電機連合NAVINo.56 2015年夏号

Denki Rengo NAVI
電機連合NAVI
労働組合活動を支援する政策・研究情報誌
2015年夏号
(2015年8月26日発行
CONTENTS
通巻56号)
論
点
繋ぐ
電機連合
特
2
集
野中
孝泰
ミレニアム開発目標とポスト2015年開発アジェンダ
1ミレニアム開発目標とポスト 2015 年開発アジェンダ
外務省
7
書記長
地球規模課題総括課長
田村
政美
2MDGsからSDGsへ
-連合の取り組みのこれまでとこれから
連合
13
報
国際局長
大久保
暁子
告
インダストリオール・グローバルユニオン
ICT電機・電子世界会議報告
電機連合
20
羅
国際部長
倉田
秀樹
針 盤
ユニオンリーダーの「意識」と「変化」
―第4回次代のユニオンリーダー調査の調査結果から―
労働調査協議会
34
主任調査研究員
後藤
嘉代
小林
良暢
先読み情報
Industrie4.0 が雇用に及ぼす影響
グローバル産業雇用総合研究所所長
ISSN 1342-3924
論
点
繋ぐ
電機連合
はじめに
今回の論点では、戦後70年という大きな節目
を迎え、私なりの気づきを通じての『矢田わか
子』支援への思いを述べたい。また、タイトル
を「繋ぐ」とした思いは、戦争の記憶を次代に
繋ぐことの重要性を感じたこと。平和な社会を
維持する為には、一人ひとりが自らのこととし
て、過去に学び、現在を分析し、将来に向けて
何をなすべきかを冷静に考えること。そして何
よりも国民の本当の声を正しく国政の場に繋ぐ
ことの重要性を感じたこと。さらには、この思
いを「矢田わか子」の支援にも繋げたいと思っ
たからである。
平和行動イン広島・長崎
仕事の都合で、途中からの参加となったが、
平和行動で広島と長崎を訪問した。今回の訪問
には私なりの特別な思いがあった。その一つは、
戦後70年の節目への自問自答である。1945年8
月6日8時15分に広島、8月9日11時2分に長
崎に原爆が投下されたが、同じ日、同じ時間、
同じ場所に身を置いて黙祷を捧げ、感じたこと
を大切にしようという思い。
もう一つは高校生平和大使のスピーチである。
今年で18回となるそうだが、核兵器廃絶と世界
の恒久平和の実現を願って「高校生1万人署名
活動」を行い、ジュネーブの国連欧州本部に毎
年届けるという高校生の活動がある。4年前、
東日本大震災で両親を亡くした菊池翔太君(当
時 陸前高田高校生)のスピーチを聞いたが、そ
の凛とした姿勢に共感したことを昨日のことの
ように覚えている。その高校生たちが、戦後70
年をどのように受け止めているのか、聞いてみ
たいという思いである。
戦後70年での気づき
広島と長崎に原爆が投下されたのは何月何日
か?NHKが世論調査したところ、正しく答えら
れた人は全国で3割程度に留まったという。世
界で唯一の被爆国である日本において、その記
憶が風化している現状に驚きを隠せない。今年、
被爆者の平均年齢が80歳を超えたそうである。
連合平和集会では、被爆者の方が、
「自分には残
された時間はあまり無いが、命続く限り被爆の
体験を伝えたい」という強い思いを述べられて
いた。これに対して 高校生平和大使は 「私達
には未来(時間)がある。被爆者の話をしっかり
引き継いで行きたい。」と、被爆体験を自分たち
の世代がちゃんと引き継ぎたいという決意と、
「私たちは微力だけれども無力ではない」とい
う行動に対する思いを、自分の言葉でしっかり
と述べていた。
「戦後の記憶が私達の社会から急速に失われ
つつあります。長崎や広島の被爆体験だけでな
く、東京をはじめ多くの街を破壊した空襲、沖
書記長
野中
孝泰
縄戦、そしてアジアの多くの人々を苦しめた悲
惨な戦争の記憶を忘れてはなりません。70年を
経た今、私たちに必要なことは、その記憶を語
り継いでいくことです。」「過去の話だと切り捨
てずに、未来のあなたの身にも起こるかもしれ
ない話だからこそ伝えようとする平和の思いを
しっかりと受け止めて下さい。」―長崎平和宣言
の言葉に、戦争の歴史を他人事ではなく自らの
こととして考えるとともに、それを将来の世代
に繋がねばならないこと、そして二度と戦争を
させない平和な国づくりに向けた責務が今を生
きる私たちにあることを、強く感じた。また、
平和宣言には、
「日本国憲法の平和の理念が、今
揺らいでいるのではないかという不安と懸念が
広がっていること」
「政府と国会には、この不安
と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で
真摯な審議を行うこと」の表明が織り込まれて
いた。責任が伴う宣言であるだけに、熟慮を重
ねたであろう言葉の重みと使命感を強く感じた。
国のかたちづくり
戦後70年、戦後の混乱期と高度経済成長期を
経て成熟社会を迎えた日本では現在、世界に先
駆けて、人口減少・少子高齢化、そして生産年
齢人口の減少が進んでいる。社会保障の給付と
負担の実態や日本経済の現状、国の財務状況、
さらには非正規雇用を含む格差の問題など、将
来に向けて、いずれも重要な課題が山積してお
り、それらの解決に向けて果たすべき政治の役
割と責任は従来にも増して重いと思う。
一方で、政治のバランスが崩れていることに
危機感を覚える。一強多弱の国会運営を不安視
する方も多いと思うが、国民の意識と遊離した
内容で物事が決まっているのではないか、 国民
に対して、説明責任は十分に果たされているだ
ろうか。
「国民主権とは、この国をどういう国にした
いのかは国民にその決定権があるということ」
「納税者でなくタックスペイヤー」(北川元三重
県知事)という考え方が重要であり、政治のシス
テムとしても、生活者の声を、働くものの声を
正しく国政の場に届けることの重要性が高まっ
ていると考える。
矢田わか子の支援
日本の国のかたちづくりに私たちは無関心で
はいられないと思う。戦争のない平和な世界の
実現に向けて、持続可能な社会の再構築に向け
て、そして誰もが活き活きと働き安心して暮ら
せる社会の実現に向けて、私たちの声を国政の
場に届ける必要がある。組合員一人ひとりとの
対話を通じて、
『 あなたと動けば、未来は変わる』
そのうねりを起こそうではないか!
電機連合では~被災地と心をつなぐ活動~として、第2次東北ボランティアin陸前
高田市を実施した。縁をいただいて陸前高田の高田松原再生活動のお手伝い、七夕祭
りの山車引きに参加させていただいた。地元の方との交流を通じて、
「震災の事をわす
れない」
「被災地を訪れ現地の方と交流することも復興支援の一つの形であり、労働組
合として長く関わっていく事も大切なのではないか」と感じた。
本特集では、
「ミレニアム開発目標とポスト2015年開発アジェンダ」と題し、外務省
よりこれまでの取り組み状況と新たな2016年からの取り組みに向けたポスト2015年開
発アジェンダ=持続可能な開発目標(SDGs)の策定について、また連合からはM
DGsに対する連合としてのこれまでの取り組みとSDGsに対するこれからの取り
組みについて紹介いただいた。
あわせて、6月に開催された「インダストリオール・グローバルユニオン
ICT
電機・電子部門世界会議」について、国際部より報告させていただいた。持続可能な
社会の実現における日本、そして労働組合の役割を考える一助となれば幸いである。
ミレニアム開発目標とポスト2015年開発アジェンダ
外務省
1.はじめに
地球規模課題総括課長
田村
政美
質的に合意された。本稿では、このミレニアム
開発目標を振り返りつつ、ポスト2015年開発ア
まず、読者の方々に、5秒数えてほしい。国
ジェンダについて説明したい。なお、本稿は筆
連の報告書によると、2015年に600万人の子供が
者の個人的見解を記したものであることを予め
5歳になることなく亡くなるという推計であり、
申し上げる。
これは、世界のどこかで、5秒に一人、子供が
5歳の誕生日を迎えることなく亡くなっている
2.ミレニアム開発目標
ことを示している。1990年には1,270万人の子供
が亡くなっていた。これは3秒に一人の割合に
2000年9月にニューヨークで開催された国連
なる。5秒に一人と3秒に一人の違い。読者の
ミレニアム・サミットにおいて国連ミレニアム
方々はどう感じるだろうか。乳幼児死亡率の削
宣言が採択された。これは、新しいミレニアム
減 は ミ レ ニ ア ム 開 発 目 標 (MDG:Millennium
(千年紀)となる2001年の直前の年に21世紀の
Development Goals)の目標4であり、この目標
国連が果たすべき役割を示したものであり、①
が策定されて以来、国際社会が努力した一つの
平和・安全・軍縮、②開発・貧困撲滅、③環境
成果が3秒に一人から5秒に一人となって現れ
保護、④人権・民主主義・良い統治、⑤弱者の
たものである。
保護、⑥アフリカの特別なニーズへの対応、⑦
国連創設70周年にあたる2015年は、ミレニア
国連強化を柱としたものであった。
この宣言は、
ム開発目標の目標年である。そのために、国際
すべての人々が開発の権利を現実のものとし、
社会にとり、ミレニアム開発目標の後継の検討
全人類を欠乏から解放することにコミットする
は大きな課題となった。また、2015年は開発問
として、後のミレニアム開発目標の基礎となる
題にとり重要な会議が目白押しとなった。すな
目標を提示した。
わち、3月には仙台で第三回国連防災世界会議、
これをもとに2015年までに国際社会が開発分
7月には第三回開発資金国際会議、9月のポス
野において達成するべき目標として作成された
ト2015年開発アジェンダサミット、12月の気候
のがミレニアム開発目標である。ミレニアム開
変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開
発目標では、8つのゴールと21のターゲット及
催されることとなっており、開発問題が国際社
び60の指標が設定された。
会の最重要課題の一つとなっている。ミレニア
ゴールは以下の通りである。
ム開発目標の後継となるポスト2015年開発ア
ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ジェンダは、厳しい交渉を経て、本年8月に実
ゴール2:初等教育の完全普及の達成
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電機連合NAVI №56(2015年夏号)
ゴール3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
達成できた一方で、衛生施設に関するターゲッ
ゴール4:乳幼児死亡率の削減
ト(改良衛生施設を利用できない人の割合を半
ゴール5:妊産婦の健康の改善
減)は達成することができなかった。ゴール8
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他
の開発のためのグローバルなパートナーシップ
の推進については、政府開発援助(ODA)は、
の疾病のまん延の防止
ゴール7:環境の持続可能性確保
2000年から2014年で66%増加したが、OECD開
ゴール8:開発のためのグローバルなパート
発委員会(DAC)メンバー国のうち、ODA拠出
額のGNI比0.7%目標を達成したのは5か国の
ナーシップの推進
みである。
国連はこの開発目標の達成状況について毎年
このようにミレニアム開発目標は、一定の成
報告書を発表している。2015年7月に発表され
果を上げたが、同時に、上述の通り、教育、母
た最新の報告書(ミレニアム開発目標(MDG)
子保健、衛生などの分野では、ターゲットを達
報告2015)によると、ゴール1の極度の貧困と
成することができなかった。また、地域別にみ
飢餓の撲滅については、極度の貧困人口(一日
ると達成度合いに大きな差がある地域があり、
1.25ドル未満で暮らす人々)の割合を1990年比
特に、サハラ以南のアフリカ、南アジア、オセ
で半減するとの目標は2010年に達成し2015年に
アニア(島嶼国)において達成に遅れがでてい
は三分の一になっている。その一方で、サブサ
るなど、引き続き課題は大きなものとなってい
ハラ人口の41%は依然極度の貧困層にある。目
る。更に、ミレニアム開発目標はマクロ指標で
標2の初等教育の完全普及については、就学率
あり、これのみでは国内の格差は手当てできな
及び識字率は向上するが、全ての児童の初等教
い。国全体としては一定の成果を上げつつも、
育修了は実現していない。ゴール3のジェン
国内格差が拡大する場合もあるなど、新しい課
ダー平等推進については、開発途上国地域全体
題への対応が必要であることが明らかになって
としてみれば、全ての教育レベルの男女格差が
いった。
解消した。ゴール4の乳幼児死亡率は53%減少
したが、1990年比で三分の一まで削減するとい
うターゲット達成には至らなかった。ゴール5
