錦秀会 医療・福祉フォーラム ―抄録集

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や
やさ
さし
しく
く生
生命
命を
をま
まも
もる
る
第 12 回
錦秀会
医療・福祉フォーラム
―抄録集―
平成25 年11月16 日(土)
13:00~
阪和記念会館講堂
花菖蒲は、古来より日本人の美意識を感じさせる花として愛されています。
花言葉は『やさしい心・あなたを信じる・幸せを知らせてくれる』です。
目次
一般演題A
1.ポジショニングの重要性と工夫
~阪和第二病院-Style~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
阪和第二病院 リハビリテーション部
2.
当院作業療法プログラムにおける動物介在療法の導入と治療的効果について
~意志質問紙(VQ)、コミュニケーションと交流技能評価(ACIS)を用いて~
・・・・・・・・・・・・・・2
阪本病院 作業療法室
3.慢性期の気管切開術後患者に対する経口摂取の取り組み
―切開孔閉鎖もしくは適切なカニューレの選択と並行したリハビリ介入がカギ―
・・・・・・・・・・・・・・3
阪和第二泉北病院 リハビリテーション部
4.『伝えること』・『伝わること』
~より確実な伝達方法の検討~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
阪和病院 リハビリテーション部
一般演題B
5.在宅復帰に向けて
-事例を通じて感じたこと-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
錦秀苑 看護部
6.退院支援の先に目指すもの
医療法人錦秀会
~44 人のバトン~
・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
医療社会福祉部
7.集団 SST による自己効力感と意欲向上の有効性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
神出病院 看護部A3病棟
8.「日常生活の援助」~病床の作り方~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
准看護学院 准看教務室
9. 阪和第二泉北病院で一緒に働きませんか!~イメージDVDで看護部PR~
・・・・・・・・・・・・・・・11
阪和第二泉北病院 看護部
一般演題C
10.「あ~
めんどくさい」
~水のはね返りの検証を通して~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
阪和住吉総合病院 手術中央材料室
11.
我ら 夜勤応援隊
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
阪和記念病院 看護部主任会
12. 精神科閉鎖病棟における感染性胃腸炎集団発生からの学びと、認知向上を目指した教育
・・・・・・・・・14
新いずみ病院 院内感染防止対策委員会
特別講演
「厚生行政の裏話と日本の医療政策」
奈良県立医科大学 健康政策医学講座
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
教授
今村
知明
先生
一般演題D
13.
ウルルン
マウス
ケア~口腔内を短時間で綺麗に~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
阪和第二住吉病院 看護部
14.
便秘ですか?飲むなら今でしょ!!-オリゴ糖導入の試み-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
雅秀苑 看護部
15.
阪和第一泉北病院のチーム医療の取り組み~NST で高齢者の栄養状態改善をめざして~
・・・・・・・・・19
阪和第一泉北病院 NST 委員会
特別報告
「錦秀会グループ看護部教育体制の取り組み」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
錦秀会グループ副部長会
錦秀会看護部
一般演題A
座長
海瀬一也(阪和記念病院
1.ポジショニングの重要性と工夫
リハビリテーション部課長)
~阪和第二病院-Style~
阪和第二病院 リハビリテーション部
○古藤太一、杉田聡人、褥瘡委員会
1、はじめに
皆様の職場で必ずと言って良いほど行われているポジショニングですが、絶対に正しいポジシ
ョニングだと言えますか?また、全患者様に適応できるポジショニングってあると思います
か?当院では患者様それぞれには個々の理由があり、難しいという考えに至りました。そこで、
三角枕を作成することで、個々に合ったポジショニングが可能となり、更にコスト削減にも繋
がると考え、実施したのでここに報告します。
2、三角枕
・使用用具
病院在庫物:テープ・滑り止めシート・接着剤・不要マットレス
購入した物:のこぎり・プチプチ
・作成方法
マットレスを切り、プチプチを二重に巻き、ビニールテープで固定し、裏面に滑り止めシー
トを貼る。
・枕の種類
・30 度三角枕
:医学的にベストとされている角度
・15 度三角枕
:市販の三角枕に多い角度
・15 度ワニさん三角枕:当院独自の発想により作成した枕
3、症例紹介
<A氏>
年齢:76歳、性別:女性
