Technical news Vol.6 詳報、第4回フットボール カンファレンス JFA指導者養成事業 GKプロジェクト活動報告 TSG報告〜全国高校選手権 年代別指導指針⑥〜 世界トップ10を目指して! 財団法人 日本サッカー協会 Technical news Vol.6 © Jリーグフォト (株) 特集① 第4回フットボール カンファレンス A・ロクスブルグ氏の講演 「The Big Picture プレーヤーの育成」を掲載 2 特集② JFA指導者養成事業 公認A・B級養成講習会を中心に紹介 46 第83回全国高校サッカー選手権大会 テクニカル・レポート 14 活動報告・ユース年代の日本代表チーム U-20日本代表・カタール遠征 & U-15日本代表・香港遠征 18 フィジカル測定の意義と活用のしかた② サーキット・トレーニングの紹介 32 新連載「What's JFA2005年宣言」 16 珠玉のひとこと その7 17 GKプロジェクト活動報告 23 指導者・指導チーム、検索システム・コーチスクエア 30 年代別指導指針⑥ 35 連載:クラブづくりを考えよう!〜サッカーをもっと楽しむために〜 38 活動報告・なでしこジャパン他 40 新連載:キッズドリル紹介 42 連載:審判員と指導者、ともに手を取り合って・・・ 44 2005年全国技術・3種・4種委員長会議報告 54 技術委員会刊行物・販売案内 56 ○表紙:アンディ・ロクスブルグ氏(ヨーロッパサッカー連盟・技術委員長)/ 写真提供、Jリーグフォト㈱ ○発行人:田嶋幸三 ○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会 ○発行所:財団法人日本サッカー協会 ○制 作:財団法人日本サッカー協会技術委員会・テクニカルハウス ○制作協力:エルグランツ(株) ○印刷・製本:サンメッセ(株) ※本誌掲載の記事・図版・写真の無断転用を禁止します。 本誌はJFA指導者登録制度において、 所定の手続きを行ったJFA公認指導者の方に無償で配布されています。 1 布啓一郎氏 ©Jリーグフォト㈱ 第4回フットボールカンファレンス テーマ「ユース育成のフィロソフィー」を すべての指導者と共有したい 布啓一郎(技術委員会副委員長/第4回フットボールカンファレンスコーディネーター) 2005年1月8日〜10日の3日間を使って、「第4回 フットボールカンファレンス」が開催されました。 今回の大テーマは「ユース育成」についてです。 そのテーマに沿って前回までは公認B級(旧C級) コーチまでの募集でしたが、今回は育成の現場の 多くのコーチの方にこのカンファレンスに来ても らうために、公認D級コーチまで募集を広げて、全 国から約800名のコーチの方が参加して行われまし た。 まず、今回のカンファレンスの内容に入る前に、 ある報告を紹介したいと思います。それは、1999 年に発行された、ある都道府県の指導者向け機関 紙に掲載された1998年FIFAワールドカップの報告 です。以下はその抜粋です。 特 集 ① ○田嶋幸三(現技術委員長) 「日本は厳しいプレッシャーのかかるゲームでの得 点力が大きな課題として挙げられる。ある選手は オフ・ザ・ボールの動きは良いが、オン・ザ・ボ ールのときに精度や落ち着きには問題がある。ま た、別の選手のオン・ザ・ボールは良いが、オ フ・ザ・ボールの動きに改善が必要だ。これから はどちらか一つではなく、両方が当たり前にでき る選手を育成していかないと世界の厳しいゲーム の中では得点を奪えない」 ○山本昌邦(前U-23日本代表監督、現ジュビロ磐 田監督) 「日本はクローズドスキルでは世界に近づいてきた が、オープンスキルの向上が必要である。また、 どんな劣悪な環境下でも100%闘える選手を育てな くてはならない」 ○小野剛(元日本代表コーチ/1998年FIFAワール ドカップ、現サンフレッチェ広島監督) 「組織的な守備がどの国も当たり前になってきた。 そこから得点するためには一瞬の隙の勝負になる。 また、組織を破る強い個の育成と、オールラウン ドな能力の両方が要求される。 」 第4回フットボール カンファレンス TM 〜2002FIFAワールドカップTM 記念事業〜 1月8日〜10日、浦安市文化 会館(千葉)にて、第4回フッ トボールカンファレンスが開催 されました。 約900人の参加者が集まった 今回のカンファレンスは、「ユ 1 2 3 4 5 ース育成〜世界のトップ10を めざして」がテーマとなり、 JFAナショナルコーチングスタ ッフ・海外からのゲストによる 講演、パネルディスカッション などが行われました。 2 6 7 1.閉会挨拶を務めたホルガー・オジェック氏 2.AFC事務総長・ダト・ピーター・ベラパン氏 3.イングランドサッカー協会からマーチン・トーマス氏 4.前フランスサッカー学院校長・クロード・デュソー氏 5.バイヤー04レーバークーゼンアカデミーダイレクター・ヨルク・ビットナー氏 6.U-20日本代表監督・大熊清氏 7.昨年のアテネオリンピックを中心に、女子サッカーの取り組みも発表 8.開会挨拶で川淵三郎キャプテンは「JFA2005年宣言」に触れた 8 ©Jリーグフォト㈱ 三氏の言っていることは、「プレッシャ ーの中でいかに正確でクリエイティブなプ レーができるかが、今後の選手には要求さ れる。そのためには複数のことができるこ とが必要であり、攻守にハードワークでき る、強い個を持った選手の育成が急務だ」 ということだと思われます。 この報告は日本サッカー協会(JFA)が 出している現在の報告と変わりません。こ のような点が変わらないことは良いことな のでしょうか。初めて日本が本大会出場を 果たした1998年FIFAワールドカップから6 年、日本のユース育成全体のベクトルが本 当に合っていたのか疑問もあります。現在、 強い個を持った、たくましい選手が育成年 代にどれくらい育っているのでしょうか。 一貫指導の重要性は多く語られています。 しかし、種別ごとのぶつ切り指導や年齢相 応でない指導が行われてはいないでしょう か。もう一回、日本サッカーのユース育成につい て考える機会が必要ではないかと思い、 「ユース育 成」というテーマで今回のカンファレンスを開催 いたしました。 今回のカンファレンスは、3日間の日程で行われ ました。第1日目はJFAの活動報告として、U-17・ U-20・GKプロジェクト・女子・U-23・A代表の各 報告の中で、現在の世界またアジアにおける日本 の位置確認と、JFAの取り組みを示しました。2日 目は海外のユース育成として、ドイツのプロクラ ブ「バイヤー04レーバークーゼン」のユース責任 者のヨルク・ビットナー氏、フランス国立サッカ ー学院(INF)前校長のクロード・デュソー氏、イ ングランドサッカー協会GKコーチのマーチン・ト ーマス氏、そしてヨーロッパサッカー連盟(UEFA) 技術委員長、アンディ・ロクスブルク氏より、そ れぞれクラブ・協会・大陸連盟のユース育成のフ ィロソフィー(考え方)をプレゼンテーションし てもらいました。そして、それを受けて、今回は 初めて地域別という形でディスカッションを行い ました。狙いは地域ごとの育成の方法は違ってく る面があるのではないかということ、そして、育 成の全体像の中で各種別を越えた活動を行うこと が非常に重要であると考えたからです。 3日目は技術と審判の協調をテーマに、国内の2 種・3種の全国大会の上位ゲームと、FIFA U-17世 界選手権、FIFAワールドユース選手権のレフェリ ングからシーンを抽出し、日本のユースを育成し ていく上で、いかに技術と審判の協調が必要かに ついて、技術委員会と審判委員会が合同でパネル ディスカッションを行いました。最後に、今後の 日本のユース育成についての総括を田嶋幸三・技 術委員会委員長が行い、国際サッカー連盟(FIFA) から日本でもおなじみのホルガー・オジェック氏 (元浦和レッズ監督)から全体の総括をもらい閉会 しました。 今回のテーマはユース育成であり、ユース育成 とはどのような仕事か、育成におけるベースは何 なのか、いわゆるフィロソフィーを出していきた いと思いました。トレーニング方法のハウ・トゥ ではなく、ベースになる考え方が日本全体で共有 されなければ、真のユース育成は達成されないの ではないでしょうか。 「具体的なトレーニング方法 や具体的なチームづくりの段階的な発表がなかっ た」など、意見はいろいろあると思います。しか し、 「これだけやればすべて解決」という魔法のト レーニングはありません。トレーニング方法を少 し増やすよりも、育成の考え方を確認し、各コー チが受け持っている年代に、必要な内容で選手に アプローチしていくことが重要だと考えます。選 手育成には長い時間がかかります。そのために種 別を越えて一貫指導を行い、世界基準で闘える、 「クリエイティブでたくましい選手」を育てていか ないと、また数年後に同じ指針を出すことになり ます。 また、これは一部のトップの選手だけのもので はありません。グラスルーツ(草の根)の活動が 大切であり、それが広がっていくことが重要です。 しかし、低年齢であればあるほど、トップの選手 もグラスルーツの選手も目標は同じだと考えます。 今回のカンファレンスが各コーチの育成に対する 考え方のベースになり、今後の日本のユース育成 が成功していくことを、皆さんと共有したいと思 います。 今回、テクニカル・ニュースの特集として、第4 回フットボールカンファレンスより、UEFA技術委 員長アンディ・ロクスブルク氏の「The Big Picture 〜プレーヤーの育成」の講演の抜粋を掲載します。 この講演を選んだ理由は、グラスルーツからシニ アへの橋渡しまで、プレーヤー育成のまさに全体 像が描かれているからです。 ■スケジュール 1月8日 12:00 13:30〜14:00 14:00〜14:50 15:00〜15:50 16:00〜16:30 16:30〜17:00 17:00〜18:00 19:00〜20:00 1月9日 9:00〜10:30 10:45〜12:15 14:00〜15:30 15:40〜17:10 17:20〜17:50 18:00〜19:00 1月10日 9:00〜9:30 9:30〜10:30 10:40〜12:10 12:10 12:30 JFA 2004報告 受付 開会挨拶 U-17日本代表アジア予選報告 U-20日本代表アジア予選報告 JFAの取り組み−GKプロジェクト JFAの取り組み−女子サッカー 2004年度各カテゴリー代表活動総括 懇親会 海外のユース育成 バイヤー04レーバークーゼンにおけるユース育成 フランスサッカー協会のユース育成 イングランドにおけるユースゴールキーパーの育成 UEFAのユース育成 VISION ASIA 地域別ディスカッション/JFAインフォメーション 日本サッカーの将来のために JFAの取り組み−審判委員会 川淵三郎(JFAキャプテン) 布啓一郎(JFA技術委員会副委員長/前U-17日本代表監督) 大熊清(U-20日本代表監督) 加藤好男(GKプロジェクトリーダー) 今泉守正(なでしこジャパンコーチ、U-19/17日本女子代表監督) 田嶋幸三(JFA技術委員長) ヨルク・ビットナー(バイヤー04レーバークーゼンアカデミーダイレクター) クロード・デュソー(前フランスサッカー学院校長) マーチン・トーマス(イングランドサッカー協会GKコーチ) アンディ・ロクスブルク(UEFA技術委員長) ダト・ピーター・ベラパン(AFC事務総長) 高田静夫(JFA審判委員長) 田嶋幸三(JFA技術委員長)高田静夫(JFA審判委員長)布啓一郎(JFA技 術委員会副委員長/前U-17日本代表監督)須藤茂光(JFA技術委員、ナショナ パネルディスカッション「レフェリーと技術の強調」 ルトレセンチーフコーチ)岡田正義(スペシャルレフェリー/元国際主審) 吉田寿光(スペシャルレフェリー/国際主審) 総括「日本のユース育成」 田嶋幸三(JFA技術委員長) 閉会挨拶 ホルガー・オジェック(FIFAテクニカルディベロップメント ヘッド) 閉会 3 The Big Picture プレーヤーの育成 ●アンディ・ロクスブルグ (UEFA技術委員長) 【スライド1】 「第4回フットボールカンファレンス」でA・ ロクスブルグ氏(UEFA技術委員長)が行 った講演内容「The Big Picture」を紹 介します。 まずはじめは、フィロソフィーです。 グラスルーツレベルでも同様に、私たち いうゲームそのものに敬意を払う。これら サッカーのピラミッドを見てみましょ コンセプトは9歳や10歳のころから学ぶこ のことを口に出して言ってみるのは簡単な う。プロのゲームがトップにあります。そ とができるのです。基礎段階は、学習のす ことです。しかし、それを実行するのはま して、クラブ、代表チームといったものが べての面において非常に重要です。学校で たまったく別のことです。 あります。そして、中央の層にはエリート もピッチでも同じです。 そして、あなたは強い勇気を持って、力 サッカー、プロクラブのアカデミー、ユー そして、13歳から16歳で習熟段階を経 強く、若いプレーヤーたちに、敬意を示す ス代表などがあります。そして、大きくど て、大人のサッカーへと向かって行きます。 我々すべてが最初に持たなければならない にはフィロソフィーが必要です。ミリヤ ことを確実に学ばせなくてはなりません。 っしりとしたベースがあります。私は、子 11対11のゲームです。そして大人のサッ ものです。私たちのフィロソフィーとはど ン・ミスハニッチは、レアル・マドリード サッカーというゲームにはそれが必要なの どものサッカーはすべてグラスルーツと位 カーのコンセプトです。 のようなものでしょうか? の監督をしていたことがあります。彼はこ です。サッカーがゲームである以上、ルー 置付けられるべきであると考えています。 う言っています。「サッカーでゴールがも ルが守られなくてはなりません。そうでな それがプロのクラブでのものであってもで また多くのプレーヤーが現れてくる段階だ っとも素晴らしいものだ。トロフィーでも いとしたら、あなたが勝とうとすることは、 す。そして、スタンダードなユースサッカ と良いとは思います。 金でもない。子どもはそのことがわかって 私には単に時間の無駄に思えます。ゲーム ー、学校サッカー、アマチュアサッカーな ジェラール・ウリエ(本誌vol.5参照)が いる」。これは私たちが頭に置いておかな を正しくプレーしないのであれば、それは どがここに含まれます。そして、またベテ こう言っています。 「16歳で技術を身につ くてはならないことです。 まったく時間の無駄なのです。 ランも。私のように年をとっても、同じよ けていなければ、後から取り戻すのは困難 うにサッカーをしたいのです。 であろう」。グラスルーツであろうとエリ 【スライド2】 「I have a dream」、私は夢を持っている。 ですから、皆さんはフィロソフィーを持 それから達成段階が来ます。この段階も 今日、私に課せられた仕事はプレーヤー それはエリートプレーヤーであろうと、グ たなくてはなりません。そのことを考えな グラスルーツから始めましょう。なぜな の育成プロセスについて語ることです。こ ラスルーツのプレーヤーであろうと同じこ くてはなりません。グラスルーツレベルと ら、最初は誰もがグラスルーツ・プレーヤ 特に16歳になるまでに技術をしっかりと れはジグソーパズルのようなものです。1 とです。全員がトップクラスのプレーヤー エリートユースレベルのフィロソフィーは ーからスタートするからです。シェフチェ 身につけておかなくてはならないというこ つ1つのピースが、1つの大きな絵、 「ビッ になることを夢見ているのです。 異なるものであり、また、次の試合を常に ンコ(ウクライナ)のようなプレーヤーだ となのです。 勝とうとするプロフェッショナルレベルと って同じです。彼もグラスルーツから生ま グラスルーツサッカーには、実に多くの も異なるものです。 【スライド4】 グピクチャー」の全体像をつくり上げてい きます。これが、今回の私のプレゼンテー ションのタイトルです。 ここに映し出されているのはティエリ・ アンリ(フランス)です。彼は、1996年 エリートレベルのユースコーチで私が好 ートであろうと、強調するべき点は同じで、 もしも、エリート・ユースレベルの指導 きなコーチの1人がスペインのフアン・サ れてきました。9歳のときに、キエフのク 価値があります。まずはじめに、教育的価 をしているのであれば、そのフィロソフィ ンティステバンです。彼はそれほどの大き ラブに入ったのです。ハジ(ルーマニア) 値です。これは明らかですね。グラスルー ーは次のようなものとなるのではないかと な成功を収めたわけではありませんが、非 は15歳でです。14歳まではクラブに入れ ツは人生の教育を向上させます。そして、 思います。 常に素晴らしいキャラクターの持ち主で ず、自分で練習してきたのです。このよう 健康的であること。最近の子どもの多くは、 す。彼自身、レアル・マドリードでプレー に、誰もがさまざまなレベルでグラスルー 非常に不健康になってきています。体育の していました。 にはU-18ヨーロッパ選手権を優勝したと サッカーはスキルフルでなくてはなりま きのフランスのユース代表チームのキャプ せん。スキルは才能を表現するためのもの ツから生まれてきます。そして、もうそれ 授業の内容でもカバーしきれていません。 テンでした。 です。そして、アトラクティブでなくては 彼の言葉です。「私はいつも結果にはあ 以上高いレベルでプレーすることができな サッカーは健康の価値を提供することがで なりません。つまり、良いトレーニング環 まり関心がなかった。それが子どもたちの くなったら、またグラスルーツに戻ってい きます。サッカーの社会的価値も侮っては 境、良い大会があること。そして、教育的 教育に役立つかどうかのほうが大事だっ くのです。 いけません。多くの国で、実にたくさんの でなくてはなりません。若いプレーヤーが た」。そして、サッカーというゲームの精 トラブルや問題が見られます。さまざまな 学ぶことは単にサッカーだけのことでな 神について、私は、最終的には指導者に責 人々をひとつにするのもサッカーです。こ く、人生全体のことです。そして、フェア 任があると考えています。 の社会的な影響力は計り知れないものなの でなくてはなりません。