3.ポスト2015年開発アジェンダ策定
に向けて
の妊産婦死亡率も45%減少したが、1990年比で
四分の一まで削減するというターゲット達成に
ミレニアム開発目標では2015年が目標年で
は至らなかった。ゴール6のHIV/エイズにつ
あったために、2011年頃からミレニアム開発目
いては、世界の感染を40%減少することができ、
標の後継となる目標をどのようにするかという
また、2000年から2015年で620万人以上の命がマ
ことが議論され始めた。2013年5月には国連事
ラリア対策により、2000年から2013年で3,700
務総長が設置したハイレベルパネルが報告書を
万人の命が結核対策により救われたと推定され
提出し、2013年9月には国連総会でミレニアム
る。目標7の環境の持続可能性確保については、
開発目標特別イベントなどが開催された。
飲料水に関するターゲット(改良飲料水源を利
同時に、2012年6月にはブラジルのリオデ
用できない人の割合を半減)は2010年の時点で
ジャネイロで持続可能な開発会議が開催された。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
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これは1992年にリオデジャネイロで開催された
スアベバ行動目標(AAAA:Addis Ababa Action
国連環境開発会議(UNCED:United Nations
Agenda)を採択した。
Conference on Environment and Development)
すなわち、ミレニアム開発目標を直接にフォ
の20周年にあたるものであり、リオ+20と呼ば
ローする流れ(ハイレベルパネル等)に、リオ
れるものとなった。リオ+20の準備過程におい
+20の持続可能な開発目標を検討する流れ(持
て、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable
続可能な開発目標に関する政府間オープンワー
Development Goals)という概念が提唱され、
キンググループおよび持続可能な開発のための
リオ+20では持続可能な開発目標に関する政府
資金に関する政府間委員会)と第三回開発資金
間交渉プロセスの設立に合意された。これを受
国際会議の成果文書を検討する流れの三つの議
けて、2013年3月から2014年7月まで持続可能
論が織り交ざって、ポスト2015年開発アジェン
な開発目標に関する政府間オープンワーキング
ダに関する加盟国間の交渉が行われていった。
グループが開催された。持続可能な開発目標に
関する政府間オープンワーキンググループは、
4.ポスト2015年開発アジェンダ
上述の期間中に13回開催され、報告書を採択し
て終了した。また、2013年8月からは、持続可
ポスト2015年開発アジェンダは、2015年1月
能な開発のための資金に関する政府間委員会が
から7回にわたってニューヨークにおいて政府
開催され、2014年8月には持続可能な開発のた
間交渉が行われ、本年8月に第7回交渉の最終
めの資金に関する報告書が採択された。
日にドラフトに合意された。今般合意されたド
持続可能な開発目標に関する報告書が採択さ
ラフトは、9月25日から開催される国連サミッ
れた2014年7月の直後(2014年9月)に採択さ
トにおいて各国首脳により採択される予定と
れた国連総会決議により、この報告書がポスト
なっている。2016年からは新しいアジェンダの
2015開発アジェンダの基礎となることが確認さ
実施期間が始まることとなっている。
れた。2014年12月には、これまでの議論を踏ま
8月に合意されたドラフトでは、タイトルは
えた事務総長特別報告書が発表された。2015年
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のた
に入ると、9月に予定されているポスト2015年
め の 2030 ア ジ ェ ン ダ 」 (Transforming Our
開発アジェンダサミットにおける採択を目指し
World: The 2030 Agenda for Sustainable
て、政府間交渉が開始された。
Development)となっている。文書は、①序文、
さらに、2015年7月には、第三回開発資金国
②宣言、③持続可能な開発目標、④実施手段と
際会議がエチオピアのアディスアベバで開催さ
グローバル・パートナーシップ、⑤フォローアッ
れることとなっていた。これは、2002年3月の
プ・レビューの5つの部分により構成されてい
モンテレイにおける第一回開発資金国際会議、
る。新しいアジェンダは、ミレニアム開発目標
2008年11月から12月のドーハにおける第二回開
で残された課題(教育、母子保健、衛生、地域
発資金国際会議を継ぐものであった。この準備
の進展の差など)に取り組みつつ、この15年間
会合も2015年1月以降、ポスト2015開発アジェ
で顕在化した新しい課題(国内格差の是正や開
ンダ交渉と密接にリンクする形で、並行して交
発の持続可能性)に対応し、先進国を含むすべ
渉が行われ、
第三回開発資金国際会議は、アディ
ての国に適用される目標(すなわちユニバーサ
- 4-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
のゴールと169のターゲットを一部技術的に修
ルな目標)として設定されている。
第一の序文では、持続可能な開発の重要分野
正したものとなった。17のゴールは次の通りで
として5つのPを取り上げている。すなわち、
ある。さらに、この17のゴールのもとに169の
People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁
ターゲットがある。
栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナー
ゴール1:あらゆる形態の貧困の撲滅
シップ)である。これは、後述の通り、今回の
ゴール2:飢餓撲滅、食料安全保障、栄養の改
善、持続可能な農業の促進
持続可能な開発目標は17のゴールと169のター
ゲットにより構成されている。これは、8つの
ゴール3:健康な生活の確保、万人の福祉の促進
ゴールと21のターゲット、60の指標により構成
ゴール4:万人への包摂的で衡平な質の高い教
育の確保、生涯学習の機会の促進
された単純かつ明快なミレニアム開発目標と比
較すると、内容が複雑かつ広範囲にわたるもの
ゴール5:ジェンダー平等、全ての女性・女子
の能力強化
となっている。そのため、持続可能な開発目標
をいかにわかりやすく説明しやすいものにする
ゴール6:万人の水と衛生の利用可能性と持続
可能な管理の確保
かが課題の一つとなっていた。ミレニアム開発
目標で残された課題や新しい課題に取り組みつ
ゴール7:万人のための利用可能で、安定し、
つ、先進国を含むすべての国に適用されるとい
持続可能で近代的なエネルギーへの
う特徴をわかりやすく示すために、序文におい
アクセス
ゴール8:持続的、包摂的で持続可能な経済成
てこの5つのPを例示している。
長と、万人の生産的な雇用と働きが
第二の宣言は、イントロダクション、我々の
いのある仕事の促進
ビジョン、我々の共有の原則と約束、我々の今
日の世界、新しいアジェンダ、実施手段、フォ
ゴール9:強靭なインフラの構築、包摂的で持
ローアップとレビュー、世界を変える行動の呼
続可能な工業化の促進とイノベー
びかけの9つの部分から構成されている。①ポ
ションの育成
スト2015年開発アジェンダは、包括的で人間中
ゴール10:国内と国家間の不平等の削減
心のゴールとターゲットを決定し、2030年まで
ゴール11:包摂的、安全、強靭で、持続可能な
都市と人間居住の構築
に完全に実施すること(パラグラフ2)、②誰一
人取り残さないこと(パラグラフ4)
、③先進国
ゴール12:持続可能な消費と生産パターンの確保
にも途上国にも等しく適用されるユニバーサル
ゴール13:気候変動とその影響への緊急の対処
なゴールとターゲットであること(パラグラフ
ゴール14:持続可能な開発のための、海洋と海
洋資源の保全と持続可能な使用
5)、④ミレニアム開発目標を基礎に、同目標で
達成できなかったことの達成を追求すること
ゴール15:生態系の保護、回復、持続可能な使
(パラグラフ16)、⑤ODAの目標を再確認する
用の促進、森林管理、砂漠化への対
とともに、ODAは他の開発資金の触媒であるこ
処、土地劣化の停止と回復、生物多
と(パラグラフ43)などが記載されている。
様性の損失の阻止
中核となる持続可能な開発目標は、2014年7
ゴール16:持続可能な開発のための平和で包摂
月に提出された持続可能な開発報告書記載の17
的な社会の促進、万人の司法へのア
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
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クセスの提供、効果的で説明責任を
トの進捗の測定に必要な指標については、今後、
有し包摂的な機構の構築
合意されることになっており、まずはそれを合
ゴール17:実施手段の強化と持続可能な開発の
ためのグローバル・パートナーシッ
意することが必要である。
新しい開発アジェンダは、ミレニアム開発目
標で残された課題に対処するとともに、この15
プの活性化
第四の実施手段とグローバル・パートナー
年間で顕在化した新しい課題に対応するもので
シップでは、政府、市民社会、民間セクター、
あり、かつ、途上国のみならず先進国も含めて
国連機関等、全てのアクターが利用可能な資源
適用されるものとなっている。そのため内容が
を活用し、グローバル・パートナーシップのも
複雑かつ広範囲にわたる包括的なものとなって
とでゴールとターゲットの実施にあたることが
いる。これを実施するためには、旧来の南北対
確認された(パラグラフ60)。また、第三回開発
立の構図を克服し、あらゆるステークホルダー
資金会議の成果文書であるアディスアベバ行動
がそれぞれの役割を果たす新しいグローバル・
がこのアジェンダの不可欠の一部であることも
パートナーシップの構築が必要である。また、
確認されている(パラグラフ62)。さらに、経済
先進国においても持続可能な社会を構築しなけ
社会開発の一義的な責任はそれぞれの国が有す
れば、貧困という地球規模の課題を解決するこ
ることも再確認されている(パラグラフ63及び
とができない。我々にとっても、国際協力とい
宣言部分のパラグラフ41)。
う観点のみならず、自らの社会を持続可能なも
最後のフォローアップとレビューでは、フォ
のとするためにあらゆるレベルで取り組む必要
ローアップとレビューの原則として、自主的、
があることを国際社会が確認するものとなった。
国主導、包摂的で透明、人間中心、既存の仕組
このアジェンダを早急に具体的な実施に移し貧
みを活用し、実証ベースであるものとすること
困の撲滅を実現することが国際社会の最重要課
が合意された(パラグラフ74)。また、ターゲッ
題となっている。
トの進捗を測るための指標については、2016年
3月の国連統計委員会で合意され、国連経済社
会理事会及び国連総会で採択されること(パラ
グラフ75)や、グローバルな定期的レビューは、
国連経済社会理事会の主催の下、持続可能な開
発に関するハイレベル政治フォーラムで実施さ
れることが合意された(パラグラフ84)。
5.今後の課題
今回実質合意されたドラフトは、9月25日か
ら開催される国連サミットにおいて各国首脳に
より採択され、2016年から新しいアジェンダの
実施期間が始まることとなっている。ターゲッ
- 6-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
MDGsからSDGsへ
-連合の取り組みのこれまでとこれから
連合
本年2015年はMDGsの終了とポスト2015年開
■
国際局長
大久保 暁子
連合運動方針を振り返る
発アジェンダ=持続可能な開発目標「SDGs」
連合は1989年に結成され、定期大会を隔年で
の策定が重なる区切りとなる年である。今回機
開催することとなっている。つまり奇数年の10
会をいただいたので、連合のこれまでのMDGs
月に開催される定期大会で、向後2年間の運動
に絡む取り組みを振り返り、またSDGsの達成
方針が決定される。
に向けての課題を整理することとしたい。
MDGsが策定された直後の2001年10月の第7
なおこれは筆者個人の見解であり、組織とし
回定期大会で確認された2002-2003年度運動方
て確認したものではないことをお断りしておく。
針では【国際協力活動の強化とODA改革】の項
に
1.