脳疾患による、左半側空間無視を有する患者様です。
当初は左への恐怖心などもあり、ビーズクッションではすぐに外れ、ほとんど左への体交が行
えない患者様でした。この方に、30 度三角枕を使用したことにより約二か月で頸部の左回旋が
行えるようになりました。また、左への恐怖心もとれ、容易に左側臥位となることができるよ
うになりました。
更に食事では、頸部の正中位保持が可能になったことで、食べこぼしの量が 3 割から1割へと
減少しました。
<B氏>
年齢:85歳、性別:女性
胸椎7~9番にわたり約3×7cmの褥瘡がありました。この方にワニさん三角枕を用いたポ
ジショニングを3か月行いました。すると3か月で1.5×3cm も褥瘡が小さくなりました。
また、処置方法や栄養状態にほとんど変化は見られない為、純粋にワニさん三角枕による効果
-1-
であると考えます。
4、その他の取り組み
・ピロー(不要掛布団)
・手指用水手袋(手指拘縮改善ウォータークッション)
5、まとめ
・安価で身近な物でも、工夫することで体交枕やクッションとして十分に使用することができ
る。
・クッションを作成することで、患者様の疾患、体型、状態に合わせて適応させることができ
る。
・一人一人の患者様のポジショニングを病棟にて統一することができる。
・ポジショニングにより、治療アプローチに繋げることができる。
6、今後の課題
・車椅子乗車時に見られる、体幹の崩れに対するクッションの作成や足台の作成。
・リクライニング車椅子乗車時の体幹の崩れに対するクッションや頭部安定用の枕の作成。
・上肢や下肢に強い拘縮を有する患者様に合わせたクッションの作成。
7、最後に
この発表を聞いてくださった皆様の中に一人でも「うちのあの患者様にこの体交枕使ってみた
いなぁ」「使ったらよくなるんじゃないかなぁ」等の気持ちになって頂ければ幸いです。
2. 当院作業療法プログラムにおける動物介在療法の導入と治療的効果について
~意志質問紙(VQ)、コミュニケーションと交流技能評価(ACIS)を用いて~
阪本病院 作業療法室
○ 西 崎 尚 子 1) , 赤 松 千 嘉 2) , 山 足 彩 穂 1) , 吉 田 文 3) , 安 国 宣 子 4), 山 本 修 一 1)
1)阪本病院 作業療法室,作業療法士 2)阪本病院 デイケアセンター,作業療法士
3)大阪保健医療大学,作業療法士 4)JAHA(日本動物病院福祉協会),インストラクター
【はじめに】
当院では数年前から治療環境に自然を取り入れるため、ガーデニングや動物飼育を積極的に行っ
ている。その一環で当院の作業療法プログラムに犬を用いた動物介在療法(以下 AAT)を平成 24 年
10 月より財団法人阪本精神病理学研究所による助成を受けて導入した。AAT とはリハビリテーショ
ンや治療支援活動として用いられ、一定の訓練を受けて基準を満たしたハンドラーと動物が、治療
上の目的・計画の設定、実施、評価を専門家の指示のもとに実施する活動のことである。当院で AAT
を導入するために、日本動物病院福祉協会(以下 JAHA)へ協力を依頼し、飼育・トレーニング・リ
スク管理・環境調整などの指導を受けた上で JAHA より派遣されたボランティアスタッフとセラピー
犬と共に実施する運びとなった。今回、AAT に参加した各グループ9名に対して観察評価を行った
ところ、メンバーにおける変化が見られたため下記に報告する。
【対象と方法】
AAT グループ①:当院入院中で言語的疎通は可能だが自発性に乏しく、自らコミュニケーション
をとる機会が少ない患者などから選出した。週1回作業療法室にて、ふれ合い活動や犬の世話、ト
-2-
レーニングを中心に実施した。評価尺度として平成 24 年 10 月~平成 25 年 3 月までに参加した 9 名
に対し、人間作業モデルにおける意志質問紙(以下 VQ)とコミュニケーションと交流技能評価(以
下 ACIS)を用いて初回・最終評価を比較検討した。AAT グループ②:自閉的で活動性が乏しい患者、
幻聴や妄想、気分変動など精神症状が活発で他のプログラムに参加が困難な患者、身体機能におい
て介助が必要な患者ら9名を対象とした。内容はふれ合い活動やトレーニング、犬の芸の披露など
を中心に実施し、期間・評価尺度はグループ①と同様とした。
VQ とは認知や言語能力に制限を持つ人、またはその集団の観察を通し、意志の構成要素を評価する
ために作成されたものである。ACIS とは人々がある作業の中で他の人々とコミュニケーションや交
流を行う際に、観察によって実際に示す技能に関するデータを収集する評価法である。
【結果】
AAT グループ①:VQ 初回平均 39.1 点、最終平均 42.1 点で 3 点の上昇がみられ、ACIS 初回平均 63.2
点、最終平均 66.8 点で 3.6 点上昇した。開始当初は犬を膝に抱いて撫でる、犬へ声をかけるなど、
Pt.と犬との関係が中心であった。回を重ねるうちに他 Pt.との道具のやり取りや、協力して世話や
トレーニングを行うなど、犬を介した人と人とのつながりへと発展がみられ
た。メンバーの中には犬の世話の方法を他 Pt.へ伝える場面や、代表して犬のトレーニングを披露
するなどの変化がみられていた。AAT グループ②:VQ 初回平均 26 点、最終平均 30.6 点で 4.6 点の
上昇がみられ、ACIS 初回平均 40.8 点、最終平均 47.7 点で 6.9 点上昇した。グループの中では、妄