同時にコンペティ です。 ティブでなくてはなりません。コンペティ もちろん、スポーツの面でのインパクト ティブであるということは、エリートレベ があります。ここから何人ものプレーヤー 【スライド6】 ルでは勝つことを学ぶとともに、負けをも が生まれています。そしてまた、レフェリ ジグソーパズルの2つ目のピースです。 学び、負けをどう受け入れるかを学ぶ必要 があるということです。 ディシプリン、規律がなくてはなりませ ーも将来の監督も、オーガナイザーもファ フィロソフィーを決定したら、グラスルー ンも、グラスルーツから生まれているので ツについて見てみましょう。 す。グラスルーツは子どもたちを惹きつけ、 ん。冒険、挑戦であるべきです。若いプレ 親を惹きつけます。皆さんがコミュニティ ーヤーの視野には冒険がなくてはなりませ 【スライド3】 ん。個人的であることも非常に重要です。 ーに何かを与える場合、コミュニティーか 【スライド5】 【スライド7】 【スライド8】 らその分何かの見返りを得ます。クラブは ジグソーパズルです。今から、私はジグ もちろんチームを指導するのですが、個人 サッカーは、私にとって、非常にコンペ ソーパズルのピースを1つずつ組み合わせ に対応しなくてはなりません。個人の1人 ティティブなものです。しかし、同時にス 4つの段階があります。まずファン、楽 このことを学んでいます。サッカー、それ て、ティエリ・アンリや今、活躍している 1人が集まってチームをつくっているので ポーツマンらしい態度を伴っていなくては しみの段階。これは8歳以下です。そして、 も特にグラスルーツをサポートすることは その他のプレーヤーのようなプレーヤーを す。そして、当然のことながら、安全でな なりません。キーワードはリスペクト、敬 次に来るのが、もっとも重要な段階です。 良いことであると。ヨーロッパでは現在、 つくり上げていきます。どのようなピース くてはなりません。私たちは、彼らを常に 意です。レフェリーに敬意を払う、相手に 9歳から12歳の間。基礎段階です。この段 多くの政治家がグラスルーツの発展や施設 が全体像をつくり上げていくのでしょう? ドラッグから守らなくてはなりません。ま 敬意を払う、コーチに敬意を払う、ルール 階で基本的なテクニックを学びます。テク に投資しています。そのことが政治家であ 育成のプロセスにはどのようなものがある た、トレーニング環境・内容が安全なもの に敬意を払い尊重する、観衆に敬意を払う、 ニックばかりではありません。ゲームの簡 る彼らにとって価値のあることだと見てい のでしょうか? かどうか、確かめなくてはなりません。 サッカーの伝統に敬意を払う、サッカーと 単なコンセプトを学ぶのです。シンプルな るからです。そして、もちろんビジネスの 4 そのことを学んだのです。政治家もまた、 5 The Big Picture 要素での価値もあります。 代になると、男女別のグループになりま 人数を少なくしたスモールサイドゲー とを奨励し、働きかけるようにすべきです。 私たちは、タレントをマネジメントしな スタッフ、アドミニストレーターらがこ ドイツ代表監督であり、私たちの良き友 す。グラスルーツサッカーには、差別は ム。子どものころには、彼ら自身がスモー 無視してはいけません。グラスルーツはサ くてはなりません。つまり、若者に接し、 れに当たります。環境面での外的因子に 人であるユルゲン・クリンスマンがこう言 ありません。そして、ダイナミックでシ ルサイドゲームの方をしたがるものです。 ッカーの非常に重要な一部なのです。皆さ 付き合っていくことです。これは簡単な仕 は、対戦相手があります。ヨーロッパの っています。「グラスルーツサッカーは、 ンプルで、エキサイティング、そして実 特にグラスルーツレベルでは。プロのクラ んのチームのプレーヤーも、いつかこのグ 事ではありません。彼らのモティベーショ 多くの国でアカデミーがゲームのプログ 年齢、性別、体格、体型、能力レベル、国 りがあるもの、何かを得ることができる ブの中には、非常に能力の高い子どもたち ラスルーツから生まれ出てくるのです。 ンを高めなくてはなりません。彼らを刺激 ラムをコントロールしようとしているの 籍、信条、民族いかんに関わらず、すべて ものであるべきです。 を集めているようなところでは、11歳や しなくてはなりません。そして、彼らをキ はこのためです。対戦相手。また、メデ ープしなくてはなりません。 ィア、観衆などがあります。子どもたち の人のためのものである」。このことに尽 そして、安全であること。プレーヤー 12歳で11対11を始めているところもあり きるのです。皆のためのものである、とい ズ・ファーストであること。フェアプレ ますが、これは例外的です。グラスルーツ 彼らをキープするというのは、魅力的な うことがもっとも重要なのです。 ー。私はこれらのことを繰り返し言い続 レベルでは、スモールサイドゲームでプレ 競争、優れたリーダーシップ、そしてすば 親をコントロールして、彼らがゲームで けています。非常に重要なことだからで ーします。5対5だろうと、7対7あるいは9 らしいプログラムが必要であるということ コーチングをしないようにしなくてはな す。グラスルーツサッカーでは、関わり 対9でもかまいません。子どものサッカー です。若者をマネジメントするためには、 りません。レフェリー、政治家、彼らも 合い、チームワーク、スキルの発達が中 にはミスマッチはなし。10-0といったゲー 彼らの夢をマネジメントしなくてはなりま また、環境面の外的要因に入ります。 心となります。カップではありません。 ムはないようにします。コンスタントに反 せん。彼らの強い点と弱い点を評価しなく どのような危険があるのでしょうか? メダルでもありません。そしてもちろん 復できるようにします。 てはなりません。ディシプリンと決断力の 非現実的な期待。 「お前はスターだよ」と、 お金でもありません。 自己充足感、満足できること。私たちは 部分に取り組まなくてはなりません。常に 11歳ですでに親がスター扱いをします。 彼らに常に教え続けるのではありません。 やっていることに対し、クオリティーを求 そして、結局は何にもならないで終わる ーのフィロソフィー。残念ながら、多く そんなことをしていたら、彼らはロボット めていかなくてはなりません。そしてポジ のです。他に何か興味があることができ の国では、もう子どもたちがストリート のようになってしまうでしょう。そうでは ティブであること。「ネバー・ギブアッ た。成功しない。けが。私は今まで多く で楽しむことはできません。我々、UEFA なく、子どもたちが自分で達成し、満足す プ・メンタリティー」 。 のプレーヤーを見てきて、18歳・19歳で では、ストリートサッカーのフィロソフ るようにしなくてはなりません。そして、 ィーを信じています。我々のグラスルー 子どものサッカーには楽しみとイマジネー ツの中にストリートサッカーを再創造し ションがあるようでなくてはなりません。 タレントと、それを指導するコーチについ ようとしています。 これが、私たちのメッセージです。「ボー て見てみましょう。 子どものサッカー。ストリートサッカ 【スライド9】 現在、私たちはUEFAグラスルーツ憲章 【スライド13】 では、グラスツールから次のポイント、 そして、次に向かうメンタリティーもこ スター選手だったプレーヤーがけがをし こに加えておきましょう。何かがうまくい て消えてしまった例を数え切れないほど かないときは、 「次こそは」です。 見てきました。プレーさせ過ぎ。同時に プレーをさせなさ過ぎることにも注意し ルを心の近くに」 。 なくてはなりません。ファーストチーム を作成中です。この憲章を各国協会に渡 に入れない若いプレーヤーはスイッチを します。あらゆる基準について触れられ 切ってしまいます。 ています。各国協会がこの基準に適合さ 【スライド10】 ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)では、 とスモールサイドゲームをするときには、 仲間のグループからのプレッシャーに せ、適切なプログラムを持つのであれば、 よって、サッカーから逃げていってしま UEFAが彼らのプログラムを保証し支持し うかも知れません。リーダーシップが不 ます。我々はプロモーションも実施中で 足していたら、良き指導者やアドバイザ す。話をしているだけではなく、実際に ーに恵まれなかったら、やはり逃げてい さまざまなことを実行しているのです。 グラスルーツについて、このようなフィ その際には、子どものサッカー、ストリ ロソフィーを持っています。(スライド ートライフが、そのフィロソフィーです。 9・10)これらが基本原則です。誰でもプ もはやストリートの環境はありませんが、 レーするチャンスがある。口で言うだけ ストリートのメンタリティーは持ち続け ではなく、実行しなくてはなりません。 ています。 【スライド15】 【スライド14】 【スライド12】 2つの問いがあります。あなたはサッカ タレントマネジメント。どのようにすべ きでしょうか? ってしまうかもしれません。 先日、ブラジルで行われたカンファレ タレントに影響を与える因子にはどの ンスで、ベルナルジーニョが講演をしま ようなものがあるでしょう。この表は、 した。彼はブラジルのバレーボールチー それを整理したものです。パーソナル、 ムを率いて、金メダルを2回獲得した監 ーのために何ができるか?そして、もう1 私たちは、これらのタレントを見つけな 人に関わるレベルと環境のレベルとがあ 督ですが、彼のメッセージは我々にも非 私たちは実際に、皆に来てプレーするよ つの問いがあります。ここにいるのが子ど くてはなりません。つまり、優れたスカウ ります。そして、外的な要素と内的な要 常に意味のあるものだと思います。彼は う励ましています。サッカーはどこにで もたちであれば、私はこう問いかけるでし ティングシステムが必要です。そして彼ら 素があります。 こう言いました。「豊かな才能、熱心な取 もあるものです。誰でもプレーするチャ ょう。「サッカーは君のために何ができる を惹きつけなくてはなりません。つまり、 ンスがあると言いましたが、これにはも だろうか?サッカーというゲームは君の成 ちろん女子も含まれます。女子は人口の 長にどのように役立ちうるだろうか?」 50%を占めるのですから。彼女たちもま グラスルーツの場合は、2つ目の問いに た、サポーター、レフェリー、オフィシ なります。若い子どもたちが進歩し成長し ャルなど、あらゆるものになります。自 ていくために、サッカーは何ができるだろ 分の子どもたちにサッカーをするよう励 うか、ということなのです。 ましたりもします。ですから、グラスル 【スライド11】 ーツサッカーが、男女両方のためのもの であるということは非常に重要なことで す。特に子どものときには一緒です。10 6 子どものサッカーについて。フィロソフ ィーはどのようなものでしょうか。 例えば、プレーヤー自身には個人的な り組み無し。これは駄目。いくらかの才 すばらしい環境と優れたプログラムが必要 影響と内的な影響があります。彼の闘争 能があり、熱心に取り組めば、プロにな です。そして、タレントを育てなくてはな 心であったり、モティベーション、コン れるかもしれない。豊かな才能があり、 りません。つまり、当然クオリティーの高 ディションなどです。それから、パーソ 熱心に取り組めば、スーパースターにな いコーチングが必要となります。 ナルで外的な影響もあります。家族や友 りうる」。これは、若者たちに非常に有用 人たち、エージェントなどです。これら なメッセージです。 現在、UEFAではUEFAのライセンスを 取得しているコーチが15万人います。つ がパーソナルレベルの外的影響因子です。 ヒーローやアドバイザーも含まれます。 UEFAでは、メリディアンカップと呼 ある意味、誰もがグラスルーツのプレー まり、私たちは指導者養成に対し、そして ヤーです。現在、プロのコーチとしてここ グラスルーツレベルにも指導者にライセン 今度は環境的な面で内的影響因子を見 ヨーロッパとアフリカの間で行われてい に来ている皆さんも、関心を持つべきです。 スを取得させることに、非常に真剣に取り てみましょう。当然、学校での先生がい て、U-17のトップ4がプレーします。前 皆さんも、グラスルーツで起こっているこ 組んでいます。 ます。コーチングスタッフ、メディカル 回行われたこの大会で、若いプレーヤー ばれる大会を行っています。この大会は 7 The Big Picture たちに尋ねてみました。ユースコーチの 正しさは素晴らしいものがあります。そ チームの良い例について話してくれまし 止しています。ナショナルセンターに多 クスには600人いたと思います。そして、 ティの発達だろう」。これらがキーとなる クオリティーはどのようなものだろうか。 のように教育されているのです。 た。彼らのコーチングスタッフの中には、 くの問題が起こったため、現在ではクラ その中から1年に1人、ファーストチーム でしょう。 ユースコーチはフィットネスについて 私の同僚であったジャック・クルボアジ ブベースで行っています。イタリアやス に上がれればラッキーなのです。 1つ目の答え。コーチは誠実であるべ 知っていなくてはならない。そして、自 エというコーチがいます。彼は非常に素 ペインやポルトガルに言っても、ユース スティーブ・ハイウェイは、リバプー 場合には、当然テクニカル面の卓越、サ きである。実際に接しているコーチの多 分自身がロールモデルとならなくてはな 晴らしい心理学者です。彼らはフランス 育成は国の協会よりもむしろクラブ主導 ルのアカデミー担当者です。彼はこう言 ッカーの運動能力、戦術的ノウハウ、そ くは、自分たちに対して誠実ではない。 りません。 の少年たちの感情の安定性、ストレス・ で行われています。しかし、フランスの っています。「成功したら夢がかなったと してメンタルパワーについて話します。 若いタレントプレーヤーを指導する場 マネジメントに取り組んでいます。集中 センターは、たとえそれが一般的ではな いうことだ。もしも成功しなかったとし メンタルパワーについては、勝つことで わない。「お前は絶対にスターになるよ」、 合、タレントを扱うタレントが必要なの 力。リバウンド・メンタリティー。グル いにしても、非常に成功しています。こ たら、少なくとも夢の一部を生きたとい す。スヴェン・ゴラン・エリクソン(イ そう保証してくれるけれどそれは実現さ です。タレントプレーヤーに接するため ープ・ダイナミクス、セルフ・アウェア のことで1つキーとなることは、コーチの うことだ」 。 ングランド代表監督)が先日こう話しま れない。また、近づきやすく、親しみや に何をするのかを自分自身でわかってい ネス(自分自身の気づき)、自己批判がで 再教育です。指導者は当然、自分自身を オランダではこれらのアカデミーに関 すくあってほしい。父親のような感じが る必要があります。ユースプレーヤーと きること。 再教育していかなくてはなりません。し し、協会は121の基準を提示しています。 した。「ウィニング・メンタリティーは、 スーパーマーケットで買えるようなもの ほしい。そして、もちろん、モティベー 接するときには、エリートレベルであっ アーセン・ベンゲルからのコメントで かし、公式的な方法でも行うべきです。 クラブはそれに適合していなくてはなり ではない。自分で獲得しなくてはならな ションを高めてくれる人でなくてはなら ても、それは教育のプロセスであるとい す。「タレントであるだけでは足りないん ません。彼らがその基準を満たしていれ いのだ」と。 ない。コーチ自身が情熱的である必要が うことです。彼らはまだ満開の花盛りで だ。意欲とサッカーのインテリジェンス 交換の研修を行っています。ユースレベ ば承認されます。その承認は、1つ星、2 そこで問題になってくるのは、何歳の ある。なぜなら彼らの感情、情熱がプレ はありません。まだ成長の途中なのです。 がなくてはならない」。自分のキャリアが ルのクラブのコーチが互いに会ってアイ つ星、3つ星などといったものです。5つ ところでこの面の発達をスタートするべ ーヤーにも伝わるからです。 そして、自由の枠組みをしっかりとつく 常により良くなるようにマネジメントす ディアを交換するのです。ユースレベル 星のクラブであれば、それは非常に素晴 きなのだろうかという点です。そして、 らなくてはなりません。 る意欲。そして、間違いを正すことので では教育について考えるときに、それは らしいということです。我々UEFAでは、 元々生まれつきハングリー精神の持ち主 きるサッカーのインテリジェンス。理解 コンペティションとは別のものです。そ これをヨーロッパ全体で実施しようとし なのでしょうか?そういう人もいるでし 彼らの答えをご紹介します。 「来週はお前を使うよ」と言っておいて使 ゲームを読むことができる。なぜなら、 コーチ自身がゲームを読むことができな 以前は、トレーニングというものは、 ヨーロッパのトップクラブの多くは、 プレーヤー育成のゴールについて話す ければ、プレーヤーを助けることなどで すべて大きな入れ物に入った知識を各自 し、自分自身を向上させていくことので れは教育であり、相互に助け合うことで ています。これらはすべて、すべての人 ょう。勝利を強調し始めるのはいつがい きないからです。これは言うのは簡単な の頭に少しずつ注ぎ込むようなものでし きるサッカーのインテリジェンス。「もち す。アイディアを交換し、全員が向上で をより高いレベルへもたらすためのスタ いのでしょうか?私は、スポーツではす ことです。どのようにしてその力を高め た。あるいは「パスはこうやって出すの ろん、私は技術的に優れていてスピード きるようにするのです。そうすることに ンダードを上げようというものです。 べて同じだと思います。とても歳が小さ るのでしょうか?プレーヤーとして指導 だ」と見せる。そしてこう言う。「OK、 のある選手をピックアップしたいと思っ よって、ゲーム自体が向上していきます。 ルシェンブルゴは4週間前に、私にこう いときには、もちろん彼ら自身は勝とう を受けてきた長い年月にわたって、そし この通りやってみろ」。これには1つ問題 ている」。アーセナルがプレーするような もちろん、大会でプレーするときには、 言いました。