MDGsと連合の取り組み
●
国際協力活動とりわけ社会開発活動の有効
かつ効率的な推進にむけ、構成組織、ITS加
MDGs(ミレニアム開発目標)は2001年、前
盟組合協議会、JILAFとの連携・協力を一層
年の国連ミレニアム・サミットで採択された「国
緊密化し、推進体制の再構築を含め役割分担
連ミレニアム宣言」と、1990年代に開催された
と連携のあり方の明確化を図り、ナショナル
様々な会議やサミット等で採択された国際的な
センターとして活動分野・対象地域などの調
開発目標を統合し、ひとつの共通の枠組みとし
整と活動家養成に中心的な役割を果たす。
て策定された。2015年までに達成すべき目標は
●
ODA基本法の早期制定を実現し、国民参加、
単純で明快な8の目標に絞り込まれ、それぞれ
透明性の確保を達成し、対象国・地域の住民
に達成期限付きの数値目標を示したことで、世
のニーズに基づいた支援を、関係NGOとの連
界の貧困削減に大きく寄与してきた。MDGsに
携を強化し実施する。
ついては最終となる「国連ミレニアム開発目標
とあり、また【世界平和実現と地球規模での諸
報告2015」を7月6日に公表したバン・キムン
問題の解決促進】の項に
国連事務総長は「これまでの歴史で最も成功し
●
HIVなど新興感染症の広がり、環境・地球
た貧困撲滅のための取り組み」と述べている。
温暖化問題、人口・食糧問題、債務・貧困問
一方で、達成されていない目標や新たに見いだ
題など地球規模での問題が深刻化している。
された課題もあるが、それは別項に譲り、ここ
この問題解決に向けNGOをはじめ関係諸組
では連合のMDGsへの取り組みを振り返ってみ
織・基幹との連携を強化し、積極的な役割を
たい。
果たす。ODAを活用した支援活動の強化も図
る。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
- 7-
とあり、地球規模課題への認識は窺えるが、
MDGsへの言及はない。
(2) 貧困撲滅を中心とするMDGs(国連ミレ
ニアム開発目標)達成に向け、
「NGO-労働
これは次期2004-2005年度運動方針(2003年第
8回定期大会確認)も同じなのだが、
【国際協力
組合国際協働フォーラム」との連携のもと
活動を推進する。
活動の強化とODA改革】に
と、
「MDGs」
「NGO-労働組合国際協働フォー
●
ラム」の文言が登場している。
社会開発を中心とする国際協力活動の効果
的・効率的な推進を国際労働財団(JILAF)
以降の運動方針では、
『「NGO-労働組合国際
との連携を密にして進める。構成組織が実施
協働フォーラム」との連携のもと活動を推進
している活動をネットワーク化する構想の実
(2006-2007年度)』
『「NGO-労働組合国際協働
現をはかるとともに、GUF加盟組合協議会、
フォーラム」の活動を一層活性化させ、併せて
NGOとの連携・協力を一層進める。(下線筆
フェアトレード等の具体的な活動についても構
者)
成組織と知見を共有しつつ取り組み(2008-2009
とあり、後の「NGO-労働組合国際協働フォー
年度)』
『「NGO-労働組合国際協働フォーラム」
ラム」に繋がる動きが見える。この項では他に
の活動の充実と周知に努め、組合員一人ひとり
●
活動分野・対象地域を調整し、貧困・児童
が参加しやすい工夫(2010-2011年度、2012-2013
労働・HIV/AIDSの撲滅など、中核的労働基
年度)』と、時期により表現の変遷はあるが、
準の適用拡大や多国籍企業対策と連携した活
MDGsに関する取り組みの中心に「NGO-労働
動を推進する。
組合国際協働フォーラム」を据えてきたのは一
●
政府開発援助(ODA)基本法を早期に制定
貫している。
させ、国民参加と透明性を確保し、ODA供与
あえて言うならば、MDGsという国際的な取
先国のあり方を含め改革をはかり、対象国・
り組みに対して連合が運動方針に掲げるのはこ
地域の住民ニーズに基づく支援活動を
れだけなのか、という見方もあるだろう。この
JILAFおよび関係NGOと提携して実現する。
点については国際担当者として時に忸怩たる思
いがないわけではないが、労働組合あるいは労
とされている。
大きな画期となったのが2004年9月1日に設
働組合組織の存在意義は、まずは組合員の雇用
立された「NGO-労働組合国際協働フォーラ
の確保と労働条件の向上にある。そのためには
ム」である。2005年10月に開催された第9回連
強い組織でなければならず、組織化は至上命題
合定期大会で確認された2006-2007年度運動方
である。労働組合ナショナルセンターとしては
針では初めて【貧困撲滅にむけた取り組み】が
政策・制度への対応および労働法制対策が大き
項目として立てられ、
な役割であり、そのためには政治の場で労働
●
国際紛争やテロの原因の一つである世界の
者・労働組合の理解者・代弁者を増やし、立法・
貧困に立ち向かうため、以下の活動を推進す
法改正や諸制度の策定が進むようにしなければ
る。
ならない。雇用・労働状況の変化により非正規
(1) グローバル・ユニオンやNGOが進めてい
労働対応が急務となっているのは論を俟たない。
る「GCAP(貧困撲滅のためのグローバル・
そしてこれらすべてに通底する原則がジェン
コール活動)
」を国内外で継続的に推進する。
ダー平等である。先に紹介した連合の運動方針
- 8-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
は総論に続く各論の「その1」から「その7」
●
グローバル社会の課題をアピールし、関心
でそれぞれの運動分野を取り上げるのだが、国
のある組合員、一般市民が参加できるキャン
際は例年「各論その7」
、常に最後なのである。
ペーンの実施
その中でもMDGsに言及しているのは1項目の
●
グローバル社会の課題と解決方法に対する
政策提言
みである。労働組合組織で国際を担当するス
タッフとして、いわゆる国際労働運動以外の活
NGOや労働組合が行う地球規模の課題解
●
決のための具体的な取り組みの支援
動に対しては、常にバランス感覚を働かせる必
●
要があると感じている。
その他目的を達成するために必要な諸活動
が挙げられる。
NGO-労働組合国際協働フォーラム
■
フォーラムの最大の特徴は、なんといっても
先に述べたとおり、現在連合のMDGsに関す
NGOおよび労働組合という2つの異なった性
る活動は「NGO-労働組合国際協働フォーラ
格の団体が協働する場であるということであろ
ム」(以下「フォーラム」
)を軸としてきた。こ
う。NGOが貧困や環境問題などに対して政府や
こではその「フォーラム」について簡単に紹介
国際機関とは異なる『民間』の立場から利益は
したい。
目的とせずに取り組む市民団体であるのに対し、
上述の通り「フォーラム」は2004年に発足し
労働組合は労働者が団結して自らの労働条件の
た。もちろんそれまでもNGOと労働組合は折に
向上のために使用者と交渉することを最大の目
触れ様々な形で協力していたのだが、2001年の
的として結成するものであり、ストライキを含
MDGs策定をひとつの契機として2003年5月か
む団体行動等の権利を含め法的な保護を受けて
ら「NGO-労働組合共同学習会」を開始。ここ
いる。専門性やスキルを有する人材と事態の変
でさらに互いの理解を深め、また情報交換と交
化に即応できる機動力がNGOの相対的な強み
流が活発化したことをきっかけに2004年9月に
であるとするならば、労働組合のそれは数と動
「フォーラム」が設立された。
員力、組織力と資金力と言ってよいだろう。こ
目的として掲げられているのは「NGOと労働
の2つのカテゴリの団体が持つ強みを合わせ、
組合の協働事業を促進することにより、国連ミ
互いに足らざるところを補い、重なり合うとこ
レニアム開発目標(MDGs)が掲げている貧困、
ろは相乗効果を狙って活動を続け、昨年10周年
人権、平和、環境などの地球規模課題の解決に
を迎えることができた。
寄与し、公正ですべての人々の可能性を開くこ
運営もNGOと労働組合が合同で行っている。
とができるグローバル社会の形成と市民社会の
意思決定機関は「合同企画委員会」で、NGO8
強化」である。また主な活動としては
組織・労働組合9組織がメンバーとなり、年4
●
回会合し活動方針・活動計画・予算等について
グローバル社会の課題と解決方法を相互に
の協議と承認を行っている。また年1回はすべ
学びあう場作り
●
組合員、一般市民を対象とした、シンポジ
開催している。事務局はNGO側が国際協力
ウム、セミナー等の開催
NGO関係者と労働組合関係者の情報共有
●
と経験交流の場作り
ての全メンバー組織を対象とする「全体会」も
NGOセンター(JANIC)、労働組合側は連合国
際局が務めているが、筆者の実感として実務は
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
- 9-
7-3以上の割合でJANICにお世話になって
労働組合の参加組織は現在14(他に、インダス
いる。(感謝!)
トリオール・JAF、NTT労働組合、基幹労連、
BWI-JAC、IUF-JCC、国公連合、JR総連、
自治労、自動車総連、JAM、日教組、連合、
UAゼンセン:50音順)であるが、ここ数年筆
者の知る限り新たな参加組織は残念ながらない。
後述の通り「SDGs」では労働組合と企業がよ
り直接的な貢献を求められるゴールが含まれて
おり、それに応えるためのツールとして「フォー
ラム」をより充実させ、活用していただきたい
と考えている。
現時点では3つの課題別グループが通年で活
■
国 連 ミ レ ニ ア ム 開 発 目 標 報 告 2015
-
動している。
「児童労働グループ」
「HIV/AIDS
MDGs達成に対する最終評価
等感染症グループ」
「母子保健グループ」で、そ
国連は7月6日、MDGsについては最後の評
れぞれMDGsの目標2「初等教育の完全普及の
価報告となる「国連ミレニアム開発目標報告
達成」、目標6「HIV/AIDS、マラリア、その
2015」を公表した。発表したバン・キムン国連
他の疾病の蔓延の防止」
、目標5「妊産婦の健康
事務総長が「極度の貧困をあと一世代でこの世
の改善」に対応している。それぞれの活動内容
からなくせるところまで来た」とその成果を強
はグループが決定するので、国際機関や他NGO
調したとおり、掲げられた8つの目標のうち、
組織と連携してイベントを実施する、独自の広
「極度の貧困と飢餓の撲滅」や「初等教育の就
報素材を作成する、海外の現場に視察団を送る、
学率」については大幅な改善が報告されている。
労働組合の大会や中央委員会、集会等で展示や
一方で、男女間格差や母子保健の分野で達成困
チラシ配布など広報活動を行う等、バラエティ
難が予想されているのに加え、特定の地域での
に富んでいる。またフォーラム全体としては年
遅れも目立っている。また新たな課題も出現し
一度のシンポジウム/学習会の開催が定例化し
ており、とりわけ国内格差(富裕層と貧困層、
ている。
都市部と農村部、等)および気候変動と環境悪
今後の課題としては、まず、本年9月に国連
が採択を予定しているポスト2015年開発アジェ
化、紛争が貧困削減の大きな妨げになっている
ことが認識されている。
ンダ=持続可能な開発目標「SDGs」への対応
数年来の動向からこの評価は概ね妥当だと言
である。組織のあり方や活動を見直す必要があ
える。むしろ関心はポスト2015年開発目標の策
るのか否か、見直すならばどのような方向性で
定にすでに移ってしまっている印象で、ITUC
何を変えていくのか、
「フォーラム」内で十分に
(国際労働組合総連合:連合が加盟する国際労
議論を重ね、解を見いだしていく必要がある。
働組合組織)もこの最終評価に対して特にコメ
もう一つは組織の拡大である。合同企画委員
ントを発表していない。
組織としてご活躍いただいている電機連合含め、
-10-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
2.
ポスト2015年開発アジェンダ=
る。MDGsも十分浸透しているとは言い難かっ
持続可能な開発目標「SDGs」に向け
たと言わざるを得ないが、SDGsの内容やその
て
労働組合組織にとっての意味を伝える努力がこ
れまで以上に必要である。
SDGsは本年2015年9月に開催される国連
特に、上述のとおり雇用・労働に関する目標
「持続可能な開発に関するサミット」で採択さ
が入ったことは、日本国内のみならず全世界で
れる予定となっている。MDGsの「その後」に
「完全かつ生産的な雇用」と「ディーセント・
関する議論は2012~2013年頃から活発化したが、
ワーク」を促進する役割を日本労働組合も担う
現時点では7月に実施されたポスト2015年開発
ことを求められているということである。経済
アジェンダに関する政府間交渉の8月1日付け
のグローバル化に伴って長くなったサプライ・
成果文書「2030年までに私たちの世界を転換す
チェーンの各所で労働者の権利・利益が尊重さ
る:グローバル・アクションのための新アジェ
れるよう十分な取り組みが必要になる。逆の視
ンダ」が最新の文書である。
点からみれば、労働組合が自らの目的を追求す
これによれば目標(ゴール)はMDGsの8か
ら大幅に増えて17に、ターゲットは169になると
ることがそのままSDGs達成に貢献することに
なるのである。
されている。この中で労働組合組織として特に
目標8で言及されている「ディーセント・ワー
注目すべきは目標8「持続的、包摂的で持続可
ク」は日本では「働きがいのある人間らしい仕
能な経済成長と、万人の完全かつ生産的な雇用
事」と訳されている。ILOが1999年に打ち出し
と働きがいのある仕事(ディーセント・ワーク)
た概念で、その活動の主目的と位置づけられて
の促進」であろう。ポスト2015開発アジェンダ
いる。原文は「ディーセント・ワークとは、権
に雇用・労働の目標を入れるため、世界中の労
利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な
働組合組織と国際労働機関(ILO)が数年来様々
社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味し
な働きかけや運動を行ってきた成果である。
ます。それはまた、全ての人が収入を得るのに
そしてもう一つ、忘れてはならないのが、基
十分な仕事があることです。」
(ILO駐日事務所)
本的に途上国の開発を念頭に構成されていた
と、権利・保護・収入に言及されていることに
MDGsと異なり、SDGsは「ユニバーサルなコ
注意が必要である。
ミットメント」であると言うことである。
「新た
連合は2014年8月に「ディーセント・ワーク
なグローバル・パートナーシップ」
「あらゆるス
に関する調査」を携帯電話によるモバイル・リ
