鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
鉄筋コンクリート工学演習
<1>
製図課題
2006年度版
課題:鉄筋コンクリート単純T形橋の設計
1.
課題の目的
鉄筋コンクリート単純T形橋の設計計算を通して、鉄筋コンクリート構造物における鉄筋やコンク
リートに生じる応力の算定方法や、鉄筋コンクリート構造物の設計方法、構造細目について学ぶととも
に、理解を深めることを目的とする。さらに、自分で計算した結果を用い図面として表現することを通
じて、鉄筋コンクリート構造物の設計図面の見方や書き方を学習する。
2.
提出物
(1) 設計計算書、A4判、レポート用紙または白紙(ワープロ打ち可)
(2) 設計図面、A2判セクションペーパーまたは方眼紙
(鉛筆書き可、トレーシングペーパー不可)
橋梁側面図、同横断面図、平面図、配筋図、主桁鉄筋配置図、設計条件、材料表を適切に配置
したもの。
図面の例は「土木製図基準」などにあるので参考にすること。
縮尺は、1/10、1/20、1/50の中から適切なものを選び用いること。ただし、図面記載上、これ以
外の縮尺が妥当と思われる場合はそれを用いても良い。文字が小さくなりすぎないように心が
けること。
3.
提出期限
・ 設計計算書の提出は検討項目毎に行う。提出する範囲とその期限は別途指示する。
・ 設計計算書の最終提出日は2006年12月20日(水)17:00とする。一通り完成させ、設計内容の確認を
受けること。この時点で大幅な不備がある場合には鉄筋加工図についての設計・製図を課題とし
て追加する。
・ 設計計算書提出毎に設計内容の確認を受けた後について
「OK」となっている場合、指摘事項については再度設計内容を確認し、修正した後、次の
検討項目についての計算書作成、または製図に着手すること。
「再提出」もしくは「再」とされている場合は、指摘された事項について不備があるため、
該当事項について確認・修正した後、改めて設計計算書を提出すること。担当教員が設計内
容を再確認後、計算書を返却した後、検討項目の計算書作成、または製図に着手すること。
なお、再提出期限については別途指示する。
指摘事項について納得できない場合、あるいは疑問点については返却後1週間以内に担当教
員まで申し出ること。申し出のない場合は各自が認めたこととする。以後の申し出は受け付
けない。
・ 訂正された設計計算書および設計図面の最終提出期限は2007年1月24日(水) 17:00(厳守)とする。
・ 期限に遅れた場合、鉄筋コンクリート工学演習の単位が認められない。
・ 提出期間内に提出した場合でも、提出物に不備があり,訂正などがなされない場合には鉄筋コン
クリート工学演習の単位が認められないので注意すること。
・ 検討項目の範囲について暫定的であるが示しておくので、各自準備しておくこと。実際には鉄筋
コンクリート工学演習の履修状況による。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<2>
提出回数 検討範囲
提出期限
返却予定日
再提出期限
1回目
・設計断面の仮定
2006.11.8
提出から1週間後 返却から1週間後
・設計曲げモーメントの計算
17:00
を予定
2006.11.8
提出から1週間後 返却から1週間後
17:00
を予定
を予定
支点からの距離と設計曲げモーメ
ントの関係を明示すること。
・必要鉄筋量の計算
・曲げ耐力についての検討
本レジュメ 5.3 までの範囲
2回目
・せん断に対する検討(5.4まで)
を予定
3回目
・ひび割れに対する検討
2006.11.29 提出から1週間後 返却から1週間後
を予定
を予定
17:00
4回目
・たわみに対する検討
2006.12.20 提出から1週間後 返却から1週間後
を予定
を予定
17:00
本レジュメ 5.6までの範囲
・構造細目
・はり中央断面についての配筋図
製図に必要な項目について細目を検討
し列記する。
本レジュメ図- 12を作図
5回目
・製図図面
一般図、配筋図、その他
2007.1.24
提出から2週間後 返却から2週間後
17:00
を予定
を予定
・訂正された設計計算書すべて
!!注意!!
提出期限は厳守すること。提出が遅れた場合、その時点で土木設計製図(コンクリート分野)の
単位は認めないことになるので注意すること。期限の2,3日前に提出できるようにゆとりを持っ
て課題に取り組むのが望ましい。
また、やむを得ない事由により提出期限に間に合わないと判断した場合、事前に担当教員に申
し出ること。この際、その事由が妥当であると判断された場合、協議の上,提出期限を設定す
る。なお、事前に予定されていた学業以外のイベントによる提出期限の延長は認めない。
本資料に関して不備などがあれば担当教員に申し出ること。
参考資料として鉄筋コンクリート工学の教科書や,コンクリート標準示方書設計編などがある.
これらから必要事項を抜粋し,わかりやすいように独自の解説や計算例を加えたものが本レジュメです.
従って,間違いなどがある可能性が高いので,わかり次第連絡願います.確認の上,訂正版の資料を早
急に作成し,配布することにします.
----- Note ---------------------------------------------------------------------------------------------------------
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<3>
4.設計方法
4.1.
設計対象
形式は図-1、図-2に示すような鉄筋コンクリート単純T形橋である。
寸法は別表のように各人で少しずつ異なるので、注意すること。
ただし、支承部分、橋脚部分については原則として設計対象から除外する。
また、通常、スラブ部分も厳密にいえば設計計算する必要があるが、本課題では別途与えられた条件
で作図すれば良いこととする。
設計対象範囲
高欄
スラブ
耳げた
中げた
耳げた
図- 1 鉄筋コンクリート単純T形橋の断面図の例
ジョイント
けた本体(設計対象)
支承
橋台
図- 2 設計対象となる鉄筋コンクリート単純T形桁橋の側面図
4.2.
設計項目
鉄筋コンクリート橋を構成する以下の構造の設計を行うこと。
・主桁
引張主鉄筋、せん断補強鉄筋(折曲鉄筋・スターラップ)、用心鉄筋、かぶり、
鉄筋間隔、引張主鉄筋の定着部、継手部などについての設計を行うこと。
・コンクリート床版部(T形桁のフランジ部分に相当する)
4.3.
荷重
T形桁に対してそれぞれ以下に示す荷重を考慮すること。なお、鉄筋コンクリートの単位容積質量:
w=24kN/m3とする。
(一般の橋梁の設計においては、橋梁の軸方向に対して直角方向になる方向の荷重の分布などについて
も検討する必要があるが、本課題においてはその検討を省略し、次に与える荷重条件についての検討を
十分に行うこととする。)
表- 1 各種検討用設計荷重
荷重の種類
(1)断面破壊時の検討用(特性値) (2)ひび割れ検討用 (3)たわみ検討用
2.0kN/m2
2.0kN/m2
2.0kN/m2
死荷重 等分布永久荷 qd
3.5kN/m2
2.0kN/m2
3.0kN/m2
活荷重 等分布移動荷重 ql
50kN/m
30kN/m
40kN/m
集中移動荷重 P
衝撃荷重
移動荷重に衝撃係数を乗じたもの
なし
(1)と同様
衝撃係数 i
7/(20+l) l:スパン(支点間長,m)
なし
(1)の80%
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4.4
<4>
安全係数
設計計算で用いる安全係数は次の表の値とする(引用:岡村甫著、鉄筋コンクリート工学【三訂版】
(市ヶ谷出版社)、(以下、教科書という) pp.143、表15・1)
材料
部材
構造解析
荷重
構造物
表- 2 安全係数
限界状態
終局限界状態
使用限界状態
(断面破壊)
ひびわれ
1.30
1.00
コンクリート
γc
1.00
1.00
鉄筋
γs
1.00
γb 耐力算定式により適切な値を適用
(せん断は1.3,その他1.15が多い)
1.00
1.00
γa
1.15
1.00
γf
1.10
1.00
自重に対して γf
1.15
1.00
γi
使用限界状態
たわみ
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
4.5 その他
(1) ひび割れ検討用の環境条件
ひび割れ検討用の環境条件は一般の環境とする。
(2) たわみの許容値
変動荷重によるたわみの許容値はl/600とする。ただし l はスパン(支点間長)とする。
----- Note ---------------------------------------------------------------------------------------------------------
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<5>
5. 設計手順
本課題における設計手順について示す。
5.1.
桁の一般条件の設定
別表に示すように、桁の一般条件を決定する。各人で異なるため、注意すること。
例
形式
:単純支持のT形ばり
スパン
:l=15.0m
はりの中心間隔:2.0m
フランジの厚さ:t≧0.2m以上
5.2.
使用材料の仮定
設計に用いるコンクリートおよび鉄筋の性質は、一般的に用いられている材料特性値とし、これらは
設計者が任意に決定すること。表-3、表-4、表-5および教科書を参照。
表- 3 コンクリートの設計基準強度およびヤング係数
18
24
30
40
50
コンクリートの設計基準強度 f’ck (N/mm2)
2
22
25
28
31
33
コンクリートのヤング係数 Ec (kN/mm )
記号の種類
SD295A
SD295B
SD345
SD390
SD490
呼び名
D6
D10
D13
D16
D19
D22
D25
D29
D32
D35
D38
D41
D51
表- 4 鉄筋の機械的性質(JIS G 3112-1987)
降伏点または0.2%耐力(N/mm2)
295以上
295∼390
345∼440
390∼510
490∼630
60
35
70
37
80
38
引張強さ(N/mm2)
440∼600
440以上
490以上
560以上
620以上
表- 5 一般に入手可能な異形鉄筋の寸法(JIS G 3112-1987)
公称周長(u)
mm
公称断面積(As)
公称直径(d) mm
6.35
20
31.67
9.53
30
71.33
12.7
40
126.7
15.9
50
198.6
19.1
60
286.5
22.2
70
387.1
25.4
80
506.7
28.6
90
642.4
31.8
100
794.2
34.9
110
956.6
38.1
120
1040
41.3
130
1340
50.8
160
2027
mm2
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<6>
5.3 断面の仮定の手順および終局限界状態の曲げに関する検討
断面の仮定および仮定した断面における曲げに関する検討を次の手順で行うこと。
ただし、同様の内容であれば手順は問わないので、十分考えて仮定すること。各手順についての解説
は後述してあるので参照すること。
手順
計算例
1)与えられた条件から大まか 与えられた条件
スパン:15.0m(15000mm)、はり中心間距離:2.0m(2000mm)
な断面形状を仮定する。
仮定する断面形状【支点間全体にわたり断面は一定とする】
⇒【解説】1) 参照
b=2000mm、h=1350mm、d=1220mm
bw=400mm、t=200mm,w=24kN/m3(鉄筋コンクリートの単位体積質量)
※仮定する数値は任意とするが、実体化が可能な数値とすること
2)はりの断面積を求める
Ac=b×t+bw×(h-t)=860000mm2=0.860m2
※フランジ厚さを適切に仮定しないと正確な断面積は算出できない
3)断面破壊に対する設計荷重 橋軸方向に対して単位長さあたり何 kN の荷重となるかを算出する。
を求める。
従って,単位はすべて kN/m となる.
→橋軸方向の作用荷重の分布を計算する場合にはこのように扱う
ほうが都合がよい
死荷重 自重:W=w×Ac=24kN/m3×0.860m2=20.640kN/m 記号に注意
等分布荷重:qd=2.0kN/m2×2.0m=4.0kN/m
活荷重 等分布移動荷重:ql=3.5kN/m2×2.0m=7.0kN/m
集中移動荷重:P=50kN/m×2.0m=100kN/m
衝撃係数:i =7/(l+20)=7/(15+20)=0.200
4)死荷重による設計曲げモー M D = γ a γ f Ac w + γ f qd ⋅x(l − x) / 2 =13.652 x (l-x)
メントを求める。
→詳細は【解説】4)を参照,記号の大文字・小文字に注意する
(
)
{
}
5)活荷重による設計曲げモー M L = (1 + i )γ a γ f (2 P l + ql ) ⋅ x(l − x) / 2 =14.030 x (l-x)
メントを求める。
→詳細は【解説】4)を参照
6)設計曲げモーメントを求め Md=MD+ML
る
→詳細は【解説】4)を参照
7)支点から任意の距離におけ 中央断面:x=l/2=7.5(m)を代入
る設計曲げモーメントを算出 中央断面以外:任意の距離 x の代わりに x+d を代入する。
(例:x=3.0m の断面については、x=3.0+1.22=4.22 として計算する)
する。
この計算方法をシフトルールという。(x+d>l/2 の時は x=l/2 とする)
⇒詳細は【解説】4)を参照
より安全側での設計を行うには必ず必要となる。
支点からの距離 x(m)は任意に設定する。
表 支点からの距離xと作用曲げモーメントについて
x (m)
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 7.50
x+d (m)
2.22 3.22 4.22 5.22 6.22 7.22 (7.50) (7.50)
518
621
697
746
767
768
768
MD (kN・m) 387
532
638
716
766
788
789
789
ML (kN・m) 398
785
1050
1259
1413
1512
1555
1557
1557
Md (kN・m)
8)各断面で必要とする断面耐 各断面において必要とする断面耐力を γ i Md/Mud=0.8 の条件を満たすよ
力を算出する。
うに設定する。
⇒詳細は【解説】4)を参照
( γ i Md/Mud≦1.0 であればよいが,便宜上 γ i Md/Mud=0.8 とする)
この設定に基づき、各断面の曲げ耐力を設定する。
表 割り増した作用モーメントと最小曲げ耐力
x (m)
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 7.50
γiMd (kN・m) 903 1208 1448 1625 1739 1788 1791 1791
minMud (kN・m) 1129 1510 1810 2031 2174 2235 2239 2239
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<7>
(
)
9)各断面における最小必要鉄 曲げ耐力算定式 M ud = As f yd d 1 − 0.6 p f yd f 'cd γ b を用い、各断面にお
筋量および使用する鉄筋の種 ける必要最小鉄筋量minA を算出する。また、市販の鉄筋を組合せ、呼
s
類、本数を算出する。
び名、本数を選定する。
⇒詳細は【解説】4)を参照
表 最小曲げ耐力および最小鉄筋量と鉄筋の組み合わせ
x (m)
minMud (kN・m)
minAs(mm2)
D19
必
D22
要
D25
D29
本
D32
数
D35
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 7.50
1129 1510 1810 2031 2174 2235 2239 2239
3120 4190 5039 5667 6075 6250 6261 6261
11
14
18
20
22
22
22
22
9
11
14
15
16
17
17
17
7
9
10
12
12
13
13
13
5
7
8
9
10
10
10
10
4
6
7
8
8
8
8
8
4
5
6
6
7
7
7
7
10)はり中央断面において、必 上の表の組み合わせの中から,24-D19 を配置する場合を考える。
要本数の鉄筋が無理なく現実 必要最小かぶり厚さを設定する。→示方書「9.2 かぶり」参照
環境条件からco=30mmとして、f’ck=30N/mm2よりα=1.0
的に配置できるか検討する。
∴cmin=1.0×30=30mm>φ=19mm、かつ cmin>Gmax=20mm
かぶり、鉄筋あきなどを考
スターラップの設定を行う。→D13のU型スターラップとする。
慮して必要鉄筋量を決定す
※曲げ加工の際に必要となる寸法などは後述する構造細目に従う.