「プレーヤーにとって大切な とします。しかし、我々はそれを彼らに て、また自分自身で学ぶことです。時間 があります。プレーヤー全員があなたを ゲームでは、スピードがあり運動量がな 試合に勝とうとするでしょう。 ことは才能をシェアし、自己中心になら カップやメダルを与えることによって過 をかけて教わることによって、自分自身 真似して同じようになるということです。 くてはなりません。しかし、アーセンに しかし、教育に関してはそれ以上のこ ないことだ」。これは若いタレントプレー 剰に強調すべきではありません。彼らが とです。ポール・スコールズの言葉です。 でインストラクターからゲームの読み方 を身につけていきます。 もう1つの問題は、何をしようとして いるのかが相手に完全に読まれてしまう とってキーとなる要素は別のものでした。 意欲とインテリジェンスだったのです。 ヤーと接する上で非常に重要なことです。 10代になったら、勝利の重要性をもう少 「私は素晴らしい価値を与えてくれたクラ 才能ある若いプレーヤーは、貪欲になり しずつ強調し始めることができるでしょ ユースプレーヤーたちは、コーチは人 ということです。もちろん、直接このよ ブに対し、これからもずっと恩義を感じ ボールをキープしがちです。フランスの う。しかし、忘れてはなりません。私た 望の厚く、誰からも尊重される人である うに教えなくてはならないときもあるで 続けるだろう。最高のユースアカデミー、 U-17代表がヨーロッパカップで優勝しま ちは負けるためにサッカーの試合をプレ べきであると言っています。 しょう。あることに対してはどのように マンチェスター・ユナイテッドのユース したが、実に才能豊かな攻撃のプレーヤ ーするわけではありません。気をつけな やるかを示すことが大切です。 アカデミー・システムを経験することが ーが3人いました。本当に素晴らしいプレ くてはならないのは、私たち自身がゲー できたことを永遠に誇りに思い続けるだ ーヤーたちです。ひとつ批判をするとし ムに勝たそうとすることで選手の育成を ろう」 。 たら、それは彼らがまだ若くて、真のチ 損なうようなことをしない、ということ なのです。 また、フェアであり、えこひいきのな いこと。安定していること。これらは皆 ユースプレーヤーたちの意見です。 しかし、ダイレクトティーチングだけ では駄目なのです。ここにはパーフェク 高いスタンダードを設定すること。忍 トなテクニックなどありません。コーチ バイエルン・ミュンヘンでは、プレー ームプレーヤーになるにはどうしたら良 耐強く接してくれること。あらゆる部分 ングマニュアルにはこう書いてあるでし ヤー育成に多額の投資をしていますが、 いかをまだ学んでいないということです。 でサッカーの専門家であること。1対1の ょう。「ボールをつま先で蹴ってはいけな ファーストチームに上がる選手はわずか 彼らはまだ個人のプレーが先行していま 読むということになります。ミシェル・ 関係に非常に長けていること。 い」。本当ですか?だとしたら、誰かロナ しかいません。それでも、彼らの取り組 した。もちろん、その部分を彼らから奪 プラティニに尋ねてみました。 「ミシェル、 元プレーヤーであること。これは絶対 ウド(ブラジル)に言ってやってくださ みは素晴らしいと思います。彼らはその っていいかと言えば、そんなことはあり 君の最高のクオリティーは何だろう の条件ではありませんが、元プレーヤー い。2002年FIFAワールドカップでのトル 成果をこのように評価します。プロチー ません。しかし、バランスを見出さなく か?」。彼は即座に答えました。「ゲーム であることは良いことです。そのことで コのチームはどうだったでしょうか。 ムに何人上がっただろうか?他のプロチ てはなりません。非常に興味深いプレー を読むことだ」。私「本当に?君のそのテ ームには何人上がっただろうか?ドイツ ヤーたちでした。非常にタレント豊かな クニックではなく?動きでもなく?」「い および海外の代表選手が育ったろうか。 若者たちでした。成熟してチームプレー や、違うね。ゲームを読むことだ」「どう プレーヤーの市場価値。メディアのポジ ヤーになっていくことでしょう。自己中 やって身につけたんだい?」。彼は言いま 心でないことは重要なことです。 した。「子どものころ、父親とゲームを観 戦術的ノウハウに関しては、ゲームを 信頼感があります。また、そのことでプ 私たちは、もちろんバラエティーも伸 レーヤーは敬意を払い、彼がこの世界の ばさなくてはなりません。教育というの 物事をよく知っていると考えます。それ は、引き出すことを意味します。中から が災いすることもあります。 発展させることです。後ろに立って見て ユースの構造はどのようになっている ティブなレポート。プレーヤーのビジネ いて、必要なときには立ち入り、あるい のでしょうか。ジグソーパズルの5つ目の スでの成功。地域サッカーとの連携のレ 将来のユースサッカーの発展のポイン 人生のスキルについて、振舞い方につい は引くのです。私は最小限の手助けしか ピースです。 ベル。プレーヤーやサポートの提供。つ トはどのようなものでしょうか。ルイ 彼の父親は優れた指導者でした。彼は てのことです。フランスのクラブでトレ しません。プレーヤー自身に自分で答え ーニングセッションに行くと、プレーヤ を見つけてほしいからです。 方向性を示してくれる教師であること。 【スライド16】 に行ったときさ」 。 フランスが協会主導でナショナルセン まり、彼らはファーストチームに上がる ス・ファン・ハールは、アヤックス・ア 子どものころに父親と試合を見ていたと ターを持つのは、それほど一般的な状況 プレーヤーのことだけを考えているわけ カデミーの発展の中心人物の1人です。彼 きのことです。ボールが飛んできて、あ ーが全員寄ってきてしっかりと挨拶をす メンタル面については、先ほどクロー ではないかもしれません。イングランド ではないのです。多くのアカデミーには はこう言いました。「将来のユース育成の るプレーヤーがそれを胸で受け、その瞬 るのです。フランスのプレーヤーの礼儀 ド(・デュソー氏)が、フランスユース では以前持っていましたが、現在では中 何百というプレーヤーがいます。アヤッ 焦点は、戦術トレーニングとパーソナリ 間にウィングプレーヤーに出したのです。 8 9 The Big Picture ミシェルはびっくりして尋ねました。「ど ん。もちろん勝者がいますが大会はプレ ころです。リザーブチームを持っている うやったんだろう?」 。父親は答えました。 ーヤーを育てます。育成のための手段な チームもあります。マンチェスター・ユ チームのために。全員が守備をするとい のです。 ナイテッドは、リザーブチームを2つ持っ うことです。ヘンリク・ラーションがスウ プレーヤーの少ない大きなスペースにロン これは批判的なコメントです。デンマ ています。1つはファーストチームから外 ェーデンがボールを失ったときに、ライン グボールを入れる。UEFAチャンピオンズ ーク代表監督のモルテン・オルセンです。 「ボールが来る前に見ていたのさ」。その 時からミシェルは、自分自身が常に周囲 を観て、何が起こっているのかをボール ばなくてはなりません。 パスを狙うのです。そのノウハウを覚える 必要があります。クラシックカウンター。 れているエリートプレーヤーのチーム、 をずっと下がって、相手をライン際に追い リーグでは、中盤でボールを奪ったらプレ が来る前に観るようになったと言います。 「クラブはあまりにも精神や勝利への意思 もう1つは成長途上の若いプレーヤーのチ に行ったところを見ましたか。 ーヤーの一群がコレクティブカウンターを ヨーロッパのユースレベルには、指導 力に焦点を当て過ぎ、プレーヤーの技術 ームです。国によってはU-21リーグを行 者養成、グラスルーツ、アドミニストレ 面の育成を怠っている。彼らはプレーヤ おうとしているところもあります。 ーション、レフェリングがあり、その上 ーに考えることを教えない。技術面で優 あるいは、例えばスペインではレア に大会があります。U-19男子と女子、U- れた能力を持つのと同時に、考えること ル・マドリードなど、2部にチームを持っ 17、各国協会の全国、地域大会。メリデ ができなくてはならない。先のことを考 ていて、タレントプレーヤーを下のリー ブロックを破るということ。ヨーロッパ ソロタイプもあります。ティエリ・アン ィアンカップは先ほどお話した大会です。 えることができなくてはならない。もし グでプレーさせ強化し、またファースト 選手権で見られたように、10人のプレー リは、決勝で1ゴールを決めました。ハー そして最終的にはFIFAワールドカップ。 ペース。バックスがスピードに欠けてい しかける場面が見られます。ボールを奪っ たら、問題を抱えることになるでしょう。 たら素速いコンビネーションプレーでディ クイックネスというのは、素速く状況を見 フェンスが組織を形成する前に攻撃をしか て、素速く動くということです。 けます。 も、国際レベルで活躍したいと思うので チームに上げるといった方法をとってい ヤーがブロックを形成してしまうと、進入 フウェーラインから1人で持ち込んだので 私たちは常に、プロモーションという あれば」。我々がプレーヤーにゲームを読 るところもあります。 するのは非常に困難です。この大会で見ら す。切り替えのスピードについては、常に 意味で、これらを高めようと取り組んで むことを教える際には、何が起ころうと また、例えばイタリアではリザーブチ れたのは、昔に戻ってアウトサイドを使う 言われています。このようにディフェンス います。テレビなどです。ヨーロッパ選 しているのか、どのように予想するかを ームを持たず、チームは1つしかありませ という方法でした。 をし、インターセプトをして、素速く攻撃 手権については、テレビでカバーされて 教えなくてはなりません。前に予測する、 ん。プレーヤーが本当に素晴らしければ、 でジグソーパズルは完成しました。トップ 多くのチームがアタッキング・ダイアモ います。私たちは常にできるだけ最高の 最中、後に振り返る。こういったことが チームに入れるということです。他のク レベルです。ここまで来てまだ注目されて ンド(ひし形のフォーメーション)でプレ 素速いフィニッシュというのは、なにもワ イメージを作ろうとしています。なぜな 要素になります。 ラブにレンタルするところもあります。 いるためには、けががなく、才能があり、 ーしていました。2人のワイドプレーヤー、 ンタッチのことだけを指すのではありませ ら、私たち全員がサッカーのプロモーシ これは実に難しい問題です。なぜなら、 よく教育されていて、サッカーの運動能力 1人が前、1人が後ろ。ポルトガルのよう ん。C.ロナウドやルーニーを見てください。 ョンを願っているからです。毎回のトレ 選手たちの自信をなくさせないように、 があり、少しの幸運もあり、それではじめ な形です。C.ロナウドとフィーゴがワイド 突破していくときにはスピードを上げてい ーニングセッションで、皆さんはサッカ 成長し続けさせ、成長を止める障壁をつ てトップレベルまで到達しうるのです。現 エリアにいました。デコはミドルとフロン ますが、ゴールキーパーと1対1になった ーを高めようとしているでしょう。毎回 くらせないようにしなくてはならないか 在、トップレベルではどのようなことが起 トの間にいました。そして1ストライカー ら減速し、そこで我慢比べです。彼らはゴ 毎回。指導者として、若いプレーヤーた らです。これは目下、ヨーロッパでも問 きているのでしょうか?2004年ヨーロッ です。スペインのユースチームは、ヨーロ ールキーパーが先にアクションを起こすの ちにゲームを伝えているでしょう。私た 題です。多くの外国人プレーヤーがメジ パ選手権、この大会から得られる育成への ッパ選手権で優勝しましたが、同じように を待っています。ゴールキーパーが片方に ちはこのことを忘れてはなりません。若 ャーな国に来ているからです。 示唆はどのようなものであり、どのような プレーしていました。ウイングを積極的に 身体を投げ出したら、逆に決めてしまいま 傾向が見られるのでしょうか。 使い、フルバックがオーバーラップを見せ す。 【スライド18】 ようやくトップレベルへ来ました。ここ をしかけます。素速くフィニッシュまで。 い子たちの前に出て行って、退屈なトレ プロのゲームとは。橋渡しのためには ーニングしかできなかったら、一体何が 我々は何を準備すべきでしょうか?大切 発展させられるというのでしょう。皆さ なのは必ずしも今日のゲームではなく、 なくてはなりません。若いプレーヤーを指 現在では多くのユースチームがこの形で ス感覚です。テクニックのクオリティーに んは全員がプロモーターです。 将来のゲームなのです。10年前のプレー 導する場合、彼らには若いうちから、ゾー プレーしています。ウィングを使ってプレ ついては当然のことで、これ以上ここで触 れる必要はないでしょう。 私たちは、それと同じことを大会のプ まず、ディフェンスに関して、適応性が ます。 スピードとスキルの融合。スピードプラ ヤーを準備することはできません。実際、 ンでプレーすることを教えるべきですが、 ーしています。彼らがトップレベルでプレ ロモーションで行っています。投資して だからコーチは常にゲームに先んじてい 同時に毎回のトレーニングでマン・ツー・ ーするようになるかどうかは、また別問題 スピードについて。ある点からダッシュ います。私たちはユースにお金を費やし なくてはならないのです。彼らを何に対 マンのプレーも身につけさせなくてはなり です。しかし少なくとも、彼らはどのよう でスタートする爆発的スピード。スピード して準備させるのでしょうか?ピッチ上 ません。 にウィングを使うのかを学んでいます。 持久力。デコがマンチェスター・ユナイテ ているのではありません。投資をしてい るのです。 というのは、後になって見返りを得る 【スライド17】 橋渡しとは何でしょうか?6つ目のピー のゲームはより技術的に、より戦術的に、 集中。どうすれば良いでしょうか。彼ら 中央を使った素速いコンビネーション。 ッドと対戦したときには、彼は13,000mも スです。これは非常に難しい部分です。 よりスピーディに、よりプロフェッショ に要求することです。例えば、ダブルペナ スピードとモビリティ。そして、ディフ 走っています。ピッチ上のプレーヤーの中 ことができるからです。皆さんは、政治 多くの国で、議論が続いています。ユー ナルに、よりコンペティティブになって ルティボックスで、ゴールキーパー有りの ェンスがより洗練されてきた時代になっ で最高の距離です。彼はピッチ上でもっと 家を説得しなくてはなりません。また、 スレベルからトップレベルに至る間の橋 きています。準備や食事といったものに 4対4をやっていて、4パスルールとします。 て、ソロプレーヤーの価値が高まってき もクリエイティブなプレーヤーであるばか 当然のことながら、大会のオーガナイズ 渡しはどのようにすればいいのでしょう ついても、よりプロフェッショナルにな パスを4本つないだら、1人で突破しなく ています。だからこそ、自分自身のトリ りでなく、距離も一番長くカバーしていた に関しては、深く入り込まなくてはなり か? ってきています。 てはなりません。1人でシュートかドリブ ックやアイディアを持つよう、促してい のです。このことが、スピードとスキルの オフ・ザ・ピッチではどうでしょう ルをしかけます。こうすることで、彼らの く必要があります。チャンスをつくり、 融合を強調します。 ません。実行しなくてはなりません。選 選手の中には、橋を飛び越していくも 手たちをより良く育成するには大会をど のもいます。今回、2004年ヨーロッパ選 か?よりプレッシャーが高まっています。 集中を高めることができます。常に考えな またチャンスを生かすことのできるプレ クイックテクニック。特にプレッシング のようにオーガナイズするか、マニュア 手権でも活躍したルーニー(イングラン テレビやメディア。より影響力が強い。 くてはならず、ルーズにプレーしているこ ーヤーの価値は計り知れないものがあり をかけられたとき。相手がプレッシングを ルや冊子などをつくらなくてはなりませ ド)やC.ロナウド(ポルドガル)は1年前 先ほどお話したエージェントなど。より とはできません。 ます。 かけてきたら、素速くそれをはずさなくて ん。 にユースの大会に出ていて、それで今回、 大金が絡む。より要求が高い。より制限 ヨーロッパ選手権に出て活躍した選手で も大きくなってきています。 私たちの観点では、ユースの大会はユ ース育成の手段、媒体です。大会は各協 す。大きな飛躍をした選手たちです。 ディシプリン。これも重要な要素です。 また、ブロックが形成されると攻撃が困 はなりません。 ディフェンスのディシプリン。意味もなく 難になることから、ブロックが形成される 相手の足を後ろから蹴るようなことはして 前に得点をすることが重要です。つまり、 です。どのようなボールを出すかがすべて はいけません。しっかりとスタンスをとり、 カウンターのメンタリティーです。カウン であり、それを壁に対して練習しなくては セットプレー。静止球を扱うテクニック 会がヨーロッパチャンピオンになること しかし、他のプレーヤーの場合はどう を示すためのものではなく、彼らがいか でしょうか?橋を一気に飛び越せないプ 時には特にペナルティボックスの中ではむ ターを狙うことを身につけなくてはなりま なりません。もっとも指導が難しいのは、 に優れているかを示すものでもありませ レーヤーもいます。ここが議論になると やみに近づきすぎないようにすることを学 せん。常にインターセプトを狙い、縦への 動き出しのタイミングです。先ほど、チャ 10 11 The Big Picture 田嶋幸三氏 © Jリーグフォト㈱ レンジは果敢にという話をしました。セッ た。先日会ったときに、彼は私にこう言い トプレーを決めるワンタッチ・フィニッシ ました。 「あの経験は私をサッカー選手へ、 ュは、瞬間のヘディングやボレーであるこ そして1人の人間へと変えました」と。彼 とが多いのです。 はその後チェルシーで長年にわたりプレー フリースピリットとは何でしょうか。