テークホルダー」がキーワードとなっており、
サーチ形式で、18~65歳の男女1,000名(経営
先進国を含め全世界の、労働組合も含め政府以
者・役員除く)を対象に実施した。その結果、
外の組織にも、直接に役割を果たすことが求め
「ディーセント・ワーク」という言葉を聞いた
られている。
ことがあった(認知率)のは11.7%、
「聞いたこ
とがあり、内容も知っていた」は1.7%と、非常
■
に残念な結果であった。回答者中の組合員割合
連合の課題
連合が行うべきはまず、SDGsを労働組合組
は不明だが、組織率17.5%を下回っていること
織と組合員に知っていただく、ということであ
をみても組合員の中の認知率も高くはないと推
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-11-
定せざるを得ない。
連合を含め労働組合には今後、SDGsについ
て、特にその中で目標に掲げられている「ディー
セント・ワーク」に関する一層の認知促進活動
が求められている。
SDGs(案)
目標1
あらゆる形態の貧困の撲滅
目標2
記が撲滅、食料安全保障、栄養の改善、持続可能
な農業の促進
目標3
健康な生活の確保、万人の福祉の促進
目標4
万人への包摂的で衡平な質の高い教育の確保、生
涯学習の機会の促進
目標5
ジェンダー平等、すべての女性・女子の能力強化
目標6
目標7
目標8
目標9
万人の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理の
確保
万人のための利用可能で、安定した、持続可能で
近代的なエネルギーへのアクセス
持続的、包摂的で持続可能な経済成長と、万人の
完全かつ生産的な雇用と働きがいのある仕事
(ディーセント・ワーク)の促進
強靱なインフラの構築、包摂的で持続可能な工業
化の促進とイノベーションの育成
目標 10
国内と国家間の不平等の削減
目標 11
包摂的、安全、強靱で、持続可能な都市と人間居
住の構築
目標 12
持続可能な消費と生産パターンの確保
目標 13
目標 14
目標 15
目標 16
目標 17
-12-
気候変動とその影響への緊急の対処
(付記:気候変動に関する国際連合枠組条約が、
気候変動に関する政府間協議の優先的な場であ
る)
持続可能な開発のための、海洋と海洋資源の保全
と持続可能な使用
生態系の保護、回復、持続可能な使用の促進、森
林管理、砂漠化への対処、土地劣化の停止と回復、
生物多様性の損失の阻止
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促
進、万人の詩法へのアクセスの提供、効果的で説
明責任を有し包摂的な機構の構築
実施手段(MOI)の強化と持続可能な開発のため
のグローバル・パートナーシップの活性化
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
インダストリオール・グローバルユニオン
ICT電機・電子世界会議報告
電機連合
1.はじめに
国際部長
倉田
秀樹
名が参加しており、67名の代議員のうち女性代議
員は23名で女性参画率3割以上が達成された。そ
2015年6月11~12日にかけて、インダストリ
のほかオブザーバ16名、来賓3名、インダストリ
オールICT電機・電子世界会議がマレーシア・セ
オール本部9名参加。電機連合本部からは、本部
ランゴール州ペタリンジャヤで開催された。
から有野委員長を含む5名、13中闘組合代表者、
インダストリオール・グローバルユニオンは、
および女性評議員5名の23名が参加した。
グローバル化の負の側面に対して製造系の労働
組合がより強力な国際産業別労働組合組織
3.議事経過:
(GUF)を構築し対応すべく、2012年6月に、IMF
(国際金属労連)、ICEM(国際化学エネルギー鉱
ここでは、会議での議事経過について報告する。
山一般労連),ITGLWF(国際繊維被服皮革労働
<1日目:6月11日(木)>
組合同盟)の3GUF(国際産業別組織)が統合し、
開会挨拶
結成された。インダストリオールは、人権や労働
○有野ICT電機・電子部会長
組合の諸権利の保護・確立、賃金・労働条件の改
プリハナニ副部会長(インドネシアFSPMI)欠
善のために、世界の製造に係わる労働者の連帯活
席の旨を案内した後、ICT電機・電子部会の歴史、
動を推進する国際労働団体であり、世界140カ国、
グローバル化に伴う課題、安全衛生・快適な職場
5,000万人の製造・エネルギー・鉱山部門に働く
環境の確保等に触れ、歓迎の意を表した。
労働者を組織しており、スイス・ジュネーブに本
部書記局がある。最高決議機関は4年に1度開催
される大会で、インダストリオールの日常の活動
計画を決定する執行委員会は、年2回開催する。
本世界会議は15に分かれる産業部門の中のICT電
機・電子部門会議の位置づけとなる。電機連合は
ICT電機・電子部会に所属し、有野委員長が部会
長に就任している。有野委員長は本世界会議の議
長を務めた。
○ケマル・ウズカン書記次長
2.ICT電機・電子世界会議概要
・電機・電子部門は複雑で多種多様な部門。
・デジカメは100%、スマホ・モバイルの90%が
本世界会議は、世界16ヶ国、32組織から約100
生産されるなど、アジア太平洋地域は、重要な
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-13-
議題1:組織化と労働組合力の構築
電機・電子機器の生産基地。
・労働者にとって困難な時代。不安定労働、アウ
松崎寛インダストリオールICT電機・電子部門
トソーシング、新自由主義、緊縮政策により貧
担当部長がモデレータとなり、以下から報告を受
困も増している。
けた。
・インダストリオールはまだ歴史が浅い組織。電
子産業においては、5か国を重点国と設定し取
り組む。
○ Sahul Hamid Bin Hassainm 、 マ レ ー シ ア
EIEU
・5社(横尾電機、その他4社)で組織化を実施。
労使局で認められたが、企業がリストを提出し
ていない。会社による組織化登録を遅らせる戦
術。現在秘密投票の日程を検討中。
・南部では6つの団体協約を締結。
・マレーシアでは、組合認証に当たり労働組合の
適格性審査がハードルとなっている。
○Sanya Kromthaisong、タイTEAM(パナソニッ
○ムハマド・ハムダン・ビン・ドルハリムEIW
U(電機産業労働組合)委員長
ク出身)
・トレーニングセンターを建設中。今後、組合費
・マレーシア電機・電子産業の組合を取り巻く状
況について述べた後、積極的な議論と連帯の構
を率で徴収することを検討している。
○Wisnu Nunky Saputa、インドネシアLomenik
築等世界会議に対する期待を述べた。
議題2:不安定労働に対する闘い
産業の動向と部門活動の背景説明
矢木孝幸電機連合書記次長がモデレータとな
松崎寛インダストリオールICT電機・電子部門
り、以下から報告を受けた。
担当部長からはグローバルの中でのアジア太平
○Judi Winamo、インドネシアFSPMI
洋地域の位置づけと労働運動の動向、
・フィリップス・ンドネシアに関する労使紛争
Anne-Marie ChopinetフランスFOからは欧州の
・91年7月にインドネシア・バタヤ設立。アイロ
経済状況やICT分野の人への投資の重要性につい
ンを製造。1,900人の従業員の内、組合員は500
て報告があった。
人。月収は272万~350万ルピア/月
・ストを実施し、83人が解雇された。
・組合設立の妨害あり。労働法上のプロセスを経
てストに入ったのに解雇されたのは違法であ
る。
○Mohd Ridzwan Rama Abudullah、マレーシア
EIWU
○Reden Alcantara、フィリピンMWAP
○Billy Grayson, Electronic Industry Citizenship
本会議の議題6項の経過は以下の通り。
-14-
Coalotion-EICC
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
議題3:未来のICT電機・電子産業のために―
○Dirk Linder、ドイツIGメタル
安全衛生と環境の確保
・Siemensでのグローバル枠組み協約(GFA)の
アンドリュー・デットマーAMWU全国委員長
取り組みについて報告。欧州には欧州従業員代
がモデレータとなり、以下から報告を受けた。
表委員会(EWC)、米国(+カナダ)には35拠
○Ms. Sarika Bhosale、インドSEM
点の内10拠点のみに組合が存在。中国では2015
○Ms. Luong This Thu Huog、ベトナムVUIT
年4月にワークショップを開催、50組合のうち
○Brian Kohler、インダストリオール安全健康持
15組合が参加。インドでは10拠点に組合が存在。
今後、韓国、中南米等での労働協約締結を目指
続可能性担当部長
○ Ted Smith 、 International Campaign for
す。
○Erik Anderson、スウェーデンIFメタル
Responsible Technoloty-ICRT
・Electroluxにおけるタイでの紛争。タイには組
議題4:労働組合ネットワークの構築と連帯の強
合があったがTEAMには未加盟。IFメタル、
化
TEAM、インダストリオールが全面的にサポー
ケマル・ウズカンインダストリオール書記次長
がモデレータとなり、以下から報告を受けた。
ト。SKF(スウェーデンヨーテボリに本社を置
く、総合機械メーカー)についても報告
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-15-
○Stephane Flegeu、フランスFTM-CGT
健康持続可能性担当部長モデレータの下、以下か
○Uday Mahale、インド・シーメンス従業員連合
ら報告があった。
○野中孝泰、電機連合書記長
・日本の電機産業を取り巻く環境認識と、政策・
<2日目:6月12日(金)>
制度の実現に向けた政党・省庁との政策協議に
議題5:持続可能な産業政策の推進
ブライアン・コーラーインダストリオール安全
ついて報告
○Karl-Heinz Hageni、ドイツIGメタル
うな現状がすでにあることを考えると、いわゆる
・Industrie4.0は、ドイツ生き残りの糧
ディーセントワークからさらにかけ離れてしま
(”Industrie4.0 that’s our beef”
)
うのではないかと思うからである。また、働く人
・労働の人間化、雇用を継続していくことが課題
が連帯をするという労働組合のあり方にも大き
・新しい職の形。IGメタルとしてもまだあまり支
く影響を与えるのではないかとも考える。この点
援できていない状況。Webを活用したデジタル
について、faircrowdwork.orgの紹介があったが、
日雇い労働者の支援を検討していく
対応について現状の考えを伺いたい。
第二に教育の必要性という観点。必要とされる
(Faircrowdwork.org)。
○Cyrille Tan Soo Leng、シンガポールUMEEI
仕事の内容が、現状と大きく変わるということで
あれば、働く機会を失わないために、これまでに
質疑応答
ないような企業や産業を超えた強力な教育シス
<JCM浅沼事務局長>
テムの必要性を強く感じる。実現の方法などにつ
日本のものづくり労働組合を組織するJCMと
いて、考えを伺いたい。
して、Industrie4.0に対して大きな関心を寄せて
第三に、労働組合の関与という観点。労働組合
いる。調査を深め、これからの活動に活かしたい
も こ の 変 革に 深 く 関 与し て い る とい う 説 明 で
と考え、IGメタルに3点質問する。
あったと理解しているが、その関与の内容につい
まず、雇用に与える影響という観点。
て、伺いたい。
Industrie4.0によって、CrowdWorkingという働
き方に変わっていくとすると、大きな危惧を覚え
る。オークションで仕事の値段を決めるというよ
-16-
<Karl-Heinz Hageni
ドイツIGメタル>
まず、一点目について、雇用には影響がある。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
自動化、ロボットや機械が人に代わって仕事をす
るとなれば、高度な専門家が必要となる一方で、
議題6:今後の活動と行動計画
ICT電機・電子部会として、以下の取組みを決
機械で作業できるところの仕事が失われる。これ
定した。
までも様々な産業革命があり、IT等の革命では仕
・多国籍企業への、反組合的な動きへの対応
事が変わった。仕事は常に変化し続けてきた。今
・不安定雇用への取り組み
後のシナリオがどうなるかわからない。VWにお
・組織化キャンペーンの強化
いて従業員代表委員会で議論に関与している。ロ
・組織化、組織率の上昇、社会対話をサプライ
ボットが普通の労働者と同じ作業をすることに
チェーンで推進する等。
なれば、ロボットのコストは一日10ユーロ(1
ユーロ135円:当時)以下であり、人より安い。
ロボットに取って代わられるかもしれない。
第二の教育について、今は実験段階ではあるが、
共同部会長選挙
プリハナニ副部会長を共同部会長にすること
を提案し、満場の拍手で確認された。
Ipad、smartサービス等を使っている。ICTの知識
が生産現場にも必要となる。労働者にも新しい仕
<閉会挨拶>
事の知識が必要となるということ。従業員代表委
○ケマル・ウズカンインダストリオール書記次長
員会においても、ICTの技能を組立ラインにもっ
積極的な議論へ感謝。今後の行動計画につい
ていきたいと言う話がある。ICTの技能は産業内
て全員で確認した。今後全員で取り組んでいく。
でも必要であるが、新しいプロセスをもっと磨い
○有野ICT電機・電子部会長
て新しい流れに合わせていく。
総括
Crowdworkingは、仕事のデジタル化というこ
新自由主義との闘いは、世界の労働運動の根
とであるかと思う。BMWではデジタルプラット
底にあるもの。使用者が安い労働主義に走るの
フォームを活用して車両を設計、3Dプリンター
は性かもしれないが、政府は国民を豊かにする
を活用している。新しい形態でエンジニアが仕事
ことを考えていくべきでないのか。我々の運動
に 従 事 し て い る 。 IG メ タ ル で は 、 こ の
は更にキャンペーン能力を高め、政治活動を強
Crowdworkingをサポートしていくことを検討し
化することが必要。思いを同じくする国会議員
ている。
を多くつくり、送り出すこともその一つ。シン
第三の組合への影響はよくわからない。
ガポールのような政労使の関係ができるのが
Identityがよくわからない。ネットの向うは顔が
理想。ただ、そのような世界を作るには労働運
わからない。ネット上で組織化を行い、情報共有