想的な発言や不安に対する訴えの軽減、犬との関わりの中でこれまでにない身体的な動きが出る場
面などが見受けられた。
【考察】
AAT に参加したメンバーの多くは過去に犬を飼っていた、または現在も自宅で飼っているという
者が多く、新しいグループに対して抵抗なく参加出来たこと、犬を通して癒される体験、可愛らし
さや毛の柔らかさ、暖かみなど五感へと働きかけられる場であったことなどが上記の結果につなが
ったと考えられる。また、犬の世話やトレーニングなどを段階づけることで課題や役割が明確とな
ったことも、「やってあげたい」「自分もできるかもしれない」などの意志が働き、結果として VQ・
ACIS に変化がみられたのではないだろうか。医療機関で行うためには、リスク管理や環境調整、ス
タッフ間の連携や協力などが必要不可欠となるが、有効的な作業療法プログラムとして継続したい
と考えている。最後に AAT を実施する上で、ご協力いただいている多くのスタッフに感謝の意を表
したい。
3.慢性期の気管切開術後患者に対する経口摂取の取り組み
―切開孔閉鎖もしくは適切なカニューレの選択と並行したリハビリ介入がカギ―
阪和第二泉北病院 リハビリテーション部
○西 祐城、十河 正恵、山川 美佐、金尾 夏紀、飯高 朝香、鹿島 千恵、髙木 卓司、山口 真人、
山本 佳弘、廣畑 健、
はじめに
気管切開術後においては、気管切開および気管カニューレ挿入の影響により嚥下機能が低下し、
経口摂取が難しくなることがある。今回、医療療養病床に入院中のカフ付きカニューレ挿入中の経
-3-
管栄養患者2例に対し、嚥下機能の改善を目的としたリハビリテーションを行うと同時に、気管切
開孔の閉鎖もしくは適切な気管カニューレへの変更を行ったことで経口摂取が可能となった。以下、
経過について報告する。
症例
既往歴
症例A 8 0 歳代 男性
症例B 8 0 歳代 男性
脳梗塞(左視床)
脳出血(右被殻)
声帯浮腫
喉頭炎
喉頭癌放射線治療後
合併症
糖尿病
慢性心不全
現病歴
呼吸困難が出現しA病院に入院。翌日脳梗塞、肺炎を発症し、人
工呼吸による呼吸管理となる。レベルは改善されず、発症15日
目に気管切開術を施行する。その後、人工呼吸器を離脱し、発
症から3.5カ月目に当院に転入。リハビリ(PT,ST)が開始となる。
呼吸困難が出現し、B病院に入院。喉頭炎、声帯浮腫と診
断され、気管切開を施行。嚥下障害を認め、胃瘻からの経
管栄養となる。発症から3カ月目に当院に転入。リハビリ
(ST)が開始となる。
障害名
嚥下障害
嚥下障害
音声障害
備考
右片麻痺(Brunnstrom Stage 上肢Ⅲ 下肢Ⅲ 手指Ⅲ)
dysarthria(痙性)
失語症(運動性・最重度)
口腔顔面失行
観念運動失行
喉頭癌の放射線治療は6年前
B病院でのリハビリでは大きな改善が得られていなかった。
初期評価( 3 .5 ヵ月) 中間評価( 4 .5 ヵ月) 最終評価( 6 ヵ月) 初期評価( 3 ヵ月)
最終評価( 6 ヵ月)
カフ付スピーチカニューレ
気管カニュー レ カフ付カニューレ
ボタン型カニューレ 気管切開孔の閉鎖
ボタン型カニューレ
複管タイプ
食事
基本動作
ADL
経管栄養(胃瘻)
経管栄養(胃瘻)
ミキサー食 全粥
端坐位 一部介助
その他 全介助
寝返り・起き上がり・ 寝返り・起き上がり
端坐位 一部介助
一部介助
その他 全介助
端坐位 見守り
その他 全介助
全介助
全介助
食事 一部介助
その他 全介助
PT
座位姿勢の調整
移乗動作の反復練習
リハビ リ内容
経管栄養(胃瘻)
三分菜 全粥
自立
自立
自立
自立
ST
リラクセーション
立位姿勢・座位姿勢の調整
呼吸発声練習
舌、喉頭の運動
アイスマッサージ
直接的嚥下練習
ST
リラクセーション
寝返り動作・起き上がり動作練習
座位姿勢の調整
メンデルゾーン手技
まとめ
今回、気管切開術後において、気管切開および気管カニューレ挿入の影響により低下していた嚥
下機能は、リハビリテーションの施行と気管切開孔の閉鎖、またはボタン式カニューレへの変更に
より改善を認めた。気管切開孔の閉鎖や気管カニューレの変更は、気管切開や気管カニューレの影
響により低下した嚥下機能の改善に非常に効果的な手段であると考えるが、生命の維持に関わる
様々なリスクを伴うものである。そのため、気管切開孔の閉鎖や気管カニューレの変更を行うには、
医師をはじめ、看護師、療法士といった症例を取り巻くチームメンバーの理解や協力が必要不可欠
となる。
慢性期において、気管切開および気管カニューレの必要性が継続している症例はもちろん多く存
在する。他方、その必要性が変化し、再検討の余地のある症例も確かに存在している。今回の症例
は後者に当てはまる事例であり、適切な働きかけを行えたことにより経口摂取という大きな成果が
得られたと考える。
-4-
4.『伝えること』・『伝わること』
~より確実な伝達方法の検討~
阪和病院 リハビリテーション部
○佐々木 裕美 柴坂 大樹
藤倉 英雄 西川 知佐
野村 奈保 矢部 奈津美 吉井 美紀
御野 仁孝 坂元 敦 福岡 佑紀
栁 宏司 隅野 友紀 村田 彩
<はじめに>
当院のリハビリテーション部では、役割の一つとして担当患者様や病棟からの依頼があった患者様
に対する介助方法やポジショニング等の助言や指導を行っている。しかし、伝達内容が上手く伝わ
っておらずその後の実施内容との相違が見られる事がしばしばある。伝達方法の問題として、病棟