デ 第4回 フットボール カンファレンスを終えて 田嶋幸三(技術委員会委員長) し、今はチェルシーのアシスタントコーチ コ、ジダン(フランス)、ネドベド(チェ になっているのです。 コ)、バラック(ドイツ)らのフリースピ ここにいる皆さん、皆さんは将来に触れ リット。これはどのように対応したら良い ているのです。そして、どれほど影響して でしょうか。私たちはリーダーシップを育 いるのかを、皆さんは知らないことが多い てなくてはなりません。このようなフリー のです。 スピリットは、ビッグタレントには必要な ユースプレーヤーの育成は、ワインの製 ことです。彼らはイマジネーションを持た 造のようなものです。それは一体どういう なくてはなりません。パーソナリティを発 ことでしょうか。プレーヤーもワインもゆ 2005年1月、日本サッカーにとって大き 「エリート」という言葉が自然に当たり前の もとで違った内容の講義もなく、それぞれ 達させなくてはなりません。言うのは簡単 っくりと熟成します。プレーヤーもワイン なスタートとなりました。1月1日、川淵三 ように出てきました。ヨーロッパでは以前 の年代に即したもの、ということで講義が も、我々の尊重を要します。両方ともが発 郎キャプテンより「JFA2005年宣言」が出 から、また他の分野においても、能力のあ なされていました。 ですが、実行するのは難しいものです。 【スライド20】 ヨーロッパ選手権では、コーチに関し 最高の環境、最高の若いプレーヤー、考 達し、指示を必要とします。プレーヤーも され、2015年に登録数500万人、世界トッ る者はそれに合った環境で育成されていま 今回のプレゼンテーションの内容もエリ てどのようなことを学ぶことができたで えられるあらゆる面で最高のクオリティー ワインも我々の注意を必要とします。プレ プ10、2050年までに日本でのFIFAワールド す。今回、このカンファレンスのアセスメ ートだけのものではなく、それぞれの年代 しょうか?ユースのコーチであってもト を提供すること。それをすることによって、 ーヤーもワインも、育っていくためには良 カップの開催と優勝、という明確な目標が ント(評価・意見など)の中で、 「全国には に理想とされるものを発表してもらったと ップのコーチであっても、トップコーチ ジグソーパズルが完成し、絵の全体像がで い条件を必要とします。そして、ワインと 設定されました。そして、それは単なるサ エリートの選手だけではないそれ以外の選 思っています。自分たちのチームがエリー であれば、当然次の試合に勝とうとしな きあがるでしょう。全体像を得ることがで 若いサッカープレーヤーは、何よりも育て ッカー協会の目標としてではなく、日本全 手の方が多いのに、エリートに特化して話 トではないから、といって理想的なものを くてはなりませんが、まず第一に重要な きるでしょう。 るための専門家に依存します。そこで皆さ 国の皆さんと双方向で交わされた約束とい されるのはいかがなものか」というような やらないということはないと思います。そ んの出番です。 う形で宣言されました。 意見が多く書かれていました。あるいは普 れが芝生のピッチではなく土のピッチでも、 のは教育です。コーチはよく教育を受け 私はティエリ・アンリに尋ねました。 ていなくてはなりません。自己学習と公 「ユース代表チームで海外経験をしたこと トップコーチは、ユースでもプロレベル では、その約束を果たすために、我々は 段でも報告や指導指針などに対し、 「トップ 可能なことです。例えばバイエルン・ミュ 式の学習両方を受けていなくてはなりま で、もっとも良かったことは何だったと思 でも、またトップオーガナイザーというも 何をしなくてはならないのでしょうか。世 に対するものと、一般に対するものの棲み ンヘンのU-12の子どもたちのプレーを見て せん。 う?」 。彼は答えました。 「その当時はその のは、詳細に非常にこだわります。細かい 界のトップ10の中に入るためには、大きな 分けがなされていない」といった意見が聞 いると、そのうまさにびっくりさせられま 次は情熱です。また、何をしようとし 価値について、何も分かりませんでした。 部分が差となるのです。このイベントの間、 壁が立ちはだかっています。日本より歴史 かれます。 す。しかし、そこからトップのプロチーム ているかについて、ビジョンがなくては 随分後になってやっと分かったのです」。 私は他の人と同じように、詳細を検討して のあるプロリーグ、莫大の予算を有してい なりません。コーチとして、実践的でな 若いプレーヤーは必ずしもそのときには、 きました。 くてはなりません。ヨーロッパ選手権の それがどれほど価値があるものか、分から トップコーチたちは、非常に実践的でし ないものです。 今回のカンファレンスで発表されたドイ に進む選手は2〜3年に1人いるかいないか るビッグクラブ、伝統…。我々が追いつけ、 ツのクラブでのユース育成、フランスが行 です。つまり、それ以外のクラブからバイ しかし、我々は常にビッグピクチャー、全 追い越せと努力して少しだけ背中が見えて っているユースのコンセプト、イングラン エルン・ミュンヘンのトップに進む者がい 体像を意識していなくてはなりません。ビッ きましたが、この壁は簡単には乗り越える ドのGK、UEFAのユースに関するコンセプ るということです。自分たちのクラブはエ た。そして、決断力がなくてはなりませ グピクチャーは、ビジョン、戦略、育成プロ ことができないのも事実です。 ト、もう一度この報告書を読み返してみて、 リートには関係ないと決めつけてしまうの ん。良い決断、悪い決断、決断なし、と セスと関わっているのです。皆さんが、若い 何もしないで今までとおり我々が進んで 非常に素晴らしく、よくまとめられていま は、皆さん自身が指導している子どもたち あります。一番悪いのは決断のないこと プレーヤーの育成に携わってくださっている いけば差が縮まっていくのかと考えたとき、 す。 の芽を摘んでしまうことにつながるのでは です。決断力がないと見なされるよりは、 ことに感謝します。ユースに携わることは、 このままでは縮まるどころかもっと差が開 そして、これがエリートの選手だけのも ないでしょうか。子どもたちの可能性は無 決断をするがときに失敗もする、という 非常に要求の高い大変な労力を要する仕事で いてしまうのではないかという危機感さえ のなのかと考えたときに、自分のヨーロッ 限大です。その子たちに理想的なトレーニ 方が良いのです。 すが、非常にやりがいのある仕事です。日本 感じています。日本と同じレベルにいる パでの経験を思い出しました。私は1983年 ング、環境を与える努力をしていくことは、 サッカー、そしてアジアのサッカーには、素 国々も、努力しています。オーストラリア から86年、西ドイツ(当時)のバイヤー04 指導者の務めだと考えています。是非、そ 晴らしい将来があります。そして皆さんすべ やアメリカは若年層に対してロジング形式 レーバークーゼン、SCヴェストケルンのU- れぞれの環境で、最大限の努力をしていた てが、ビッグピクチャーの不可欠な一部分を (寄宿制による強化)での強化を開始し、多 12のコーチとして、また、91年〜92年にバ だけるよう、切にお願いいたします。 【スライド21】 【スライド19】 今日のタレントは、明日のヒーロー。そ のための原則は何でしょうか? 12 構成しているのです。 くの選手をヨーロッパのクラブに輩出して イエルン・ミュンヘンで研修を行いました。 最後に、この近所にあるテーマパークを います。アフリカはもちろん、アジアの韓 レーバークーゼンでの子どもの指導、バイ 多くの改革を行ってきました。これは皆さ 2002年FIFAワールドカップの後、我々は これは数週間前にチェルシーのトレーニ 預かっていたあるジェントルマンの言葉で 国、中国、中東の国々もエリート教育を実 エルン・ミュンヘンでの子どもの指導、そ んの「変えなければ」という気持ちが力に ンググラウンドで撮った写真です。モーリ しめくくりたいと思います。そのテーマパ 施しています。 して、小さな街のクラブであるSCヴェスト なったと言っていいと思います。そのベー ーニョと私の間にいる人が誰だか分かりま ークというのはディズニーランドです。ウ このエリート教育に対する理解をしてい ケルンでの指導に何の違いがあったのだろ スにあるのは、プレーヤーズ・ファースト、 すか? ォルト・ディズニーはこう言っていました。 ただきたい、これがこのカンファレンスの うかと。確かにうまい子が多くいる、更衣 子どもたちの夢、笑顔です。そして、日本 大きな目的でした。日本の中でこの「エリ 室や施設が小ぎれいである、芝生のピッチ 代表が活躍することで、日本中を元気にし、 ート」という言葉を使うと、特権のある一 である等々の違いがあっても、指導者の接 勇気づけることができる。それくらいサッ 部の人たちのためだけの独自の世界の話の し方、教え方、親の反応に何ら変わりはな カーの社会的影響力が増してきています。 ように聞こえます。 いものでした。西ドイツB級ライセンスの 多くの期待と応援を背に、一緒に日々努力 講義の中でも、エリートとそれ以外の子ど していきましょう。 彼の名前はスティーブ・クラーク。私が スコットランド代表の監督をしたFIFAワ ールドユース選手権で、アステカスタジア 「夢はすべてきっとかなう。それを追求す る勇気さえ持てば」 ここにいる皆さんの成功をお祈りしま ム10万人の観衆を前にメキシコと対戦し、 す。どうぞ、皆さんのサッカーの夢を追求 スティーブが唯一の得点をあげたのでし する勇気を持ってください。 今回お招きした方々のプレゼンの中で、 13 ームにおいてはスタンダードとなっている。と くに、ボールを奪われた選手が間髪を入れずに 奪い返しに行く意識は浸透しつつある。 第83回 全国高校サッカー選手権大会 テクニカル・レポート(抜粋) 第83回全国高校サッカー選手 権大会・決勝戦/鹿児島実業 高校vs市立船橋高校より © Jリーグフォト㈱ 2004年12月30日から2005年1月10日まで国立競技場など首都圏各地で 「第83回全国高校サッカー選手権大会」 が開催 されました。決勝戦では鹿児島実業高校がPK戦の末、市立船橋高校を下して優勝、国見高校・星稜高校が第3位となり、 大会を終了しました。日本サッカー協会技術委員会および全国高校体育連盟サッカー専門部技術委員会では昨年度に続 き、 「高校サッカーテクニカルスタディグループ」 を編成、各試合を分析しました。今回は大西正幸氏 (高体連サッカー専門 部技術委員会委員/武蔵高校) がその内容の一部を紹介します。 1.イントロダクション 〜高校サッカーTSGの目的〜 国内のユース年代のサッカーはいよいよ 「高校」と「クラブ」がともに切磋琢磨してい 大きな局面としてとらえ、分析を試みた。 以下、抜粋を掲載する。 2.大会の特徴 (1)ロング・フォワード・ボールによる攻撃 ④コンパクトフィールドの形成と 度のないシュートに対するポジショニングな どに課題が見られた。 チャレンジ&カバー <ボールを囲い込む守備>積極的なディフェン ②ブレイクアウェイ スラインの押し上げで中盤をコンパクトにし、 広く守ろうという意識は感じられたが、全 きに、最終ラインのDFがすぐに適切なポジシ 機を見てボール保持者を囲い込む守備を行うチ 体的にスタートポジションが低かった。また、 ョニングをしているかというと疑問が残る。 ームが多く見られた。しかし、ファーストディ DFに促されてボールに出て行くシーンも多く 相手のボール保持者の状況を考えないライン フェンダーの決定の遅れや、セカンドディフェ 見られ、リーダーシップの欠如も感じられた。 コントロールをしているチームが多く見受け ンダーとのコミュニケーション不足から逆にチ ③クロス られた。 ャンスをつくられる場面が見られた。 (3)守備 <DFのラインコントロール>コンパクトな中 が少なかった。また、ロングスローに対して ①1対1(オンの守備) しかし、例えば前線でボールを奪われたと 守備範囲が狭く、積極的に飛び出すシーン 盤を形成するために、ディフェンスラインを もスタートポジションを変えたりしてスロア ボール保持者の状況を考えない対応が多く 押し上げるチームが増えた。しかし、とくに ーと駆け引きをすることも少なく、効果的と 見られた。積極的に奪いに行く意識を持ちな 攻撃から守備への切り替え時に、ボールへの は言えなかった。 がらも、相手の状況をよく観て対応を判断し、 プレッシャーの状況を判断せずにラインコン ④攻撃への参加 粘り強い守備をする能力を身につけさせる必 トロールするチームが多く、課題となった。 要がある。 (4)守備→攻撃の切り替え 手で持った状態からのキックの距離や精度 は向上している。しかし、キャッチ後、素速 チームの約束事として、ディフェンスライ くスローイングでフィードする場面は少なか 攻守が切り替わったときに「正しいポジシ ンでボールを奪っても前線にロングボールを った。また、積極的にパスを受け、ビルドア ョン」がとれず、背後を狙われるケースが多 蹴りこむゲームが多く、そこではボールを奪 ップに参加するプレーも少なかった。 かった。また、マークの受け渡しのタイミン った瞬間にGKやDFが行うべきサポートプレー い。プレッシャーの中や長い距離のパスの質 グとゴールを意識したポジション取りも課題 は見られなかった。また、盛岡商業高校や市 の低さも気になる。その中にあって、東福岡 となった。 立船橋高校などを除くと、チームとしてどこ 今大会では、ノックアウト方式ゆえリスク 高校の各選手のロングパスのスピード・精度 ③クロスの守備 でボールを奪うかを意思統一したチームが少 を犯さないサッカーを志向するチームが多か ②1対1(オフの守備) 4.まとめ ここでは、ボールと相手を同一視すること なく、それが効果的な速攻につながらない原 った。そのため「ロング・フォワード・ボー べきだろう。 が基本となるが、コミュニケーション不足か 因であった。さらにチーム全体としても、リ ルによる攻撃」が目立ち、中盤での厳しいプ ②コントロール らマークを見失い、失点するケースもあった。 スクを犯さないためか、DFやボランチが攻撃 レッシャー下での攻防が少なくなってしまっ は特筆に値する。これがスタンダードになる く「共生の時代」になった。JFAプリンスリー 今大会は、ディフェンスラインでボールを グU-18、高円宮杯全日本ユース(U-18)サッ 奪うと周囲の状況を観ず(判断せず)に前線 パスの質同様、比較的相手のプレッシャー クロスの守備が難しいと言われる中、多少相 に参加せず、二次攻撃につながらないケース た。日ごろからプレッシャーのある状況下で カー選手権大会では、すでにお互いの良さ、 にボールを放り込み、そのセカンドボールを の少ない自陣では正確だが、相手のプレッシ 手に遅れても、最後まであきらめずに身体を が目立った。 プレーすることが世界に通じる選手の育成に 弱さを認め合って、大きな収穫を上げている。 拾い攻撃につなげるという闘い方をするチー ャーが強くなる相手ゴール前では、精度が低 投げ出してゴールを守る意識も必要である。 (5)ゴールキーパー つながることを考えれば、選手・指導者が、 ユース年代の選手および指導者の活性化が、 ムが非常に多かった。 下し、決定機を逃したり、素速い攻撃のチャ また、それ以前に簡単にクロスを入れさせて ①シュートストップ ただ勝つだけではなく、 「良いサッカーをして ンスを失っているシーンが多かった。 しまうケースが多く、改善するべきだろう。 そのままサッカーのレベルアップに直結する のは間違いない。 しかし、実際はボールを奪ったときに相手 守備の態勢が不安定ならば前方へのパスを選 ③しかけ 急成長を遂げた日本サッカーは、当然アジ 択し、態勢が整っている状況ならばディフェ 各大会のテクニカルレポート(本誌Vol.3な ア諸国の大いに注目するところとなった。そ ンスラインや中盤でボールをつなぎ、攻撃す ど参照)などでも再三指摘されているためか、 して、各国はアドバンテージを大いに発揮し るスペースをつくり出す工夫をすることが、 どのチームにも積極的にしかけていく姿勢が て、猛追を始めている。 「今こそ、日本サッカ 良い攻撃につながる。ノックアウト方式の闘 見られた。しかし、世界レベルを考えると、1 ーの危機」であり、いつまでもアジアの頂点 いでリスクを回避しようとするあまり、ゲー 人で1〜3人を突破していくような技術を持っ に立っていられるわけではないという認識を ムの中で選手が成長するための大切な過程を た選手は見当たらなかった。 持つべき時代へと入ってきた。ユース全体を 避けてほしくない。 ④クロスの質 視野に入れた取り組みの中から、世界のトッ (2)攻撃と守備の分業化 質の向上は見られるものの、やはりプレッ プ10に立つべく明確な課題を抽出する取り組 リスクを犯さないという意味では、DFの攻 シャー下での精度は落ちる。また、クロスに みは、まさに日本サッカーの生命線と言える 撃参加の少なさ、攻撃の役割を担う選手に対 対する攻撃側の人数が少なく、チャンスに結 であろう。 する守備の軽減という傾向も見られた。世界 び付けられないケースが多かった。ここにも レベルでは、攻守にハードワークすることが リスクを回避しようとする姿勢が見られる。 は、高体連技術委員会の中の独立した組織とし 当たり前となっており、この年代以前からそ ⑤オフ・ザ・ボールの動き て位置付け、大会選考委員会とも切り離した組 の習慣づけをしていかなければならない。 織とした。また、その委員を大会開催都県(東 (3)ロングスロー 今回からテクニカルスタディグループ(TSG) オフ・ザ・ボールで良い準備をしようとす る意識は顕著に見られ、DFの視野から消える 京・神奈川・千葉・埼玉)から選出された方々 ロングスローのできる選手を有するチーム 動きなどには工夫が見られた。しかし、その に依頼したので、事前・事後の綿密な打ち合わ が非常に多かった。ロングスローはCKに匹敵 動きがボール保持者とのコミュニケーション せが可能となった。これはひとえに、今後の高 する攻撃の手段であり、手で投げるため、そ なしで行われ、チャンスに結びつかないケー 校サッカーを支える上で必要となる組織の改革 の正確性はCK以上である。しかし、守備側 スも多かった。 