動の強化が必要で、そのためには人材育成、教
していくというアイデアもある。クラウドワー
育、財政の強化が必要。企業内、産別、ナショ
カーは組織化されていないので、公平な条件では
ナルセンター、ITUCなど、それぞれの役割、
ない。オファーを受ける人は提示された条件を甘
責任を明確にし、システマチックに運動ができ
受しなければならない。クラウドプラットフォー
ているのか、どのようにしたら我々の力を発揮
ムでの組織化はまだ学習段階。デジタルワールド、
できるのかを見極める必要がある。
組織化を学びながらやっていくことが必要。
非正規雇用問題の解決なしに国の発展はな
い。低い処遇、不安定雇用等が多くなれば、結
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-17-
婚できない、住宅を買えない、教育が受けられ
最後に
ない、若い人が未来に期待できないなど、大き
な社会・経済的課題である。同一労働同一賃金
で考えるべきという動きが日本ではある。
本世界会議では、雇用、安全衛生、組織化、産
業政策など多岐にわたって課題が提起され、議論
持続可能な産業政策について、日本の電機産
が交わされた。現代において、労働組合には社会
業230万人、質の高い雇用を提供してきた。し
的責任・役割が強く求められてきていることを実
かし、2008年リーマンショックや為替変動とい
感した。
う外的要因はもちろんあったが、デジタル分野
企業が世界に進出していく時代にあって、グ
での戦略の誤りもあり、ボリュームゾーンの喪
ローバルに物事を考え整理していく必要がある。
失、地方への打撃、10万人程度の雇用を失った。
2016年9月には、インダストリオール世界大会が
国内外の経済や産業の動向を先読みし、経営に
開催されるが、各地域・各組織が抱える課題を世
訴えるべきだった。
界で共有し、取り組んでいくネットワークの構築
インフラ、エネルギー、自動車、環境等に産
が今後更に重要になってくる。
業全体をシフトしている最中。企業収益は上
電機連合は今回、13中闘組合代表者と女性評議
がってきたが売上はまだ。本日議論のあった
員5名の方に参加していただいた。国際問題は日
Industrie4.0、ビックデータ、サイバーフィジ
頃必ずしも身近にある訳ではないだろうが、会議
カル、IoT等電機産業の先行きは大きく変化す
での議論が自分たちの組織にも無関係ではない
るかもしれない。労使で何に備えるべきなのか、
こと、そして各グループで、積極的に課題の解決
議論を始めないと間に合わない。格差の点にも
や環境整備に取り組むことが、企業・組合員に対
配慮が必要。
する大きな損失の未然防止につながることを感
ICTの光と影。乗り遅れたら大変なことにな
じられたのではないだろうか。今後も出来るだけ
る。働く者の視点で、どのように乗り切るのか。
多くの方に、国際活動に参加してもらえるよう国
使用者、政府とこのような議論が重要。産業と
際部として取り組んでいく。
して組合員を豊かにする運動をしていく必要
がある。
-18-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
以上
ICT電機・電子世界会議終了後
会場にて
電機連合から参加の皆さん
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-19-
m
ユニオンリーダーの「意識」と「変化」
―第4回次代のユニオンリーダー調査の調査結果から―
取り巻く情勢や環境の変化に対応できる知識の習得
や考え方を生み出す一助とするため、学識者の方々
に研究成果の一端を報告いただきます。
労働調査協議会 主任調査研究員
はじめに
後藤
嘉代
系列比較を行う項目については、各回の調査対
象の属性をそろえるため、年齢を39歳以下、役
労働調査協議会では、将来、労働組合を担う
職を支部執行委員以上に限定した集計(2014年
ことを期待される単組の組合役員を対象に「次
調査のサンプル数は1,036件)を用いることにす
代のユニオンリーダー調査」を継続的に実施し
る。
てきた。1995年(第1回)、2001年(第2回)、
第1回調査以降の変化としては、
「女性」の緩
2007年(第3回)に続き、2014~2015年に実施
やかな増加(第1回:6.9%→第4回:12.5%)
した第4回となる今回の調査(以下、「本調査」
とともに、高学歴化の進展があげられる。時系
と表記)では、ユニオンリーダーの属性や組合
列のデータをみると、第1回、第2回調査では、
活動に対する意識とともに、現在の経済・社会
大卒以上の割合は4割程度であったが、第3回
情勢に対する考え方を把握することにより、彼
では約半数、今回の本調査では6割強に及んで
ら彼女らが描く労働組合運動の方向性を探るこ
いる。このような高学歴層の増加に伴い、職種
とを目的としている。なお、本調査の参加組織
構成にも変化がみられ、技能系職種が減少し、
は、電機連合のほか、UAゼンセン、自治労、
技能系以外の職種のユニオンリーダーが増加し
JAM、基幹労連、日教組、JP労組、NTT労働
ている。
組合、ゴム連合、全印刷局労組の10組織である。
ユニオンリーダーが役員になった経緯をみる
本稿では、まず、上記10組織のユニオンリー
と、はじめて組合業務に携わった際には、
「組合
ダーを対象とした本調査の結果の特徴を過去調
役員に勧められて」(33.8%)とともに、「順番
査との比較をしながら示したうえで、後半では、
で」
(20.2%)も少なくないが、執行委員になっ
電機連合のユニオンリーダーを抽出し、全体と
た経緯では「組合役員に勧められて」(70.2%)
の比較からその特徴を明らかにしたい1。
が7割と多数を占める。過去調査と比べると、
「組合役員に勧められて」は増加している一方
1.高学歴化が進むユニオンリーダー
で、比率はあまり高くないが、
「上司に勧められ
て」は減少がみられる(第1図)。
まず、本調査に回答したユニオンリーダーの
プロフィールについてみていきたい。なお、時
1.本稿に用いる第4回調査のデータは、年齢を44歳以下、企業連及び単組所属の役員・委員に限定し、各参加組織の
組織人員に応じてサンプリングを行っている。集計対象は1,979件である。なお、調査全体の結果については、労働調
査協議会『労働調査』2015年7月号を参照されたい。
-20-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
3.2
第3回(2007)計
4.0
第1回(1995)計
9.6
ら職
れ場
ての
同
僚
に
勧
め
れ組
て合
役
員
に
勧
め
ら
あ
て
は
ま
ら
な
い
62.6
-
件
数
無
回
答
5.6
66.7
4.6
25.0
2.3
そ
の
他
70.2
4.3
11.6
順
番
で
7.9 5.0
-
10.0
-
-
1036
0.3
第4回(2014)計
上
司
に
勧
め
ら
れ
て
961
0.1
自
ら
率
先
し
て
執行委員になった経緯(時系列データ)
4.1
1.4
1.7
第1図
2077
注:第2回調査では、該当する設問はない。
「職場の同僚に勧められて」、「順番で」は第3回調査、「あてはまらない」は第4回調査で追加された選択肢。
「出身職場や事業所の声を反映したい」
組合役員を引き受けた主な理由(3つ以内選
択)では、
「つきあいや接する情報の範囲が広が
(23.0%)などが続いている。上位にあげられ
り、視野が開ける」
(68.7%)が最も多く、これ
ている項目は第1回~第4回調査で共通してい
は4回の調査全てで第1位にあげられている
るが、
「ことわる理由がない」は第1回、第2回
(第1表)。これに、「ことわる理由がない」
調査では4割台を占めていたが、第3回、第4
(32.4%)、
「交渉力や折衝力、管理能力など職
回調査では3割台へと減少している。
場では身につけにくい能力の取得」(30.5%)、
第1表
組合役員を引き受けた主な理由(時系列データ、3つ以内選択)
第4回(2014)計
り接
視す
野る
が情
開報
けが
る広
が
68.7
①
第3回(2007)計
③
66.3 32.5
①
5
5
#
6
③
59.9 26.9
①
第1回(1995)計
③
64.8 29.9
①
第2回(2001)計
に職 に昇 改賃 平差 映出
く場 な進 善金 を別 し身
いで るや しや 撤・ た職
昇 た労 廃人 い場
能は
の
格 い働 し事
力身
声
条 たの
に
のに
を
件 い不
有
取つ
反
公
を
利
得け
30.5 5.3 15.6 14.5 23.0
③
⑥
に社 うな
ん
つ会
と
くや
な
し政
く
た治
面
いの
白
変
そ
革
1.5 16.9
④
2.2 12.8 10.2 19.7
⑥
⑤
世
話
役
活
動
が
好
き
7.0
⑤
6.8
1.1 13.7
④
3.1 15.9 11.6 20.5
8.7
⑤
7.3
2.7 10.5
⑥
無
回
答
件
数
0.2
1036
9.6
0.5
961
7.0 48.8 15.9
0.6
1765
0.3
2077
足職 いこ そ
と の
り場
わ 他
なの
る
さ仕
理
を事
由
感に
が
じも
な
るの
7.2 32.4 10.5
②
5.6 36.1
②
6.6
④
3.8 22.2 13.2 26.9
⑤
構健
築全
しな
た労
い使
関
係
を
8.7
②
7.9
2.7
9.1
9.0
④
⑤
6.5 42.6 12.1
②
※下線数字は「第4回(2014)計」より5ポイント以上少ないことを示す
※薄い網かけ数字は「第4回(2014)計」より5ポイント以上多いことを示す
※濃い網かけ数字は「第4回(2014)計」より15ポイント以上多いことを示す
※丸数字は比率の順位(第6位まで表示)
2.ユニオンリーダーの意識
する意識、労働組合運動や社会に対する考え方
についてみることにする。
以下では、ユニオンリーダーの組合活動に対
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-21-
(1) 組合役員としての意識
3回57.4%、第4回64.8%と調査回ごとに増加
-高い充実感と育成実感-
している(第2図)。明確に「感じている」割合
まず、組合活動における充実感をみると、<
も増加がみられており、充実感をもって組合活
感じている>(「感じている」と「どちらかとい
動を行っているユニオンリーダーが増加してい
えば感じている」の合計)は第2回45.9%、第
ることがわかる。
第4回(2014)計
いど
ち
ら
と
も
い
え
な
22.8
第3回(2007)計
第2回(2001)計
感ど
じち
てら
いか
ると
い
え
ば
感
じ
て
い
な
い
42.0
19.9
10.4
感ど
じち
てら
いか
なと
いい
え
ば
35.5
6.7
31.1
32.5
感
じ
て
い
る
計
感
じ
て
い
な
い
計
1036
64.8
9.1
961
57.4
11.3
1765
45.9
21.5
無
回
答
25.9
37.6
件
数
2.4
0.3
感
じ
て
い
る
組合活動での充実感(時系列データ)
4.2
0.1
第2図
7.2
13.5
8.0
0.2
注:第1回調査では、該当する設問はない。
また、組合役員としての育成実感について、
「大いにある」と「ある程度はある」を合わせ
た育成実感が<ある>割合は76.3%と4分の3
継続意思を持った組合役員が徐々に増えている
ことがうかがえる。
ただし、今後やりたい・やってもよい役職を
みると、半数程度が現在と同じ役職をあげてお
強に及んでいる。
こうした高い充実感、育成実感を持ったユニ
オンリーダーたちは、今後の組合役員としての
り、産別や連合レベルの役員までのキャリアを
描くユニオンリーダーはほとんどいない。
キャリアをどのように考えているのだろうか。
第4回調査では、「続けてやりたいと思う」が
25.0%、「他にやる人がなければやってもよい」
(25.0%)も同率を占める(第3図)。一方、<
やりたくない>(「できるだけやりたくない」と
「全くやりたくない」の合計)は19.1%と2割
程度である。時系列で比較すると、
「続けてやり
たいと思う」は、第1回、第2回では1割台半
ばであったが、第3回以降、徐々に増加を続け
ている。また、<やりたくない>は第1回~第
3回では3割前後を占めていたが、第4回調査
では減少がみられており、全体の傾向として、
-22-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
組合役職の継続(時系列データ)
第4回(2014)計
れ他
ばに
やや
っる
て人
もが
よな
いけ
25.0
第3回(2007)計
17.1
34.9
19.8
23.8
37.1
件
数
や
り
た
く
な
い
計
1036
19.1
無
回
答
14.6
32.0
18.9
15.0
全
く
や
り
た
く
な
い
30.6
22.0
13.5
第1回(1995)計
くで
なき
いる
だ
け
や
り
た
25.0
20.1
第2回(2001)計
いど
ち
ら
と
も
い
え
な
4.5
0.3
思続
うけ
て
や
り
た
い
と
21.5
8.2
0.6
961
25.3
8.4
0.4
1765
32.2
0.4
第3図
2077
27.8
6.3
さらに、組合活動を続ける中で感じる悩みや
ている。以下、比率は大きく下がり、
「仕事が忙
不満(複数回答)についてもみておきたい。
「と
しくて組合業務ができない」
(27.4%)、
「組合業
くに悩みや不満はない」ユニオンリーダーは
務が忙しくて仕事に支障をきたす」(26.0%)、
10.9%にとどまる(第4図)。悩みや不満の中身
「組合役員を続けると仕事や職場環境の変化に
をみると、
「組合業務のために自分の時間や家庭
ついていけなくなる」
(25.0%)、
「代わりの人が
生活が犠牲になっている」
(48.9%)が際立って
いないので役員をやめられなくなる」(24.1%)
多く、これは前回調査とも共通する結果となっ
などが続いている。
第4図
組合活動を続けるなかで感じる悩みや不満(時系列データ、複数回答)
60
(%)
第4回(2014)計
(N=1036)
第3回(2007)計
(N=961)
50
40
30
20
4
8
.
9
5
2
.
0
2
7
.
4
10
2
6
.
0
2
6
.
0
2
7
.
8
2
5
.
0
3
0
.
8
2
4
.
1
2
4
.
9
1
4
.
1
1
5
.
1
1
4
.
8
2
2
.
8
1
4
.
0
1
2
.
7
1
1
.
7
1
8
.
2
1
5
.
2
1
0
.
6
7
.
9
1
1
.
3
7
.
4
8
.
4
7
.
1
1
0
.
9
5
.
4
4
.
5
4
.
5
3
.
6
3
.
5
1
.
8
2
.
5
3
.
8
9
.
1
3
.
2
2
.
0
1
.