る必要がある。
鉄筋のあきを設定する。→示方書「9.3 鉄筋のあき」参照
・水平あきは、20mm 以上、粗骨材最大寸法の 4/3 倍以上、
鉄筋の直径以上としなければならない。
粗骨材最大寸法 Gmax=20mm とすると、あきは 20×4/3=27mm 以上
D19 異形鉄筋を使用するので鉄筋直径は 19mm。
従って、最小水平あきは 27mm となる
・鉛直あきは粗骨材最大寸法 Gmax=20mm 以上かつ鉄筋直径以上となっ
ているので、最小鉛直あきは 20mm となる。
【すべての条件を満たすように数値を選ぶこと】
従って、この場合の断面内配筋状態は図- 3 のようになる。
なお,ここでのかぶりについては,コンクリート表面から引張鉄筋表
面までの距離だけでなく,コンクリート表面からスターラップ表面まで
の距離について検討し,基準値を満足するように定めること.
最小かぶり厚さは,環境条件により決まるため,使用される鉄筋の重
要度,部位などには関係がないため,このように配慮しなければならな
い。
30
13
19
19
19
19
19
60
37
56
37
56
37
56
37
56
70
37
56
60
19
40
21
19
40
21
19
40
21
19
19
図- 3 引張主鉄筋に 24-D19 を使用した場合の配筋例(単位:mm)
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
11)鉄筋曲げ上げ位置の設定
⇒【解説】11)参照
<8>
T形はり軸方向において、中央断面に作用する設計曲げモーメントに
あわせて設定した配筋形態を支点付近にも適用するのは不経済である。
また、支点付近では曲げモーメントよりせん断力が大きくなる。これに
対応するため、ウエブ部分にせん断力に抵抗するように斜め方向に配置
するため、引張側鉄筋を 45 ゚上側へ曲げ上げる。
曲げ上げる鉄筋の本数は全本数の 1/3 以上、1/2 以下とする。また、曲
げ上げる場所は 3 箇所以上とする。→構造細目 鉄筋の定着を参照.
折曲鉄筋
軸方向鉄筋
曲上げ間隔:sb
図- 4 折曲鉄筋の概要
12)鉄筋量が変化する断面に 鉄筋の曲上げ位置での設計作用曲げモーメントに対する設計曲げ耐力
おける設計曲げ耐力に関する の安全性について照査を行う。引張側主鉄筋を曲げ上げることにより、
実際には有効高さが変化するが、中央断面と同一とする。
安全性の照査
⇒【解説】12)参照
13)断面に関する細目の決定 ここまでで引張主鉄筋に関する検討を行い、これらを決定した。
ここでは、引張主鉄筋以外の必要な鉄筋に関する検討を行う。
a)スターラップ ⇒【解説】13)-a)参照
b)用心鉄筋 ⇒【解説】13)-b)参照
c)ハンチ部配力鉄筋 ⇒【解説】1)参照
その他、必要なものは構造細目の項に記載
【解説】1)について
・スパン中央断面の仮定
自重や外力による生じる曲げ応力度がもっとも大きくなる断面はスパン中央部分である。従って,こ
の断面において、各種荷重条件に耐え得るような断面を仮定する。フランジの有効幅を算定した後、断
面を中桁と耳桁に分割し、そのうちの中桁について各種設計計算を行う。また、この際、断面内に配置
する軸方向主鉄筋の配置についても仮定する必要がある。
仮定する項目は次の通りとなる。
(1) はりの断面寸法について
はりの高さ、有効高さ、フランジの幅、フランジの厚さ、ウエブの幅を仮定する.
ここで、断面における有効高さを設定しなければならないが、概ね部材高さ h から 100∼150mm 程度
を差し引いた値とすると比較的うまくいく場合が多い。⇒【解説】10)参照
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<9>
1350
64
46
8xD32
400
64
80 80
1220
200
2000
80
3x80
(=240) 80
図- 5 断面および鉄筋配置の例(単位:mm)
T形はりを横に数本並べた時にできるスラブ部分は、T形はりではフランジ部に相当する。
このフランジ部の厚さは配筋などを考慮し、200mm 以上とする。また、断面方向には D16 程度
の太さの異形鉄筋をスターラップの間隔で配置する。軸方向には D16 程度の太さの異形鉄筋を
300mm 以下の間隔で配置することとする。かぶり厚さは 30mm 以上とする。
(注) 実際にフランジ断面の形状・配筋図を作成し、所定の鉄筋配置・かぶりなどが適切になるか確
認しながらフランジ厚さを検討すること。(作図した図面を添付すること。尺度は 1/10 程度とする。
図- 5 を参照。)
(2) 引張軸方向主鉄筋
使用する引張軸方向主鉄筋の種類・本数、配置位置、かぶり、
鉄筋のあき(水平方向・垂直方向)、鉄筋比,.
..
.について仮定する.
........................
なお、断面仮定の際に、仮定した断面について図示し、計算書に記載すること。
記載がない場合、断面に対しての検討を行っていないものとし、評価の対象としないので注意すること。
(注)
鉄筋量
鉄筋コンクリート部材として機能するのに必要な最小主鉄筋量は、ひび割れ発生モーメン
ト相当の曲げ耐力を持たせるのに必要な量としている。コンクリート標準示方書・設計編で
は、この値として鉄筋比p(=As/(b・d))を0.2%以上、T形ばりの場合には鉄筋比pw(=As/(bw・d))
を0.3%以上とすることが原則とされている。(⇒教科書・示方書参照)
最大主鉄筋量は曲げ圧縮破壊とならないことを前提として規定され、示方書では鉄筋比を
釣合鉄筋比の75%以下とすることを原則としている。
(注)
かぶり(→教科書 pp.146および示方書・設計編「9.2 かぶり」参照)
鉄筋表面からコンクリート表面までのコンクリートの厚さをかぶりという。
かぶり厚さは、コンクリートの打ち込み易さと耐久性の観点から、コンクリートの品質、
鉄筋の直径、環境条件、施工誤差、構造物の耐用期間と重要性などを考慮して定めなければ
ならない。
また、かぶりは鉄筋とコンクリートの付着にとって不可欠のものであり、そのためには少
なくても鉄筋の直径以上であることが必要である。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
(注)
<10>
鉄筋のあき(→教科書 pp.146 および示方書・設計編「9.3 鉄筋のあき」参照)
鉄筋の純間隔のこと。示方書では、はりにおける軸方向鉄筋の水平方向のあきを20mm以
上、粗骨材の最大寸法の4/3倍以上、鉄筋の直径以上とすることが規定されている。また、2
段以上に軸方向鉄筋を配置する場合には、その鉛直方向のあきを一般に20mm以上、鉄筋の
直径以上とすることが規定されている。
== 断面仮定時の注意事項 ==
・圧縮フランジの有効幅の計算
矩形断面のはりの場合、断面の幅方向の応力の分布状態は一定とみなされる。しかし、T形ばりでは、
曲げ耐力や曲げによる応力度の計算において、フランジ内の圧縮応力は幅方向に一様としているが、フ
ランジ幅が広い場合には、フランジ内の圧縮応力分布は一様にならず、ウエブの付け根付近の応力度が
大きく、一方、フランジの端になるほど小さくなる(図- 6参照)。
bo
be
k・fc'
中立軸
bo
(a) 圧縮突縁の応力分布
(b) 有効幅の考え方
be
be
l/8
45°
45°
bs bw
bs
45°
l/8
l/8
両側にスラブがある場合
(c)
bs
b1
片側にスラブがある場合
RC標準示方書の方法
図- 6 T形はりのフランジの有効幅
このような応力分布を考えて応力度および耐力や曲げ剛性の計算を行うのは実用的ではないので、実
際の計算では圧縮フランジ内の応力が幅方向に一定であるとして計算を行う。このため,このように考
えても差し支えない圧縮フランジの幅をT形ばりのフランジの有効幅という。フランジの有効幅は、荷
重の状態、断面形状寸法、スパン、支承条件などにより変化するが、土木学会、コンクリート標準示方
書・設計編では次のように規定している。
両側にスラブがある場合(図- 6(c) 左側の場合(本課題の条件では、こちらに該当)):
be = bw + 2(bs + l 8)
ただし、 be は両側スラブの中心線間の距離 b0 を超えてはならない。 be > b0 ならば be = b0 とする.
片側にスラブがある場合(図- 6(c) 右側の場合): be = b1 + bs + l 8 耳けたなどの場合に相当する.
ただし、beはスラブの純スパンの1/2にb1を加えたものを越えてはならない。また、 bs はハンチ高さに
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<11>
等しい値より大きくとってはならない。ここに、lは単純ばりではスパン、連続ばりでは反曲点間距離を
とる。
(注)
ハンチについて
ハンチの隅角部の内側に沿う鉄筋は、スラブまたははりの引張を受ける鉄筋を曲げたものとせ
ず、ハンチの内側に沿って別の鉄筋を用いるものとする。ハンチの寸法については特に規定しな
いが、おおよそ図- 7の通りとするが、これより大きな寸法としてもかまわない(例えば水平
450mm、垂直150mmなど)。ハンチの傾斜部の傾きは1:3程度とし、高さが80mm以上のハンチに
ついては,傾斜面の内側に沿い、かぶり厚さ分だけ内側に用心鉄筋を配置する。配置間隔はスター
ラップの間隔と同程度とする。配置する鉄筋はD13∼D16程度とする。スターラップと同一径の
鉄筋を用いてもよい。
1000
橋軸方向配力鉄筋
橋軸方向配力鉄筋
フランジ部分
フランジ部分
横方向配力鉄筋
100
100
横方向配力鉄筋
300
800
ウエブ部分
ウエブ部分
(a)フランジ下側の一部にハンチをつける場合 (b)フランジ下側の全体にハンチをつける場合
図- 7 ハンチ部分の形状および寸法の例
なお、断面耐力の計算などを行う際には、厳密には考慮しなければならないが,ハンチ部のコンク
リート断面積は無視して死荷重や断面耐力の算定を行うこととする。
⇒考慮すると、たわみの計算などの場所で複雑になる。
【解説】4)∼9)について
曲げ耐力の検討・鉄筋量の算定
曲げ耐力の検討はスパン中央断面および断面内の鉄筋量が変化する折曲鉄筋の曲上げ位置とし、それ
ぞれの断面において、断面力と断面耐力を算定し、安全性を照査する必要がある。なお、曲上げ位置に
おいて、曲上げた鉄筋はその断面で内力を分担しないものとする。
(1) 死荷重による設計曲げモーメント
MD
M D = γ a (γ f Ac w + γ f qd )⋅x(l − x) / 2 = γ a (γ f W + γ f qd )⋅x(l − x) / 2
ここで、 Ac :はりの断面積(m2)
γ f :荷重に対する安全係数,ただし,自重分と荷重分では値が異なるので注意する.
w :鉄筋コンクリートの単位容積質量(kN/m3)(wは小文字であることに注意する)
l :スパン(m)
x :支点からの距離(m)
W:はりの単位長さあたりの質量(kN/m)
なお、スパン中央以外においては設計上安全側となるように、曲げ引張破壊の検討はシフトルール
によって支点側に有効高さdだけずらした位置の曲げモーメントに対して行う。このため、この式に
おけるxの代わりにx+dを用いる。
(2) 移動荷重と衝撃による設計曲げモーメント
M L = (1 + i )γ a {γ f (2 P l + ql )}⋅ x(l − x) / 2
ここに、i:衝撃係数
i = 7 (20 + l )
ML
ここの l の単位は[m]である.
この場合も、スパン中央以外はxの代わりにx+dを用いる。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<12>
(3) 設計曲げモーメント Md
(1)および(2)での計算結果を同一断面xでの計算結果を足し合わせる。
Md=MD+ML
(4) 設計作用曲げモーメントの割増
計算結果が安全側となるように設計作用曲げモーメントに安全係数γiを乗じる。
(5) 安全性を考慮した設計曲げ耐力の算定
一般に、部材の安全性の検討は、安全係数を乗じた設計作用曲げモーメントと設計曲げ耐力との比
γiMd/Mudが1.0未満(つまり、設計曲げ耐力のほうが大きくなる)であることを確認する。
安全性を考慮した上で、作用曲げモーメントに対して適切な設計曲げ耐力を算出するためには、γ
iMd/Mudの値をあらかじめ決めておき、作用曲げモーメントに対する設計曲げ耐力を算出するほう
が効率的である。本課題では、γiMd/Mud=0.8程度に設定し、各検討断面における作用モーメント
Mdに対して十分な安全率を見込んだ最小曲げ耐力minMudを逆算して求めることとする。
ここまでの計算結果を横軸に支点からの距離x(m)、縦軸に設計作用曲げモーメント、割増した設計
作用曲げモーメント、計算上必要な設計曲げ耐力をとり、それぞれを図- 8に図示する。
2500
曲げモーメント(kN・m)
最小設計曲げ耐力 minMud
2000
作用設計曲げモーメント γ M
i d
1500
作用曲げモーメント M
d
シフトルール適用後の
設計作用曲げモーメント
1000
γ を乗じ割増し後の
i
設計作用曲げモーメント
500
γ M /M =0.8となるような
i d
ud
設計曲げ耐力M
0
ud
0
1
2
3
4
5
6
7
支点からの距離(m)
図- 8 作用モーメントから必要設計曲げ耐力を求める方法
(6) 設計曲げ耐力 Mud から必要最小鉄筋量minAsの算出
本課題では、T形断面であるから、本来、中立軸位置の検討をしなければならないが、実務上、矩
形断面として処理することが多い。
M ud = As f yd d (1 − 0.6 p f yd f 'cd ) γ b
ここに、 f yd = f yk
γs
f 'cd = f 'ck γ c
鉄筋の設計降伏強度
コンクリートの設計圧縮強度
p:鉄筋比(=As/(bd))・・・矩形断面として扱うため、鉄筋比はフランジの幅を用いて
求めることとする。(pは小文字であることに注意する)
γ b :部材係数 =1.15
断面検討の際には、この式を利用し、各検討断面における必要設計曲げモーメントを持つため
に必要な最小限の鉄筋量minAsを算出する。(逆算すればよい)
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<13>
【解説】10) について
適切な鉄筋の組み合わせの検討
前項(6)で求めたminAsに対して、過大な鉄筋量とならないように市販の鉄筋の中から適切な径と本
数を選定する。
たとえば、minAs=6261mm2(計算例におけるx=7.5mの中央断面)の場合、以下の組み合わせが考えら
れる。たとえば,
表- 6 使用鉄筋の呼び名と最低必要本数・鉄筋断面積の関係
使用鉄筋呼び名
1本あたりの断面積(mm2)
最低必要本数(本)
そのときの断面積(mm2)
D16
198.6
32
6355.2
D19
286.5
22
6303.0
D22
387.1
17
6580.7
D25
506.7
13
6587.1
D29
642.4
10
6424.0
D32
794.2
8
6353.6
その他の組み合わせも考えられるので,吟味すること.