スタッフ間の申し送り方法に配慮していない一方的な伝達となっているのではないかと考えた。そ
こで今回、我々はリハビリと病棟スタッフ間で密な情報共有を行い、現状に合わせた伝達方法を検
討した。それらの取り組みについて報告する。
<方法・経過>
H24/12 /13~15:現状分析
アンケート①(病棟のニーズ、リハビリからの伝達について)実施
H25/5/25~
:伝達方法Ⅰ
リハビリ伝達ノート使用開始
H25/7/6~8
:状況追跡
アンケート②(リハビリ伝達ノートについて)実施
H25/7/19~
:伝達方法Ⅱ
チェックシート使用開始 ベッドサイドでの写真の掲示は継続
ベッドサイドに写真の掲示
<結果・まとめ>
アンケート①より、病棟のニーズは拘縮・浮腫・褥瘡に対するポジショニングや食事姿勢に関す
るものが多かった。また、リハビリからの伝達後、ノートを使用して申し送りを行っていたにも関
わらず、「情報の共有が難しい」ことがわかった。原因として、通常のノートを使用した方法では、
活字で申し送るため、リハビリから伝達を受けた人とそうでない人との間に理解度の差が生じるの
ではないかと考えた。
そこで、伝達方法Ⅰとして従来のシステムである伝達用のノートを病棟とリハビリが
協働作成し経過観察した。また、ノートの中にはニーズが多い項目に対するポジショニ
ング方法の提示をした。これにより対象患者様だけでなく他の患者様にも対応するため
のツールとした。その後、アンケート②を行ったところ伝達内容が分かりやすくなった
という意見があった。一方で「ノートを見る習慣がなく、コメントを記入することが難
しい」という意見も出た。これは伝達ノートには個人情報を含むものがあり、詰所に設
置せざるを得ないという背景があったためと考えた。そこで伝達方法Ⅱとしてベッドサ
イドでも容易に確認が可能なチェックシートを伝達ノートとは別に作成し、普段病棟ス
タッフが日常業務で使用しているチェックシートに近い形で設置した。すると「確認が
容易になった」との声が寄せられ、伝達内容の再現性が格段に向上した。
このように従来の病棟システムに寄り添った伝達を行うことで、以前よりも情報の共
有が容易になった。
またこの取り組みを通して病棟スタッフとリハビリスタッフが意見交換をする機会が
増え、連携が深まるとともに職員の働き甲斐へと繫がった。今後も「やさしく生命を守
る」の理念の下でこうした取り組みを続け患者様へのよりよいサービスの提供を行って
いきたい。
-5-
一般演題B
5.在宅復帰に向けて
座長 古川
真裕(阪和病院 医療社会福祉部課長)
-事例を通じて感じたこと-
錦秀苑 看護部
○岩倉 佑介、鹿毛 沙織、湯田
節子
1、はじめに
年々高齢化社会となりますます介護が必要な高齢者が増え、それに伴い介護する人の負担も多く
なってきた。当錦秀苑でも病院や自宅から入所されている。錦秀苑の役割の一つとして在宅復帰支
援がある。施設ケアマネージャーは入所すぐにご本様やご家族様からご意向を伺い1人1人にケア
プランを作成し、それぞれの職種がケアプランを元にサービスを提供している。また、定期的なケ
アカンファレンスの中で今後の方向性を検討している。
今回、在宅復帰を希望された2人の入所者様への在宅復帰に向けての取り組みと経過、在宅復帰
をするために大切なことを報告する。
2、事例紹介
(1)事例1
Aさん 77歳
女性
入所時 要介護度4
入所期間 平成24年1月13日~9月29日
既往歴
腰椎圧迫骨折
1)入所までの経過
在宅生活を送っていたが、平成 23 年 6 月末に左下肢脱力と歩行障害あり受診、腰椎圧迫骨折と診
断され、腰椎開窓ヘルニア摘出術を施行される。入院中、車椅子を押しながら歩行可能となってい
たが、膝痛、腰痛があり車椅子中心の生活が主となったため再度リハビリ目的にて入所となる。
2)入所時のご意向
ご本人より、リハビリをしっかりとして体力をつけて歩けるようになって家に帰りたい。
ご家族様からは、本人は直接帰りたいと言っていたのですが、身体のことが心配で苑にこさせてい
ただきました。元気になって本人の思う生活をまた送らせてあげたい。
3)経過と結果
ご本人やご家族様のご意向をもとに、在宅復帰にむけてのケアプランを作成しリハビリ訓練を主
とした生活を送られた。徐々に下肢筋力が向上したため、フロアーでも杖使用の歩行練習を実施し
た。その結果、歩行状態も安定したため在宅復帰に向けて、退所前訪問をおこない居宅のケアマネ
ージャーとともに調整し自宅へ退所された。
(2)事例Ⅱ
Bさん 88歳 女性 単身者
入所時 要介護度5
入所期間 平成 24 年 11 月 30 日から現在入所中
既往歴 腎盂腎炎、C型肝炎、慢性腎不全
1)入所までの経過
独居で在宅生活されていたが平成 24 年 10 月中旬にトイレで起立困難となる。翌日ヘルパー訪問
時に発見、救急搬送される。脱水、腎盂腎炎と診断され入院となる。入院中、神経因性膀胱にてバ
-6-
ルンカテーテル留置、仙骨部褥瘡、食欲不振あり。徐々に状態は改善するがすぐの在宅生活には不
安あり入所となる。
2)入所時のご意向
ご本人より、すぐにでも自宅復帰したい。
3)経過と結果
入所前から食事摂取量が少なく栄養補助食品等で対応していた。徐々に食事量も増えご本人が強
く希望していた在宅復帰への支援を行う。入所後に自宅を訪問し施設スタッフと居宅ケアマネージ
ャー・かかりつけ医と検討した結果、独居でありバルンカテーテル留置中、金銭管理など社会的要