4
0
生自
活分
がの
犠時
牲間
にや
な家
る庭
合仕
業事
務が
が忙
でし
きく
なて
い組
事組
に合
支が
障忙
をし
きく
たて
す仕
に仕
つ事
いや
て職
い場
けの
な変
い化
で代
やわ
めり
らが
れい
なな
いい
の
感組
じ合
ら活
れ動
なの
い成
果
が
し今
て後
のの
将組
来合
が役
心員
配と
会組
が合
少員
なと
い接
す
る
機
に自
向分
いは
て役
い員
な・
い委
員
進今
・後
昇の
格仕
が事
心上
配の
昇
に組
疑合
問の
を方
感針
じや
る姿
勢
す役
る員
相の
手悩
がみ
いを
な相
い談
す他
る組
機合
会の
が役
少員
なと
い接
力組
を合
発活
揮動
での
き中
なで
い能
が組
よ合
く内
なの
い人
間
関
係
入考
れえ
らや
れ提
な案
いが
取
り
そ
の
他
はと
なく
いに
悩
み
や
不
満
無
回
答
注:第1回、第2回調査では、該当する設問はない。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-23-
あたっては、極力組合員の意見を吸い上げて反
(2) 労働組合のあり方
-“組合員優先”、“賃上げ中心”を支持する
映するよう努力すべきだ]が66.5%と、
[b:組
割合が増加-
合運営は、執行部がリーダーシップを発揮して、
次に、労働組合のあり方に関する意識とその
組合員を引っ張っていくべきだ]
(13.1%)を大
変化をみていきたい(第2表)。まず、[a:組
きく上回っている。第3回調査と比べるとaに
合員の雇用・労働条件確保の取り組みに専念す
<賛成>の割合は減少しているが、多数派であ
べきだ]と[b:未組織労働者のためにも活動
ることに変わりはない。
すべきだ]という2つの考えに対する意識をみ
また、今回の調査で新たに設けた2つの項目
ると、aの考え方に<賛成>(「賛成」と「どち
にも触れておきたい。まず、労働組合における
らかといえば賛成」の合計、以下同じ)の割合
女性参画に関して、
[b:女性を男性と区別せず
は71.6%で、bの考え方に<賛成>の11.7%を
に、組合役員にふさわしい人材に育てることを
大きく上回っている。第3回調査と比べると、
優先すべきだ]に<賛成>が52.4%と[a:女
aに<賛成>が10ポイント増加しており、組合
性枠を設けるなどして、女性役員の人数を増や
員優先の考え方が強まっていることがうかがえ
すことを優先すべきだ]に<賛成>の22.9%を
る。
上回った。また、労働組合と政党との関係につ
また、労働条件の改善の取り組みに関しては、
いては、
[b:特定の政党にこだわらず、政策の
[a:労働条件改善の取り組みは賃上げ中心に
中身に応じて、その都度支持・協力関係を持つ
すべきだ]に<賛成>が41.4%と、
[b:賃上げ
政党を選ぶべきだ]に<賛成>が46.8%と[a:
以外の課題に重心を移すべきだ]に<賛成>
政策制度の実現のためには、特定政党との支
(22.3%)を上回っている。第3回調査ではa、
持・協力関係を維持するべきだ]に<賛成>の
bそれぞれ<賛成>が3割ずつを占めていたが、
21.5%を上回っている。
今回は賃上げ中心にすべきとするaに<賛成>
が12ポイント上昇する一方で、bに<賛成>の
割合は9ポイント減少しており、賃上げ中心の
取り組みを志向するユニオンリーダーが増加し
ている。
企業別組合としての活動範囲については、
[a:企業別組合の枠を超えた横のつながりや
連帯を重視すべきだ]に<賛成>が58.9%と
[b:企業別組合の枠内での活動に専念すべき
だ]に<賛成>の10.6%を大きく上回っている。
第3回調査と比べてもaに<賛成>の割合はや
や増加しており、ユニオンリーダーの多くが企
業別組合間の連帯を重視する方向に向いている
ことがわかる。
組合運営の仕方については[a:組合運営に
-24-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
第2表
女性参画
a
員女 ど
を性 ち
増枠 ら
やを と
す設 も
べけ い
き女 え
性 な
役 い
22.9 24.1
b
ず女
育性
てを
る男
べ性
きと
区
別
せ
52.4
政党との関係
a
b
を特 ど 係政
ち
を策
維定
持政 ら 持で
す党 と つ政
ると も べ党
べ協 い きと
協
き力 え
力
関 な
関
係 い
21.5 30.7 46.8
29.4 38.9 31.4
他組合との連携
a
b
帯企 ど に企
ち
専業
を業
重の ら 念の
視枠 と す枠
すを も べ内
べ超 い きで
の
きえ え
活
た な
動
連 い
58.9 29.5 10.6
組合運営
a
吸極 ど
い力 ち
上組 ら
げ合 と
る員 も
べの い
き意 え
見 な
を い
66.5 19.3
b
張運
営
ては
い執
く行
べ部
きが
引
件
数
っ
労働条件の改善
a
b
げ労 ど 移賃
ち
す上
中働
心条 ら べげ
に件 と き以
外
す改 も
に
べ善 い
え
重
きは
心
賃 な
を
上 い
41.4 35.7 22.3
っ
活動の対象
a
b
件組 ど に未
ち
も組
に合
専員 ら 活織
念の と 動労
す雇 も す働
べ用 い べ者
き労 え きの
た
働 な
め
条 い
第4回(2014)計 71.6 16.2 11.7
第3回(2007)計 61.8 21.4 16.3
労働組合のあり方(時系列データ)
13.1 1036
54.6 28.3 16.8 72.8 15.5 11.2
961
注:第1回、第2回調査では、該当する設問はない。
「女性参画」「政党との関係」については第4回調査の新規設問。
くに及ぶのに対し、<反対>の割合は21.7%と
(3) 社会意識
-成果・業績基準の賃金・処遇、社会保障の
2割程度となっている。第3回調査と比較する
個人負担増に<賛成>がやや増加-
と、<賛成>が約5ポイント増加、一方の<反
社会意識にかかわるものとして、本調査では、
対>が7ポイント減少しており、成果・業績を
賃金・処遇や雇用の流動化、平等意識、格差意
重視する傾向が強まっていることが確認できる。
識、社会保障の在り方などについて尋ねている
また、消費税増税が断続的に行われるなかで、
(第3表)。そのなかから、賃金・処遇と社会保
[税などの個人負担を増やしてでも社会保障を
障の在り方に対する考え方についてみておきた
充実すべきだ]という考え方に<賛成>の割合
い。[賃金や処遇は年齢や勤続年数に関係なく、
は38.1%と<反対>の24.9%を上回っている。
もっぱら成果や業績を基準にすべきだ]という
第3回調査と比べて<賛成>が8ポイント増、
考え方に<賛成>(「賛成」と「どちらかといえ
<反対>が10ポイント減少しており、個人負担
ば賛成」の合計、以下同じ)は46.0%と半数近
増を肯定する方向に変化がみられている。
第3表
賃金等は成果や
業績を基準にす
べき賃金処遇
賛
成
社会のあり方や働き方などについて(時系列データ)
転職しやすい社
会をめざすべき
裁量労働などの
範囲を拡大すべ
き
など 反
賛 など 反
賛
いち 対
成 いち 対
成
ら
ら
と
と
も
も
い
い
え
え
第4回(2014)計 46.0 31.1 21.7 25.3 32.6 40.9 18.6
第3回(2007)計 40.6 31.2 28.1 19.8 31.4 48.3 20.6
貧富が生じても
機会が平等なら
公平
所得再分配で格
差を小さくすべ
き
個人負担増でも
社会保障を充実
する
非正規の雇用確
保等に取り組む
べき
など 反
賛 など 反
賛 など 反
賛 など 反
賛 など 反
いち 対
成 いち 対
成 いち 対
成 いち 対
成 いち 対
ら
ら
ら
ら
ら
と
と
と
と
と
も
も
も
も
も
い
い
い
い
い
え
え
え
え
え
35.7 43.9 32.2 33.3 32.9 36.1 42.8 19.3 38.1 35.3 24.9 21.2 45.6 31.4
36.3 42.8 32.5 33.0 34.2 37.0 46.7 15.8 30.5 34.3 35.0
件
数
1036
961
注:第1回、第2回調査では、該当する設問はない。「非正規労働」については第4回調査の新規設問。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-25-
3.電機連合のユニオンリーダー
れ2~3割ずつを占める。大学院修了について
は、8割が「技術系」である。
次に、電機連合の調査結果についてみること
ここで、仕事や職場の特徴について尋ねた設
する。以下では、職場委員等を含めた集計を用
問から、電機連合の職場の特徴をみることにす
いる2。
る。電機連合の比率の高い順にみると、
「就業時
間後も残業している人が多い」
(67.2%)、
「女性
が少ない」(64.0%)、「20代や30代が少ない」
(1) 電機連合のユニオンリーダー
-大学院修了が2割、約半数が技術系-
(50.7%)、「連絡や情報交換はメールが主体」
前掲の第4回調査(以下、「全体計」と表記)
(39.2%)などとなっており、これらはいずれ
の結果と同様に、電機連合の場合も、<大卒以
も全体計を上回っている(第5図)。一方で、
「非
上>(61.5%)が6割強と高学歴層の比率が高
正規労働者が多い」は11.2%と全体計に比べて
い 。 な お 、 電 機 連 合 の 場 合 、「 大 学 院 修 了 」
少ない。
(21.7%)が、他の組合と比べて多いという点
職種別にみると、
「就業時間後も残業している
が特徴といえる。また、職種別にみても、
「技術
人が多い」は技術系、営業・販売・サービス系
系」が48.6%とほぼ半数を占め、比率の高さが
で7割超と多く、
「女性が少ない」は技術系と技
際立っている。学歴別に職種構成をみると、高
能系、「20代や30代が少ない」は事務系で多く
卒は「技能系」、大卒は「技術系」を中心に「事
なっている。
務系」と「営業・販売・サービス系」がそれぞ
第5図
仕事や職場の特徴(複数回答)
80
(%)
全体計
(N=1979)
70
電機連合計
(N=475)
60
50
40
30
20
5
5
.
3
6
7
.
2
6
4
.
0
4
6
.
7
3
8
.
3
5
0
.
7
10
3
1
.
2
3
4
.
3
2
6
.
8
2
6
.
1
2
5
.
5
1
1
.
2
3
9
.
2
2
5
.
1
2
4
.
3
2
4
.
0
2
.
5
1
.
3
3
.
7
2
.
1
2
.
5
0
.
8
0
女
性
が
少
な
い
少 2
な 0
い代
や
3
0
代
が
い仕
が事
少以
な外
いの
付
き
合
が人
なを
い育
て
る
雰
囲
気
い非
正
規
労
働
者
が
多
メ連
絡
ルや
が情
主報
体交
換
は
ー
し就
て業
い時
る間
人後
がも
多残
い業
仕ひ
事と
がり
多で
い取
り
組
む
激従
し業
い員
間
の
競
争
が
2.電機連合の結果は、年齢や所属を限定せず回答のあった475件全てを対象としている。
-26-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
まい
らず
なれ
いに
も
あ
て
は
無
回
答
以上のように、電機連合のユニオンリーダー
が多く、
「自ら率先して」
(1.5%)はわずかであ
の3分の2が「就業時間後も残業している人が
る。全体計と比べると、
「順番で」が6ポイント
多い」をあげているが、組合活動時間の長さは
多い。職種別にみると、技能系では「順番で」
どうなっているのだろうか。非専従のユニオン
(35.3%)、技術系では「職場の同僚に勧められ
リーダーの1週間あたりの組合活動時間(通常
て」
(21.6%)がそれぞれ他の職種を上回ってい
の週)をみると、平均6.6時間で全体計の4.2時
る。
間を2.4時間上回っている。特に三役層では、平
また、組合役員を引き受けた主な理由では、
均が8時間台とさらに長くなっており、電機連
概ね全体計と類似した結果となっているが、
「つ
合のユニオンリーダーは仕事時間の長さととも
きあいや接する情報の範囲が広がり、視野が開
に、組合活動時間も長くなっていることがわか
ける」
(69.3%)が全体計に比べて5ポイント多
る。
い(第6図)
。一方、「賃金や労働条件を改善し
たい」(8.2%)という理由は全体計と比べて少
次に、はじめて組合業務に携わるきっかけに
なくなっている。
ついてみると、全体計の結果同様「組合役員に
勧められて」
(29.5%)や「順番で」
(28.0%)
第6図
組合役員を引き受けた主な理由(3つ以内選択)
80
(%)
全体計
(N=1979)
70
電機連合計
(N=475)
60
50
40
30
6
4
.
3
6
9
.
3
3
6
.
7
20
3
3
.
1
10
2
5
.
2
3
4
.
3
1
4
.
8
2
0
.
4
2
3
.
4
1
5
.
8
1
8
.
7
8
.
2
1
3
.
0
1
0
.
5
8
.
5
7
.
8
8
.
8
6
.
3
5
.
5
7
.
2
4
.
5
6
.
3
1
1
.
4
1
1
.
1
1
.
6
1
.
3
1
.
1
1
.