異なる径の鉄筋を組み合わせるのは得策ではない⇒計算が面倒になる
必ずAs≧minAsであることを確認する。
本数は必ず整数である.計算結果をそのまま使い小数として結果を出している者が年に数人いる.
数値の意味を良く理解して計算書を作成すること.
⇒この数値を小数で計算していた場合,内容を理解していないと見なして採点をせずに
返却するので注意すること.
また,あまり鉄筋の本数が多くなると、ウエブ断面内に適切に配置することが困難となるので注意
すること。
⇒(注)のかぶりや鉄筋のあき間隔の項目などを参考にし、注意して適切に設定すること。実
際に図面を書きながら検討するとわかりやすい上、後で間違えることが少ない。
くれぐれも、コンクリートがきちんと充填できるような配筋を考えること。
(粗骨材の最大寸法は20mmとする。
)
ここで適切な断面設定が行われていない場合、大幅な減点となるので気をつけること。
また、図- 3以外で実現可能と考えられる鉄筋の配置条件について検討すると図- 9のようになる。
この他、さまざまな組み合わせが考えられるので、その他の項目についても十分に考えて断面およ
び配筋を決定すること。
なお,41ページ以降に,鉄筋の付着に関する検討についての追加説明があるので,こちらも十分に踏
まえた上で断面の配筋を検討すること.
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<14>
292
22
22
22
22
22
13
32
32
32
32
54
54
54
54
54
65
32
67
67
68
43
25
42
25
42
25
43
25
25
43
25
42
25
42
25
43
25
25
43
25
42
25
42
25
43
25
45
65
43
25
22
43
22
68
25
45
22
22
13
65
85
45
57
32 13
32
65
32 13 9
(a)18-D22鉄筋を使用した場合の配筋例
39
29
38
29
38
29
39
65
(b) 15-D25鉄筋を使用した場合の配筋例
32
29
58
32
58
32
58
32
38
70
70
41
32
29
29
270
32
29
13
95
45
65
68
67
67
62
62
45
95
32
13
32
68
65
65
90
90
90
65
(c)10-D29鉄筋を使用した場合の配筋例
(d)8- D32鉄筋を使用した場合の配筋例
図- 9 引張主鉄筋に各種鉄筋を使用した場合の配筋例
なお、1)において、断面における有効高さを設定しなければならないが、概ね部材高さhから100∼
150mm程度を差し引いた値とすると前述のように比較的整合性がよい場合が多い。図- 3では引張縁か
らの鉄筋図心位置までの距離は約130mmであり、スターラップ下側のかぶり厚さは40mmとしている。
ここを最小かぶり厚さ24mmとすると、引張縁から鉄筋図心までの距離は約104mmとなる。また、施工
時の誤差を考慮し、かぶり厚さを30mm程度とすると、引張縁から鉄筋図心までの距離は約110mmとな
る。ここでは、有効高さを仮定するわけであるが、最終的に有効高さを変更した場合、配筋を決定し
た断面に対して有効高さを再検討し、断面・配筋を決定する必要があるので気をつけなければならな
い。
【解説】11)について
折曲鉄筋の曲げ上げ位置および曲げ上げ本数の設定
折曲鉄筋は、曲げモーメントの橋軸方向の変化を考慮して軸方向鉄筋の曲げ上げ位置を仮定する。
折曲鉄筋の曲げ上げ角度は45°とし、曲げた位置から曲げモーメントには抵抗しないものとする。
このため、曲上げ位置において軸方向鉄筋量が変化するので、それぞれにおいて断面力と耐力を計算
し、安全性を照査する必要がある。折曲鉄筋の配置例を図- 4および図- 10に示す。
なお、本課題の条件として、配置する軸方向主鉄筋の1/3以上を折曲鉄筋とし、曲げ上げ位置を3カ所
以上設定することとする。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
C
<15>
主鉄筋定着部
C
B
A
引張鉄筋(上側)
主鉄筋定着部
支点
折曲鉄筋
B
A
引張鉄筋(下側)
折曲間隔
A-A 断面
B-B 断面
C-C 断面
図- 10 折曲鉄筋の配置例(引張主鉄筋が8本,2段配置の場合)(側面図および水平方向断面図)
引張主鉄筋の曲上げ位置仮定方法について
以下の方法によって、鉄筋の曲上げ位置を算定すると効率的である。ただし、必ずしもこの方法に
従う必要はなく、各自で同様の検討がなされていればよい。
<計算例>
中央断面において引張側主鉄筋に24-D19を用いる場合についての検討
前出の仮定から、設計曲げモーメントおよび曲げ耐力の計算結果を図示すると図- 11のようになる.
図- 11から、中央断面において鉄筋の組み合わせをD19×24本とすると十分安全側の値となる.鉄筋
が24本の場合の設計曲げ耐力を図中に書き込むと、図- 11のようになる。
また、鉄筋が21本の場合の設計曲げ耐力を図中に書き込み、最小設計曲げ耐力の曲線と比較すると、
鉄筋が21本の場合の設計曲げ耐力を示した直線と最小設計曲げ耐力を示す曲線は支点から4.5m∼5.0m
の範囲で交差すると考えられる。したがって、この交点より支点側(だいたいx<4.5m付近)を鉄筋曲
上げ位置とすることにより,引張側主鉄筋を3本減じても,作用か十に対する曲げ耐力は十分安全側で
あるといえる.
同様にして、鉄筋が18本の場合の設計曲げ耐力を示す直線と最小設計曲げ耐力を示す曲線の交点は
支点から3.2m付近となるので、これより支点よりの位置でさらに鉄筋を3本減ずることができる。
このようにして検討を繰り返すことにより、鉄筋の曲上げ位置を決定すると、支点から1m、2m、3m、
4mの位置となり、それぞれの位置で鉄筋を3本ずつ曲げ上げることにより、最小設計曲げ耐力より過大
な曲げ耐力を有することなく、支点からの位置に応じて適切な設計曲げ耐力を有する桁を設計すること
ができる。このようにして決定した鉄筋の曲上げ本数および設計曲げ耐力の計算例を表- 7に示す.
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<16>
24-D19 M =2453
2500
ud
21-D19 M =2153
曲げモーメント(kN・m)
ud
2000
最小設計曲げ耐力 minMud
18-D19 M =1852
ud
作用設計曲げモーメント γ M
i d
15-D19 M =1548
ud
1500
作用曲げモーメント M
12-D19 M =1242
ud
d
1000
500
0
0
1
2
3
4
5
6
7
支点からの距離 (m)
図- 11 設計曲げモーメントと仮定した鉄筋量での設計曲げ耐力の関係
表- 7 鉄筋の曲上げ位置と設計曲げモーメントおよび鉄筋量の関係
x (m)
1.00 2.00 3.00 4.00 7.50
計算方法
785
1050
1259
1413
1557
荷重条件からの
Md (kN・m)
(3)での計算結果
903 1208 1448 1625 1791 構造物安全係数を乗じる(4)
計算結果
γiMd(kN・m)
minMud (kN・m) 1129 1510 1810 2031 2239 γiMd/ minMud=0.8とする(5)
minAs(mm2)
3120 4190 5039 5667 6261 (6)の式で逆算してAsを求める
12
15
18
21
24 minAs を使用鉄筋断面積で除し整
D19使用本数
(11)
(14)
(20)
(22)
(22)
数に切り上げる.結果は必要本数と
(必要本数)
なる.これ以上の本数を設定し,実
際に使用する本数とする.
3
3
3
3
0 曲げ上げ本数を仮定する
D19曲上げ数
【解説】12)について
仮定した鉄筋の組み合わせにおける設計曲げ耐力の計算および設計曲げ耐力の安全性についての照査
折曲げた鉄筋は外力による曲げモーメントに対して抵抗しないことになる。このため、引張側鉄筋を
折曲げた場合、曲げ上げた位置で引張側鉄筋量が変化するので、これに合わせて設計曲げ耐力を算出す
る必要があり、それぞれに対して安全性を照査する必要がある。
<計算例>
前出のとおり,中横断面においてD19×24本を引張側鉄筋とした場合について考える.
折曲鉄筋の曲上げ位置を図- 11に示すように、支点から1m、2m、3m、4mの位置においてそれぞれ3
本ずつの鉄筋を折曲げることとする。この際、曲げ上げたそれぞれの位置での設計曲げ耐力の安全性に
ついて照査する。安全性の検討は、Mud/Md≧ γ i であることを確認する、すなわち γ i Md/Mud≦1.0であ
ることを確認することと同意である。
ここで、 γ i =1.15とする。
24-D19を用いた場合の計算結果の例は表- 8に示した通りである。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<17>
表- 8 鉄筋の曲上げ位置と設計曲げモーメントおよび鉄筋量の関係
x (m)
1.00 2.00 3.00 4.00 7.50
備考
785 1050 1259 1413 1557
荷重条件からの Md (kN・m)
903 1208 1448 1625 1791
計算結果
γiMd(kN・m)
minMud (kN・m) 1129 1510 1810 2031 2239
minAs(mm2)
3120 4190 5039 5667 6261
12
15
18
21
24 使用鉄筋本数
D19使用本数
3
3
3
3
0 その断面で曲げ上げる本数
D19曲上げ数
各断面の曲げ上げていない本数から
As(mm2)
3438 4297.5 5157 6016.5 6876
仮定した断面に
面積を計算する
p(%)
おける計算結果
0.141 0.176 0.211 0.247 0.282 鉄筋比の計算
pw(%)
0.705 0.881 1.057 1.233 1.409 鉄筋比の計算⇒必要量の確認
Mud (kN・m)
1242 1548 1852 2153 2453 各断面での設計曲げ耐力算定
安全性照査 γ i Md/Mud≦1.0
γiMd/Mud
0.727 0.780 0.782 0.755 0.730
【解説】13)-a) について
スターラップに関する検討
せん断補強鉄筋を配置していないはりが斜め引張破壊をする場合、その破壊は斜めひび割れの発生
とともに急激なものとなる。これを避けるため、はりにはせん断補強鉄筋としてスターラップを必ず
配置する必要がある。示方書では、鉛直スターラップの必要量として、下記の式が規定されている。
この規定を満足するようにスターラップを部材全長にわたって配置する。
Aw (bw ⋅ s ) ≧0.15%
ただし、Aw:スターラップの断面積
s:スターラップの配置間隔
また、その間隔は、部材有効高さの3/4倍以下、かつ400mm以下とするのを原則とする。
スターラップの端部は圧縮側コンクリートに十分に定着しなければならないと規定されている。こ
のため、スターラップには図- 12に示す標準フックを設けることとする(標準フックについては後述し
ている部分を参照)。
〔圧縮側〕
プの
ラッ :s s
ー
隔
スタ 置間
配
〔引張側〕
例1
例2
図- 12 U形スターラップの形状および端部の状態
1区間あたりに出てくる
スターラップの断面は
U字型の場合2本分
図- 13 スターラップの断面積
<計算例>
スターラップとしてSD345
1組のスターラップの断面積は
D13異形鉄筋をU字型に配置するとして、
Aw=2×D13=2×126.7mm2=253.4mm2
(1組というのは,フランジ部に平行な平面で切断した際に,スターラップの配置間隔あたりの部材
軸と直角の方向に現れるスターラップの断面積である.図- 13参照)
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<18>
bw=400mmとすると、前出の式から、s≦Aw/(0.0015bw)=253.4/(0.0015×400)=422.3(mm)
本文の規定からs≦400(mm)であるので、sは400mm以下でよい。
従って、はり全長にわたって400mmピッチでスターラップを配置する。
ちなみに、このとき、 Aw (bw ⋅ s ) =0.158%となる。
【解説】13)-b) について
用心鉄筋に関する検討
はりの高さが大きい場合には乾燥収縮、温度変化、施工条件などによって、ウエブに鉛直に生じる
ひび割れに対して水平の用心鉄筋を配置する必要がある。その量は、はりの高さ1mにつき片側500mm2
以上、鉄筋間隔は300mm以下とするように推奨されている。
なお、この鉄筋は引張応力および圧縮応力を分担しないものとし、曲げ耐力などの検討では無視し
て良い.
<計算例>
用心鉄筋の必要断面積と条件から、250mmピッチで配置するとして、はりの部材高さ1m
あたり500mm2必要であるから、1カ所あたりの必要断面積は、500×250/1000=125mm2
となる。従って、適当な鉄筋を選ぶと、D13鉄筋(As=126.7mm2)となるので、本計算例では、D13異形鉄
筋を250mmピッチで配置する。
図- 14参照.ウエブ内に縦方向に配置される軸方向鉄筋の間隔は,すべてにわたりこの間隔以下で
配置されなければならない.