因にて在宅生活は困難であると判断された。現在特別養護老人ホームの入所待ちである。
3、考察
錦秀苑では、平成 24 年 1 年間の退所先は、病院 77 名(40.1%)・介護施設 76 名(39.6%)・在
宅 39 名(20.1%)である。退所先に病院が多い理由としては状態悪化により治療の必要性が生じ入
院となる場合と頻回な吸引・持続的な点滴など施設での対応が困難となった場合がある。次に多い
介護施設への退所はもともと入所時より施設入所の継続を希望されておられ特別養護老人ホームや
介護老人保健施設へ移られる。在宅復帰が少ないのは入所時には在宅復帰を考えていても入所中に
ご本人の状態が向上しない、住宅環境・介護者の状況、在宅サービス等本人を取り巻く環境の調整
がうまくできないなどが考えられ、在宅復帰を増やすにはご本人の状態だけでなく総合的に考える
必要がある。
4、まとめ
在宅復帰をされたケースは全体の約 2 割でしかない。今回、在宅復帰に強い希望をもっていた 2
人のうちAさんは、ご本人がリハビリやフロアーでの歩行練習も意欲的でありご家族様も協力的で
あった。また、退所前訪問をおこない在宅生活が維持できるように住宅環境を整えることができた
のも在宅復帰可能となった要因である。Bさんも在宅復帰への思いは強かったが、信頼しているか
かりつけ医から在宅復帰をしても独居であり、バルンカテーテル留置中など在宅生活をしていく上
で困難であると説明を受け断念された。
2つの事例から、在宅復帰を実現するためにはご本人の意欲や日常生活動作の程度だけではなく
家族や居宅ケアマネージャーのサポート、住宅環境、在宅サービスの内容等ご本人を支えていく周
囲の人々の思いと適切な受け皿の調整が大切であると改めて考えさせられた。
6.退院支援の先に目指すもの
医療法人錦秀会
~44 人のバトン~
医療社会福祉部
○井上 茂、細見 恵里、横山 肇、森本 直美、中山 真理子、秋丸 勝彦、宮井 由貴、
吉田 育弘、住田 奈央、船ヶ山 珠美、小西
美香
[はじめに]
医療法人錦秀会(以下“錦秀会”と表記)の医療社会福祉部には 44 名の医療ソーシャルワーカー
や支援相談員(以下、医療ソーシャルワーカーと支援相談員の両方を含めて“MSW”と表記)が
-7-
在籍しており、全ての病院・施設(以下病院と施設を含め“施設”と表記)に配置されている。そ
して患者・家族に対して退院支援をはじめ経済的問題や療養上の不安等への解決に向けた相談援助
を行っている。全ての施設に在籍しているという事は、各所属機関で相談援助を行っているという
事だけでなく、連携を行う上でも重要な役割を担っていると考える。今回はそうした相談援助の専
門職であるMSWが、錦秀会内で連携する事によって生まれる効果やその重要性について、主な連
携場面である退院支援を通じて発表していきたい。
[退院支援に見るMSWの専門性と、MSWの連携がもたらす効果]
MSWは所属機関が異なっても「患者・家族に安心してもらいたい」「一緒に問題解決が出来る
よう考えたい」などの共通した“思い”を持って対応しており、その思いがMSWの『価値』であ
る。その価値を基に、「インテーク→情報収集→アセスメント→援助計画の策定→介入→評価→終
結(退院)」といった退院支援のプロセスの中、面接技法等の『技術』を用いて施設や福祉サービ
ス等の社会資源や、施設の受け入れ要件や制度利用に必要な情報等の『知識』を活用する。そうし
た支援を行う事で、入院という大きな出来事によって生まれる患者・家族の不安や問題を解消し、
安心感や満足感を提供する。その結果としてスムーズな退院調整が可能となり、在院日数の短縮や
稼働率の向上という形で錦秀会への貢献も実現できる。
錦秀会には急性期・慢性期・施設・在宅といった幅広い社会資源が揃っており、それらに在籍し
ている共通の価値を持ったMSWが連携する事で、先に述べた結果がより効果的となる。また各施
設の待機状況を把握しつつ援助を行う事で、無駄のない施設稼働への貢献や、必要な情報の交換に
よって、確かな情報に基づいた相談援助を行う事もできる。さらにどこの施設においても患者・家
族のニーズに応じた相談援助を継続でき、一般病院から療養型病院へ、そしてそこから介護保険施
設へ入所し、最終的には自宅生活に戻るといった、錦秀会内、さらにはグループ全体での大きな流
れの退院支援を行う事も可能となる。
[まとめ]
錦秀会 44 人のMSWが手を取り、切れ目の無い支援を継続して行い、錦秀会全体で患者・家族を
支える事で、より大きな安心感や満足感を提供する事ができる。またそれは錦秀会というブランド
力を高める要因にもなると考える。
7.集団 SST による自己効力感と意欲向上の有効性
神出病院 看護部A3病棟
○田村悦子
Ⅰはじめに
SST(social
skills
training、社会生活技能訓練)(以下 SST)は生活の質をより良くするた
めに必要な社会的、対人的技術を練習し、習得していくことを目的としている。A 氏は集団 SST に
参加することで、日常生活の意欲低下の状態から意欲的へと言動の変化がみられたため、この過程
を明らかにすることを研究目的とし、報告する。
-8-
Ⅱ
事例紹介
A氏、60 歳代女性、主病名はアルコール関連性障害。60 歳代で当病院に入院する。入院後、意欲
低下、無為、自閉、無関心が強い状態で療養病棟にて過ごしている。入院前は内縁の夫と同居して
いた。
Ⅲ
看護の実際および経過
1.集団 SST 参加1~8回目の状況