1
0
り接
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けが
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理
由
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に職
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のに
取つ
得け
映出
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た職
い場
の
声
を
反
うな
ん
と
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く
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白
そ
改賃
善金
しや
た労
い働
条
件
を
平差
を別
撤・
廃人
し事
たの
い不
公
構健
築全
しな
た労
い使
関
係
を
世
話
役
活
動
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好
き
足職
り場
なの
さ仕
を事
感に
じも
るの
に昇
な進
るや
昇
格
に
有
利
に社
つ会
くや
し政
た治
いの
変
革
そ
の
他
無
回
答
「つきあいや接する情報の範囲が広がり、視
高比率を示している。そのほか、
「交渉力や折衝
野が開ける」
は、学歴別では大学院修了(77.7%)、
力、管理能力など職場では身につけにくい能力
職種別では営業・販売・サービス系で84.8%と
の取得に役立つ」
(34.3%)が全体計を9ポイン
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-27-
ト上回っており、電機連合のユニオンリーダー
全体計と大きく変わらない。「続けてやりたい」
の場合、組合役員としてだけでなく、その後の
に着目すると、男性23.5%、女性8.9%と男女で
キャリアに活かすことのできる経験や能力形成
15ポイントの差がみられるほか、人数はそれほ
をあげる割合が多いといえる。また、女性の回
ど多くないが、営業・販売・サービス系で33.3%
答数は少ない3が、男女別に組合役員を引き受
と比率が高い。一方、<やりたくない>(19.4%)
けた理由をみると、女性は「つきあいや接する
は2割程度である。また、今後やりたい・やっ
情報の範囲が広がり、視野が開ける」(55.6%)
てもよい役職では、単組・企業連、支部ともに
や「交渉力や折衝力、管理能力など職場では身
現在の所属レベルが多数を占めているが、支部
につけにくい能力の取得に役立つ」
(22.2%)は
レベルのユニオンリーダーのなかで、単組・企
男 性 ほ ど 多 く な く 、「 な ん と な く 面 白 そ う 」
業連レベルの役職を“やりたい・やってもよい”
(24.4%)、
「ことわる理由がない」
(44.4%)で
とする割合は2割程度を占め、全体計と同程度
男性を上回っている。
となっている。
次に、組合活動で感じる悩みや不満(複数選
択)をみると、
「組合業務のために、自分の時間
(2) 組合役員としての意識
-主な悩みは組合活動を行うことによる“仕
や家庭生活が犠牲になっている」が43.2%と最
事”への影響-
も多く、これに「組合業務が忙しくて仕事に支
全体計では、組合活動に対する充実感や組合
障をきたす」
(32.0%)や「仕事が忙しくて組合
役員として育成されている実感を持っているユ
業務ができない」
(31.4%)、
「組合役員を続ける
ニオンリーダーが多いことを確認したが、電機
と仕事や職場の変化についていけなくなる」
連合のユニオンリーダーの場合はどうだろうか。
(30.3%)、
「代わりの人がいないので役員をや
組合活動に対する充実感を<感じている>割合
められない」
(20.8%)などが続いている(第7
は68.0%と7割近くに及び、育成実感について
図)。全体計と比べると、上位にあげられている
も、育成実感が<ある>は77.9%と、いずれも
項目は共通しているが、
「組合が忙しくて仕事に
全体計を上回っており、充実感、育成実感とも
支障をきたす」や「仕事や職場の変化について
に他の組織と比べて高いといえる。この充実感
いけない」で、全体計と比べて比率が高くなっ
と育成実感を男女別にみると、充実感を<感じ
ており、組合活動を行うことによる“仕事”へ
ている>は男性68.6%、女性62.2%、育成実感
の影響をあげるユニオンリーダーが多いといっ
が<ある>は男性78.4%、女性73.3%といずれ
た特徴がみられる。なお、
「仕事や職場の変化に
も男性が女性をわずかに上回るものの、男女と
ついていけない」は、年齢構成の高い技能系で
もに高い比率となっている。
比率が高いほか、単組・企業連の三役層では半
今後の組合役員の継続については、
「どちらと
もいえない」
(33.7%)が3割強を占めるものの、
数がこれをあげており、職場復帰後のキャリア
に不安を感じている三役も少なくない。
「続けてやりたいと思う」が22.1%、
「他にやる
人がなければやってもよい」が24.6%を占め、
3.女性の割合は電機連合計の9.5%、回答者は45人。
-28-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
第7図
組合活動で感じる悩みや不安(複数選択)
50
(%)
全体計
(N=1979)
電機連合計
(N=475)
40
30
20
4
5
.
7
4
3
.
2
2
8
.
0
3
1
.
4
10
2
5
.
8
3
2
.
0
2
2
.
0
2
0
.
8
2
1
.
0
1
2
.
5
3
0
.
3
1
5
.
8
1
6
.
6
1
4
.
5
7
.
8
1
2
.
2
1
1
.
6
1
0
.
2
1
4
.
7
1
3
.
3
7
.
9
4
.
8
7
.
2
6
.
1
6
.
4
1
0
.
7
6
.
1
3
.
9
3
.
8
3
.
5
2
.
7
2
.
0
1
.
3
3
.
7
3
.
8
1
3
.
3
1
.
7
0
.
6
0
生自
活分
がの
犠時
牲間
にや
な家
る庭
合仕
業事
務が
が忙
でし
きく
なて
い組
事組
に合
支が
障忙
をし
きく
たて
す仕
で代
やわ
めり
らが
れい
なな
いい
の
に仕
つ事
いや
て職
い場
けの
な変
い化
感組
じ合
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なの
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に自
向分
いは
て役
い員
な・
い委
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が合
少員
なと
い接
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る
機
し今
て後
のの
将組
来合
が役
心員
配と
進今
・後
昇の
格仕
が事
心上
配の
昇
に組
疑合
問の
を方
感針
じや
る姿
勢
す他
る組
機合
会の
が役
少員
なと
い接
す役
る員
相の
手悩
がみ
いを
な相
い談
力組
を合
発活
揮動
での
き中
なで
い能
が組
よ合
く内
なの
い人
間
関
係
入考
れえ
らや
れ提
な案
いが
取
り
そ
の
他
はと
なく
いに
悩
み
や
不
満
無
回
答
合が譲っている>(「組合が経営に大幅に譲って
(3) 労働組合の影響力
-<組合が譲っている>が半数、
「労使対等」
いる」と「どちらかというと組合が譲っている」
を上回る-
の合計)が50.7%と半数を占め、
「労使はほぼ対
まず、組合員にとって労働組合が頼りになる
等だと思う」
(42.7%)を8ポイント上回ってい
組織になっているかを尋ねた結果をみると、<
る。なお、<経営が譲っている>は6.3%である。
頼りになっている>(「頼りになっている」と「ど
全体計と比べて、<組合が譲っている>がわず
ちらかといえば頼りになっている」の合計)は
かに多いが、ほぼ同様の結果といえる。学歴別
61.1%を占め、一方の<頼りになっていない>
では大卒以上、職種別では技術系で<組合が
(14.1%)を大きく上回っている。全体計と比
譲っている>が多くなっている。
べて<頼りになっている>割合はほぼ同じだが、
次に、組合が行う13の取り組みをあげ、それ
明確に「頼りになっている」と回答した割合は
ぞれの取り組みがどの程度影響力を持っている
11.4%と、全体計に比べて6ポイント少ない。
かを尋ねた結果をみることにする。<影響力が
男女別にみると、<頼りになっている>は女性
ある>(「大いに影響力がる」と「やや影響力が
が51.1%と男性(62.1%)を11ポイント下回っ
ある」の合計)は、
[賃金・一時金・退職金の維
ている。また、職種別では、営業・販売・サー
持、向上](88.6%)、[労働時間管理の適正化]
ビス系で<頼りになっていない>が24.2%と多
(84.2%)、[安全衛生やメンタルヘルス対策]
い。
(80.0%)、
[ボランティアなどの社会貢献活動]
また、今の労使関係の現状については、<組
(77.7%)、
[定年・継続雇用制度の設計・運用]
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-29-
(76.4%)、
[雇用の維持・確保]
(72.4%)、
[企
(14.0%)を6ポイント上回っており、
「被災地
業行動や経営に対するチェック]
(68.4%)等が
以外で支援活動に取り組んだ」と合計した<取
上位に挙げられている(第8図)。これらは、概
り組んだ>は47.6%と半数近くに及んでいる。
一方、[直雇用する非正規労働者の処遇改善]
ね全体計と共通する結果といえるが、電機連合
の場合、安全衛生・メンタルヘルス、ボランティ
(34.7%)は際立って比率が低く、全体計を大
ア、企業行動や経営チェックといった項目で全
きく下回っているほか、[雇用の維持・確保]
体計をやや上回っている。ボランティアに関連
(72.4%)、
[要員配置の適正化]
(38.5%)、
[教
して、東日本大震災後の支援活動への取り組み
育訓練や能力開発などの人材育成]
(38.3%)で
状況をみると、電機連合では「被災地に実際に
<影響力がある>が全体計に比べてやや少ない。
赴 い て 支 援 活 動 を し た 」 は 20.0 % と 全 体 計
第8図
組合の取り組みに対する労働組合の影響力
<影響力がある>割合
100
(%)
全体計
(N=1979)
90
電機連合計
(N=475)
80
70
60
50
40
8
6
.
7
8
8
.
6
8
0
.
8
8
4
.
2
7
9
.
5
7
6
.
4
7
8
.
2
7
2
.
4
30
7
4
.
6
8
0
.
0
7
2
.
7
7
5
.
4
7
1
.
1
7
7
.
7
6
2
.
5
6
8
.
4
6
2
.
4
6
1
.
3
20
10
5
3
.
2
3
4
.
7
4
9
.
6
5
0
.
3
4
7
.
9
3
8
.
5
4
4
.
7
3
8
.
3
0
職賃
金金
の・
維一
持時
・金
向・
上退
正労
化働
時
間
管
理
の
適
度定
の年
設・
計継
・続
運雇
用用
制
雇
用
の
維
持
・
確
保
ル安
ヘ全
ル衛
ス生
対や
策メ
ン
タ
立育
支児
援や
介
護
と
の
両
のボ
社ラ
会ン
貢テ
献ィ
活ア
動な
ど
対企
す業
る行
チ動
ェや
ッ経
ク営
に
平職
等場
のに
実お
現け
る
男
女
労直
働雇
者用
のす
処る
遇非
改正
善規
に国
対の
す政
る策
政決
治定
活な
動ど
要
員
配
置
の
適
正
化
発教
な育
ど訓
の練
人や
材能
育力
成開
るのだろうか。
(4) 労働組合のあり方
-[政策で政党との協力関係を持つべき]が
まず、活動の対象については、
[a:組合員の
56%-
雇用・労働条件確保の取り組みに専念すべきだ]
全体計の結果では、労働組合のあり方として、
に<賛成>は68.8%、
[b:未組織労働者のため
組合員重視、賃上げ中心を志向するユリオン
にも活動すべきだ]に<賛成>は12.4%と全体
リーダーが増加するなどの変化がみられたが、
計の結果と概ね変わらない(第4表)。
電機連合のユニオンリーダーの労働組合活動に
労働条件の改善については、
[a:労働条件改
対する意識は全体と比べてどのような位置にあ
善の取り組みは賃上げを中心にすべきだ]に<
-30-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
賛成>は36.6%と全体計を8ポイント下回って
支持・協力関係を維持するべきだ]に<賛成>
おり、その分[b:賃上げ以外の課題に重心を
(16.0%)は、全体計に比べて5ポイント少な
移すべきだ]
(25.7%)が多くなっている。
い。
女性参画については、
[女性枠を設けるなどし
他組合との連携については、
[a:企業別組合
て、女性役員の人数を増やすことを優先すべき
の枠を超えた横のつながりや連帯を重視すべき
だ]に<賛成>(22.7%)は、全体計とほぼ同
だ]は<賛成>が63.4%と、全体計をやや上回
率であるが、一方の[b:女性を男性と区別せ
る。この企業別組合間の連帯を重視する傾向は、
ずに組合役員にふさわしい人材に育てることを
女性や29歳以下のユニオンリーダーで強くなっ
優先すべきだ]に<賛成>は58.1%と、全体計
ている。一方、
[企業別組合の枠内での活動に専
を9ポイント上回っている。
念すべきだ]に<賛成>(9.3%)は、全体計と
また、電機連合の場合、
[b:特定政党にこだ
ほぼ変わらない。
組合運営については、
[組合運営にあたっては、
わらず、政策の中身に応じて、その都度支持・
協力関係を持つ政党を選ぶべきだ]に<賛成>
極力組合員の意見を吸い上げて反映するよう努
が56.0%と比率が高く、全体計を10ポイント上
力すべきだ]
に<賛成>が66.1%、
[組合運営は、
回っている。特に、34歳以下の若年層と大学院
執行部がリーダーシップを発揮して、組合員を
修了で<賛成>が6~7割と多数を占める。一
引っ張っていくべきだ]
に<賛成>が14.1%と、
方、
[政策制度の実現のためには、特定政党との
全体計の結果と同様となっている。
第4表
女性参画
a
b
を女 ど 育女
増性 ち て性
や枠 ら るを
すを と べ男
べ設 も き性
きけ い
と
女 え
区
な
性
別
い
役
せ
員
ず
政党との関係
a
b
維特 ど を政