この間隔は下に準じる
(計算例では250mm以下)
用心鉄筋
D13
【最優先】
この間隔が決められる
(計算例では250mm以下)
この間隔は上に準じる
(計算例では250mm以下)
図- 14 用心鉄筋の配置間隔について
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<19>
5.4 せん断耐力に関する検討
せん断耐力の検討は、支点からh/2離れた位置および折曲鉄筋の曲上げ位置の断面について行う。
(1) 死荷重による設計せん断力
VD
VD = γ a (γ f Ac w + γ f qd ) ⋅ (l 2 − x )
(2) 移動荷重と衝撃による設計せん断力 VL
VL = (1 + i )γ aγ f {P(1 − x l ) + ql l (0.5 − x l )}
(3) 設計せん断力
Vd = V D + V L
(4) 設計せん断耐力
⇒教科書のせん断耐力の章を参照
設計せん断耐力Vydは基本的にはコンクリートの分担分Vcdとせん断補強鋼材の分担分Vsdの和で表
される。Vsdは,せん断補強鋼材の降伏を仮定し,圧縮斜材角を45゚のトラス理論から算定されるも
のである。
V yd = Vcd + Vsd
ここに、
Vcd:せん断補強鋼材を用いない棒部材の設計せん断耐力
Vcd = β d ⋅ β p ⋅ β m ⋅ f vcd ⋅ bw d γ b
⇒教科書 p.62
f vcd = 0.2 ⋅ 3 f ' cd (fvcd≦0.72(N/mm2)),
β d = 4 1000 d (dの単位はmm) βd>1.5の場合はβd=1.5,
β p = 3 100 p w
β m = 1.0 ,
β p >1.5の場合はβ p =1.5
bw:腹部の幅(ウエブ幅),(mm)
d:有効高さ(mm)
pw=As/(bw・d)
pw:ウエブ部分に関する鉄筋比であり,荷重のPとは異なる
As:引張側鋼材断面積(mm2)
f’cd:コンクリートの設計圧縮強度(N/mm2)
γ b :一般に1.3とする。(コンクリートのせん断に関する部材係数)
Vsd:せん断補強鋼材により受け持たれる設計せん断耐力
Vsd = Aw f wyd (sin α s + cos α s ) s s + Ab f yd (sin α b + cos α b ) sb z γ b
{
}
= Aw f wyd (sin α s + cos α s ) s s × z γ b + Ab f yd (sin α b + cos α b ) sb × z γ b
Aw:区間ssにおけるせん断補強鉄筋の総断面積(mm2)( スターラップ分)
fwyd:せん断補強鉄筋の降伏強度で,400N/mm2以下とする
αs:せん断補強鉄筋が部材軸となす角度(一般に90°)
ss:せん断補強鉄筋の配置間隔 (mm)
Ab:引張側軸方向鉄筋を折り曲げてせん断補強鉄筋とするときの区間sbにおける断面積(mm2)
fyd:引張側軸方向鉄筋を折り曲げてせん断補強鉄筋とするときの軸方向鉄筋降伏強度
(N/mm2)
αs:折り曲げたせん断補強鉄筋が部材軸となす角度(曲上げ角度=45°が一般的である)
sb:折り曲げる間隔(mm)
z :圧縮応力の合力の作用位置から引張鋼材図心までの距離,一般にz=d/1.15としてよい。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<20>
γ b :一般に1.15とする。(鉄筋の作用力に関する部材係数)
同じ記号で意味が異なることに注すること.
Vsdに関して,第1項は一般に1組のスターラップが分担するせん断耐力分、第2項は引張側軸方向鉄筋
のうち,曲上げた折曲鉄筋の分担分である。
ただし、示方書には「せん断補強鉄筋として折曲鉄筋とスターラップを併用する場合は,せん断補強
鉄筋が受け持つべきせん断力の50%以上をスターラップで受け持たせるものとする」という規定がある。
このため、仮に個別に計算した結果が
{A
b
f yd (sin α b + cos α b ) sb }× z / γ b > {Aw f wyd (sin α s + cos α s ) s s }× z / γ b
すなわち,折曲鉄筋が受け持ち可能なせん断力は,スターラップが受け持ち可能なせん断力越える場合
においても,上記の規定から,
{A
b
f yd (sin 45° + cos 45°) sb }× z / γ b = {Aw f wyd (sin 45° + cos 45°) s}× z / γ b
となる値までとることを認められている。表- 9に示した計算例を参考にすること。
(5) 安全性の検討
安全性の検討は、γ i Vd/Vyd≦1.0 であることを確認することによって行う。ここに、γ i = 1.15 であ
るとする。
(6) 斜め圧縮破壊に対する安全性の検討
腹部コンクリートのせん断に対する設計斜め圧縮破壊耐力 Vwcd は、次の式で与えられる。
Vwcd = f wcd ⋅ bw ⋅ d γ b
ここに、 f wcd = 1.25 f 'cd ,
γ b = 1.3 ,ただし,fwcd≦7.8N/mm2
作用せん断力が最大となるのは、支点の位置、つまり、x=0の断面であるので、x=0におけるVdを求
め、 γ i Vd Vwcd について検討する。
(7) せん断耐力に関する計算例
曲げ耐力の検討の場合と同様に、24-D19を用い、前節5.3で仮定した曲上げ位置において鉄筋を折曲げ
た場合およびせん断荷重が大きくなる支点からh/2の位置における計算例を示す。
表- 9 せん断耐力に関する検討
x (m)
VD (kN)
VL (kN)
Vd (kN)
Vcd (kN)
Vsd (kN)
Vsd スターラップ分
Vsd 曲上鉄筋分
曲上げ数
Vyd (kN)
γiVd/Vyd
0.675
163
198
361
181
357
178
342
1
156
192
347
181
357
178
342
2
132
173
304
195
357
178
342
3
108
154
262
207
357
178
342
4
84
135
219
218
178
178
0
5
60
116
176
228
178
178
0
6
36
97
133
228
178
178
0
7
12
78
90
228
178
178
0
備考
7.5
0
69
69
228
178
178
0 178kNまで分担
3
538
3
538
3
552
3
564
0
397
0
406
0
406
0
406
0
406
0.772 0.742 0.634 0.533 0.634 0.498 0.377 0.256 0.195
(注) x=4.0mでは、鉄筋を3本曲げ上げているが、この断面には斜めに配置されている折曲鉄筋は存在し
ないので、Vsdのうち、折曲鉄筋分担分は0kNである.このため,Vsdはスターラップ分のみで考える。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<21>
x<4.0mの断面では、その断面より部材中央寄りの断面において折曲げられた折曲鉄筋が存在するた
め、Vsdはスターラップ分担分と折曲鉄筋分担分を足し合わせたものとなる。しかし、前述の示方書記載
の規定により、折曲鉄筋分担分が342kNであるが、スターラップ分担分が178kNであるので、342kN⇒
178kNとして、足し合わせる。結果としてVsd=357kNとなる。
(8) 斜め圧縮破壊に関する計算例
Vwcd = f wcd ⋅ bw ⋅ d γ b =1.25*23.10.5*400*1220/1.3=2255283(N)≒2255(kN)
ただし、 f wcd = 1.25 f 'cd 、 γ b = 1.3 とした。
支点位置x=0mにおける設計せん断力は Vd(x=0)=390(kN), γ i Vd Vwcd =0.199<1となり安全である。
5.5 ひび割れに関する検討
ひび割れ幅に対する検討は、作用曲げモーメントが最大となるスパン中央断面および鉄筋比が変化す
る折曲鉄筋の曲上げ位置の断面について行うこととする。なお,ここでは,限界状態に関する検討を行っ
た場合と荷重条件、安全係数が異なるので注意すること。なお、安全係数はすべて1.0とする。
計算方法は限界状態に関する検討の場合と同様であるので前述の5.3、5.4を参照するとよい。
(1) 死荷重による曲げモーメント
M D = ( Ac w + qd )x(l − x) / 2
(2) 移動荷重による曲げモーメント
M L = (2 P l + ql )x(l − x) / 2
MD
ML
(3) 鉄筋応力度 σs
引張主鉄筋の曲上げ位置における鉄筋の応力度を算出する。このとき、各断面で鉄筋量が変化す
るので、これに合わせて鉄筋断面積に応じた応力度を算定する。
σ s = M d ( As ⋅ j ⋅ d )
ここに,Md:作用曲げモーメント Md=MD+ML
T形ばりの場合は、j・d=d−t/2 とすると一般に安全側となる。また、ひび割れ検討用の移動荷重
の大きさをその影響を含めて定めてあるので、示方書に示されている k1 は1とする。
(4) ひび割れ幅
w
各断面の鉄筋応力度に応じたひび割れ幅を算定する。
w = k {(σ s E s ) + ε 'cs }l
ここに、k:鋼材の付着性状の影響をあらわす定数で,一般に,異形鉄筋の場合に1.0,普通丸鋼
およびPC鋼材の場合に1.3としてよい。
Es=200kN/mm2,
ε'cs = 150 × 10−6 コンクリートの収縮およびクリープなどによるひび割れ幅の増加を
考慮するためのひずみ
l=4c+0.7(cs−φ)
c:かぶり厚さ(mm)
cs:鋼材の中心間隔(mm)
φ:鋼材の直径(mm)・・・・呼び寸法でよい。D32なら32mmとする.
第1項の (σ s E s )l は使用する鉄筋の径に応じた曲げひび割れ発生間隔における曲げひび割れ幅で
ある。σ s E s は鉄筋に生ずる応力度に応じた鉄筋の引張ひずみとなる。したがって式全体ではひび
割れ発生間隔lにおける鉄筋の引張変形量とコンクリートの乾燥収縮による変形量を足し合わせた
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<22>
ものが、ひび割れ幅となっている。
(5) 許容ひび割れ幅
wa
本課題の設計条件は一般の環境条件であるので、許容ひび割れ幅waは、
wa=0.005c
ここに、c:かぶり厚さ(mm) ただし,100mm以下を標準とする。
(6) 安全性の検討
ひび割れ幅の安全性の検討は、w/wa≦1.0について検討することに置き換えられる。
(7) 計算例
前述の仮定に従って、部材中央および鉄筋曲げ上げ位置における曲げひび割れ幅を検討した例を表-
MD=12.320 x (l-x), ML=6.000 x (l-x), Md=18.320 x (l-x)
10に示す。
表- 10 曲げひび割れに対する検討
x (m)
MD
ML
Md
As (mm2)
σs (N/mm2)
w (mm)
wa (mm)
w/wa
c (mm)
φ (mm)
cs (mm)
1
172
84
256
3438
66.6
0.105
0.253
0.415
50.5
19
40
2
320
156
476
4297.5
99.0
0.140
0.253
0.553
50.5
19
40
3
444
216
660
5157
114.2
0.156
0.253
0.619
50.5
19
40
4
542
264
806
6016.5
119.6
0.162
0.253
0.642
50.5
19
40
5
616
300
916
6876
118.9
0.161
0.253
0.640
50.5
19
40
6
665
324
989
6876
128.4
0.172
0.253
0.680
50.5
19
40
7
690
336
1026
6876
133.2
0.177
0.253
0.700
50.5
19
40
l/2
7.5
693
338
1031
6876
133.9
0.177
0.253
0.703
50.5
19
40
5.6 たわみの検討
変動荷重による短期のたわみ(荷重作用時に瞬時に生じるもの)について検討する。曲げひび割れが発
生しないコンクリート部材の場合、全段面有効として弾性理論に従ってたわみを計算し、曲げひび割れ
が発生する場合には、ひび割れによる剛性低下を考慮して求めるのが一般的である。
ここでは、曲げひび割れによる剛性低下を考慮した場合として計算を行うこととする。
断面剛性の算定に際し、換算断面二次モーメントIeについて考える方法が示方書に示されている。こ
のIeは次式で与えられ、断面剛性は部材全長にわたって一定と考えるものである。
⎛ M
I e = ⎜⎜ crd
⎝ M d max
3
⎧⎪ ⎛ M
⎞
crd
⎟⎟ I g + ⎨1 − ⎜⎜
⎪⎩ ⎝ M d max
⎠
⎞
⎟⎟
⎠
3
⎫⎪
⎬ I cr ≦ I g
⎪⎭
ここに、Mcrd:断面に曲げひび割れが発生する限界の曲げモーメント
示方書では、コンクリートの曲げ応力度が寸法効果を考慮した設計引張強度ftde
となる曲げモーメントとしている
ftde=k1 ftk /γc, k1=0.6/h1/3, 0.4≦k1≦1.0, γc=1.0 (示方書設計編7.4.4参照)
Mdmax:たわみ計算時の設計曲げモーメントの最大値
Ig:全段面の断面二次モーメント
Icr:引張応力を受けるコンクリートを除いた断面二次モーメント
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<23>
(1) たわみ計算時の設計曲げモーメントの最大値
Mdmax
M d max = {Ac w + qd + (1 + i )(2 P l + ql )}x(l − x ) / 2
(2) 断面にひび割れが発生する限界の曲げモーメント
Mcrd
M crd = k1 ⋅ f bd ⋅ I g yt
ここに、k1:コンクリートの曲げ強度が部材高さによって異なることを表す係数
2
f bd :コンクリートの設計曲げ強度 (= 0.42 f 'ck 3 γ c )
I g :全断面の断面二次モーメント
yt :全断面に関する中立軸から引張縁までの距離
(3) 引張応力を受けるコンクリートを除いた断面二次モーメント
Icr
作用曲げモーメントが最大となるスパン中央断面について計算を行う。
フランジ内に中立軸がある(x≦t)と仮定して圧縮縁から中立軸までの距離xを計算する。(矩形断面
扱いとする場合)
{
}
x = kd = np − 1 + 1 + 2 (np ) ⋅ d
ここで、 p = As (bd ) :鉄筋比、n:ヤング係数比(= Es Ec )
I cr = bx3 3 + nAs (d − x )
2
フランジ内に中立軸がない場合(x>t)、換算断面の中立軸に関する一次モーメントが0になることを
利用して圧縮縁から中立軸までの距離xを求める。
(b ⋅ x )(x 2) − bo (x − t )(x − t ) 2 − nAs (d − x ) = 0
ここに、 bo = b − bw = be − bw とする。
なお、通常、矩形断面扱いでとして計算しても特別に問題になることはまれである。
(4) 換算断面二次モーメント
⎛ M crd
I e = ⎜⎜
⎝ M d max
(5) たわみ
Ie
⎧⎪ ⎛ M
⎞
crd
⎟⎟ I g + ⎨1 − ⎜⎜
⎪⎩ ⎝ M d max
⎠
3
⎞
⎟⎟
⎠
3
⎫⎪
⎬ I cr
⎪⎭
δ
等分布移動荷重 ql (衝撃を含む)によるもの:δ1
δ1 =
5(1 + 0.8i )ql l 4
384 Ec I e
集中移動荷重P (衝撃を含む)によるもの:δ2(スパン中央に載荷した場合)
δ2 =
∴
(1 + 0.8i ) Pl 3
48 E c I e
δ = δ1 + δ 2
(6) 安全性の照査
許容たわみ量δaは、 δ a = l 600 であるから、 δ δa ≦1.0 となることにより安全性の照査を行う。
(7) 計算例
計算に必要な諸数を求めておく。
① 圧縮強度 f’ck=30N/mm2 に対するコンクリートのヤング係数 Ec=28kN/mm2
② ヤング係数比:n=Es/Ec=200/28=7.1
③ 鉄筋量:As=24×D19=6876mm2=6.876×10−3 m2
④ 曲げひび割れ発生前の全断面有効時における断面の諸定数を求める。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<24>
圧縮縁から断面の図心位置までの距離:y1=
y1=
2
+ bw
1350 2
+ 7.1 × 6876 × 1220
2
2
=502mm=0.502m
(2000 − 400) × 200 + 400 × 1350 + 7.1 × 6876
(2000 − 400 ) × 200
2
h2
+ nAs d
2
2
(b − bw )t + bw h + nAs
(b − bw ) t
+ 400 ×
b
※計算においてはフランジ部分,ウエブ部分,
t/2
圧縮縁
鉄筋に分けて取り扱う方が簡単.
y1
t
h/2
※図心位置を求める場合,基準位置からの各図
G
G
形の断面一次モーメントを足し合わせ,各図
h
形の断面積の和で割るとよい.ただし,鉄筋
d
断面
図心
y2
については,コンクリートと弾性係数が異な
h/2
るため,このままでは計算が出来ないので,
鉄筋の断面積をヤング係数倍して,等価なコ
nAs
ンクリートの断面積に置き換える操作を行
bw
う.これを換算断面積という.
