4)。したがって妻良村の取り分は金 605 両 1 分 2 朱余であった(1 両= 4 分= 16 朱)。この中から「十 分一」 (10 %)である金 60 両 2 分余を算出して、この 20 %に当たる金 12 両を村役人で分け、残り 80 %に当たる 金 48 両余を村入用等に当てている。 次に村内個人への配分となるが、配分比率は一人当たり金 3 分ずつ、「壱株」当たり金 1 両ずつ、等という割 合であった。史料の一部を[史料一]に示すが、この中で「組合頭料」とは五人組の頭に支給されたものであると 考えられる。また、五人組ごとに小計がされており、五人組頭を通じて世帯毎に分配金が配分されたことがわ かる。 たる合計金 318 両 1 分 2 朱が、村人 134 人(実際にはそれぞれに家族が いるのでこれより多い)に対して配分されたのである。残りは、村の 朱が不足となった。 一 金 壱 分 天 満 海 女 の こ と か ) 3 文久 3 年と慶応 3 年の鮪大漁について 一 金 壱 両 三 分 株 当 、 身 の し庄 ろ左 共衛 門 [ 史 料 一 ] 部 分 ) 妻良村分の総収入が金 605 両 1 分 2 朱だったので、差引金 26 両 3 分 3 一 金 弐 分 せ わ 人 料 ( ないが、村人への配分も含めた総支出は金 632 両 1 分 1 朱と銭 317 文。 ) 両余が使われている。なお、史料記載の数字を合計しても計算は合わ 〆一 四 金 名 弐同 分 ︵両弐 中朱弐朱 略書歩 カ弐 ︶朱 又也組 壱 合 両 頭 弐 料 歩 弐 朱 渡 ( 借金返済に金 171 両 3 分余など、商人等への支払い他諸経費に金 278 惣 残 〆 金 内金 拾 金拾 壱弐五六七 両両両両両 三也渡三也 歩 歩 也 也 ( このようにして、妻良村分総収入の金 605 両 1 分 2 朱の 52.6 %に当 文久 3 年(1863)にも鮪 250 本が水揚げされている(5)。この時は、代金 195 両と銭 4 貫 924 文から諸入用や神社 等への寄附などを差し引いた残金 127 両余の半額である金 63 両 2 分を西子浦へ渡し、東子浦へ祝儀金 6 両 2 分 と併せて金 70 両を引いた金 125 両が、妻良村の総収入となっている。この中から五人組単位で村人一人につき − 65 − 銭 1 貫 200 文ずつが銭で払われており、合計は金 64 両 3 分余となっている(総収入に対し約 51.8 %を分配。な お、合計は金の単位で記載されているが、実際の配分は銭でなされたと考えられる)。分配金の詳細について、 右に[史料二](5)を示す。ここで注目されるのは、各世帯の分配金はすべて銭 1 貫 200 文の倍数となっているこ とである。これは天保 6 年の時とは異なり、世帯毎ではなく総人数割で配分されていることを示している。 なお、慶応 3 年(1867)の割渡帳(6)でも[史料三]のようになっており、基本的には人数割になっていることが わかる(7)。また、元治 2 年(1865)(8)や天保 10 年(1839)の勘定帳によると、鯆大漁のときの配分においても、鮪 の場合と同じように人数割を基本とした分配となっており、 〆 六 五人 元治 2 年の時には五人組ごとに分配されている(9)。 貫 4 終わりに 妻良浦では、史料が残されているものだけで、1835 年から 1867 年までの約 30 年間に 6 回の鮪や鯆の大漁があり、妻良村 や村の人々にとってはその都度臨時収入となった。これらは 史料には残りにくいプラス要因の出来事であり、その意味で 八 百 四 拾 弐 文 与伊安七庄 市三二郎左 郎郎郎右衛 衛門 門 一 二二壱 人 人人人 [ 史 料 三 ] ︵ 慶 応 三 年 部 分 ︶ 〆 拾 四 貫 四 百 文 一 壱 貫 弐 百 文 与 市 郎 一 弐 貫 四 百 文 伊 三 郎 壱 貫 弐 百 文 一 三 貫 六 百 文 安 次 郎 一 三 貫 六 百 文 七 郎 右 衛 門 一 弐 貫 四 百 文 頭 庄 左 衛 門 [ 史 料 二 ] ︵ 文 久 三 年 部 分 ︶ も本史料は貴重である。またさらに注目すべきは、この臨時 収入に税が賦課されていないことである。たとえば御前崎の榛原郡地頭方村では、捕獲した鯨の収入に対し 「十分一」を、運上として支配役所である中泉代官所に納めている(10)。妻良浦の場合でも、天保 6 年の史料では 「十分一」の算出はしているものの、支配する韮山代官所への運上には使われていない。この理由は今後の検討 課題である。 (1)残されているのは、天保 6 年 (1835) の鮪、文久 3 年 (1863) の鮪、慶応 3 年 (1867) の鮪の大漁に関する史料 (いず れも資料請求番号は 24014-3-26) と、天保 10 年 (1839) の鯆 (この史料については、 『静岡県史』 近世二 (通史編 4) 243 頁でも触れられている) 、弘化 2 年 (1845) の鯆、元治 2 年 (1865) の鯆の大漁に関する史料である。 (2)『静岡県史』民俗一(伊豆) (資料編 23)450 頁。 (3)「鮪大漁金組合渡方帳」 (妻良区有文書: 24014-3-26)。記録に残っている文久 3 年の鮪 250 本、慶応 3 年の 鮪 132 本と比較しても、この時は桁違いの大漁であった。 (4)妻良村と西子浦村で利益を折半するのは、註(1)掲載の多くの史料でも同様である。 (5) 「前浜鮪大漁水揚金割渡帳」 (妻良区有文書: 24014-3-26) (6) 「谷川鮪大漁水揚金割渡帳」 (妻良区有文書: 24014-3-26)。 (7)この史料は部分撮影であり、家数 143 軒、総人数 218 人に分配金が配分 されているが、総額は不明である。また、「壱代五百三拾文当也」とい う記載の後、4 組の五人組分しか史料(CH)がなく、それぞれの人数と <慶応 3 年の分配> 五人組 人数 分配金(銭) 庄左衛門 6人 5 貫 842 文 喜左衛門 7人 6 貫 372 文 配分金額は右の表のようになっている。ここから推測すると(計算が 4 伊左衛門 8人 6 貫 906 文 文ほど合わないが)、一軒当たり銭 2,662 文+銭 530 文×人数という計 五左衛門 9人 7 貫 436 文 算になっているようである。 (8)元治 2 年「鯆水揚割渡勘定帳」 (妻良区有文書: 24014-4-27)。一人銭 850 文ずつの分配であった。 怖 割合勘定帳」 (9)天保 10 年「湊内狩込鯆鱇 (妻良区有文書: 24014-2-25)。ただし、天保 10 年のときには、五人 組ごとに分配されてはいない上に、天保 6 年の鮪大漁時と同様、完全な人数割りではなく、株数などに応 じて配分されている。 (10) 『御前崎町史』 532 頁。なお、地頭方村 (中泉代官所)も妻良村(韮山代官所)も天領である。 − 66 − … 図 書 館 案 内 (平成 19 年度)… ◆開館時間 午前 9 時∼午後 5 時(土、日、月、火曜日) 午前 9 時∼午後 7 時(水、木、金曜日) ◆休館日 国民の祝日 館内整理日(毎月末日、但し月末が土日の場合は金曜日) ◆企画振興課(TEL 262 - 1246 ) ●図書館業務の企画、調査及び広報に関すること。 ●図書館職員の研修に関すること。 ●図書館講座・展示会の開催に関すること。 ●公共図書館運営の支援及び協力に関すること。 ●図書館活動の振興・奨励に関すること。 ●電算システムの管理、運用及び調整に関すること。 ●関係団体に関すること。 特別整理期間等( 4 月 2 日、4 月 10 日、6 月 12 日、9 月 4 日、 10 月 15 日、12 月 11 日、1 月 28 日∼ 2 月 7 日、3 月 11 日) 年末年始(12 月 28 日∼ 1 月 4 日) ◆資料 ●一般資料・外国語資料・郷土資料など ●新聞・雑誌・マイクロフィルム ●ビデオテープ・ DVD ・朗読 CD ◆資料課(TEL 262 - 1243) ●一般資料、外国語資料、児童資料、視聴覚資料、逐次刊 行物の受入れ及び整理に関すること。 ●閲覧業務に関すること。 ●グランシップ県立図書館コーナー「えほんのひろば」、 子ども図書研究室に関すること。 ●静岡県視聴覚ライブラリーの資料に関すること。 ●教科書センターに関すること。 ●特殊コレクション(葵文庫・久能文庫など) ◆閲覧・貸出・複写 ●閲覧室には約 17 万冊の資料が開架になっており、閲覧室 は 180 席あります。 ●図書、雑誌、付録の貸出は一人 20 冊、22 日以内です。 ビデオ等の貸出は一人 3 点、22 日以内です。 初めての方は、住所等の確認できるものが必要です。 (身分証明書、運転免許証等) ●資料は著作権法などの許す範囲で複写できます。 ◆総務課(TEL 262 - 1242、1265、0602) ●図書館運営に関すること。 ●図書館協議会に関すること。 ●予算・決算及び会計に関すること。 ●職員の服務及び福利厚生に関すること。 ●施設等の管理及び運営に関すること。 ●財産及び物品の管理に関すること。 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編集・発行 静岡県立中央図書館 〒422-8002 静岡市駿河区谷田 53 番 1 号 TEL 054(262)1242 FAX 054(264)4268 http://www.tosyokan.pref.shizuoka.jp
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