であり、中でもサッカーの質に直結し、我々の (DF・GK)の処理能力に問題が多く、そのた 目的そのものを実現させる組織である技術委員 めにロングスローの「乱発」という結果を招 会内部の改革である。 いていた。 昨年度の第1回目のレポート(本誌創刊号参 照)は立ち上げ直後ということもあり、準備不 3.テクニカル ⑥フィニッシュ フィニッシュに関しては日本全体の課題で あるが、今大会でもその課題が改善されたと は言いがたい。その中にあって、盛岡商業高 校の福士徳文選手、国見高校の渡邉千真選手 足の点もあったが、今回は焦点を絞った内容で (1)攻撃 の決定力はすばらしく、今後に期待したい。 技術・戦術分析に入ることができた。守備・攻 ①パスの質 (2)攻撃→守備の切り替え 撃の両面をとらえるのはもちろんのこと、攻守 約束事で前にボールを蹴ることが多く、状 個人戦術としての攻撃から守備への切り替え の切り替えの瞬間(守→攻、攻→守)も一つの 況に合ったパスの質を追求するシーンが少な については、ほぼ習慣化され、この大会の各チ 14 シュートに対してしっかり止まって対応す ることはトレーニングされている。ただ、角 勝つこと」を意識してトレーニングやゲーム を行う必要がある。 決勝戦の評価 第4回フットボールカンファレンス・海外講師が見た高校サッカー 第4回フットボールカンファレンスが準決勝・ 決勝と時期を同じくして開催された(1月8日〜 10日/本誌2ページ参照)。今回のカンファレン スのメインテーマは「ユース育成」であり、国内 から900人を超える指導者と、20か国におよぶア ジア各国からのゲストが参加し、ヨーロッパを中 心とした、国やクラブの育成の考え方を講義して いただき、さまざまな角度からユース育成のあり 方を検証した。 その海外から招いた講師の方々が、今回の高校 選手権の決勝戦をカンファレンス終了後に観戦 し、3名の方からコメントをいただいた。3名と アンディ・ロクスブルク氏 クロード・デュソー氏 (UEFA技術委員長) 両チームともよくオーガナ イズされたチームであると思 える。ユースの年代でこのよ うなテレビ中継や大観衆の前 © Jリーグフォト㈱ でゲームを行うことは、選手 や指導者のストレスとなることもある。しかし、 このような環境でゲームを行った選手は貴重な 経験をすることができたのではないか。 ゲーム内容に関しては、もう少し落ち着いて ボールを保持していくことが大切ではないかと 思う。不確実な技術と判断でボールを失うこと が多く、選手育成を考えると気になった。 また、フィニッシュの精度と判断が重要にな る。レベルが上がればゴール前の一瞬の差でゲ ームが決まってくるものなので、正確な情報収 集と技術の発揮が必要であるが、得点に絡む重 要な場面でのミスが目立っていた。 も「1ゲームだけでそのチームの評価や日本の育 成全体を語るとは不可能である」ということを前 提とした上で、決勝戦に関する感想ということで、 コメントを出していただいた。 (フランス国立サッカー学院前校長) ロングボールが多すぎることが一番気になった。 選手はここで終わりではない。不確実なロングボールを蹴り合っていても、選 手を育成することはできない。 © Jリーグフォト㈱ マーチン・トーマス氏 (イングランドサッカー協会GKコーチ) © Jリーグフォト㈱ GKの観点から言わせてもらえば、両チームともGKのスタートポジションが低い ときが多かった。DFとの連携と守備範囲を考えたポジショニングを常に心がけてい くことが重要である。 また、残念なことにこのゲーム全体でGKがスローで味方にパスをしたのは、両 チームを通じて1本しかなかった。もっとGKを含めて、チーム全体でボールを動か すことを考えてゲームを構成していくことが必要であると思われる。 15 What's? JFA2005年宣言 ホワッツ 珠玉のひとこと その 7 ホルガー・オジェック (FIFAテクニカルデベロップメントヘッド・元浦和レッズ監督) 夢の実現に向けて 私たちが取り組むこと 「自己満足は進歩を殺す」 日本サッカー協会は2005 年1月1日、 「サッカーを通じ て豊かなスポーツ文化を創造 し、人々の心身の健全な発達 と社会の発展に貢献する」と いうJFAの理念を、これまで 以上の力をもって推進し、ま た後世にわたって遂行し続け ていくために、 「Dream〜夢 があるから強くなる〜」をス ローガンに、 『JFA2005年宣 言』を行いました。 技術委員会でも、この宣言 に基づき、さまざまな施策・ 改革を推進していきます。 2005年1月1日、川淵三郎キャプテンが高らかに「JFA2005年宣言」を発表 © Jリーグフォト㈱ JFA2005年宣言 Holger Osieck 2005年1月、千葉県浦安市で開催された第4回フットボールカン © Jリーグフォト㈱ べきだ。なぜなら、人を納得させようと思ったら、人を導こうと © Jリーグフォト㈱ ファレンスに、国際サッカー連盟(FIFA)を代表して来日したオ 思ったら、私たちがプレーヤーを育成する際に自分自身が納得し、 ジェック氏の言葉だ。 確信を持っていなくてはならない」とも力強く語った。 氏は1990年FIFAワールドカップ・イタリア大会でフランツ・ベ 『自分を客観視すること』 、 『自分を批判すること』はなかなかでき ッケンバウアー監督のアシスタントコーチを務め、当時西ドイツ ることではないが、新年度を迎えるにあたって、気持ち新たに一 の3度目の優勝を経験している。1995〜96年の2年間、浦和レッズ 度自分を客観的に見つめてはいかがだろうか? 監督を務めたコワモテの大柄なドイツ人といった方がわかりやす JFAの理念 サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。 いかもしれない。 指導者として、代表チーム(西ドイツ代表コーチ、カナダ代表 JFAのビジョン JFAの約束2015 サッカーの普及に努め、スポーツをより身近にすることで、人々が幸せになれる環境を作り上げる。 サッカーの強化に努め、日本代表が世界で活躍することで、人々に勇気と希望と感動を与える。 常にフェアプレーの精神を持ち、国内の、さらには世界の人々と友好を深め、国際社会に貢献する。 監督)やドイツ、フランス、日本、トルコでプロクラブの監督を 場合によっては、選手に批判してもらってもいいかもしれない。 務めただけでなく、2002年FIFAワールドカップ時にはFIFAテク そして、しっかりと指導者としての自分の強みと弱みを認識した ニカルスタディグループの一員としてゲームを分析する活動も行 上で、自分のスタイルを練り直し、新しい春をスタートさせては っている。 いかがだろうか? 2015年には、世界でトップ10の組織となり、ふたつの目標を達成する。 1.サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが500万人になる。 2.日本代表チームは、世界でトップ10のチームとなる。 「向上したいのであれば、自己批判的でなければなりません」とも 2050年までに、すべての人々と喜びを分かちあうために、ふたつの目標を達成する。 1.サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが1000万人になる。 2.FIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表はその大会で優勝チームとなる。 「自己批判的であることは非常に重要なことですが、自分に既に何 カンファレンスの休憩時間に、受講者として参加していた浦和レ ができて、これから何をしなくてはならないかについて目を向け ッズの教え子たちとうれしそうに談笑している顔が印象的だった。 表現した。 しかし、決してネガティブな意味ではない。 JFAの約束2050 いつも、よその指導者のチーム作りや采配を批判しているよう に、指導者としての自分を批判してみてはいかがだろうか? 氏は1,000人が入る大きなホールで、マイクがいらないほどの大 声と迫力あるゼスチャーで演台に立つ姿とは裏腹に、日本に来る と必ず浦和の行きつけのバーに顔を出す義理堅い人情派らしい。 なくてはなりません。 」 関口潔(JFA技術部) さらに、 「どれか1つの方法に心を決めたら、それに確信を持つ ★このページでは、JFAが推進している事業や活動、サッカーに関する用語・事項を毎号1つ紹介・解説していきます。 16 17 活動報告 ユース年代の日本代表チーム U-20日本代表はカタールに遠征、 U-15日本代表は香港へ アルジェリアは、これまで体験したことのないようなマンツーマ 2005年FIFAワールドユースに 向けた強化〜カタール遠征 試合開始から韓国の特徴であるディフェンスラインからの長いボー ンツーマン・ディフェンスで、なかなか前を向くことができなかっ ルに苦しみ、チーム全体が下がり気味になり苦しい時間帯が続いたが、 た。また、マンツーマンでできたスペースをうまく使うことができ 前半の中盤ぐらいからカウンターで日本もチャンスができてきた。 ず、攻撃にも良いリズムをつくることができなかった。これは前線 だが、相手が長いボールを早めに入れてくるため、前線でのプレ の動き出しの連動性や、ディフェンスラインのビルドアップの精度 ッシャーでなかなかボールを奪うことができず、しかも長いボール が原因だと感じた。ディフェンスラインのビルドアップについては、 を跳ね返せないということが、中盤で相手に主導権を握られた大き 育成年代から、失敗を恐れずもっと要求していかなければならない な要因になっていた。韓国は長いボールに対してチーム全体が前に と痛切に感じる。 前にと来ていたが、その流れを変えることがなかなかできなかった。 長いボールに対してディフェンスラインが大きく跳ね返すことがで きていれば、その流れも変えることができたと思う。やはり高いレ 最近の試合で、横パスの意識が高すぎたことから、今回はディフ ることが少なく、押される時間帯が続くと、このような場面はあり ベルでの試合ではディフェンスラインの高さというものは必要だと ェンスラインから裏へのスペースも含め縦パスを意識させて試合に うると感じた。後半33分にもやや運動量が落ちた時間帯で左サイド 感じる。 臨んだ(下表) 。 を崩されて2点目の失点をしてしまう。しかし、諦めずに戦い、後 (1)カタール戦 昨年10月のAFCユース選手権大会マレーシア2004でFIFAワール この大会は、8チームが4チーム2グループに分かれて予選リーグ ドユース選手権オランダ2005の出場権を得たU-20日本代表が、カ を戦い各グループ上位2チームが準決勝に進出するという形で行わ タールに遠征、6月の本大会に向けた強化を行いました。 れた。 1.はじめに (5)決勝・韓国戦 ン・ディフェンスであった。前線のFWだけでなく中盤までもがマ アンラッキーなものであったが、攻撃ではクロスやシュートで終わ 3.各試合を振り返る 【報告者】大熊清(U-20日本代表監督) もっとフリーキックのキッカーが出てきてほしいと感じる。 失点については、相手のシュートが味方に当たってしまうという た。 U-20日本代表 (2)アルジェリア戦 さらに、この試合相手の背後への動き・前線の起点がなかなかで 半89分にゴール前のFKをMF兵藤が少し横に流し、MF本田(星稜高) きなかったことも、試合の流れを変えることができなかった大きな がゴールを決めるが2-1で試合は終了、予選最後のベラルーシ戦に準 要因になっていたように思う。この試合でも痛感したことだが、育 決勝進出を賭けることとなった。 成年代の選手は、オフ・ザ・ボールでの裏に出る動きの量が少ない (3)ベラルーシ戦 ように感じる。もっともっと相手の嫌がる動きを積極的にやるべき 相手はヨーロッパ特有のリズムで、止める・蹴るが非常にしっか であるし、動きの優先順位を再確認すべきだと感じる。 りしていた。しかも球際が強く、攻守の切り替えも速かった。立ち 結果的には0-3であったが点差ほどの差は感じなかった。2失点は 予選リーグ初戦のカタール戦、相手はAFCユース選手権大会マレ 上がり5分、クロスを中央で落とされてミドルシュートを入れられ 自分たちのミスが原因であり、選手には言い続けているが、国際試 ーシア2004・準々決勝でFIFAワールドユース選手権オランダ2005の 失点する。試合で点をやってはいけない時間帯で、チーム全体の攻 合では、ゴール前付近でのイージーミスは、相手がそのミスを逃さ 出場権をかけて戦った相手である。このカタールは、近年、育成年 守の集中力をもっと上げることが大切であった。 ないレベルである。状況判断含めてプレーの精度をもっと上げなけ 「カタール国際大会」は、21歳以下で行われる大会で今回で第4回を 代が急速に力をつけてきている。前半は相手の球際の厳しさもあり、 前半、だんだん自分たちのリズムを出せた時間帯で、MF増田(鹿 迎える。前回は日本大学選抜が参加しており、前々回はアテネオリ 攻守に拮抗した時間帯が続き、なかなかリズムが出せなかったが、 島)のスルーパスからうまくFW平山(筑波大)が抜け出してゴー ンピック年代(1981年以降生まれの選手たち)が参加して2位の実 前半38分にMF兵藤(早大)のPKで先取点を決め、後半早々に2点目 ルを決めて同点。しかし、オフ明けの1日おきの3試合目ということ 大会結果 ■グループリーグ 績を残している。 が入ると、後半は自分たちのリズムで試合を運ぶことができた。結 もあり、後半やや足が止まった時間帯に、相手にFKを与えてしまい、 順位 グループA 果的には4-0であった。カタールはAFCユース選手権大会マレーシア それを直接決められて失点。ゴール前でのファウルをなるべく避け を招聘するなどして育成年代も強化を進めている。そして、カター 2004以降、2名がA代表に昇格し、U-17年代の選手も出場していて、 るべきところであった。 ルはペルーで開催される2005年FIFA U-17世界選手権への出場が決 チームとしてのまとまりがなかったと感じた。しかし、この国際大 近年、このカタールを含め中東諸国は、ヨーロッパなどの指導者 しかし、3-5-2の左サイドからセンターFWにポジションを変更し 定しており、ガルフ・カップ(*1)では優勝を果たし、結果としても現 会の開催やU-17年代の選手の出場も含めて、将来を見据えた育成年 たMF苔口(C大阪)が、後半23分にMF本田のスルーパスから、デ れてきている。今後、日本にとって脅威になることは間違いないで 代の強化が図られており、今後、日本にとって怖い存在になること ィフェンスラインの裏へのスペースにうまく出て、ゴールキーパー あろう。 は間違いないと感じた。 この大会時期が1月(14日〜26日)とい うことで、各選手のコンディションにばら つきがあった上に、大会のスケジュールも 予選リーグが1日おきということで、非常 に厳しい試合の連続であった。だが、カタ ール・ベラルーシ・アルジェリア・ノルウ 「Be Alert !」 「連続性・連動性」 「攻守の切り替え」 「3ゾーンでのプレー」 基 本 隙を突く リスタート ェーなど各大陸の特徴あるサッカーと対戦 することができたし、韓国には敗退したが 隙をつくらない 備 きな財産になったと思う。 2.チームコンセプト クロスの対応 攻 撃 上げてきたボール中心の守備をベースに、 最低限のバランスを保ちながら、ウイング バックの攻撃参加、ボランチの攻撃への飛 ラインには積極的なビルドアップも求め 18 声 縦をきる、 ボール中心の守備 ワンツーの対応 1 アルジェリア △ 0-0 ○ 2-1 3 ベラルーシ ○ 2-1 △ 2-2 韓国 中国 順位 グループB を外してゴールを決め再び同点とした。引き分け以上の結果が求め 1 ノルウェー ○ 1-0 ○ 2-1 られる試合で、後半同点にできて逃げ切れたことは、新しいメンバ 3 ウクライナ ● 2-3 ○ 2-1 ーがいたチームの大きな収穫であった。 相手のシステムが4-5-1で、日本は通常のシステムの3-5-2から左サ 上がりは、相手のボランチを中心とするリズムある攻撃に翻弄され 指示の声 ひたむきさ アルジェリア ベラルーシ 勝点 得点 失点 ● 1-2 1 1 6 -5 ● 1-2 △ 2-2 4 7 4 3 ○ 1-0 7 3 1 2 4 4 4 ノルウェー ウクライナ 勝点 得点 失点 ○ 3-2 6 6 5 1 ● 1-2 ● 1-2 0 4 7 -3 ○ 1-0 9 4 1 3 3 4 5 -1 ● 0-1 ■決勝トーナメント アルジェリア 延長 韓国 ノルウェー 日本 1 2 3 0 0 延長 2 優勝:韓国 準優勝:日本 アルジェリア ノルウェー 1 2 <3位決定戦> 第3位:ノルウェー るが、前線FWを1枚下げて、4-5-1に近い形に修正した。このことで チーム全体は落ち着きを取り戻したが、攻撃の厚みがなかなかでき (1)FKでの得点が多かった(今後の大きな武器) なかった。0-0で拮抗した試合が続いたが、延長戦に入り相手の足が (2)チーム全体でのボールを奪う意志統一 止まってきたので、勝負に出て2トップにした。交代出場の左サイ (3)ダイレクトプレーの意識 ドのMF家長(G大阪)のクロス、相手クリアボールをMF本田がダ (4)厳しい相手との対戦で身体の使い方が向上 イレクトボレーを決めて勝ち越し、延長後半、ゴール近くのフリー (5)この大会を経験することによって選手層が厚くなった 失点の確率が直接勝敗を左右することも多く、この年代からもっと 0 差 ● 0-1 4.成 果 この試合で本田がフリーキックを決めたが、試合でのFKの得点・ 差 △ 0-0 ● 0-1 ○ 3-2 ● 2-3 キックをまたMF本田が直接決めて決着をつけた。 ミスを連続しない ○ 4-0 イドを高めに置いて4-4-2に近い形で役割を微調整して戦った。立ち 1. プレーの優先順位 ダイレクトプレー・縦パス (ポストプレー) ・サイドチェンジの速い判断 2. サイドチェンジ 3. 突破力・決定力 無駄なファウルはしない 日本 中国 ドアップも、相手は試合での状況判断含めてレベルは高かった。 ショートコーナー 2 韓国 かりしていた。日本の課題の1つであるディフェンスラインのビル 前線のコースを限定 プレスバックの 完成度を高める び出しなどを求めた。