参加には消極的である。参加中、他患の意見を集中して聞き、時間中座って過ごすことができて
いる。自ら発言しないが、意見を求められると「パス」と答えることはできる。表情は無表情のま
まである
2.集団 SST 参加9回目での一場面
「誘う」というテーマのエピソードの場面設定が男性が好きな女性をデートに誘うという内容に
決まった。これまでになく、大多数が身を乗り出すように意見を出し合い、配役を募ると A 氏は初
めて自ら手を挙げて女性の役を担った。役を果たした時、少しはにかみ微笑んでいた。
SST の最中には、複数の職員が賞賛し、病棟へ戻ってからも正のフィードバックを行った。
尚、SST の場所、時間は初回から同一とし、参加者、職員も毎回ほぼ同じに設定している。
3.病棟での様子
普段は自床にて臥床していることが多く、同室者にも関心を持たず、OT には消極的である。しか
し、集団 SST9回目の以降は自ら同室者に話しかけ、OT には積極的に参加する傾向となる。
また、突然数年ぶりに内縁の夫の元へ手紙を書きたいと希望し、「外泊したい」との言葉もきか
れた。これをきっかけに外泊することととなり、帰院後は身体的には疲労感があったものの、「ま
た帰りたいわ」と笑顔で話す。看護者から労い、正のフィードバックの声をかけると照れたように
微笑んでいた。
Ⅳ
考察
同じメンバー、同じ職員、同じ部屋で回数を重ねたことで SST の場が安心感の持てる場になり、
場面設定の内容が大多数が興味を持てる内容になったことが、この場の凝集性を高めたと考える。A
氏はこの集団療法の治療的因子により他者への関心が回復し、潜在能力が引き出され、手を挙げる
勇気を得たのではないかと考える。
そして自ら手を挙げ相手役を担った経験は正のフィードバックを受けたことで成功体験となりそ
の結果自己効力感が高まったと考える。この成功体験は日常生活への積極性を高めたと考えられる。
また、数年ぶりに手紙を書きたいとの希望や外泊希望を出していることも、望みを叶えるための
行動をうまくとれるという自信が生まれたためと推察される。これも自己効力感が高まり、意欲が
向上した表われと考えられる。この事により、外出が実現したことは、ひいては社会復帰への一歩
となり得、この SST による自己効力感の高まりは生活の質をより良いものにさせていくと推測する。
Ⅴ
結論
集団 SST は集団療法の治療因子により潜在能力を引き出すのに有効的である。正のフィードバッ
クを行うことで自己効力感を高めて、意欲も向上させる。看護者はこの治療因子が発生するような
SST のセッションとなるよう工夫や配慮、正のフィードバックを行うことが重要である。SST による
自己効力感の高まりは社会復帰への一歩となり得ると推測できる。
-9-
8.「日常生活の援助」~病床の作り方~
准看護学院 准看教務室
○中川 真希、 山下 万由子、井上 理絵、今井
幸子、岡田
歌奈子、根本 美樹、
井上 敏子
1.
はじめに
准看護師は、保健師助産師看護師法の第6条に「療養上の世話または診療の補助を行うことを業
とするものをいう」と定義されている。准看護師教育に携わる私たちは、このことを踏まえて、専
門職業人を育てるという使命がある。
基礎看護技術の習得は、対象に応じた看護が実践できる基礎的能力を養うため、最も重要である。
学生がはじめて受ける授業は、環境調整の援助である。この授業のねらいは、患者を取り巻く環境
のひとつである病床とは、生活の場であるということを理解させ、そして、寝心地の良い病床の作
り方は繰り返し練習することで体得させる。
今回、病床の作り方(以後
ベッドメーキング という)技術の習得過程について紹介する。
2.
ベッドメーキング技術習得に向けた取り組みの経過
1)
専 門 科 目 の 中 の 基 礎 看 護 技 術 は 2 1 0 時 間 が 定 め ら れ て い る 。そ の う ち 環 境 調 整
の援助は、17時間を費やしている。内訳は講義8時間、学内実習8時間、実技試
験1時間で構成している。
2)
講義終了後、チェックリストを用いて、学内実習を行う。
(1) デモンストレーションにより、技術を視覚で教授する。
(2) 学生が実習内容の振り返りを行いチェックリストにまとめる。
(3) チェックリストの内容から、学内実習での教授が伝わっているかを確認する。
3)
自主練習ができるように、実習室を開放し個別指導ができる体制を整える
4)
学内実習を終えてから、約一か月後に実技試験を実施している。
3.
まとめ
ベッドメーキングの技術では、リネン類の取り扱いをはじめとする作業手順、清
潔・不潔の概念ボディメカニクスの活用が難しく、技術習得をする為に繰り返しの
練習を要する。
実技試験までの約一か月の期間に、延べ591人が自主練習を行った。1人当た
りの練習回数は、平均すると約10回以上であった。この事は、多様な環境下にあ
る学生の、努力姿勢の結果である。
当 初 は 、思 う よ う に 手 も 足 も 動 か ず 、ま た 、リ ネ ン 類 の 取 り 扱 い も 不 十 分 な た め 、
快適なベッド作成には程遠い状態であった。しかし、自ら進んで練習し、少しずつ
上達していく学生の姿を通して、専門職“看護の道”を歩き始 めた学生に能動的な
学 習 態 度 を 習 得 さ せ る こ と 、学 習 環 境 の 提 供 を 継 続 し て い く 役 割 が あ る と 実 感 し た 。
-10-
一般演題C
9.