持定 ち 持策
す政 ら つで
る党 と べ政
べと も き党
き協 い
と
力 え
協
な
関
力
い
係
関
を
係
他組合との連携
a
b
を企 ど 専企
重業 ち 念業
視の ら すの
す枠 と べ枠
べを も き内
き超 い
で
え え
の
な
た
活
い
連
動
帯
に
組合運営
a
b
い極 ど 張運
上力 ち
営
げ組 ら ては
と
い執
る合
べ員 も く行
きの い べ部
意 え きが
見 な
引
を い
吸
件
数
っ
労働条件の改善
a
b
中労 ど す賃
心働 ち べ上
に条 ら きげ
す件 と
以
べ改 も
外
き善 い
に
は え
重
賃 な
心
い
上
を
げ
移
っ
活動の対象
a
b
に組 ど も未
専合 ち 活組
念員 ら 動織
すの と す労
べ雇 も べ働
き用 い き者
労 え
の
働 な
た
い
条
め
件
に
労働組合のあり方
全体計
70.5 18.0 10.5 44.3 36.3 18.4 23.1 26.5 49.4 21.3 31.6 45.8 58.1 30.6 10.0 64.4 20.5 13.7 1979
電機連合計
68.8 18.5 12.4 36.6 37.3 25.7 22.7 18.7 58.1 16.0 26.9 56.0 63.4 26.5
9.3 66.1 18.7 14.1
475
いる。女性の場合、
「支持政党なし」が53.3%と
(5) 支持政党
-女性、若年層、大学院修了層で低い「民主
半数強に及び、
「民主党」支持は3割程度にとど
党」支持-
まっている。学歴別では、高卒では「民主党」
ここで、電機連合のユニオンリーダーの支持
支持が6割を占めるものの、電機連合のユニオ
政党をみておきたい。「民主党」支持(41.5%)
ンリーダーの特徴の1つである大学院修了層は、
と「支持政党なし」
(40.2%)がそれぞれ4割ず
「自民党」支持が3割近くを占め、
「民主党」支
つを占め、全体計と概ね共通した結果となった
持の割合と同率となっている。また、大学院修
(第5表)。ただし、電機連合の場合、
「自民党」
了を含め大卒以上の比率の高い29歳以下層でも
支持は15.4%と、全体計を5ポイント上回って
4分の1が「自民党」を支持している。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-31-
第5表
無
回
答
件
数
0.6 43.6
1.0
1979
維
新
の
党
公
明
党
共
産
党
社
民
党
そ
の
他
の
政
党
10.8 39.9
1.1
0.7
0.7
1.7
自
民
党
全体計
支持政党
民
主
党
支
持
政
党
な
し
15.4 41.5
1.1
1.1
0.2
・・・
0.2 40.2
0.4
475
性 男性
別 女性
16.0 42.6
1.2
0.5
0.2
・・・
0.2 38.8
0.5
430
8.9 31.1
・・・
6.7
・・・
・・・
・・・ 53.3
・・・
45
年 29歳以下
齢 30~34歳
別
35~39歳
25.3 28.9
・・・
2.4
1.2
・・・
1.2 41.0
・・・
83
電機連合計
40歳以上
学 高卒
歴 高専・専門・短大卒
別
大卒
大学院修了
17.7 31.2
2.1
1.4
・・・
・・・
・・・ 46.8
0.7
141
15.6 41.8
1.6
・・・
・・・
・・・
・・・ 40.2
0.8
122
6.3 60.3
・・・
0.8
・・・
・・・
・・・ 32.5
・・・
126
6.5 59.0
・・・
0.7
・・・
・・・
・・・ 33.8
・・・
139
18.2 40.9
・・・
2.3
・・・
・・・
・・・ 38.6
・・・
44
14.8 36.5
1.6
1.1
0.5
・・・
・・・ 44.4
1.1
189
27.2 27.2
1.9
1.0
・・・
・・・
1.0 41.7
・・・
103
5 ※下線数字は「全体計」より5ポイント以上少ないことを示す
5 ※薄い網かけ数字は「全体計」より5ポイント以上多いことを示す
# ※濃い網かけ数字は「全体計」より15ポイント以上多いことを示す
[裁量労働など、労働時間を自己管理し賃金
(6) 社会意識
-平等意識、格差意識は学歴により差-
は時間とかかわりなく支払われる労働者の範囲
全体計では、
[賃金等は成果や業績を基準にす
を拡大すべきだ]については、<賛成>が25.1%
べき]、[個人負担増でも社会保障を充実する]
と全体計をやや上回っており、学歴別では大卒
という考え方に<賛成>するユニオンリーダー
以上で3割前後、職種別では営業・販売・サー
が増えていることが確認できた。以下では、電
ビス系で42.4%と多くなっている。一方の<反
機連合のユニオンリーダーの社会意識をみてお
対>は39.8%である。
次に、社会のあり方に関する項目をみると、
こう(第6表)。
まず、働き方に関する項目をみると、
[賃金や
[結果として、貧富の差が生じたとしても、機
処遇は年齢や勤続年数に関係なく、もっぱら成
会の平等さえあれば公平だ]という考え方に<
果や業績を基準にすべきだ]に<賛成>は
賛成>の割合が37.3%と全体計を6ポイント上
47.6%と半数近くを占め、全体計を6ポイント
回っている。<賛成>は学歴間で差が大きく、
上回っている。なかでも、34歳以下の若年層、
高卒が2割弱なのに対し、大卒以上では4~5
大卒以上、技術系、営業・販売・サービス系な
割を占めている。一方、<反対>は29.7%と全
どで<賛成>が多い。一方、<反対>は18.9%
体計をわずかに下回る。
[所得の再分配を通じて、格差をより小さく
である。
次に、
[雇用が不安定になっても転職しやすい
することが重要だ]という考え方に対しては、
社会をめざすべきだ]については、<賛成>が
<賛成>が30.5%と全体計に比べてやや少なく、
26.5%、<反対>が41.7%と全体計と概ね共通
その分<反対>(24.2%)が多くなっている。
している。
学歴別でみると、高卒では<反対>は1割に満
-32-
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
たないが、大卒以上では3割を占めている。
[正規労働者は自らの雇用や処遇を見直して
また、
[税などの個人負担を増やしてでも社会
でも、非正規労働者の雇用確保や処遇改善に取
保障を充実すべきだ]は、<賛成>35.6%、<
り組むべきだ]に<賛成>は17.1%、<反対>
反対>26.3%と全体計の結果と共通しており、
は30.7%と、電機連合の方が<賛成>がわずか
大学院修了の高学歴層で個人負担増を肯定する
に少ないものの、全体計とほとんど変わらない
割合がやや多いものの、学歴や職種間で目立っ
結果となっている。
た違いはみられない。
第6表
社会のあり方や働き方などについて
全体計
非正規の雇用確
保等に取り組む
べき
賛 など 反
成 いち 対
ら
と
も
い
え
20.5 48.2 29.5
1979
電機連合計
47.6 32.8 18.9 26.5 31.4 41.7 25.1 34.3 39.8 37.3 32.6 29.7 30.5 44.4 24.2 35.6 37.5 26.3 17.1 50.7 30.7
475
学 高卒
37.4 37.4 25.2 21.6 31.7 46.8 15.8 41.0 43.2 17.3 43.2 39.6 36.0 54.7 9.4 32.4 42.4 25.2 15.1 57.6 25.9
歴
47.7 34.1 18.2 27.3 25.0 47.7 20.5 31.8 47.7 40.9 27.3 31.8 31.8 40.9 27.3 34.1 38.6 27.3 13.6 56.8 27.3
高専・専門・短大
別
卒
大卒
51.3 29.1 18.5 28.6 32.3 38.1 29.6 32.3 36.5 48.7 27.0 23.3 27.5 41.3 30.2 35.4 38.6 24.9 15.9 47.1 35.4
139
大学院修了
貧富が生じても
機会が平等なら
公平
賛 など 反
成 いち 対
ら
と
も
い
え
31.3 34.8 32.5
所得再分配で格
差を小さくすべ
き
賛 など 反
成 いち 対
ら
と
も
い
え
35.5 43.4 19.4
賃金等は成果や 転職しやすい社 裁量労働などの
業績を基準にす 会をめざすべき 範囲を拡大すべ
き
べき賃金処遇
賛 など 反
賛 など 反
賛 など 反
成 いち 対
成 いち 対
成 いち 対
ら
ら
ら
と
と
と
も
も
も
い
い
い
え
え
え
41.2 35.1 22.6 25.1 34.2 39.5 20.6 38.7 39.2
個人負担増でも
社会保障を充実
する
賛 など 反
成 いち 対
ら
と
も
い
え
35.2 38.5 24.8
件
数
54.4 33.0 11.7 29.1 32.0 38.8 31.1 30.1 37.9 41.7 31.1 27.2 28.2 37.9 32.0 40.8 28.2 30.1 23.3 45.6 30.1
おわりに
44
189
103
残業をしている人が多い」といった回答が多い
ことが示すように、残業時間を含めた労働時間
以上のように、電機連合の結果をみると、他
の長さもその背景の1つではないだろうか。
の組織と同様に、充実感を持って組合活動に従
また、電機連合のユニオンリーダーの特徴で
事しているユニオンリーダーが多いことがうか
ある大学院修了を含めた高学歴層は、労働組合
がえる。他方で、組合活動による“仕事”への
運動や社会に対する意識において、一部に特徴
影響に悩みを抱える割合が相対的に多いという
的な面が見られている。高学歴化が進むユニオ
特徴もみられている。これは、電機産業を取り
ンリーダーの意識の変化については、今後も注
巻く環境変化の大きさとともに、
「就業時間後も
視していく必要があるといえるだろう。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)
-33-
Industrie4.0が雇用に及ぼす影響
グローバル産業雇用総合研究所所長
2015年は、新しい産業革命=“Industrie4.0”の幕
開けの年である。
「インダストリー4.0」というドイ
ツ生まれのこの言葉、日本では「第四次産業革命」
と訳されるが、そこには史上4回目の産業革命が世
界で始まっているという意味が込められている。
第一次の産業革命は、言うまでもなく1770年代の
イギリスで起った石炭と蒸気機関を活用した産業革
命である。また第二次は、20世紀の初頭にアメリカ
の自動車産業の「T型フォード」の製造工場で、電
気エネルギーとベルトコンベアーを駆使した大量生
産方式による産業革命、さらに第三次は1980年代に
日本が主導したコンピューターとロボット技術を駆
使した工場のマイクロエレクトロニクス(ME)革命
と呼ばれた産業革命だという。
そして現在、IoT (Internet of Things)、すなわち
コンピューター制御の自動化機械やロボットで装備
した工場生産ラインに加えて流通販売市場、さらに
は消費者のビックデータを駆使した情報を、企業や
国を越えた世界的規模のインターネットですべての
モノとヒトを繋ぐ究極の生産・社会システムの時代
に入りつつあり、これを第四次産業革命と呼ぶ。
この先陣を切ったのはドイツ。ドイツ政府は、産・
官・学で2011年から国家戦略として新たな技術政策
をIndustrie4.0にむけ邁進している。
情報大国アメリカも、電機の巨人・GEが同社の
製品の稼働データを収集・分析し、顧客企業に対し
て効率的な運用を支援するサービスを提供、さらに
シスコ、インテルと連携してインダストリアル・イ
ンターネットのOSのビジネス化をめざして日本の
中小・ベンチャー企業にM&Aの触手を延ばしてい
る。
さらにGDP大国・中国は、GDPがアメリカを凌
駕する2040年代に狙いを定め、まず製造業の高度化
をめざす行動計画「中国製造2025」でIT技術の活用
を図り、35年までに米国やドイツ、日本など世界の
「製造大国」の仲間入りを果たし、さらに建国100
年に当たる2049年には総合力で世界のトップ級の
「製造強国」になることを目標としている。
そこで日本は、安倍内閣が成長戦略の第三弾「日
本再興戦略2015」を閣議決定した。アベノミクスも
3年になろうとしているが、日本経済の潜在成長力
は未だ1%以下に止まり、今度の成長戦略はかかる
-34-
小林
良暢
難題を突破するはずだったが、やや期待外れの内容
に止まった。それでも、
「第四の産業革命」が盛り込
まれたことは目を引く。曰く、迫り来る変革への挑
戦に手をこまねいていると、
「企業や産業が短期間の
うちに競争力を失う事態や、高い付加価値を生んで
きた熟練人材の知識・技能があっという間に陳腐化
する」と危機感を顕わにし、IoT・ビッグデータ・
人工知能など分野を徹底的に推進していくとする。
日本経済新聞の調べによると、今年度の企業の研究
開発費投資は過去最高になる。先行投資分野はロ
ボット、人工知能、センサー、ナノテクなど電機・
電子産業がリードする。
2050年がゴールになるであろう“Industrie4.0世
界ダービー”
、
現段階では本命アメリカ、
対抗ドイツ、
穴は中国で、日本は無印だ。だが、穴狙いの筆者の
予想は、本命は「◎インド」
、対抗は「○アメリカ」
だ。我が日本は、産業用ロボットやセンサー技術、
電子部品などで世界に誇る技術を誇りながら、IoT
のような統合システムで後れを取っているのでドイ
ツ、中国と3着入線を争う。
第四次産業革命の渦はあらゆる国と企業を巻き込
み社会構成を根底から覆すが、
“Industrie4.0”のも
たらす雇用・労働への影響が最大の問題である。
第一次産業革命のイギリスに例をとれば、ルンペ
ン・プロレタリアートを生み出し、その搾取から保
護するために国家が工場法を制定したが、どうにか
労働基本権を確立したのは1874年、産業革命の開始
から100年を経ってからだった。
第二次産業革命のア
メリカでは、チャップリンが映画「モダンタイムス」
で痛烈に批判した単純労働者を生み出すが、それで
も近代工業では次第に熟練労働者を長期安定雇用に
するよう前進する。第三次産業革命の日本では、ME
化で熟練技能を低労働コストの多様な労働力にシフ
トする時代の端緒を開いた。そして、今始まる第四
次産業革命は、第三次までの文脈から、多様な働き
方と柔軟な雇用スタイルが広範になろうが、正規と
非正規、男性と女性、総合職と一般職、さらに人種
差別など、かかる雇用分断によるヒエラルキー構造
を止揚することが重要である。
※このコラムの執筆は今号で終了します。ミレニア
ム2000年から15年、
長い間ありがとうございました。
電機連合NAVI №56(2015年夏号)