図- 15 断面図心位置の計算に関する記号
引張縁から断面の図心位置間での距離:y2=h-y1=1350-502=848mm=0.848m
図心軸GGに関する換算断面二次モーメントIgは
(断面二次モーメントの計算方法を復習する)
(b − bw )t 3
b y
b y
y
y
t⎞
⎛
2
Ig= w 1 + bw y1 ⎛⎜ 1 ⎞⎟ + w 2 + bw y 2 ⎛⎜ 2 ⎞⎟ +
+ (b − bw ) t ⋅ ⎜ y1 − ⎟ + nAs (d − y1 )
12
12
12
2⎠
⎝
⎝ 2 ⎠
⎝ 2⎠
2
3
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
図心より上側の
ウエブ部分
=
(
3
b w y1 + y 2
3
(
3
) + (b − b
================
図心より下側の
ウエブ部分
w
12
)
2
3
)t 3
2
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フランジ部分
(2箇所まとめて)
^^^^^
鉄筋に
ついて
2
t⎞
⎛
2
+ (b − bw ) t ⋅ ⎜ y1 − ⎟ + nAs (d − y1 )
2⎠
⎝
2
1600 × 200 3
400 × 502 + 848
200 ⎞
⎛
2
+
+ 1600 × 200 × ⎜ 502 −
⎟ + 7.1 × 6876 × (1220 − 502 )
3
12
2 ⎠
⎝
11
4
4
=2.236×10 mm =0.2236m
=
3
3
(この計算時には、鉄筋の図心周りの断面二次モーメントは省略する)
⑤ 曲げひび割れが発生した断面について断面の諸定数を求める。
As
6876
=
= 0.002818
bd 2000 × 1220
np = 7.1 × 0.002818 = 0.02001
p=
k = −np +
( p:断面を矩形扱いした場合の鉄筋比)
(np )2 + 2np = −0.02001 +
0.020012 + 2 × 0.02001 = 0.1810
x = kd = 0.1810 × 1.22 = 0.221 m
( x:曲げひび割れ発生時の圧縮縁から中立軸までの距離)
ひび割れ断面の中立軸n-nに関する断面二次モーメントIcrは
I cr =
bx 3
2000 × 2213
2
2
+ nAs (d − x ) =
+ 7.1 × 6874 × (1220 − 221) = 5.590×1010mm=0.0559 m4
3
3
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<25>
ここの計算では,ひび割れが生じていると仮定しているため,断面二次モーメントの計算にお
いて,引張力が作用している部分については計算から除外して考えること.
また,厳密にはT型断面として計算しなければならないが,近似的に矩形断面扱いとして良い.
x
x
d-x
d-x
nAs
nAs
(a) ひび割れが生じない場合
(b) ひび割れが生じる場合
図- 16 断面内のひずみ分布状態と断面二次モーメントを検討する部位について
⑥ 曲げひび割れが発生する設計曲げモーメントMcrdを求める。
k1 =
0.6
3
h
=
0.6
3
1.35
2
= 0.543
hの単位はm <ここの計算方法が教科書と異なります>
2
f tk = 0.42 f 'ck 3 = 0.42 × 30 3 = 4.055 N/mm2
k f
0.543 × 4.055
2
= 2.202 N/mm
f tde = 1 tk =
γc
1.0
f tde I g 2.202 × 2.236172 ×1011
M crd =
=
= 580.7 kN・m
y2
848
⑦ たわみ計算時の設計曲げモーメントの最大値:Mdmax
M d max = {Ac w + q d + (1 + 0.8i )(2 P / l + ql )}x(l − x) / 2
= {0.860 × 24 + 4 + (1 + 0.8 × 0.2)(2 × 80 / 15 + 6)}× 7.5 × (15 − 7.5) / 2 =1236.8kN・m
⑧ 部材の有効断面二次モーメントIeを求める。
3
3
⎧⎪ ⎛ M
⎫
⎛ M crd ⎞
crd ⎞ ⎪
⎟⎟ I g + ⎨1 − ⎜⎜
⎟⎟ ⎬ I cr
I e = ⎜⎜
⎪⎩ ⎝ M d max ⎠ ⎪⎭
⎝ M d max ⎠
3
⎧ ⎛ 580.7 ⎞ 3 ⎫⎪
4
= ⎛⎜ 580.7 ⎞⎟ 0.2236172 + ⎪
⎟ ⎬ × 0.0559 =0.0733 m
⎨1 − ⎜
1236
.
8
1236
.
8
⎪⎩ ⎝
⎝
⎠
⎠ ⎪⎭
⑨ たわみを求める
等分布移動荷重 ql (衝撃を含む)によるもの:δ1
δ1 =
5(1 + 0.8i)ql l 4 5(1 + 0.8 × 0.2) × 6 × 15000 4
=
=2.235mm
384Ec I e
384 × 28000 × 0.0733 × 1012
集中移動荷重にP (衝撃を含む)によるもの:δ2
(1 + 0.8i ) Pl 3 = (1 + 0.8 × 0.2) × 80000 × 15000 3 =3.179mm
δ2 =
48 × 28000 × 0.0733 × 1012
48 Ec I e
δ=δ1+δ2=2.235+3.179=5.414mm
⑩ 照査
たわみの許容量:δa=l/600=15000/600=25mm
∴ δ/δa=5.414/25.000=0.216<1.0
であり、たわみは許容値と比較して十分に小さい。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<26>
5.7 疲労に関する検討
これまでの計算結果により十分な設計耐力が見込まれる場合、一般に疲労に対しても十分な耐力を
有する場合が多いため、本課題においては、疲労に関する検討を省略することとする。
6.構造細目
実際に製図を行う際に必要となる各種構造細目の数値について計算を行う。
6.1. 各種鉄筋の定着について
各種鉄筋の定着については、コンクリート標準示方書・設計編には次のような規定があり、これに
準じることとする。各種鉄筋についてそれぞれ検討を行うこととする。
========= コンクリート標準示方書[平成8年度制定] 設計編 p.113∼119の記述
=============
9.5 鉄筋の定着
9.5.1 一般
(1)
鉄筋端部は、コンクリート中に十分埋め込んで、鉄筋とコンクリートとの付着力によって定着
するか、フックをつけて定着するか、または機械的に定着しなければならない。
(2)
普通丸鋼の端部には、必ず半円形フックを設けなければならない。
(3)
スラブまたははりの正鉄筋は少なくとも1/3は、これを曲げ上げないで支点を超えて定着しなけ
ればならない。
(4)
スラブまたははりの負鉄筋の少なくとも1/3は、反曲点を超えて延長し、圧縮側で定着するか、
あるいは次の負鉄筋と連続させなければならない。
(5)
折曲鉄筋は、その延長を正鉄筋または負鉄筋として用いるか、または折曲鉄筋端部をはりの上
面または下面に所要のかぶりを残してできるだけ接近させ、はりの上面または下面に平行に折
曲げて水平に延ばし、圧縮側のコンクリートに定着するのがよい。
(6)
スターラップは、正鉄筋または負鉄筋を取り囲み、その端部を圧縮側のコンクリートに定着し
なければならない。
(7)
帯鉄筋およびフープ鉄筋の端部には、軸方向鉄筋を取り囲んだ半円形フックまたは鋭角フック
を設けなければならない。
(8)
らせん鉄筋は、1巻半余分に巻き付けてらせん鉄筋に取り囲まれたコンクリート中に、これを
定着するものとする。
(9)
鉄筋とコンクリートとの付着によって定着するかフックをつけて定着する鉄筋の端部は、9.5.2
に定める定着長算定位置において、9.5.3によって定める定着長をとって定着しなければならな
い。
【解
説】 鉄筋コンクリートにおいては、外力に対して鉄筋とコンクリートが一体となって働く必要
がある。そのため、外力が作用したときの鉄筋端部の定着はきわめて重要であり、完全に行わなければ
ならない。なお、鉄筋端部の定着が十分になされている場合には、局部付着の影響は無視できることか
ら、ここでは、端部の定着についてのみ規定している。
(1)について
鉄筋の強さを完全に発揮させるためには、鉄筋端部がコンクリートから抜け出さないよ
うに、十分な定着長をとるか、フックまたは定着具をつけてコンクリート中に確実に定着しなければな
らない。
異形鉄筋の場合には、その定着箇所によってはフックを付けなくてもよいが、これと直角方向に鉄筋
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<27>
を配置し、定着が確実になるようにしなければならない。しかし、異形鉄筋でも、部材の固定端の引張
鉄筋、フーチングの引張鉄筋の両端、片持ちばりの自由単における引張鉄筋などには大きいひび割れが
生じても鉄筋が抜け出さないように、フックまたは定着具を付けて定着するのがよい。
(5)について
固定ばり、連続ばり等においては、折曲鉄筋の延長を正鉄筋または負鉄筋として用いれ
ば同時に折曲鉄筋の定着を兼ねることができる。
折曲鉄筋の延長を正鉄筋または負鉄筋として用いない場合には、その端部を圧縮側のコンクリートに
定着するのがよいが、やむを得ず、引張側で定着する場合には、9.5.3(3)に従わなければならない。
(6)について
はりに斜めひび割れが生じると、このひび割れを境として、はりの二つの部分が離れ
ようとする。スターラップは、これら二つの部分が離れようとするのを防ぎ、ハウトラスの鉛直引張材
のような働きをさせる目的で配置されるのであるから、スターラップはその端部にフックを付けてこれ
を圧縮側の鉄筋にかけて確実に定着されなければならない。圧縮鉄筋がある場合に、スターラップでこ
れを取り囲むのは、スターラップの定着と圧縮鉄筋の座屈防止のためである。
なお、スターラップが主鉄筋のすべてを取り囲めない場合には横方向鉄筋を併用する必要がある。
(7)について
《省略》
〔圧縮側〕
〔引張側〕
図- 17 スターラップの端部形状
9.5.2 鉄筋の定着算定位置
曲げ部材における軸方向引張鉄筋の定着長の算定は、以下の(i)∼(iv)に示した位置を起点として行
うものとする。ここに、lsは、一般に部材断面の有効高さとしてよい。
ただし、急激な鉄筋量の変化は避ける。
(i) 曲げモーメントが極値をとる断面からlsだけ離れた位置。
(ii) 曲げモーメントに対して計算上鉄筋の一部が不要となる断面から、曲げモーメントが小さくな
る方向へlsだけ離れた位置。
(iii) 柱の下端では、柱断面の有効高さの1/2かつ鉄筋径の10倍だけフーチング内側に入った位置。
(iv)《省略》
【解
説】 鉄筋の段落とし部のように軸方向の鉄筋量を急激に変化させると、十分な定着長をとった
位置であっても部材耐力が急変する断面となり破壊しやすい。鉄筋量を低減する場合には、段階的に行
うのが望ましい。
図- 18に定着長の算定位置を示す。図- 18(a)において、鉄筋A∼Cは、それぞれ以下の例を示している。
鉄筋Aは、引張力を受けるコンクリートに定着する鉄筋の例である。この場合には、鉄筋は断面①で
応力度が最大となるため、断面①から9.5.2(i)に従ってlsだけ離れた点aからlo①以上の定着長が必要であ
る。しかし、この鉄筋は引張を受けるコンクリートに定着されているため、9.5.3(3)によって、c点は計
算上鉄筋Aが不要となる断面②から(ld + ls) 以上離れているので、上の条件は必ず満たされている。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<28>
鉄筋Bは、折曲鉄筋の例であるが、この場合には、鉄筋の折曲げ点dは計算上、鉄筋Bが不要となる
断面③から9.5.2(ii)に従って、ls離れたところであり、同時に、鉄筋Bの応力度が計算上極大となるb点か
らlo②以上の定着長がなければならない。ただし、この条件は満たされていることが多く、この検討は
一般には不要である。(註:シフトルールを適用して計算している場合は,考慮されている.)