座長
早川
恵美子(阪和訪問看護ステーション
副看護部長)
阪和第二泉北病院で一緒に働きませんか!~イメージDVDで看護部PR~
阪和第二泉北病院 看護部
○藤岡 浩美、糸賀 新、時本 容子
私たちは、阪和第二泉北病院看護部です。
当院は、開設以来33年、常に変化し続けている病院です。
地域住民の方のみならず、系列病院の皆様も、当院について「療養型病院」という印象をお持ちの
方が多いのではないでしょうか。
現在当院は、療養型病棟だけではありません。急性期一般病棟では人工膝関節、股関節置換術を
年間 300 件以上実施、また、今年度、近畿大学附属病院、市立堺病院の後送病院としての役割を担
うため、新たに1病棟を一般病棟に変更しました。
また、堺市で初の緩和ケア病棟は、今年で11年目を迎えます。障害者施設等一般病棟は1病棟か
ら2病棟に増え、脊椎損傷や難病の患者様の受け入れも行っています。
阪和インテリジェント医療センターでは、PET検査など、健康を支える予防医療にも携わってい
ます。
このような様々な機能を持つ病院の中で、看護師たちは、「安心を支えるやさしい看護」を目標
に日々、忙しいなかでも、やさしい気持ちを忘れず、やりがいある看護を目指し、奮闘しています。
より専門的な知識を身に着け、認定看護師として活躍する者、先輩に見守られながら頑張る新人看
護師、子育てと仕事の両立に奮闘するママさん看護師。
看護師として働きがいのある環境、生き生きと働く仲間の姿を伝え、より多くの方に当院の魅力
を知ってもらいたい、そして、当院で働いてもらいたい。
そのために、看護部でPRのDVDを自主制作しました。
本日は、この場をお借りして、グループの皆様にも、第二泉北をアピールさせていただきたいと思
い、エントリーしました。
第二泉北の看護をご覧ください。
10.「あ~
めんどくさい」
~水のはね返りの検証を通して~
阪和住吉総合病院 手術中央材料室
○古市 香、大橋 貴子、西本 千夏
Ⅰ.はじめに
中央材料滅菌室では(以下中材とする)、院内の物品の回収から配給までの業務を看護師の指示
のもと看護補助者の4人で行っている。中材の看護補助者業務は、物品の管理だけでなく、手術後
の清掃や手術器械の洗浄、患者移送など多岐に及ぶ為、日々の業務の中で理由や必要性などをあま
り感じることなく業務を行っていた。今回、看護研究をするにあたり、今後の業務を少しでも良く
-11-
していくために、4人で話し合いをした。器械洗浄時にゴーグルとエプロンを着用することが決ま
りとなっているが、私たちは「めんどくさい」と感じており、何故ゴーグルとエプロンを着用しな
くてはいけないのかという疑問がわいてきた。疑問を解消するために水のはね返りの検証を行った
結果、ゴーグルとエプロンの必要性が理解でき、中材及び看護補助者としての意識が変わり、理由
や必要性を考えながら業務を行えるようになった為ここに報告する。
Ⅱ.方法
エプロン・ゴーグルに水のはね返りが分かりやすい素材を使用し、実際に洗浄庫と中材のシンク
で手洗い洗浄を行い、汚染度を検証した。
Ⅲ.結果・考察
1.洗浄庫での器械洗浄時
洗浄庫では、器械洗浄が出来ない繊細な器械やコード類などを血液溶解液に漬け、手洗い洗浄を
行っている。洗浄台の高さは80cm、シンクの深さ20cmである。エプロンは、洗浄台の高さ
と同じ位置が一番飛散しており腕も肘まで濡れている。以前から腹部・腕の濡れは感じていたが、
自分たちが感じている以上に広範囲に及んで汚染されていることがわかった。マスク・ゴーグルに
も思った以上に水滴が飛散している事が分かった。汚染が少ない時はエプロンのみで、ゴーグルを
使用しない事もあるので顔面に飛散していると考えると怖くなった。
2.中材でのスリッパ洗浄時
中材では、手術終了後のスリッパを血液溶解液に漬け、手洗い洗浄を行っている。洗浄台の高さ
は80cm、シンクの深さ30cmである。エプロンとゴーグルには水滴が多く飛散しており、腕
も濡れている。スリッパを洗浄する時、私達はエプロンとゴーグルを着用していなかった。検証で
は思っていた以上に水滴は飛散しており広範囲に汚染していることがわかった。看護師の指示で器
械洗浄時にエプロンとゴーグルを着用していたが、その理由が漠然としかわからず、着用すること
に対してめんどくさいと思っていた。水滴が目に見えることで、想像以上に汚染されていることを
理解出来た。
水のはね返りの検証をした後、スタンダードプレコーションとPPEについて学習した。自分の
身を守るためにも、そして汚染を広げないためにもPPEを確実に行っていく必要があると考える。
私達は今までたくさんの言葉を耳にしてきたが、言葉の意味を理解することなく業務を行ってきた。
基本通りに業務を行うことも大切であるが、理由や必要性を踏まえた業務を行うことが重要である。
今回の看護研究を通して、看護師の指示を理解して業務を行っていけるよう看護補助者として学ぶ
姿勢を持ち知識を深めていく必要がある。
Ⅳ.結論
1. 自分たちが思っている以上に広範囲に水滴が飛散していることがわかった。
2. スタンダードプレコーションとPPEの必要性が理解できた。
3. 看護補助者として学ぶ姿勢を持ち学習を深めていく。
11.