また、ディフェンス 早いリスタート スローインのクロス 日本 ● 0-4 カタール 2 事前のスカウティング通り、相手は選手個々の攻守の1対1がしっ 「全員の守備意識」 「ボール中心の守備」 「ボールを奪う (攻撃の起点) 」 守 決勝まで戦えたことは、選手・チームの大 この大会ではとくに、チームとして築き ボールストップ カタール 4 4 (4)準決勝・ノルウェー戦 ボールを奪う・ゴールを奪う・ゴールを守る ればならないと痛切に感じさせられた試合であった。 5.課 題 (1)守備ゾーンでのイージーミス(相手は逃さない) 19 活動報告 ユース年代の日本代表チーム ■FIFAワールドユース選手権オランダ2005 【開催場所】オランダ(ユトレヒト・ケルクラーデ・ドゥッティンヘム・エ ンスヘデ・エメン・ティルブルフ) 【開催時期】グループリーグ:6月10日〜18日、決勝トーナメント:6月21日 エメン エンスヘデ ユトレヒト ドゥッティンヘム ティルブルフ ケルクラーデ (2)トレーニング 2.チームのコンセプトについて 〜7月2日 【大会方式】4チーム×6グループでグループリーグを行い、各グループ上位2 チームと6つの3位チームの内上位4チームが決勝トーナメント進出。決勝ト ーナメントはノックアウト方式。 3セッションあったトレー 「日本の良さとは何か」 「良さを生かすためのサッカーとは何か」 「そ ニング=国内2、現地1=で のために何をやるべきなのか」というロジックの中でコンセプトを は、①状況に応じたサポー 導き出した。 ト、②ボールを追い越して 攻守におけるさまざまなプレーの質を高めていくことを意識しな グループA グループD がらも、"選手に響くこと"を最優先とし、できるだけ削ぎ落として オランダ 日本 ベナン オーストラリア アルゼンチン アメリカ ドイツ エジプト シンプルに伝えるようにしている。また、いかなるコンセプトも、 に行くということを伝えた。 GKについては、ボールか 止める・蹴るの技術、1対1、局面で闘うといったベースが、世界基 ら遠い選手へのコーチング 準からかけ離れていたら意味を持たないことは言うまでもない。 やDFと連携したゴール前の 引き続き、所属チームやトレセンと連携をとりながらさらなる個 守備など、ゲームに対して グループB グループE トルコ 中国 ウクライナ パナマ コロンビア イタリア シリア カナダ グループC グループF 一関門となる、AFC U-17サッカー選手権・1次予選が従来の日程よ スペイン モロッコ ホンジュラス チリ ブラジル ナイジェリア 韓国 スイス りも早まっていること、および韓国と同グループであることから逆 イさせた。 算し、2005年11月にまずチームのピークを持っていく必要があると (3)大会(ゲーム)内容 のレベルアップを図っていくことが重要だと考えている。 質の高い関わりをし続ける ことを要求した。そのため 3.香港での取り組み の状況に呼応したポジショ 次のページ下表にあるように、2007年FIFA U-17世界選手権の第 ※詳細は、FIFA公式ホームページ(http://www.fifa.com) 、JFA公式ホームページ(http://www.jfa.or.jp)を参照 ニングも意識させた。 U-15日本代表チーム(2005香港国際ユース大会参加) また、ゲームではリスタートをできるだけ素早くすることをトラ 考えた。したがって、選手の発掘、個人のレベルアップを行いなが 日本は初戦・UAE戦の開始15分はやや固さがあったが、それ以降 らも、同時にチームコンセプトの明確化・共有を、チームを立ち上 はボールが良く動いた。リスタートを早くして相手をあまり休ませ げた今大会から強く意識した。 なかったこともあり、局面での激しさはあったもののグループやチ (1)今回の活動目的 (2)厳しいプレッシャーの中でのスキル(止める・蹴る・キープ・ボー 行く動き、③積極的に奪い 日本の特徴も出せたと思う。 ①チームコンセプ ームでプレッシャーをかけてこられることが時間を追うごとに少な くなってきた。 この年代をさらにレベルアップさせるためには、各選手は高校・ トの共有、②選手の 日本の選手が前を向いてボールを保持する場面が増えていくにし (3)ペナルティーエリア付近の突破・シュート 大学・プロと置かれている環境に違いはあるが、選手個人がサッカ 発掘、③個人のレベ たがい、追い越していく動きなどが頻繁に出てくるようになり、日 (4)ディフェンスラインの裏への動き、ボールを受ける前の動きなど ーに対する意識を、さらに高めていくことが必要であり、また厳し ルアップ、④アウェ 本の方が運動量が勝っていて疲労感は相手の方があると選手も感じ い試合を多く経験することが必要不可欠だと再び感じさせられた大 ーでアジアの各地域 ながらプレーしていたようだ。レベルはどうあれ、チームコンセプ 会であった。 のチームを経験する トにある「イニシアティブをとる」ことを選手が体感したことは成 ことの4つ。 果であった。 ルを運ぶ) のオフ・ザ・ボールの動きの質・量 (5)連続した試合でのゲーム体力 (6)スペースをつくる動き・使う動きとその連動性 6.まとめ 大会の時期がオフ明けということで、選手のコンディションには 差があった。実際、決勝での韓国戦では集中力が欠け、自分たちの ミスが原因で失点しており、今後に大きな課題は残った。しかし、 1歳上の年代を相手に粘り強く戦い、決勝まで進出できたことは、 U-15日本代表 2007年大会目指して始動〜 香港遠征 【報告者】城福浩(U-15日本代表監督) また、サッカーのレベルアップは日進月歩である。この年代で目標 U-15日本代表チームスタッフ (左より川俣則幸GKコーチ、城福浩監督、小倉勉コーチ)© Jリーグフォト㈱ を高く、意志と自主性を持って、日々のトレーニングを取り組むこと が必要不可欠であり、自分も含めた指導者が高いレベルを常に意識し 指導していくことが、選手育成にはもっとも大切なことだと思う。 ※注:選手の所属は大会実施時期のものを採用。 (*1)ガルフ・カップ:中東湾岸諸国=サウジアラビア・クウェートなど=のA代表 チームが参加する大会。 ②概 要:香港サッカー協会主催にて2004年より実施している大会 で、U-18カテゴリーと同時開催(U-18は香港、UAE、マレーシア、 中国広州選抜が参加) 。 ③開催日:2005年1月21日〜23日 ④試合形式:4チームによるリーグ戦方式。試合時間は90分(45分ハ ーフ)。交代は1試合5名まで。 ⑤大会結果 1990年1月1日以降生まれの選手によって編成される、U-15日本代表 チームが活動を開始しました。このチームは2007年FIFA U-17世界選手 日本 順位 10-1 5-0 9 20 1 5-0 3-0 6 8 5 3 3-0 3 4 15 -11 0 0 11 -11 権を目標に活動を進め、選手の強化育成を図っていくことになります。 2 UAE 0-5 今回は 「2005香港国際ユース大会」 での活動について報告します。 3 香港 1-10 0-5 4 シンガポール 0-5 0-3 ①参加国:香港、UAE、シンガポール、日本 20 差 香港 5-0 日本 1.大会について シンガポール 勝点 得点 失点 UAE 1 0-3 19 ⑥その他:使用されたグラウンドは100m×64m程度。芝生は雑草混 じりで地面がうねっており状態は良いとは言えないが、パスが通 らないというほどではなかった。 21 COACHING FOR GOALKEEPERS 活動報告 ユース年代の日本代表チーム GK GKプロジェク ト活動報告 PROJECT ②ファーストタッチ:動きながらのコントロールがぶれるケースが 多かった。 ③判断:簡単にボールを回すべき場面なのか、踏ん張ってキープす るあるいはしかける場面なのか、状況に応じた判断がコンスタン JFA GK-B級コーチ育成講習会 トにできない。 ④サポート:ポジションをとる(とり直す)ことにより、自分がボ ールを受けられなくても他に影響を及ぼすという感覚がまだ低 い。また、スペースがどこにあるかを見つけてタイミング良く使 うということが連続した動きの中でなされていない。 ⑤ゴール前のアイディア:可能性を考えないでとりあえずシュート をうってしまう場面が多い。 U-15日本代表チーム(2005香港国際ユース大会参加) しかしながら、UAEの身体能力、シンガポールの粘り強さは、日 本にとって楽な相手ではなく、少なくとも前半で決着をつけられる 4.香港遠征を終えて この年代の立ち上げの活動としては、選手は早くからまとまりが ほどの差はなかったことは認識しておかなければならない。 あった。これは、JFAエリートプログラムで高い意識を持つことを (4)参加国の特徴 アプローチされていたことが大きな要因のひとつであると考える。 ①UAE:ポテンシャルの高い選手が前線におり、ボールを奪って前 選手としては入れ替わっていく可能性があるかも知れないが、雰囲 線に供給し、3名ぐらいで崩すスタイル。3点目が入ったあたりか 気を含めた"幹"を大切にしていきたい。 また、今回の遠征では「イニシアティブをとる」とはどういうこ ら集中が切れていた。 ②シンガポール:ディシプリンがあり、全員で粘り強くボールを追 いかける。モティベーションを保ち続けられるため最後まで球際 とか、チームがどのようなサッカーを志向するのかという全体像で ある「森」を選手が感じることを最優先した。 今後はよりハイプレッシャーの中でもボールと人が動いていくた は強かった。 ③香港:中盤に1名、スケールを感じさせる選手がいたが、全体的 めに、必要なファーストタッチやパススピードといった森を構成す る「木」の精度を上げていく必要がある。日本が世界基準、と言わ に体格差があった。 (5)課題 れるようなサポートの質を常に追求するという幹を持ちなが ①キック:筋力的に飛距離が出ないというより、ボールに力が伝わ ら・・・。 ってない。ボールを蹴り込む必要性を感じた。また、不用意なア ウトサイドパスでのイージーミスが多い。 ○開催日:2005年1月19日〜23日 ○場 所:熊本県大津町総合運動公園サッカー場ほか ○講 師:加藤好男(JFA GKプロジェクト)、柳楽雅幸(横浜F・マリノス) 、慶越雄二(ガンバ大阪)、 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会【決勝戦】ヴェルディvsガンバ大阪 佐々木理(柏レイソル) © Jリーグフォト (株) 【報告者】加藤好男(GKプロジェクト・リーダー) 1.開催概要 2004年度「公認ゴールキーパーB級コー チ養成講習会」が1月に熊本県大津町で開催 された。公認ゴールキーパーC級コーチ養 成講習会(本誌Vol.4参照)に次いで、B級 としては第1回目の養成講習会となった。受 2005年11月 強 化 強 化 ているコーチたちによって実施された。 カリキュラム内容は、中学・高校年代を 指導対象とするC級養成講習会では「基本 スキルの導入」より、シュートストップ時 2006年9月ごろ AFC U-17サッカー選手権・最終予選 2007年FIFA U-17世界選手権 ☆出場チーム数は16チームから24チームに拡大。 ジュニア・ジュニアユース年代(15歳以下)のゴールキーパーの指導ができる人材を養成す ると同時に、都道府県のGK指導者のリーダーとなる人材を育成すること。 (財)日本サッカー協会 公認C級コーチ資格を有しており、ゴールキーパーの指導をしている者 ※本誌Vol.4参照。 3.試 験 日ごろ、GK数名の選手の指導をされてい るコーチは、ゲームフリーズにおいて10名 級ではさらにブレイクアウェイやクロスへ 10問出題、内1問を抽選により選択して3分 労されている方もいた。また、指導実践で の対応、そして攻撃への参加など、より試 以内で解答する。 は舞い上がってしまい、全体のコントロー 筆記試験は、B級養成講習会の内容から出 題。各トピックにおけるキーファクターや ルができなくなってしまうコーチもいたが、 日を改め再度挑戦されたら改善された。 季節的に肌寒く、天候も変わりやすい状 指導のポイントを記述するものと、GK指導 全般的には、大変ハードワークであった 況ではあったが、受講者の皆さんは真剣に、 における指導の留意点を記述することなど。 ものの、受講者同士協力し合って対応され ードワークではあったが、集中して取り組 んでいたので充実した短い5日間となった。 講 4.総 括 受講者全員が公認B級コーチを取得され ていたので、多少の負傷者が出たものの大 事には至らなかった。 日ごろ、GKコーチ同士の交流機会が少な ているので、コーチングにおける大きな差 い方々もこの機会を通して良い関係となり、 は感じられなかった。また、GK経験者がほ 共通する悩みや苦労など、今後とも共有し とんどであったため、実技におけるパフォ ていける関係に発展していただきたいとGK ーマンスもレベルが高く、白熱するものと プロジェクトメンバーともどもそう感じて なった。 いる。 義 GKの指導法および理論、GKの一貫性指導およびディスカッション 技 GKのウォーミングアップ、ボールフィーリング、GKの基本姿勢とそのタイミング、キャッチング、GKの移動 技術、ローリングダウン&ダイビング、GKのポジショニング、クーリングダウン、以上GK-C級内容 履修 ○ファンクショントレーニング ①シュートストップの状況下におけるディフレクティング ②シュートストップの状況下におけるアングルプレー ③ブレイクアウェイの状況下における1対1(GK) ④クロスの状況下における1対1+GK ⑤GKのパス&サポート ○ゲームフリーズ ①シュートストップ 5対5 ②ブレイクアウェイ 5対5 ③クロスへの対応 2対2+2対2+2フリーマン+2GK ④GKのパス&サポート 6(2GK)対4 ⑤ディストリビューション 5対5 ○その他 ブレイクアウェイの状況下におけるフロントダイビングおよびコラプシング、クロスの状況下におけるパン チングなど AFC U-17サッカー選手権・最終予選 2007年FIFA U-17世界選手権 的 をコントロールすることに慣れておらず苦 実 2007年8月〜10月 公認B級コーチ資格を有しており、ゴールキーパーの指導をしている者 口頭試験は、C級養成講習会の内容から 2.講義・実技 AFC U-17サッカー選手権・一次予選 (財)日本サッカー協会 の状況下から各トピックを実施したが、B (グループL:日本、韓国、 マカオ) (2006年6月ごろ) ユース年代(18歳以下)のゴールキーパーの指導ができる人材を養成すると同時に、都道府 県のGK指導者のリーダーとなる人材を育成すること。 □2004年度公認ゴールキーパーC級コーチ養成講習会 主 催 受講資格 AFC U-17サッカー選手権・1次予選 ※第1位チームが同最終予選に進出。 主 催 受講資格 ーグなどで既にプロコーチとして活動され かつ積極的に取り組んでいた。4泊5日とハ 2005年1月 的 目 ープに対して指導していくものである。 従来の日程で開催された場合は・ ・ ・ □2004年度公認ゴールキーパーB級コース養成講習会 目 講者は30名、各地域のトレセンコーチやJリ 合に近づけた状況の中から、GKとそのグル 2007年FIFA U-17 世界選手権に向けての日程 [参考] 加藤好男・GKプロジェクトリーダー © AGC/JFA news ※上記、各大会開催日程などは、2005年2月末現在のもので、今後変更になる可能性もあります。機関誌JFA newsなど参照。 22 23 COACHING FOR GOALKEEPER PROJECT GOALKEEPERS GK PROJECT Jリーグ・JFL GKコーチ研修会 ○開催日:2005年1月11日〜12日 ○場 所:時之栖・スポーツセンター(御殿場市) ○講 師:マーチン・トーマス(イングランドサッカー協会・アシスタントナショナルGKコーチ) 、 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会【決勝戦】ヴェルディvsガンバ大阪 JFA GKプロジェクトメンバー12名 © Jリーグフォト (株) 【報告者】加藤好男(GKプロジェクト・リーダー) 1.開催概要 ⑦ロングパス、"さまざまな戦略"における の研修会に準備していただいた。①シュー GKプレー分析 トストップ、②クロスへの対応、③サポー JクラブのGKコーチ24名、JFL所属チー ト&コミュニケーション、④バックパスへ ムのGKコーチ8名と、JFA GKプロジェク 以上7つのテーマに対して、サポート の対応と配球、4つのテーマに対して、受 ト12名のメンバーによって、GKコーチ研 (SUPPORT)、バックパス(BACK PASS) 、 講者が選手役を行ってプレーを実践した。 修会が御殿場市で開催された。講師には、 シ ェ イ プ ( S H A P E )、 ス ロ ー イ ン グ それぞれのテーマにおけるキーファクター 第4回フットボールカンファレンスにプレ (THROWING) 、カウンター(COUNTER) 、 やコーチング・ポイントを説明して、テー ゼンテーターとして来日されたマーチン・ パッシング(PASSING)といったワード トーマス氏(イングランドサッカー協会 の頭文字を使用したキーファクターを示し /The FA)を招いて実施した。 た。 マごとにディスカッションも行った。 米を含めた諸外国の講師招聘を希望する意 レンスの関係でタイミング的にも、講師招 持って実施することができた。受講者から 見などが目立った。今後も継続して実施し 聘に関する予算的にもGKプロジェクトと のけが人も出ず、大きな問題もなく無事終 ていきたいと思う。 して恩恵を受けた。講師はイングランド協 了できたことは良かった。The FAとは、 また、今回はJリーグ、JFLのコーチ対 会で実際に指導者養成に関わっている者な 今後とも友好な関係を築いていきたいと考 象であったが、大学や高校、クラブといっ ので、JFAにとってもロールモデルといえ えている。 たコーチ対象のコースがあっても良いと感 る。内容に関しても、私自身が2年前に体 じた。今回は第4回フットボールカンファ 験しているコースの中からであり、信頼を U-20日本代表、カタール遠征報告 【報告者】藤原寿徳(GKプロジェクト/鹿島アントラーズ) 1.現地の環境と大会準備 ⑧攻撃への参加 る機会が多かったが、集中力を持続させ、 ⑨予測範囲の拡大 積極性を失わず、安全確実にプレーを続け 1月のカタールは暑くなく(気温17℃〜 られたこと。 