鉄筋Cは、支点を越えて延ばす鉄筋の例であるが、この場合には、鉄筋端部のf点と鉄筋Cの応力度が
極大となるd点との間に、lo③以上の定着長が必要であると同時に、9.5.3(4)によってf点とe点の間には、
lo④以上の定着長が必要である。
ここに、
①:曲げモーメントが極値をとる断面
②:計算上鉄筋Aが不要となる断面
③:計算上鉄筋Bが不要となる断面
lo①∼lo④:断面①∼④における鉄筋応力度に対する定着長
lb:折曲鉄筋の定着長(示方書の引用部分 9.5.3(5)参照)
④
M④
②
③
M③
ls
計算上の曲げモーメント
M②
M①
ls
d
e
≧l o ④
ls
ls
l s だけずらした曲げモーメント
lb
f
①
b
c
≧ ld
≧l o ③
a
鉄筋A
鉄筋B
鉄筋C
(a) はりの例
図- 18 鉄筋定着長算定位置の例 《(b),(c)および(d)は省略》
図(b)∼(d)の記述
変断面の場合
《省略》
《省略》
9.5.3 鉄筋の定着長
(1)
鉄筋の定着長loは、基本定着長ld以上でなければならない
この場合に、配置される鉄筋量Asが、計算上必要なAscよりも大きい場合、次式によって定着
長loを低減してよい.
l o = l d ⋅ ( Asc As )
ただし、lo≧ld/3、lo≧10φ
ここに、
φ:鉄筋直径
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
(2)
<29>
定着部が曲がった鉄筋の定着長のとり方は、以下の通りとする。
(i)
曲げ内半径が鉄筋直径の10倍以上の場合には、折り曲げた部分も含み、鉄筋の全長を
有効とする。
(ii)
曲げ内半径が鉄筋直径の10未満の場合は、折り曲げてから鉄筋直径の10倍以上まっす
ぐに延ばしたときにかぎり、その直線部分だけを有効とする。
φ
10
以
r≧10φ
上
曲げ角度
曲げ角度
r<10φ
l'
全長有効
(a)
図
(3)
(b)
定着部が曲がった鉄筋の定着長のとり方
引張鉄筋は、引張応力を受けないコンクリートに定着するのを原則とする。ただし、次の(i)
あるいは(ii)のいずれかを満足する場合には、引張応力を受けるコンクリートに定着してもよ
いが、この場合の引張鉄筋の定着部は、計算上不要となる断面から(ld+ls)だけ余分に延ばさな
ければならない。ここに、ldは基本定着長、lsは一般に部材断面の有効高さとしてよい。
(i)
鉄筋切断点から計算上不要となる断面までの区間では、設計せん断耐力が設計せん断
力の1.5倍以上あること。
(ii)
鉄筋切断部での連続鉄筋による設計曲げ耐力が設計曲げモーメントの2倍以上あり、か
つ切断点から計算上不要となる断面までの区間で設計せん断耐力が設計せん断力の
4/3倍以上あること。
(4)
スラブまたははりの正鉄筋を、端支点を超えて定着する場合、その鉄筋は支承の中心からls
だけ離れた断面位置の鉄筋応力に対する定着長lo以上を支承の中心からとり、さらに部材端
まで延ばさなければならない。ここに、lsは一般に部材断面の有効高さとしてよい。
(5)
折曲鉄筋をコンクリートの圧縮部に定着する場合の定着長はフックを設けない場合は15φ以
上、フックを設けた場合は10φ以上とする。ここに、φは鉄筋直径である。
【解
説】
(1)について
鉄筋の定着長は、鉄筋の種類や配置、コンクリート強度などによって定め
られた基本定着長ldを、その使用状態によって修正し定める。
計算上必要な鉄筋量はより実際に使用する鉄筋量が多い場合には、その比に応じて基本定着長を低減
してよいこととした。しかし、あまり定着長が短くなると、付加的な力に対する安全度が低下するので、
loの下限値を設定した。
(3)について
引張鉄筋を、引張応力を受けるコンクリートに定着する場合には、計算上その鉄筋が
不要となる断面から9.5.2(ii)に従ってlsだけ離れた位置まで延ばし、そこから定着するほか、鉄筋端部で
コンクリートに有害なひび割れが発生しないように計算上不要となる断面から鉄筋端部までの間は(i)
あるいは(ii)の項目を満足していなければならない。
本文の(i)および(ii)は実験結果をもとに定めたものである。
鉄筋を途中定着した部材が交番荷重を受けると、途中定着位置で、曲げ耐力が不連続となり、通常、こ
こに曲げひび割れが発生し、これが斜めひび割れに成長する。このような部材が降伏変位以上の変位で
交番荷重を受ける場合、この部分の耐力の低下が著しい。特に、降伏変位の2倍を超えると、耐力低下
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<30>
が非常に大きくなる。従って、途中定着部の性能が最大断面力の生じる部分のそれと同等以上となるよ
うに耐力を上げることにした。
(4)について
スラブまたははりの正鉄筋を,端支点を超えて定着する場合には、ここに定める定着長
を満足するだけでなく、支承部の配筋に関する構造細目も参考にしなければならない。
9.5.4 基本定着長
(1)
引張鉄筋の基本定着長ldは、式(9.5.2)により求めてよい。ただし20φ以上とする。
ld = α
ここに、
f yd
4 f bod
φ
(9.5.2)
φ:主鉄筋の直径
fyd:鉄筋の設計引張降伏強度
fbod:コンクリートの設計付着強度で、γcは1.3として、次式より求めてよい。
f bod = f bok γ c = 0.28 f 'ck
2
3
γc
ただしfbok≦4.2N/mm2、fbod≦3.2N/mm2
α=1.0 (
kc≦1.0の場合)
=0.9 (1.0<kc≦1.5の場合)
=0.8 (1.5<kc≦2.0の場合)
=0.7 (2.0<kc≦2.5の場合)
=0.6 (2.5<kc
ここに、 k c =
c
φ
の場合)
+
15 At
sφ
c:主鉄筋下側のかぶりの値と定着する鉄筋あきの半分の値うち小さい方
At:仮定される割裂破壊断面に垂直な横方向鉄筋の断面積
s:横方向鉄筋の中心間隔
(註)横方向鉄筋とは,この場合スターラップが相当すると考えられる.
割裂破壊はcをとる方向により横方向鉄筋量が変化するので,注意を要する.
(2)
定着を行う鉄筋が、コンクリートの打ち込みに際に、打ち込み終了面から300mmの深さより
上方の位置で、かつ、水平方向から45°以内の角度で配置されている場合は、(1)により求め
られるldの1.3倍の基本定着長とする。
(3)
圧縮鉄筋の基本定着長は、(1),(2)により求まるldの0.8倍としてよい。
(4)
引張鉄筋の標準フックを設けた場合には、基本定着長ldより10φだけ減じてよい。ただし、
鉄筋の基本定着長ldは、少なくとも20φ以上とするのがよい。ここに、φは鉄筋直径である。
【解
説】 (1)について 鉄筋の定着長は、鉄筋の種類、コンクリートの強度、かぶり、横方向鉄筋の
状態などによって異なるものであり、基本定着長を定める場合にも、これらのことを考慮する必要があ
る。
横方向鉄筋で補強されている場合の鉄筋の必要定着長は、式(解9.5.1)で求められる。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<31>
⎛
⎞
f yd
⎜
− 13.3 ⎟ φ
⎜ 1.25 f '
⎟
cd
⎠
lo = ⎝
⎛ c 15 At ⎞
⎟
0.318 + 0.795 ⎜⎜ +
sφ ⎟⎠
⎝φ
ここに、
(解9.5.1)
fyd:鉄筋の設計引張降伏強度 (N/mm2)
f’cd:コンクリートの設計圧縮強度(N/mm2)で次式による。なおγc=1.3とする。
f 'cd = f 'ck γ c
ただし、c/φ≦2.5
このような鉄筋の種類、コンクリートの強度、かぶり、横方向鉄筋の状態等の影響を、すべてこのま
ま計算式に取り入れることは煩雑である。したがって、ここでは本文に示す係数αを乗じることによっ
て、これらの影響を取り入れることにした。
(4)について
引張鉄筋の定着端にフックを設けた場合には、フックの部分の鉄筋が定着長として加わ
り、フック内側のコンクリートの支圧による力の伝達を期待できるので、そのぶん定着長を小さくする
ことにした。標準フックを設けた引張鉄筋におけるフックによる定着長の低減量は、本来は鉄筋の種類、
コンクリートの強度等によって異なるが,簡単にするため、各国の基準などを参考にして、一律に10φ
とすることにした。ただし、圧縮鉄筋の場合にはフックによる低減は行わない。
========= コンクリート標準示方書[平成8年度制定] 設計編 引用終わり
6.2
==================
軸方向主鉄筋の定着長さ
本課題の設計条件として、「軸方向鉄筋の半分は折曲鉄筋とする」としている。残り半分は曲げずに
定着することを考えているため、9.5.1(3)の条件に合致する。
また、部材端部における支点を越えての必要定着長さは、次のようになる。
(1) 支承中心から部材の有効高さ離れた断面位置の鉄筋応力σs
(
)
死荷重による設計作用モーメント: M D = γ a γ f Ac w + γ f q d x(l − x) / 2
[
]
移動荷重による設計作用モーメント: M L = (1 + i )γ a γ f (2 P l + ql ) x(l − x) / 2
断面に作用する設計曲げモーメント: M d = M D + M L
設計曲げモーメントが作用したときの鉄筋の応力度: σ s = M d
( As ⋅ j ⋅ d )
このときの鉄筋に生じる応力度は、支点位置から有効高さdだけ部材中央よりの部分で検討す
ることになるため、該当断面に存在する鉄筋の本数に注意して鉄筋量(引張主鉄筋の断面積)As
を算出したのち、鉄筋に生じる応力度を求める。
(2) 基本定着長
ld
(a)示方書記載の式を利用し,鉄筋設計降伏強度に相当する作用応力度を受ける鉄筋を定着するため
に必要な長さを「基本定着長:ld」として算定する.
(b)検討断面における鉄筋への作用応力度に相当する基本定着長を算定する.
部材端部に大きな応力が作用しない場合,(a)の方法により算定された基本定着長は過大となるこ
とが多い.このため,部材端の定着長・定着余長等が過大となり,部材として適切な寸法とならな
いことが多い.
このため,検討断面において想定される作用応力度に見合う必要定着長さを算定することにより,
適切な部材寸法とすることが出来る場合が多い.ここでは,この考えに基づき,必要定着長ldを求
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<32>
める。(→教科書 p.134 式(14・1)参照)
l d = ( As ⋅ σ sd ) (u ⋅ f bod )
ここに、ld:必要定着長
As:鉄筋断面積(定着部での鉄筋1本あたりの断面積)
u:鉄筋周長(定着する鉄筋1本あたり)
σsd:算定断面における作用鉄筋応力度(鉄筋1本あたり)
fbod:設計定着付着強度
f bod = 0.28 f 'ck
2
3
γ c ≦3.2N/mm2
ここに、 γ c = 1.3
6.3 定着余長
定着余長とは、理論上、鉄筋の応力度が0となる点から余分にのばした長さであり、定着長と区別
している。最大曲げモーメント図を求める際に種々の仮定が入っているので、鉄筋の応力度が0
になると考えている位置あるいは鉄筋が不要となると考えられている位置が実際の部材では多少
ずれているおそれがある。これをカバーするために、鉄筋が必要でなくなった点から、さらに、
ある長さを余分にのばす方法が採られている。その長さについてはたぶんに慣行的なものであり、
鉄筋直径の10倍程度、あるいはスパンの1/16程度の値が用いられている。単純支持の部材の支承
付近や片持部材の自由端のような部材端部では、このような定着余長をとる余裕がないので、支
点を越えてのばす長さなどを別途定めるのが普通である。また単純支持の部材では、曲げモーメ
ントおよび付着に対して余裕がある場合でも、正鉄筋の少なくとも1/3は支点を越えて定着するの
が慣行である。
6.4 引張側定着
コンクリート標準示方書では次のいずれかの条件を満足する場合には、引張側定着を許している。
ただし、計算上不要となる断面から(ld+d)だけ余分にのばさなければならない。ここに、ld:基本
定着長、d:断面の有効高さとする。
(1) 鉄筋切断位置から計算上不要となる断面までの区間では、設計せん断耐力が設計せん断力の
1.5倍以上あること。
(2) 鉄筋切断部での連続鉄筋による設計曲げ耐力が設計曲げモーメントの2倍以上あり、かつ、切
断点から計算上不要となる断面までの区間で、設計せん断耐力が設計せん断力の4/3倍以上あ
ること。
6.5 鉄筋の継手 (⇒教科書 pp.137∼139参照)
市販されている鉄筋の標準長さは、3.5∼12m(JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」に規定)の
ものであり、使用する鉄筋の長さは各人がこの範囲で任意に定めることとする。しかしながら,
主桁の軸方向鉄筋のような場合、長さが足りないため、鉄筋を継ぎ足すことになる。これを鉄筋
の継手という。設計においては継手の位置を適切に選ばなければならない。その場合、鉄筋の種
類、応力状態、継手の位置を考慮して継手として適切なものを選ぶ必要がある。継手を設ける位
置は、継手が弱点となることがあり得るので、単純ばりのスパン中央などの作用応力度が大きい
断面をできるだけ避けるようにする。
継手の種類によっては、鉄筋の配置により制約を受ける場合があるので、各種の継手の施工要
領についても検討を要する。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<33>
鉄筋の継手として重ね継手およびガス圧接継手が広く用いられている。
重ね継手が従来から広く用いられているが、この継手は鉄筋を単に重ね合わせてコンクリート
を打つという非常に単純な方法であり、溶接継手のように熟練技術者の必要もなく、コンクリー
ト打ちの前の検査も簡単であるという長所を持っているからである。本課題において、継手は重
ね継手を用いることとする。
継手位置は同一断面に集めないことを原則とする。鉄筋を同一断面に集めないため、継手位置
を軸方向に相互にずらす距離は、継手の長さに鉄筋直径の25倍か断面高さのどちらか大きい方を
加えた長さ以上を標準とする。
継手部と隣接する鉄筋とのあき,または継手相互のあきは、粗骨材最大寸法以上とする。
継手部のかぶりはかぶりについての規定に準じる。
(注) 重ね継手についての規定 (→コンクリート標準示方書
参照)
(1) 軸方向鉄筋
軸方向鉄筋に重ね継手を用いる場合には次の規定に従わなければならない。
(i)配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上、かつ、同一断面での継手の割合が1/2
以下の場合には、重ね継手の重ね合わせ長さは基本定着長ld以上としなければならない。
(ii) (i)の条件のうち一方が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長ldの1.3倍以
上とし、継手部を横方向鉄筋等で補強しなければならない。
(iii) (i)の両方の条件が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長ldの1.7倍以上と
し、継手部を横方向鉄筋などで補強しなければならない。
(iv) 重ね継手の重ね合わせ長さは、鉄筋直径の20倍以上とする。
(v) 重ね継手部の帯鉄筋中間帯鉄筋およびフープ鉄筋の間隔は100mm以下とする.
