だれが、なにを、なぜ、どのように - Narcotics Anonymous

だれが、なにを、なぜ、どのように
ホワイトブックーNarcotics Anonymous から再録
本書(本文)は、ナルコティクス アノニマスに承認された翻訳出版物です。
Copyright © 2002 by
Narcotics Anonymous World Services, Inc.
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アディクトとは?
私たちのほとんどはこの質問を繰り返す必要はないであろう。私たちは知っている! 私たちの生
き方、考え方は、すべてどんな形にせよ薬物が中心であった。薬物を手に入れること、使うこと、そして
より多く手に入れる方法を見つけることに執着していた。使うために生き、生きるために使うことの繰
り返しであった。簡単に言えば、アディクトとは、薬物のとりこになってしまった人のことである。進行し
つづける病気の手中にあり、行き着くところは刑務所、精神病院、施設、死でしかないのである。
ナルコティクス アノニマスのプログラムとは何か?
NA、すなわちナルコティクス アノニマスは、薬物によって大きな問題を抱えた仲間同士の非営利的
な集まりである。私たちは互いに助け合い、クリーン(使わないで生きる)でいるために、定期的に仲間
と会うことによって回復に向かっているアディクトである。NAはあらゆる薬物から完全に解放されるプ
ログラムである。メンバーになるために要求されることは、使うことをやめたいという願望だけである。
私たちはあなたに、心を開いて自分のためにチャンスを与えなさいとすすめる。私たちのプログラム
は、日常生活の中で実行できるように簡単に書かれた一連の原理である。この原理において一番重
要なことは、この原理は効く、ということである。
NAに来る上での条件はなにもない。私たちはいかなる組織にも従属しないし、入会金も月謝もい
らず、宣誓書を書く必要もなく、またいかなる人にも約束を求めない。私たちはいかなる政党、宗教、ま
たは警察にも関係はないし、またいかなるときにも監視を受けることはないのである。年齢、国籍、性
的アイデンティティ、主義、信仰の有無にかかわらず、いかなる人でも私たちの仲間に加わることがで
きるのである。
私たちは、あなたが何をどのくらい使っていたか、あなたがどこから手に入れたか、過去にあなた
が何をやってきたか、財産がどの程度あるとかないとかいったことには一切関心がなく、ただあなた
が自分の問題にどう取り組みたいと思っているのか、私たちはどのような援助をすることができるの
かに関心があるのである。初めてきた人は、どこのミーティングでも一番大切な人である。私たちの持
っているものは、新しく来た人に与えることで、保ち続けることができるのである。私たちはグループの
経験から定期的にミーティングに出続けている人たちがクリーンでいられることを知っているのであ
る。
なぜ、私たちはここにいるのか?
NAの仲間になるまで私たちは、自分の人生がどうにもならなくなっていたし、他の人たちのように
生きることも人生を楽しむこともできなくなっていた。
私たちは違う楽しみを探さなければならなかった。そしてその答を薬物に見つけたと思っていた。私
たちは、家族、妻、夫、子供たちのことをそっちのけにして、まず薬物を使うことを考えていたし、あらゆ
る犠牲を払って薬物を手に入れなければならなかった。私たちは多くの人たちを傷つけてきたが、一
番ひどく傷つけたのは自分自身である。そして自己責任を引き受ける能力に欠けていたため、実際
は自分で自らの問題を作り出してきた。私たちは現実に直面することができなくなっていたのである。
私たちはアディクションによって少しづつ自殺をしていたことに気付いた。しかし、アディクションは
巧妙な敵なので、それに対抗する手だてがなかったのである。私たちの多くは、最後には、刑務所や
治療薬、宗教、精神科医の世話にならざるを得なかった。だが、このような方法はどれをとっても満足
のいく結果は得られなかった。私たちの病気は必ず再発するか進行した。ついに私たちはこの状態か
ら抜け出したい一心で、ナルコティクス アノニマスの仲間に助けを求めたのである。
NAに来てから、私たちは治るということのない病気に苦しむ病人であることに気付いた。しかしな
がら、ある時点で病気の進行を食い止めることができるし、そうすれば回復が可能なのである。
どのように効果があるのか
もしあなたが、私たちの持っているものを欲しいと思い、それを手に入れるために努力をする、と
いう気になったら、あなたはすでにいくつかのステップへの準備ができたのである。これらは私たち
の回復を可能にさせてくれた原理である。
1.
2.
3.
私たちは、アディクションに対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
私たちは、自分より偉大な力が、私たちを正気に戻してくれると信じるようになった。
私たちは、私たちの意志といのちを、自分で理解している神の配慮にゆだねる決心をした。
4.
私たちは、探し求め、恐れることなく、*モラルの棚卸表を作った。
5.