2日目では、前夜の懇親会より選出され 20℃) 、湿度も問題なく、逆に肌寒い日も 以上の9項のテーマにGKとして取り組ん (2)ノルウェーなど体格差のある相手のク た8名のコーチによって、1人15分程度の あるほど過ごしやすく、選手のパフォーマ だが、①〜⑧までは昨年のAFCユース選手 ロスに対して、的確なポジショニングから 初日は集合してガイダンスの後、2004 質疑応答では、イングランドの採用する 指導実践を4つのテーマの中から行い、そ ンスに与える影響は少なかった。大会運営 権大会マレーシア2004までのテーマと同 プレッシャーのある中で対応ができたこ 年ヨーロッパ選手権ポルトガル大会のGK 1-4-3-3システムについて触れられ、The れぞれマーチン氏より評価を受けた。さら 面では、ホテルなど良く整備されており、 様のものであり、よりそのテーマに対して と。 プレー分析を、VTRを使いながら講義した。 FAとして主に育成年代では1-4-3-3システ に、最後にヨーロッパ選手権の分析より ほとんどの面で問題はなかった。 の追求ということで継続した。この大会の (3)相手の攻撃に対して、守備の構築がゲ その後、ピッチにてイングランドのGK指 ムを導入する方針を打ち出しているとのこ 「カウンターアタック」をテーマにして、 1月9日の移動日も含めて、現地で4日間 成果としてあったテーマも、より相手のア ームを続けるごとに向上した。 導ということで4つのテーマに対して実技 と。そのことによりセンターポジションを もう1セッション、マーチン氏による実技 の準備期間を経て大会に臨んだ。日本にお タックのレベル(判断スピード、クロスの (4)DFラインの背後への守備(ブレイクア 指導を行った。 受け持つ者とサイドポジションを受け持つ を行った。 いてすべてのチームがオフシーズン(高校 精度、スピード、シュートの精度など)が 翌日は、受講者から8名が前日の4つの 者、前線、中盤、守備側を受け持つ者など マーチン氏は実技後、 「GKに対するテク 選手権出場チーム以外)であり、コンディ 上がった中でという位置付けで行った。⑨ テーマから指導実践を行い、マーチン氏か のポジション特性や役割の理解といった点 ニックの指導、戦術の指導、そして守備者 ションが多少心配されたが、個人差はある の予測範囲の拡大というテーマは、FIFA (1)ハイスピード、精度の高いクロスの対 ら評価を受けた。また、最後に「カウンタ も含めて、選手の発掘や育成につながって も含めたグループの指導へと発展させてい ものの、事前のコンディショニングに対し ワールドユース選手権に向け、今回もアフ 応(守備範囲の拡大) ーアタック」のテーマにて、マーチン氏に いると話した。 くこと」 「GKはチームの一部であって、チ てのインフォメーションなどの効果もあ リカ勢(アルジェリア戦)との対戦もあり、 (2)DFとの連携 また、国際大会などのGKプレー分析に ームから離れたものではない」 「GKコーチ り、ある程度の維持はなされていた。 通常、日本ではここからはシュートはない (3)指示(味方DFを動かす明確なコーチン ついて、何人のスタッフでどのようなスタ 自身が、GK指導によってGKをチームから だろうという状況であっても、アフリカ、 グ) イルで行っているかという質問に対して 切り離してはならない」と強く語った。 年代の選手とのゲームを経験できるこの大 南米や欧州ではその可能性もあるというこ (4)攻撃への参加 よる実技指導が追加され、閉講式となった。 2.講義内容 オフシーズンとは言え、世界各国のこの 2004年ヨーロッパ選手権よりGKプレー は、全員で8名のスタッフで役割と担当を また、GKコーチもグループやチームに 会は非常に重要であると言える。その経験 とを予測して準備につなげようというもの 分析を7つのテーマについてVTRを使用し 決め、試合を割り振っているとのこと。ち 対して指導する目を持ち、どのようにGK を6月のFIFAワールドユース選手権オラン である。 て検証した。 なみに今回のテーマに対しては、4人のス プレーとフィールドプレーを結びつけてい ダ2005に向けあらたなステップの一つと タッフでGKの攻撃参加に際して顕著な特 くか?その両面から捉えていかなければな して生かしていくことが、チームとして、 ①相手チームのボール保持時におけるGK 徴のあるGK、ファン・デル・サール(オラ らないことを強調して、研修会を終了した。 個人として必要である。 プレー分析 ンダ)、カーン(ドイツ)、バルテズ(フラン ②味方チームのボール保持時におけるGK ス)、リカルド(ポルトガル)、ジェームズ プレー分析 (イングランド)、ツェホ(チェコ)などの選 1998年8月にJFA GKプロジェクトを立 ③バックパスの対応、"テクニック"におけ 手を中心に調査して、VTRを集め分析した ち上げて以来、初めての海外講師を招聘し るGKプレー分析 と語った。このようなTSG(テクニカルス た研修会であり、かつJリーグのトップGK ①積極的なゴールキーピング ④チームの基本配置、"戦術"におけるGK タディグループ)の組み方は、我々GKプ コーチを対象とした研修会でもあった。研 プレー分析 ロジェクトとしても大変参考になる。 ⑤スローイング、"さまざまなテクニック" におけるGKプレー分析 ⑥カウンターアタック、"スペース&ペース "におけるGKプレー分析 24 3.実技指導 4.総 括 今までのトレーニング、試合で掲げられ たチーム全体のテーマを踏まえた上で、以 下のテーマに取り組んだ。 2.プレーの分析 大会を通じての失点は7(5試合)であ った。 そのうち、セットプレーでの失点は1、 ウェー、ブロッキング) 【課 題】 4.総 括 この1月の時期に、6月のFIFAワールド ユース選手権でも対戦が予測されるヨーロ ッパ、アフリカなどのチームを含め、高い レベルの5試合ができたことは、非常に良 い経験になったと言える。 セットプレーのディフレクトしたところを 決勝戦で韓国に破れはしたが、5試合の 決められたのが1、ペナルティーエリア外 中から実際に体験しなければ感じることも からの失点1、ペナルティーエリア内(ク できないものを得ることができたのではな ②良い準備 ロス)2、ペナルティーエリア内2という いか。この経験を生かし、あるいは課題克 修会そのものは、時期的にも内容的にも充 ③DFとの連携、構築、指示 内訳であった。 服に向け、日々所属チーム内で高い意識で 実した良いものであった。参加者のアセス ④キャッチorディフレクトの判断とそのプレー メントを見ても、このような機会を得られ ⑤クロス対応 イングランドの指導者養成でも行ってい たことに対し肯定的な意見が多数で、2泊 ⑥セットプレーの守備 るプログラムで、代表的な4テーマを今回 3日ぐらいで行いたいといった意見や、南 ⑦リスクマネジメント 3.成果と課題 【成 果】 トレーニングをしてもらいたい。 *本誌18ページ参照。 (1)大会全体を通して、GKが直接プレーす 25 COACHING FOR GOALKEEPER PROJECT GOALKEEPERS GK PROJECT あり、前回よりは確実にボールをキャッ 2004JFAスーパー少女プロジェクト 第3回トレーニングキャンプ in 時之栖 1.参加選手など 福島県のJヴィレッジで実施された1、 2回目の「JFAスーパー少女プロジェク ト」に続き(本誌Vol.4 & Vol.5) 、第3回 目のキャンプは、2005年2月3日から6日 まで、静岡県の御殿場高原サッカー場 「時之栖」で実施された。 今泉守正(技術委員会委員/ナショナルコーチングスタッフ) 加藤好男(ナショナルコーチングスタッフ/GKプロジェクトリーダー) 川俣則幸(ナショナルコーチングスタッフ) 指導スタッフ 川島透(ナショナルコーチングスタッフ) 西貝尚子(ナショナルコーチングスタッフ) 小野寺志保(日テレ・ベレーザ) 八木邦靖(U-17日本女子代表コーチ) 第3回目のキャンプは、3回とも参加し 2月3日 2月4日 た選手が11名、2回目参加の選手が8名、 初参加の選手が4名の、合計23名で実施 された。 八木邦靖(U-17日本女子代表コーチ) スケジュール 2月5日 2.今回のキャンプの日程およびテーマ 2月6日 午後 午前 午後 午前 午後 午前 身体慣らし、コミュニケーションおよびシュートストップ(前回の復習) アングルプレー、正しいポジション(移動を伴う)、シュートストップ ハイボールキャッチ、クロスボールの対応 フットベースボール(リラックス、空間認知) アングルプレー、シュートストップ、実戦の中でのシュートストップ ハイボールキャッチおよび今回のキャンプのまとめ 第3回目となる今回のキャンプでは、3 チすることができるようになった。 今回のキャンプでは、ボールや移動な トレーニングするという一進一退の状態 が見られた。 しかしながら、実際にサイドからの蹴 どのスピードが実際の試合の動きに近づ また、さまざまな認知能力にも選手 られたボールに対するキャッチの段階ま いてきた。それに伴って、今までできて 個々に差があるため、進歩に差が出始め で進むことはできず、慣れが必要である いたと思っていたことができなくなり、 た。したがって、今後のトレーニングは習 と感じた。 それをクリアするために前段階に戻って 熟度別に進めていく必要があると感じた。 U-15日本代表、香港遠征報告 【報告者】川俣則幸(U-15日本代表GKコーチ) 1.はじめに 示・声「大きく、はっきり、タイミング良 こと、この試合が最終戦で勝てば日本が優 く」 、コンビネーション、リーターシップ 勝するという高いモティベーションの中で 回とも参加している選手と、今回初参加 認したり、移動のステップワークをおさ たりしながらポジションの前後左右につ 2007年FIFA U-17世界選手権に向けたU- の選手ではかなり習熟度に差がある。そ らいしたり、"つかむ"ということができ いて確認を行い、実際に蹴られたボール 15日本代表の立ち上げとして、香港で行 これらのテーマを念頭に置き、トレーニ することができた。GKは45分ずつプレー のために、トレーニングごとのテーマは ないためにボールフィーリングまで戻っ に対応した。 われた国際親善トーナメントに参加した。 ングと試合に臨む中で、とくにゲームに効 し、それぞれ、持ち味を発揮しながら遠征 移動するボールに対してのシュートス 大会は1月21・22・23日の3日間で、それ 果的に関わるために、ボールの動くテンポ の最終戦を締めることができた。 やリズムに合わせてGKのポジションをと 同じであるが、基本的には能力別に3〜4 てトレーニングを行った。 プレーできたので、結果的には大差で勝利 キャンプも3回目になると、回数を重 トップでは、素早く移動してシュートに ぞれ90分の試合を1試合ずつ行う日程であ ただし、ウォーミングアップなど、一 ねるたびに上達しているのは確かである 対して、きちんと正対して構えることに った。選出された選手は18名。そのうち ることを意識させ、常にゲームに参加し続 緒に実施できるものについては可能な限 が、参加回数による習熟度の差だけでは 重点を置いてトレーニングを行った。 GKは2名、2004年JFAエリートプログラム、 けることに取り組んだ。 り全体で行ったり、均等割のグループで なく、与えられたテーマに対する理解力、 行った。 実践力に差が見られるようになった。 グループに分けて行った。 なお、第1回目の山郷のぞみ(さいた (2)小野寺選手のトレーニング見学 ボールのスピードが上がってくると、ボ GKキャンプ、公式戦のパフォーマンスか ールと手がきちんと調和していないとファ ら、兼田亜季重(サンフレッチェ広島ジュ ンブルしたり、手の間をボールが抜けたり ニアユース) 、廣永遼太郎(FC東京)を選 出した。 ョンをとる意識はあるが、自陣ゴールに近 らの特徴である、球際の激しさと一瞬の隙 づき相手がペースをアップしてきたとき をつく鋭いカウンターを経験し、その中で に、そのペースアップに合わせて素早くポ チームコンセプトとして、イニシアティ 勝利ができたことは良い経験となったはず ジションをとり、準備をするという部分が ブ=主導権をとって試合を進めるために、 である。GKはチームの初戦という難しい まだまだ不十分なことなどである。 攻守において自分たちの意図で動く、アク 状況下でも、コーチングの声を絶やすこと は手と足の調和と、落下地点を早く予測 ションするということが掲げられている。 なく、チームの勝利に貢献した。試合中、 「観る」という部分では、いつ観るのかと してジャンプの最高点でボールをしっか そして、このイニシアティブをとるための 遠い位置からのFKに対して、DFラインを いう部分ができているときと、そうでない り観てつかむことが強調された。 キーワードとして、①モビリティ、②アグ 下げすぎてしまうシーンがたびたび見ら ときがはっきりしている。ボールが自陣ゴ レッシブ、③プライドの3つが選手に伝え れ、この点はチーム全体で改善を図った。 ールに近づいてくればそれだけ危険度はア 第2戦は廣永が出場した。メンバーを入 ップするので、どうしてもオフのタイミン これらを踏まえ、GKはこれまでのGKキ れ替えたことと、シンガポールが3ライン グで観ておくべきボール以外の相手の動き ャンプなどで取り組んできた3つの総合テ を形成してコレクティブで守備的な試合運 や位置を、確認することができにくくなっ ーマに加えて、「ゲームにおいて効果的な びをしてきたことにより、立ち上がりから てしまう。そのため、ボールのみに集中し 関わり方ができるGK」を目指した。 思い通りの試合運びができていなかった。 てしまい、相手、味方、スペースを把握で それでも得点を重ね試合の主導権を握った きず、味方と連携をとってプレーすること てパントキックからのキャッチングを行 <総合テーマ> が、時折自分たちのミスから相手に攻めら ができなくなる場面も見られた。 プでは、日本女子代表(なでしこジャパ 小野寺選手のトレーニングを見学した。 てくる。習熟度の高いグループでもキャッ ン)の小野寺志保選手(日テレ・ベレー シュートストップ、クロスボールに対す チングで苦労する選手も出てきた。 いるトレーニングが最終的にはこのレベ ーニングのデモンストレーションをして ルで発揮されなければならないというこ もらったりした。 とを実感できたのではないかと思う。 3.今回のキャンプにおける成果 (1)前回キャンプの復習 −キャッチング の構え、ローリングダウン ウォーミングアップ終了後、2人1組に また、第1回キャンプの山郷選手のと きがそうであったように、世界を相手に 戦った選手のトレーニングを間近に見て 肌で感じることは、選手にとって大きな なり、さまざまなキャッチングを行った。 財産であると感じた。また、夜のミーテ また、ローリングダウンを長座の姿勢か ィングでは小野寺選手の体験談を含むレ らスタンディングポジションまで行っ クチャーも行われた。 た。その後、習熟度の一番高いグループ では、実際に投げられたボールから蹴ら れたボールまでのシュートストップを行 (3)シュートストップ −ポジション移動 なし・あり 今回のキャンプでは、ひもは使わずに、 いう部分にはまだ課題が残る。具体的には、 守備面ではボールの動きに合わせてポジシ して1回でキャッチすることが難しくなっ 実際に選手と一緒にプレーしたり、トレ 両GKともに、試合に積極的に関わる意 識は持てているが、「効果的に関わる」と アの国と試合をした選手がほとんどで、彼 キャンプ初日のトレーニングの最後に、 るトレーニングでは、自分たちが行って 3.試合でのGK 4.今後の課題 第1戦は兼田が出場した。初めて西アジ まレイナス)選手に続き、今回のキャン ザ)にゲスト講師として参加してもらい、 (4)ハイボールキャッチ、クロスボール の対応 ハイボールキャッチのトレーニングで また、周囲の選手に対して「自分がプ レーする」ことをアピールするために 「キーパー」という声を出すことが強調 された。 クロスボールの対応では、最初に投げ られたボールに対してキャッチングを行 2.この遠征でのテーマ られた。 い、慣れてきたところで少し距離を離し また、適切な準備を可能にするための ゴールやラインなど、ピッチ上で目印に った。前回のキャンプでは、ステップワ ①積極的なゴールキーピング:攻撃的、チ れる場面が見られた。これに対してGKは 攻撃面では、常に攻撃方向を意識したパ グループによっては、ボールに対して なるものを観ることによってポジション ークが乱れたり、ボールが手の間を抜け ャレンジ、前向きな姿勢 集中を切らさず無失点に抑えることに貢献 スの優先順位を考えられているかという部 構えるタイミング、正しいポジションを をとらせ、GKの位置からボールを観た てしまったりする選手もいたが、今回の ②良い準備:Good Position(位置と姿勢) 、 した。 分では、まだまだ判断が甘い場面が見られ キャンプでは速いボールに対する慣れも 観る〜予測〜判断〜実行・プレー った。 とるために観なければならないものを確 り、逆にシューターの位置からGKを観 ③DFとの連携:コミュニケーション、指 26 3.総括と今後の展開 第3戦は前半は兼田、後半は廣永が出場 した。3チームの中で実力的にはやや劣る た。 技術面に関しては、選手個々に課題を伝 27 COACHING FOR GOALKEEPER PROJECT GOALKEEPERS GK PROJECT え、継続的に取り組むように指導した。キ にトレーニングを続けるように指導した。 ャッチングやキックなど基本技術のレベル こうした課題を踏まえ、所属チームの指 アップを図り、いつでもどんな状況下でもし 導者と連携をとりながら、さらなるレベル っかりとした技術を発揮できるように継続的 アップを図れるように働きかけを続けてい 熊本GKスクール視察報告 1.はじめに 熊本県ゴールキーパー・スクールは澤 *関連記事:本誌18ページ 一層のレベルの向上につながっていくと 熊本県内だけでなく、佐賀県、福岡県、 思われる。 鹿児島県といった近隣の県からの参加も 全国での今後の展開において大変参考に この熊本県GKスクールのスタイルは、 今回視察を行い、地域のコーチの方々 あり、九州全域のネットワークへと広が なるスタイルであった。