(2) スターラップ
スターラップの重ね継手は重ね合わせ長さを基本定着長ldの2倍以上、もしくは基本定着長ld
をとり、端部に直角フックまたは鋭角フックを設ける。重ね継手の位置は圧縮域またはその近
くにしなければならない。
6.6 鉄筋の曲げ形状
鉄筋の端部は切断しただけでは引き抜き抵抗力が不足する恐れがあるので、折曲げてフックをつ
ける必要がある。また、部位によっては、鉄筋を曲げ加工する必要が生じる(たとえば、スターラッ
プ、せん断補強鉄筋など)。鉄筋の曲げ加工は、その材質を損なわないように、また、コンクリー
トの施工に支障をきたすことのないように行わなければならない。そのため、フックその他の形
状について次のように規定されている。
(1) フック
標準フックとして図- 19に示すような半円形フック、直角フックあるいは鋭角フックを用いる。
半円形フックは、鉄筋の端部を半円形に180°折曲げ、半円形の端から鉄筋の直径の4倍以上で、
60mm以上まっすぐ延ばしたものとする。直角フックは、鉄筋の端部を90°折曲げ、折曲げてから鉄
筋直径の12倍以上まっすぐ延ばしたものとする。鋭角フックは端部を135°折曲、折曲げてから鉄筋
直径の6倍以上で60mm以上まっすぐ延ばしたものとする。
本課題における各種鉄筋はいずれも端部に適切なフックを設け、コンクリートにしっかり定着さ
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<34>
せることとする。
6φ
で
上
12φ以上
以
4φ以上で60mm以上
60
m以
m
半円形フック
(普通丸鋼および異形棒鋼)
r
上
φ
r
φ
鋭角フック
(異形棒鋼)
図- 19 鉄筋端部のフック形状
r
φ
直角フック
(異形棒鋼)
(2) 軸方向鉄筋
軸方向鉄筋に普通丸鋼を用いる場合、標準フックとして常に半円形フックを用いなければならない。
軸方向鉄筋のフックの曲げ内半径は次表の値以上とする。
(3) スターラップ、帯鉄筋およびフープ鉄筋
① スターラップ、帯鉄筋およびフープ鉄筋は、その端部に標準フックを設けなければならない。
② 普通丸鋼をスターラップ、帯鉄筋およびフープ鉄筋に用いる場合には、半円形フックとしなけ
ればならない。
③ 異形鉄筋をスターラップに用いる場合は、直角フックまたは鋭角フックをを設けるものとする。
④ 異形鉄筋を帯鉄筋およびフープ鉄筋に用いる場合には、原則として半円形フックまたは鋭角
フックを設けるものとする。
⑤ スターラップ、帯鉄筋およびフープ鉄筋のフックの曲げ内半径は、次表の値以上とする。ただ
し、φ≦10mmのスターラップは、1.5φの曲げ半径でよい。ここで、φは鉄筋直径である。
表- 11 フック、スターラップおよび帯鉄筋の曲げ内半径
種類
曲げ内半径(r)
フック スターラップおよび帯鉄筋
SR235
普通丸鋼
2.0φ
1.0φ
SR295
2.5φ
2.0φ
SD295A,B
異形棒鋼
2.5φ
2.0φ
SD345
2.5φ
2.0φ
SD390
3.0φ
2.5φ
SD490
3.5φ
3.0φ
(4) 中間帯鉄筋
大型断面の場合は、帯鉄筋フープ鉄筋および中間帯鉄筋を配置することを原則としている。中間帯
鉄筋に関しては次の条件を満足しなければならない。
① 帯鉄筋および中間帯鉄筋の断面内配置間隔は、図-8のように原則として1m以内とする。
② 中間帯鉄筋は原則として帯鉄筋の配置されるすべての断面で配置する。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<35>
1m以内
1m以内
図- 20 大型断面における帯鉄筋および中間帯鉄筋の配置例
(5) その他鉄筋
① 折曲鉄筋の曲げ内半径は、鉄筋直径の5倍以上でなければならない。ただし、コンクリート部材
の側面から2φ+20mm以内の距離にある鉄筋を折曲鉄筋として用いる場合には、その曲げ内半径
を鉄筋直径の7.5倍以上としなければならない。
② ラーメン構造の隅角部の外側に沿う鉄筋の曲げ半径は,鉄筋直径の10倍以上でなければならな
い。
③ ハンチ、ラーメン構造の隅角部等の内側に沿う鉄筋は、スラブまたははりの引張を受ける鉄筋
を曲げたものとせず、ハンチの内側に沿って別の鉄筋を用いるものとする。
10φ以上
5φ以上
φ
5φ以上
隅角部内側の鉄筋
図- 21 折曲鉄筋の曲げ内半径(φ:鉄筋直径)
図- 22 ラーメン構造の隅角部の外側に沿う鉄筋の
曲げ内半径および内側に沿う鉄筋
6.7 主桁の横方向の支持について
3本の主桁は両支点およびスパン中央において横桁を設けることにより横方向に連結しておくこと
とする。図- 23に横桁の例を示す。(土木製図基準、設計図の例も参照するとよい。)
D13
D13
D13
50
200
D13
6×250 (1500)
1600
50
50
200 200
2000
6×250 (=1500)
1600
2000
図- 23 横桁の例
50
200
950
200
1150
800
50
1000
50
1350
1150
100
100
200
中間部
200
端部
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<36>
註:厳密には横桁は橋軸直角方向の荷重分布や,主桁の安定性などを考慮して適切に設計する必要があ
るが,本課題ではその検討を省略する.また,一般に横桁の施工は主げたと異なり現場打設のコンクリー
トにより作られることが多い,このため,通常,主桁と横桁の一体化を図るために,主げた側から横桁
側への鉄筋が多数埋め込まれているのもである.しかしながら,本課題では便宜的にこれらの検討を省
くこととする.
6.8 各鉄筋の必要寸法形状<計算例>
ここまでの構造細目を考慮して、各鉄筋の寸法及び形状について検討する。
(a) 主鉄筋
・引張鉄筋の基本定着長
ld=αfydφ/(4fbod)=788mm (fbod=2.08N/mm2,kc=0.803,α=1.0)
支点上部で定着する場合は標準フックを設けるので10φ減じることができる.定着長は、
lo=ld−10φ=598mm
・端部における引張鉄筋の基本定着長
ld=Asσsd/(u・fbod)=278mm, 20φ=380mm ∴ld =380mm
lo=ld−10φ=380-190=190mm
この場合,定着余長はL/16=938mmまたは10φ=190mmとする。
重ね継手を設ける場合:
継手配置数は同一断面における鉄筋は位置本数の1/2以下とする。
重ね合わせ長さは基本定着長ldの1.3倍以上とする必要がある。:1.3×ld=1025mm => 1050mm程度
継手の配置位置はなるべく作用設計曲げモーメントの大きな部分を避ける。
ex. スパン中央断面、鉄筋曲上げ位置周辺
など
継手をずらす距離:25φ=475mm、断面高さh=1350mmであるから、断面高さhが大きい。
したがって、継手をずらす距離は、1050+1350=2400mm 以上とする。
重ね継手を設けると継手部と隣接する鉄筋のあきが小さくなるので、粗骨材最大寸法20mm
以上のあきを確保できるように工夫する。
(b) 折曲鉄筋
・曲げ半径:コンクリート部材の側面から2φ+20mm=58mm以内の距離にある鉄筋を折曲鉄筋とは
しないので、曲げ半径は5φ=95mm以上であればよい。従って,r=100mmとする。
・折曲鉄筋の圧縮側への定着長
フックを設けない場合:lb=15φ=285mm
フックを設ける場合:lb=10φ=190mm
(実際上は,設けない方が施工しやすい)
・曲げ角度:計算例に従い45°とする。
・継手:必要に応じ継手を設けるが、主鉄筋の場合と同様とする。
(c) スターラップ
全体にD13のU形スターラップをss=400mm間隔で配置する。
端部は圧縮側コンクリートに定着することとし、半円形フックを設ける。
曲げ半径:SD345を使用する。
フック部:曲げ内半径2.5φ=47.5mm、直線部 4φ=52mm<60mm ∴60mmとする
下側(はりの引張側):2.0φ=38mm
断面が大断面とはならないので、中間帯鉄筋などは不要とする。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<37>
1860
2000
150
125
125
175
300
150
150
170
160
70
150
150
901
126
126
R33.5
60
175
60
150
200
150
50 100 50
170
160
200
70
250
軸方向配力鉄筋(D16)
ハンチ部配力鉄筋(D13)
250
スターラップ(D13)
用心鉄筋(D13)
1190
1190
250
1350
スラブ部配力鉄筋(D13)
120
70
190
110
主鉄筋(24-D19)
60
280
R26
60
400
270
41
図- 24 中央断面の配筋図の例とスターラップの例
41
(単位:mm) 【尺度は異なる】
1860
55
1145
1145
55
715
215
55
215
143°
900
60
60
55
R28.5
フランジ部
900
R30
75
ハンチ部分
図- 25 配力鉄筋の例
(d) 用心鉄筋
ウエブに鉛直に生じるひび割れに対して水平の用心鉄筋を配置する。(前述)
配置間隔:はり高さ1mにつき、片側500mn2以上、鉄筋間隔は300mm以下で配置することが推奨
されているため、SD345、D16(As=126.7mm2)を250mm間隔で配置する。
端部:標準フックを設け,曲げ内半径は、2.5φ=32.5mm、直線部4φ=52mm<60mm ∴60mm
重ね継手:重ね合わせ長さ:20φ以上
20×16=320mm以上
∴400mm
継手をずらす長さ:25φ以上あるいは部材高さ以上
1350mm以上
∴1500mm
(e) スラブ部(フランジ部)の鉄筋
本課題ではスラブについての検討は行わないので、本例に従うこととする。
かぶり厚さ:主鉄筋などの場合と同様に考えるが、一般の環境でスラブの場合の基本最小かぶり厚
さは25mmであり、コンクリートの設計基準強度、鉄筋径を考慮して30mm程度とする。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<38>
軸方向鉄筋:スラブ上下からかぶり厚さ以上内側の両方に,SD345 D16鉄筋を200mm以下の間隔で
配置する。端部は標準フックを設ける。
配力鉄筋:軸方向鉄筋と直角方向に、SD345 D13をスターラップと同一間隔で配置する。形状は図25に示す通りとし、スラブの軸方向鉄筋を囲むように配置する。重ね合わせの長さに注意
すること。
(f)
ハンチ部の鉄筋
スラブ下側とウエブの接続部分にはハンチを設け,ハンチの内側に沿って配力鉄筋を配置する.
SD345 D13をスラーラップと同一間隔で配置し、形状は図- 25の通りとする。
なお、かぶり厚さはスラブの場合と同様に30mm以上とする。
(g) その他
必要に応じて設計図面例を参考にしながら配置すること。
7.製図について
以下に、提出する設計図面に記載すべき図の種類について示す。(概要は土木製図基準の設計図例を
参照すること。)
7.1.
図面の書き方
基本的に、土木学会発行「土木製図基準
平成10年度版」に従う。
また,部分的に改訂された「土木製図基準
平成15年度
小改訂版」でもよい。
数字・文字はテンプレートを使って書くことが望ましいが、強制はしない。フリーハンドで書く場合
には、直立体文字ではっきり読みとれることを条件とする。雑な場合は評価の対象としない
7.2.
図面の様式(詳細は「土木製図基準」を参照すること)
①輪郭および輪郭線を設けること
②表題欄を設け、図名、作図者学籍番号・氏名等を必ず記入する。
③中心マーク、方向マーク、比較目盛、格子参照方式は省略してよい。
7.3.
作図する内容について
計算書で記述した内容について、正確に図示する必要がある。ここで示すのは最小限の内容であるの
で、これら以上のことを記載するのが望ましい。
① 上部構造図について
橋の概略を記したものとする。
この図面を用いて、コンクリートの型枠などを作成すると考えて見るとよい。
いわゆる、「完成品の見た目」の図である。
平面図
フランジ上面からの図・ウエブ部分の配置がわかる図
断面図
端部から見た場合の図・中間断面の図(外形図)
、横桁部分の図
側面図
真横から見た場合の外形図・横桁の配置がわかる図
② 配筋図について
コンクリート内部に埋設する鉄筋の配置位置、径、長さ、数量などが理解できるもの。
側面図
真横から見たときの軸方向鉄筋、折曲鉄筋、スターラップ、配力鉄筋、用心鉄筋など
の各種鉄筋の位置を明確に記述すること。断面内に現れる図面に対して鉛直方向の鉄
筋についても配置位置を正確に記載すること。平面図
フランジ上面から見た場合の
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<39>
各鉄筋の配置位置を明確に記載すること。
断面図
鉄筋配置が変化する断面それぞれについて詳細に記載すること。鉄筋の折曲位置が
3 カ所ある場合、各折曲位置および中央断面と端部の 5 断面について記載すること。
③ 鉄筋加工図(追加課題の内容)
鉄筋の種類、呼び寸法、長さ、加工形状を図示すること。
なお、鉄筋には部品ごとに番号をつけ、長さ、本数等を鉄筋表にまとめて記載する。
④ 注意事項
各図面は個別に描く必要はなく、作図例のように1枚の図面に並べて描いてよい。
断面を描く場合、断面の位置と視点の方向を明示しなければならないので、気をつけること。
用紙の縁
輪郭線
土木設計製図 コンクリート分野
単純Tけた橋 上部構造図
学籍番号 氏名
図- 26 図面の様式の一例
7.4.
提出期限について
2007 年 1 月 20 日(水)17:00 まで
7.5.
提出物について
図面(一般図および配筋図):A2サイズ用紙で提出。方眼紙可.
ただしCADを利用した場合,A3用紙でも可.
設計内容チェックリスト:本レジュメ最終ページについている「設計内容チェックリスト」に各自の
設計内容を明記して一般図図面の左上に貼り付けて(ホチキス止め可、ク
リップなど簡単に外れるものは不可)提出。
8.その他
付録として、設計計算例および製図例を示すので、参考にするとよい。
なお、参考書として次の書籍を用いるので、購入すること。
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<40>
また,類似する書籍は多数あるので書店などを参考に,自分で見て決めること.
「鉄筋コンクリート工学【三訂版】 岡村甫 著」市ヶ谷出版
鉄筋コンクリート工学の講義で使用している教科書。
巻末の設計例の部分に準じて計算すると、計算書が作成できるが、改訂時の不備・誤植がある
ので参考程度とする。
また,設計手順が不合理なため,本レジュメは基本的な形状などは本書を踏襲しているが,部
分的に修正,加筆したものである.
「土木設計製図 平成10年度版 土木学会」
実際の製図においての図面の記述方法が記載されており、大変参考になる。
コンクリート以外の分野の製図においても理解を深めるのに役立つ。
今後の実務においても図面を理解することは大変重要であるので、その参考書としても重宝す
る。
その他参考書:
土木学会
コンクリート標準示方書
日本規格協会
JISハンドブック
設計編
各種
以上
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<41>
製図課題:注意点レジュメ・追加説明
1.本来の設計の手順について
元々,使用する鉄筋の呼び径,本数は,付着のことを考慮して設定する必要がある.
必要鉄筋断面積から勝手に本数・呼び径を設定することはできない.
たとえば,ある鉄筋呼び径に対して,付着強度,鉄筋あき間隔を考慮し,定着長さを考慮した上で,検
討する必要がある.
①作用曲げモーメント Md を算定(MD+ML)
②最小曲げ耐力 minMud を算定し,最小鉄筋量 minAs を求める.