私たちは、神に対し、自分自身に対し、もう一人の人間に対し、自分の誤りの正確な本質を認
めた。
私たちは、これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、神にゆだねる心の準備が完全にできた
。
私たちは、自分の短所を取り除いてください、と謙虚に神に求めた。
私たちは、私たちが傷つけたすべての人のリストを作り、そのすべての人たちに埋め合わせをする
気持ちになった。
6.
7.
8.
9.
私たちは、その人たち、または他の人びとを傷つけないかぎり、機会あるたびに直接埋め合わ
せをした。
10.
私たちは、自分の生き方の棚卸を実行し続け、誤ったときは直ちに認めた。
11.
私たちは、自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、私たちに向けられた神の
意志を知り、それだけを行っていく力を、祈りと黙想によって求めた。
12.
これらのステップを経た結果、スピリチュアルに目覚め、この話をアディクトに伝え、また自分のあら
ゆることに、この原理を実践するように努力した。
これはとても大きな要求のように聞えるし、いますぐ全部やることはもちろんできない。 私たちは
一日でアディクトになったわけではないから、あせらずにやろう(easy does it)という言葉を忘れない
でほしい。
私たちの回復を他の何よりも妨げるものがある。それはスピリチュアルな原理に無関心とか、不
寛容な態度をとることである。回復に欠くことのできないものが3つある。それは正直さ、こころを開く
こと、そしてやる気である。これらがあれば上手に軌道に乗っていくのである。
アディクションという病気に対する私たちの方法は、完全に現実的であると思っている。本人同士
が助け合うという治療の価値は、他に比べるものがないのである。私たちは、私たちの方法が実用
的であると思っている。アディクトは、他のアディクトの最もすぐれた理解者であり、援助の手をさしの
べることができるからである。社会や日常生活のなかで、私たちの問題に直面するのが早ければ早
いほど、私たちはそれだけ早く受け入れられ、責任を持つ、社会の有用な一員となるのである。
アディクションのかつての状態に逆戻りしない方法はただ一つ、最初の一回に手を出さないこと
である。もしあなたが私たちのようであったら、最初の一回はそれだけで多すぎ、千回やっても足り
*
行為の善悪を判断する個人の内面的原理
ないことをあなたは知っているのである。私たちが特にこのことを強調するのは、いかなる種類のもの
にせよ、薬物を使ったら、また他のものに切り換えてみても、再び私たちのアディクションが現れるという
ことをよく知っているからである。
アルコールは薬物ではないという考えは、非常に多くのアディクトを逆戻りに至らしめた。NAに来る
まで、多くの人たちはアルコールは別のものだと思っていた。しかし、これはまちがいである。アルコール
も薬物なのだ。私たちはアディクションという病気をもつ人間であり、回復のためにはいかなる薬物から
も遠ざかっていなければならないのである。
NAの12の伝統
私たちの持っているものを保ち続けるには、注意深くなる必要がある。個人の自由が12ステップによ
るのと同様に、グループの自由は12の伝統に基づく。
私たちを結ぶ絆が引き裂こうとする力より強いかぎり、心配はいらない。
1.
第一にすべきは全体の福利である。個人の回復はNAの一体性にかかっている。
2.
私たちのグループの目的のための最終的権威はただ一つ、グループの良心の中に現れる、愛なる神
である。私たちのリーダーは奉仕を委された僕にすぎず、彼らは決して支配しない。
メンバーであるために要求される唯一のことは、使うことをやめたいという願望だけである。
3.
4.
各グループは自律的でなければならない。ただし、他のグループまたはNA全体に影響をおよぼす事
柄においてはこの限りではない。
5.
各グループの主要目的はただ一つ、まだ苦しんでいるアディクトにメッセ―ジを運ぶことである。
6.
NAグループはいかなる関係ある施設にも、外部の組織に対しても、支持や融資をしたりNAの名前を
貸したりしてはならない。金銭や所有権や名声の問題が、私たちを主要目的からそれさせるおそれが
あるからである。
7.
すべてのNAグループは、外部からの寄付を辞退して完全に自立しなければならない。
8.
ナルコティクス アノニマスはどこまでも非職業的でなければならない。しかし、サービスセンターのよう
なところでは専従の職員をおくことができる。
9.
NAそのものは決して組織化されてはならない。しかし、サービスの機関またはコミティをつくることがで
きる。これらの機関は、グループやメンバーからの付託に直接応えるものである。
10.
ナルコティクス アノニマスは外部の問題には意見を持たない。したがって、NAの名は公の論争で引き
合いに出されるべきではない。
11.
私たちの広報活動は宣伝により促進することよりも、ひきつける魅力に基づく。活字、電波、映像の分野で、
私たちはいつも個人名を伏せる必要がある。
12.
無名であることは、私たちの伝統全体のスピリチュアルな基礎である。それは、各個人よりもNAの原理
が優先すべきことを、いつも私たちに思い起こさせるものである。
12ステップと12の伝統は AA World Services, Inc. の許可のもとに再録