今回の視察に対 の情熱によりハード面やソフト面でうま りつつある。また、スクールの中心とな する各スタッフ方々のご協力と配慮に感 く協力し合い、さらに広く細かくつなが って活動しているスタッフは、実際に近 謝し、同GKスクールの今後のさらなる りあって、発展している状況を観ること 隣の県でスクールを開き、九州の中でも 発展を願い終わりとしたい。 ができた。今回参加したコーチの中には いくつかの拠点が確立している。 山中亮(GKプロジェクト/サンフレッチェ広島) ⑥受益者負担による会費制 (3)トレーニングについて 情熱がひしひしと伝わってきた。 プレーヤーは、基本技術の習得をベー カンタレリ日本代表GKコーチに聞く! その2 ●聞き手:加藤好男 村公康氏(現浦和レッズ)により立ち上 ①GK相互によるトレーニング形態(1回 スにしながら、それぞれのトレーニング げられ、大津町を拠点として、地域に根 のトレーニングでゲームGKを必ず経験 に取り組んでいる様子がすぐにうかがえ ざした活動が展開されている。このスク する) た。基本姿勢、キャッチ、コミュニケー ――話題を日本のユース年代のGKへと は、プレーに入る動きでわかる。経験あ に難しい。 ールを経て、地元の大津高校、さらには ②シュートストップ、ブレイクアウェイ、 ションなどはどのプレーヤーも習得しつ 移させていただきます。2006年FIFAワ るGKは、ステップでいう第1歩目が違う。 個性がわか 各年代カテゴリーの代表選手へとプレー クロスを中心テーマとしたトレーニング つある状況であった。 ールドカップ・一次予選での最終戦 身体的なバランスを保っている。つまり、 らない。個 ヤーも育成されてきている現状にある。 とゲーム (2004年11月17日) 、vsシンガポールに向 スピードが状況に応じて変えられる。ド 性がわかる そこで、実際に本活動に参加し、活動の ③テーマについては発展性を持ち、参加 ことをテーマとしたトレーニングをさせ けたキャンプにU-18日本代表である2名 タバタしない。そして、守備エリアが広 には、何回 てもらった。U-14のカテゴリーを担当し の選手が参加しましたが、彼らを見てど い。GKには失点しないための相反する大 か見て話を しなければ わからない。 内容などの報告を行うことを目的とし、 者の段階に合わせて実施 今回、自分自身も「ゲームに関わる」 2004年12月6日に本活動(大津の森陸上 ④前回までのトレーニングや地域で行わ たが、シュートストップの場面において、 のように感じられましたか? きな2つの局面がある。ひとつは1回でキ 競技場)へ参加させていただいた。 れたゲームの中から抽出させたテーマを 各プレーヤーともに基本技術をしっかり カンタレリ:私が見た限りでは、いろい ャッチすること、これは次の味方の攻撃 2.活動内容 設定し、M-T-Mのトレーニング形態を構 と習得しつつあるレベルであった。コミ ろな動きもスムーズにできていて素質は につながる。もうひとつは、身体のどこ でも、こ (1)対象およびスタッフ 築 ュニケーションやコーチングにおいて 充分あると思う。しかし、現時点では経 でも良いからボールをぶつけて防ぐこ んなことが ○U-12:20名程度/U-14:20名程度/ (4)コーチ/コーチングについて も、自分で判断し伝えようとする習慣も 験が足りない。彼らには良いアドバイス と。しかし、相手の攻撃は続くと考えら あった。私はブラジルのリオ・デ・ジャ が必要だし、良いモデルが必要であろう。 れる。リバウンドをつくっているわけだ ネイロ出身だが、同世代にライバルであ カンタレリ日本代表GKコーチ/2005年2月9日 © Jリーグフォト㈱ U-16:20名程度 ①カテゴリーごとのトレーニングにおけ 高いレベルにあった。ゴール前のシチュ ○スタッフ:15名程度 る各コーチの役割を明確にし、リレーシ エーション・トレーニングでは、比較的 今回、日本代表の選手とともにトレー し、外に出したとしてもセットプレーが る3人のGKがいた。ボタフォゴ、バス (2)活動形態 ョンシップを確立した上でのコーチング 問題なくトレーニングが行えた。ゲーム ニングしたことで手本となるGKを目の ある。この二大局面を見れば良いGKかど コ・ダ・ガマ、フルミネンセといったク ①年間を通して、4回/月程度の実施 の実施 の状況を含むトレーニングにおいて、ス 前で見ることができた。そして、自分に うか、経験あるGKかどうかすぐわかる。 ラブのGKだ。フルミネンセの1人は常に ターティング・ポジション(位置・姿勢) 不足しているものや通用することなど肌 この切り替えがわからないGK、つまりは 注目されて、各年代の代表チームに選出 自分が1回で確実にキャッチできるボー された。川崎フロンターレや名古屋グラ ②公共団体の協力を得て、芝ピッチを常 ②発問形式のコーチングからの、プレー に使用(3カテゴリーで1面を使用) ヤーの"気付き"を大切にしている。 についてはレベルの差が見られ、きわど で感じてくれたことだろう。また、これ ③地域の指導者が中心となり、プログラ ③お互いのコーチングについて意見を述 いシュートをストップする場面もあれ からは自分のプレーを自分で分析できる ル、範囲を熟知しているGKでなければ経 ンパスエイトでGKコーチをしていたマ ムを計画して展開 べ合い、お互いで向上していこうとする ば、逆に簡単なシュートを決められてし ようになること。例えば、どのようなと 験があるとは言えないということだ。 サロッピもその1人だ。ただ、18〜19歳 ④スポーツメーカーによるサポート(物 雰囲気が確立している。 まう場面が出てくるなど、状況を観るこ きに失点しているのだろうか、といった ――良いGKとそうでないGKの見極めと ごろになってフルミネンセの選手は成長 品など) 3.まとめ と、良い準備をすることについて改善点 ような分析ができることが重要である。 いう話が出たところで、カンタレリ・コ が止まってしまった。それから先は私も があった。 そして、実際の状況の中で、ミスを矯正 ーチがU-10〜12年代のGKを見たとき、 含めて、他の2人がそれぞれプロで20年 できる能力を向上させなければならない どんな観点でタレント発掘をしますか? 間、選手となった。最後は気持ちの強さ であろう。 いくつかポイントを話して下さい。 だろう。 ⑤地域の高校生のサポート(実際の指導 など) 写真提供:澤村公康 (GKプロジェクト/浦和レッズ) 28 くことが必要であると考えられる。 熊本GKスクールが始まる毎週金曜日 の午後7時ごろには、スクールの行われ また、攻撃時や攻撃に関わるときのサ る大津の森陸上競技場にプレーヤーやス ポートのタイミングやポジションについ タッフが総勢100名近く集まってくる。 ても、改善すべき点があると思われる。 この様子を目にしただけでも、熊本県、 今回のようなゲームの状況をテーマとし め世界各国の試合をテレビを通して見る らいだとその後、大きく変化するから。 功というかはわからないが、成功するに 地域のパワーや誇りを感じる。トレーニ たトレーニングは、あまり行っていない ことが可能である。若いGKは多くの試 とくに、環境が重要となってくるだろう。 は環境と本人の努力、その2つがどちら もないと難しいだろう。 日本では幸運なことにJリーグをはじ カンタレリ:大変難しい質問だ。U-12ぐ 可能性は誰にでもあると思う。何を成 ングにおいても、いつものことのように ということでもあり、戸惑う場面もあっ 合を、またGKのプレーを見なければい ひとつの見方だが長身であること、勇気 担当コーチで当日のトレーニングについ たが、ゲームの中で発揮される技術の習 けない。ビデオがあるならたくさん集め があること、バランスがとれていること、 ――お忙しい中ありがとうございまし てディスカッションを行い、オープン・ 得を思考する機会となればと思う。今後、 るのも良いかもしれない。その中にレベ 身体調整力。あとは、学ぶ気持ちがある た。最後に日本の指導者に一言。 マインドでトレーニングが構築され行わ ドリル、シチュエーション・トレーニン ルアップするためのヒントが多く含まれ 子。GKがやりたいという気持ちが強い カンタレリ:指導者は忍耐。すぐ結果が グ、ゲームをバランスよくとり入れたト ている。 子、意欲のない子は難しい。また、1日 でなくても我慢が必要。ともに「忍」で でセレクションなどで発掘するのはさら がんばろう。 れている。このような活動を毎週金曜日 に週1回行うパワーの源である、地域の レーニングを構築していくことで、より 経験あるGKとそうでないGKとの違い 29 指導者・指導チーム 検索システム コーチ・スクエア JFA news編集部 1 エア』を展開している。これは、指導先の チームを探している登録指導者と指導者 を探しているチームがお互いを検索する システムで、2005年3月1日時点でこのサイ トを利用して、指導者やチームが決まった 事例は20件報告されている。 その中から特定非営利活動(NPO)法 相模原FCのケース 人・相模原フットボールクラブとSEIWA Jr ユース・NASALOT FCの2つの事例を紹 プ以外の指導者はOBまたは知り合いのチ 出会い、さらに、新たにもう一人のコー 介する。 ームで指導する以外なかったのではない チと交渉中だ。「『コーチ・スクエア』が 指導チームを探していた。 特定非営利活動(NPO)法人・相模原 フットボールクラブ(須藤正樹代表/以 藤氏もチーム側の情報は指導者側から見 ることが可能で、交渉がスタートするま らは見ることができないので、安心して を安定的に確保可能な会社へと転職し、 今回の事例は、継続的・安定的に指導 できる指導者を求めるクラブと、指導チ 2 平日の夜にボランティアで活動できる 情熱的な指導者を募集 齋藤両氏ともにこの点を強調していた。 SC)のコーチを務めている。同氏はこれ 断できます」と平山氏。 久保田氏が初めて練習を見に来たとき、 選手全員が元気よく挨拶するのを見て、 SEIWA Jr.ユース NASALOT FC (以下 度お互いの条件が合致した中でのやり取 NASALOT FC)は今年2月、 『コーチ・ス 指導の実践に専念できる環境に身を置き なく幅広い指導をしている良いチームだ」 りだったため、非常にスムーズに交渉を クエア』から、公認C級コーチ・久保田 たいという考えと、2年前まで行ってい と安心し、是非ともこのチームで指導し 行うことができたと感じている。 「条件的 大介氏をコーチとして招聘した。 た第3種年代の指導実践を再開したいと たいと感じたという。チームを指導して いう気持ちが強くなり、この検索システ 間もないが、既に選手やスタッフからの ムにアクセスしたと言う。 信頼も得て、日曜日に一人でチームの指 に合わない方は、ウェブのやり取りの段 利用し、本年4月からサッカースクール たケースとなった。 階で、候補から外すことができるので非 まで、大野哲夫総監督と平山勲監督、そ 常に便利です」 (須藤氏談) して週末だけ参加する小出隆弘氏の計3 相模原FCでは、これまで学生選手がシ 者、指導チームは探せなかった」須藤、 須藤、齋藤両氏は、ウェブ上である程 ームを探している指導者の希望が合致し 俊太郎氏を招聘することになった。 女子サッカー部)、キッズ(左近山幼稚園 まで、指導者を務める一方でチーム運営 システムを利用できたという。 下相模原FC)は『コーチ・スクエア』を 心待ちにしていたシステム 有資格者の安心感 なかったら、OB、知り合いでしか、指導 SEIWA Jr.ユースNASALOT FC NASALOT FCの指導スタッフは、これ の小学生担当にJFA公認C級コーチ・齋藤 でしょうか」と話す。 須藤氏はシステムを利用して齋藤氏と では、指導者側の個人情報はチーム側か が難しかったため、指導者としての時間 その逆はほとんどなかったと思います。 このシステムがなかったら、一部のトッ 感がありました」と須藤氏は語った。齋 定期的、継続的に指導できる指導者・ チームを探す両者の希望が一致 人がボランティアで指導にあたっていた。 『コーチ・スクエア』が指導者・チームの 可能性を広げる に多くの時間を費やしていた。しかし、 「このチームはサッカの技術指導だけでは 導を任されたこともある。現在、 新たなツールの一つ その中で平日に活動できるスタッフを増 NASALOT FCは、久保田氏の加盟により 4名のコーチングスタッフとなったため、 員し、より充実した指導を行おうと、指 平山、久保田両氏ともに、このシステ 2005年度からは役割分担を刷新し、スタ フト制で小学生のサッカースクールの指 須藤、齋藤両氏は、JFA newsやJFA公 導に当たっていたが、学生は試験期間や 認指導者に送付される『テクニカル・ニ 導者仲間やOBのネットワークでコーチを ムがスタートすることを日本サッカー協 長期休暇中の旅行などで指導を休むこと ュース』などを通じて、同サイトがスタ 齋藤両氏は「これまで『コーチ・スクエ 頼んでいた。しかし、練習が平日の夜に 会発行のJFA newsとテクニカル・ニュー これまでは、指導者側からチームを探 が多いという課題があった。クラブ側は ートすることを知り、開設を心待ちにし ア』のような双方向の指導者検索システ あり、しかもボランティアでの活動を求 ス、JFA公式ホームページで知った。平 すのは難しかった。久保田氏も「これま 安定したクラブ運営のために、定期的、 ていた。 ムはなかったので、非常に画期的なシス めていたため、継続的に指導できる人に 山氏はIT関係の職場で働いていることも ではすべてチームから依頼で指導を引き テムだと思いました」と話している。 はなかなか出会うことができなかった。 あり、指導者、指導チームを探す一つの 受けてきたが、自らチームを探して指導 継続的に指導できる指導者が必要であり、 今回の交渉は、まず齋藤氏から相模原 今回このシステムを利用して、須藤、 ートする予定だ。 クラブのホームページ(HP)上で指導者 FCへ申し込みを行い、須藤氏が、齋藤氏 須藤氏は、指導者を探す際に、クラブ チームOBの若手にもコーチをお願いした ツールとしてこの検索システムが非常に を行うのは初めて」と話す。久保田氏は 募集を行うなど人材を探していた。その の自己紹介欄に記された電話番号を基に のOBなど知り合いの関係を利用するしか が、週末がつぶれることなどから長続き 便利だと感じたと言う。ただこのシステ 現在、新たな指導者を探すためにもこの ような状況の中で、2004年11月1日に 電話でコンタクトを取ったことからスタ なかったが、このシステムはその点を改 しなかった。 「若いコーチは選手として現 ムはあくまで"電話および面談の補完ツー システムを利用したいと考えている。今 ートした。その後、電話でのやり取りを 善していることをメリットとして挙げた。 役でプレーできるので、時間的余裕と人 ル"と意識し、ウェブ上のやり取りの後は 回の取材でもCASE 1の相模原FCと同様、 必ず電話でフォローするようにしたそう 新たな可能性が広がったことを示してい だ。 「画面上でやり取りをすることに慣れ る。 ていない人には、ちょっと抵抗があるか ※本記事はJFA news 2005年3月号より転載しま 『コーチ・スクエア』がオープン。須藤正 樹・相模原FC代表は、すぐにこのサイト 経て、齋藤氏がクラブを訪れ、須藤氏と とくに、転居した際に、このシステムが 一倍指導への情熱がないとなかなか続か にアクセスし、指導者を検索、指導者と 面談し、条件面を話し合った。その後、 あるとまったく知り合いのいないところ ない」と平山氏は話す。 しての道を歩むことを決意し、指導チー スクールで2度指導実践を行い、正式に でも指導チームを探すことが可能になる。 コーチとして招聘することが決定した。 齋藤氏も同意見で「これまで、指導者側 そういう中で、 『コーチ・スクエア』が もしれない。文字だけでは意思の疎通が 齋藤氏は大学卒業後、社会人リーグで 「指導実践を見て、私のコーチ像と一致し からチームを探すということは非常に難 スタート。平山氏は同サイトへの関心も 十分ではないとの印象を受けかねません プレーするかたわら資格を取得、これま ました。声かけやフリーズポイントなど しい状況でした。チームが指導者にお願 あり、早速アクセスしてみた。そこで出 ね」と平山氏。 で約5年間、友人の高校サッカー部のア が、的確に行われていたからです」と須 いをする状況はあったかもしれませんが、 会ったのが久保田氏だ。現在、同氏は、 シスタントコーチや出身中学校、高校の 藤氏。 ムを探していた齋藤氏と出会った。 須藤正樹・相模原FC代表(左) と齋藤俊太郎氏コーチ(右) © AGC/JFA news した。 左より久保田大介氏、大野哲夫総監督、平山勲監督、伊東勝馬・清和イレブンSCコーチ © AGC/JFA news 今回の交渉は、平山氏が1月に久保田 毎週平日1回、週末1回指導にあたってい 氏に電話でコンタクト、その1週間後に る。 面談をして練習のスケジュールと指導可 サッカー部のコーチを務めてきた。サッ 初期の段階で姿の見えない相手とのや カーを愛する気持ちから指導者の道を志 りとりになることに不安はなかったかと 久保田氏は20歳のとき、求人誌でみつ 能なスケジュールを話し合い、2月から 聞くと、「これまで、クラブのHP上で指 けたサッカーコーチのアルバイトに応募 の指導が決まった。その過程で指導実践 ロ、またはセミ・プロとして活動する希 導者を募集していましたが、そこで応募 し、指導の面白さを体感、指導者の道を などをすることはなかったそうだ。 「これ 望を持っていた。 し、カテゴリーを問わず指導者としてプ 30 日本サッカー協会(JFA)は、2004年11 月から公式ホームページで『コーチ・スク してくる指導者よりも、 『コーチ・スクエ 歩もうと決めた。現在、NASALOT FCの までいろいろな指導者を見てきたので、 以前務めていた会社では仕事が忙しく ア』の利用者は公認資格取得という一つ ほかにも第4種(スエルテ・ジュニオルス、 電話での会話、面談での印象でその指導 転勤もあり、指導の時間を確保すること のハードルを越えているので、逆に安心 プリメーロ太子堂)、女子(都立国際高校 者が自分のチームに適合するかすぐに判 31
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