③鉄筋の組み合わせを検討する(ここまでは同じ).
④鉄筋の呼び径・あき間隔を有効高さと部材高さ,かぶり厚さなどを考慮しながら検討する.(ここが
案外重要で難しい)
2.付着に関して
例えば,下図のような配筋状態を考える.
水平あきの半分 csh/2
鉛直あき
一部抽出
鉛直あきの
半分 csv/2
鉛直かぶり
水平あき 水平かぶり
鉛直かぶり cv
一本の鉄筋を定着させるのに
占有できるコンクリート
図
仮定する鉄筋の配置状態と付着を検討する際に必要な部分の寸法について
図中のハッチが掛かった部分が鉄筋1本を定着させるために使える部分である.
条件により多少変わるが,問題となるのは,説明の記述にある「主鉄筋下側のかぶりの値と定着する
鉄筋あきの半分のうち小さい方」の解釈の仕方である.
一本の鉄筋をコンクリート中にしっかりと定着させなければならない場合,上図右側のような一部分
を切り出して考えてみる.
物質は一番弱い部分から破壊することを考えると,この図の場合,埋め込まれた鉄筋をコンクリート
中から引き抜こうとすると,矢印で示している部分のうち,寸法の小さな部分で破壊して引き抜くこと
ができるのは想像に難くない.
従って,ここに示す csh/2,csv/2,c のうちの一番小さい部分において亀裂が生じてコンクリート中の
鉄筋が引き抜かれることになる.
特に,はり支点間の中央部分などは,大きな曲げモーメントが作用し,それに伴い終局状態では,引
張側鉄筋に作用する設計引張応力度もかなり大きなものになると考えられる.
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<42>
このような部位における基本定着長さを算定する場合は,算定式 l d = α
f yd
4 f bod
φ における係数αを如
何に小さくするかということが問題となるし,できる限り使用する鉄筋の呼び径は小さい方が良いと考
えられる.(鉛直,水平方向の鉄筋間隔や,かぶりなども十分に検討しなければならないが,太い鉄筋
を少ない本数使用するより,細い鉄筋を多数使用するほうが,付着や定着長さに関する検討を行う際は
有利となる)
従って,この部位に重ね継手を設けようと考えた場合,標準フックなどを設けることは比較的難しく
なっている(かなり過密な配筋状態であると考えられる)ので,単純に真っ直ぐ延ばした鉄筋を切断し,
並べて(番線などで束ねて)配置する場合を考えると,αを選定する際の係数 kc を如何に大きくするか
を考えなければならない.
3.基本定着長さの算定に関して
基本定着長さ ld については,算定式として, l d = α
f yd
4 f bod
φ
(9.5.2) を用いるのが基本である.
(本
レジュメの 30 ページ,示方書設計編 9.5.4 を参照)
ただし,この式では,鉄筋の設計引張降伏強度までの作用応力に対して必要な鉄筋の基本定着長さを
示していることになる.
たしかに,はり部材における支点間などの,曲げモーメントが大きく作用する部分を取り出して考え
れば,安全な定着条件を十分満足できる長さを算出することが可能である.
しかし,支点付近の作用応力度が小さい部位においてこのような大きな作用応力度を想定した算定式
を用いるのは不都合が多い.
仮に,次のような条件を設定してみる.
使用主鉄筋:SD345,D25,10 本
鉄筋中心間隔:60mm,あき間隔,水平:35mm,鉛直,50mm
スターラップ:SD345,D13 をU型に配置(断面が 2 カ所存在する),間隔 400mm
係数 kc の算定
かぶり c →35/2=17.5mm とする.水平あき間隔の半分が一番小さい
ひび割れの直角方向の抵抗する鉄筋 At→水平方向に亀裂が生じる可能性が高いため,D13×
2=126.7×2=253.4mm2
15 At 17.5 15 × 253.4
=
+
= 0.7 + 0.3801 ≒1.08
故にα=0.9 となる.
25
400 × 25
φ s ⋅φ
345
345
よって, l d = 0.9 ×
× 25 = 0.9 ×
× 25 = 933 (mm)
2
4 × 2.08
4 × 0.28 × 30 3 / 1.3
∴ kc =
c
+
これが,重ね継手などを考慮して,はりの支点間中央部分を想定したものであれば,妥当であると考
えられるが,支点から外側の部分の定着を考えた場合,仮に,標準フックを設けて 10φ減じても,計算
では 933-250=683(mm)となりまだ長いと考えられる.
支点外側での定着に必要な鉄筋長さは,次のように考えることもできる.
(1)支点付近では,鉄筋に作用する応力度は,支点中央付近と比較して小さいため,鉄筋の設計引張
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<43>
降伏強度を導入するより,その部位における鉄筋への作用応力度を導入する方が妥当である.た
だ,安全性を考え,計算のはじめの方で行った終局状態に関する検討における,シフトルールに
基づいた作用曲げモーメントを算出し,これによる支点位置(x=0 であるが,シフトルールから
x=d,有効高さ分だけ内側)に作用する応力度を求め,これに必要な定着長さを「支点位置におけ
る基本定着長さ」とする.
(2)仮に,支点付近の定着長さが式(9.5.2)により求めるとした場合,断面を仮に決めた時点で,α
=1.0 とした場合としてほぼ自動的に基本定着長さ ld は算出される.従って,係数αをどのように
して小さくするかを考えるべきである.すなわち,係数 kc をなるべく大きくすることにより,最
大4割減じることができる.計算式 k c =
c
φ
+
15 At
s ⋅φ
を眺めておそらく一番に気がつくのは,c
の増大,続いて At の増大,s の減少と思われる.断面の配筋状態に関わるため,今更 c を変更す
るのは容易ではないと思われる(だから,本来はこのあたりも考慮して断面設定を考える必要が
ある).では,できそうなのは,,,と考えると,At の増大か s の減少である.なかでも,s の減少
は非常に簡単に考えることができる.これは,単純に「定着部分周辺のスターラップの間隔を小
さくする」という手続きで処理できる.いま,単純に先の計算例から s=100(mm)に変更したと
すると,
15 At 17.5 15 × 253.4
=
+
= 0.7 + 1.520 = 2.220 となるため,
25
100 × 25
φ s ⋅φ
345
345
α=0.7 となり, l d = 0.7 ×
× 25 = 0.7 ×
× 25 = 726 (mm)
2
4 × 2.08
4 × 0.28 × 30 3 / 1.3
kc =
c
+
標準フックにより 10φ減じて 476(mm)とすることができる.
なお,重ね継手部の帯鉄筋,中間帯鉄筋,およびフープ鉄筋(スターラップを含む)の配置間隔
は,100mm 以下とすることが規定されている.
(3)レジュメ p.32 に記載している式
ld =
As ⋅ σ sd
u ⋅ f bod
は,前出の
ld = α
f yd
4 f bod
φ を,α→1,fyd→
σsd として計算した場合と同一である.
π
φ 2σ
sd
As ⋅ σ sd
σ
ld =
= 4
= sd φ
u ⋅ f bod
πφ ⋅ f bod 4 f bod
従って,こちらの式の方が条件次第ではあるが,理にかなっていると考えられる.
例えば,(2)に計算例と同様に考えて,作用引張応力度σsd=100N/mm2 とすると,
ld =
As ⋅ σ sd 506.7 × 100
= 304.5 (mm)となる.
=
u ⋅ f bod
80 × 2.08
ただし,基本定着長 ld は少なくとも 20φ以上とすることになっている.このため,比較すると,
ld = 20 × φ = 20 × 25 = 500 (mm)のほうが長いのでこちらを選択する.そして,標準フックを設
けることにより 10φ減じることができるため,結果として, l d = 20φ − 10φ = 10φ = 250 (mm)
以上ということになる.
どちらが適切な考え方かを議論するのも良いが,結局,ものを造る際に重要になるのは経済性となる.
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<44>
すなわち,如何に安く良いものを造るかという点を考えなければならない.
4.重ね継手について
課題の内容として,計算書ではこの検討を行うことになっているため,簡単に解説する.
一般に重ね継手またはガス圧接継手が用いられることが多いが,ここでは,簡易な方法としてよく用
いられる重ね継手について説明する.
はり部材支点間における側面図および主鉄筋配置を示した平面図を下に示す.
スターラップ,横方向配力鉄筋,ハンチ部配力鉄筋などは 400mm 以下の間隔で配置されること.
側面図
s≦400mm
平面図
図
はり支点間の一般部における側面図および主鉄筋配置を示した平面図
これに,重ね継手を用いる場合についてその例を示す.
継手を設ける場合,すべての鉄筋を一カ所で集中して継手を設けることはできない.この部分の鉄筋
は連続的ではないため,予期せぬ外力が作用すること,施工上の欠陥が生じる可能性も考慮するとかな
り危険な部位であり,下図に示すように,半数程度ずつずらして配置する.
ずらす距離は,一般に基本定着長さに鉄筋径の 25 倍または部材高さの大きい方を加えた距離となる.
また,隣り合う鉄筋を一カ所で継ぐことは避け,少なくても一本おきに継手を設ける.
継手部分は,構造的に欠陥となりえるので,この部分を補強しておく必要がある.このため,図のよ
うに継手部の周囲の補強鉄筋(この場合,スターラップを示す)の配置間隔を 100mm 以下とする規定
があるため,注意すること.
継手として鉄筋を重ねる長さは,基本定着長さ ld を基本とする.
(i)ただし,終局状態を考慮した作用曲げモーメントから算出される必要鉄筋量の 2 倍以上の鉄筋が配
置されている場合,かつ,同一断面での継手が 1/2 以下であれば,重ね合わせ長さは ld 以上となる.
(ii) (i)の条件の片方が満たされない場合,重ね合わせ長さは,ld×1.3 以上とする.横方向鉄筋による
補強が必要となる
(iii) (i)の条件の両方が満たされない場合,重ね合わせ長さは,ld×1.7 以上とする.横方向鉄筋による
補強が必要となる.
(iv)重ね合わせ長さは 20φ以上とする.
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<45>
規定により追加されたスターラップ
側面図
s≦400mm
この範囲は
s≦100mm
平面図
ld 以上
図
ld以上+Δ
ld 以上
Δ: 25φまたは断面高さhの大きい方
重ね継手を配置した場合のはり支点間の側面図および平面図
図の右側の継手部の場合,全数5本のうち,2本に継手を設けているため,継手本数は 1/2 以下となっ
ている.これから,もし,この断面で必要とされている鉄筋量の 2 倍となっていれば,条件(i)の両方を
満たすこととなるため,この部分の重ね合わせ長さは ld 以上を確保すればよい.また,条件(i)の前者の
条件が満たされない場合は,条件(ii)に該当し,重ね合わせ長さは 1.3 ld 以上となる.一方,左側の継手
においては,1/2 以上の本数が継手となっているため,場合によっては条件(ii)を満たす場合があるが,
多くの場合は条件(iii)となると考えられるため,重ね合わせ長さは 1.7 ld 以上となる.なお,継手位置を
ずらす間隔については,安全側を考え,長くなる方の ld を基準とするのが適切である.
5.定着余長について
断面耐力を算定する際に,引張鉄筋が不要となる(少なくすることができる)部分から,作用曲げモー
メントが小さくなる方向へは,鉄筋を折り曲げ,せん断耐力向上に寄与させる,あるいは切断してしま
うといった対処が可能となる.
この際,切断してしまうことを考えると,「この断面までは必要である」部分でそのまま切断してし
まうと付着の関係からその鉄筋は十分に機能しない可能性がある.このため,基本定着長さ分延ばした
上で,定着余長として鉄筋直径の 10 倍以上,あるいはスパンの 1/16 という長さが必要となる.
6.製図に関して
がんばれる場合は,CADを用いて作図しても良い.
この際,出力する用紙の問題があるが,A3用紙へ出力できるならばそれでもよい.なお,数字,文
字があまり小さくなりすぎないように注意すること.できれば印刷後の文字が 2mm 以上であることが望
ましい.
手書きの場合,A2 サイズの用紙に必要な図面を書き込んで提出する.基本的には2枚であるが,場合
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<46>
によっては3枚以上となることも考えられる.適切な縮尺を検討してください.いい加減な準備で書き
始めると,最後の方で入りきらない等の問題点がでてきます.はみ出さないようにはじめから気をつけ
て書いてください.
いずれの場合も,見やすい図面を書くと言うことを心がけてください.
7.製図図面の採点基準について
最終提出後の計算書に製図図面に関する採点結果を添付して返却する.
配点については,製図図面について100点満点とした場合,
図面自体
80点
提出期限を厳守
20点
CAD を利用した人
最大10点加算(チャレンジ精神に配慮して)
とします.
なお,プリントアウトされた図面を提出前に十分に確認してください.不明瞭な線などが多数あると
減点の対象とします.十分に気をつけてください.
以上
鉄筋コンクリート工学演習 製図課題
<47>
設計内容チェックリスト
学籍番号
氏名
各項目の に当てはまる数値を記入し、□の部分はいずれかに✔マークを入れること。
設計条件
mm
桁中心間隔
フランジ厚さ
mm
ウエブ幅
mm
ハンチの幅
mm
ハンチの高さ
mm
支点間距離
外形について
mm
桁の長さ
←
呼び寸法
軸方向鉄筋
mm
mm
支点から外側の桁長さ
中央断面の本数
本
曲上位置①
支点から
m
曲上本数
本
曲上位置②
支点から
m
曲上本数
本
曲上位置③
支点から
m
曲上本数
本
曲上位置④
支点から
m
曲上本数
本
曲上位置⑤
支点から
m
曲上本数
本
かぶり厚さ
鉛直方向
mm
水平方向
mm
鉄筋中心間隔
鉛直方向
mm
水平方向
mm
鉄筋あき間隔
鉛直方向
mm
水平方向
mm
フック
□ 無し or □ 有り
定着部横方向鉄筋
フック
用心鉄筋
フック
配力鉄筋
フック
呼び寸法
→
→
呼び寸法
□ 無し or □ 有り
曲げ内半径
その他・特記事項・アピールポイントなど
mm
mm
mm、
直線部長さ
mm
mm、
直線部長さ
mm
mm、
直線部長さ
mm
mm
曲げ内半径
間隔
→
間隔
mm
曲げ内半径
間隔
mm
直線部長さ
支点から外側の桁長さ
間隔
呼び寸法
□ 無し or □ 有り
mm2
断面積
mm →
□ 無し or □ 有り
mm、
曲げ内半径
呼び径
必要定着長さ
スラーラップ
→
mm
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