我ら
夜勤応援隊
阪和記念病院 看護部主任会
○松永 久美子
-12-
Ⅰ
目的
新人看護師が初めて経験する夜勤は緊張の連続であると予想する。平成 25 年度入職の看護師は、
看護師養成カリキュラムの変更で「統合実習」を経験し現場へ配属されている。「統合実習」とは
実際に複数の患者を受け持ったり、夜勤の経験をしたり実際の業務に即した形で行われる。しかし
夜勤実習を経験していてもなお不安は大きく、今回夜勤に入る前に夜勤時のシミュレーション教育
を行い今後の教育方法について課題を明らかにしたいと考えた。
Ⅱ
方法
時期
配属後 5 か月め
夜勤勤務が組まれる前
対象
平成 25 年 4 月に入職した新人看護職員 19 人
方法
夜勤勤務前後の調査票記入
シミュレーションの実施とディブリーフィング
倫理的配慮
卒後教育として行われる研修であること、ビデオ撮影を行うため匿名性の保持に
ついて対象者へ説明し同意を得た。
Ⅲ
結果
夜勤勤務前の調査票の結果より新人看護師が夜勤に対して不安に思っていることは、急変時の対
応が最も多く、次いで動き方が判らないであった。そこでシミュレーションの設定を「巡視時の呼
吸の観察」「転倒転落患者の対応」「持続点滴更新」「急変時の対応」とベッドサイドでよく遭遇
する事例に絞り実施した。実施後の結果では「役に立った」「不安の軽減になった」という意見が
多く聞かれた。また「自分の食事や気分転換」「体調管理」に不安を感じている意見もあった。
Ⅳ
考察
エドガー・デールの法則によると「学習時、読むだけでは 10%、聞くだけでは 20%、体験して
70%が記憶に残る」と言われている。今回私たちは夜勤に入る前の研修を講義だけではなくシミュ
レーションを取り入れることで、より夜勤をイメージでき不安を軽減できるのではないかと考えた。
ベッドサイドでよく経験する事例を選択したことや、事例一つ一つに対し指導のポイントを絞るこ
とで具体的に行動を示唆することができたと考える。また実際に部屋の電気を消してうす暗い中で
ベッドサイドケアや観察を実施することで、ライトの当て方やカーテンを開ける行動についてなど
講義だけでは伝えきれない部分まで指導できたと考える。しかし新人看護師の意見から事例はすべ
て患者の行動に対する対処を示すものであり、新人看護師が実際に夜勤勤務を行うときの不安や夜
勤前後の生活の指導までは至らずその必要性を考えさせられた。
Ⅴ
結論
シミュレーション研修は、座学のみの研修よりも効果があった。内容についても講義と組み合わ
せること、実際にベッドサイドで展開されているような事例を選択することでより夜勤をイメージ
しやすくなった。
今後は、講義、シミュレーション、そしてシャドー夜勤と段階的に考えていきたい。また業務だ
けではなく、夜勤前の休息のとり方や夜勤時の食事、仮眠について等身体的、精神的かつ具体的な
教育が必要であることが課題として明らかになった。
Ⅵ
参考文献
看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン
-13-
日本看護協会
12. 精神科閉鎖病棟における感染性胃腸炎集団発生からの学びと、認知向上を
目指した教育
新いずみ病院 院内感染防止対策委員会
○小阪 千絵、山平 ひとみ、宮本 豊
はじめに
平成 24 年 11 月、当院で感染性胃腸炎が集団発生し、患者 68 名、職員 10 名が感染した。
集団発生した閉鎖病棟は、1 病棟に 75~79 床であり、認知症患者や高齢者の精神疾患患者が多く入
院されている。徘徊、不潔行為、廊下での嘔吐、手洗いができないことや洗面所に石鹸やペーパー
タオルの設置が難しい等の精神科病棟の特殊性があり、感染制御はより困難を極めた。この経験か
ら、標準予防策と感染制御に対する知識と対処技術の必要性、初期対応の重要性を再認識した。精
神科閉鎖病棟での感染性胃腸炎集団発生からの学びを活かした、感染対策の実践力向上をあげるた
めの教育介入について検討した。
研究目的と方法
研究目的:感染性胃腸炎の知識と技術に関する教育介入を行い、その教育効果を評価する。
研究対象:当院に勤務する看護師73名、看護補助者23名。
研究方法:看護部感染対策委員8名と調査員6名が、病棟看護職員を対象に標準予防策、
感染経路別予防策に関する教育(講義)をして、衛生学的手洗い方法、感染
性胃腸炎の下痢・嘔吐時の処理方法を実演しながら実技指導をした。その教
育介入後、知識と実技に分けて評価した。各病棟で感染対策委員と調査員が
病棟の職員に、質問項目に従ってインタビューを行い、実技は下痢・嘔吐時
の対処を、一人ずつ実際に必要物品を使用して行い基準に従って評価した。
これらの評価結果から当院職員の知識不足や対処行動のあまさを明らかにする。
結果と考察
看護部感染対策委員と調査員による病棟単位での講義と実演により、知識・技術の習得及び、初
期対応時の実技についても概ね実践力が向上したという結果が得られた。しかし、教育介入前の結
果からは、年2回行われる院内研修を受講しても時間経過と共に教育効果は薄れ、初期対応時の行
動力が低下していると言える。また、感染性胃腸炎の感染対策を実際に経験した群と未経験の群を
比較しても有意差はなかった。職種別では、管理職が知識・技術ともに点数の低さが示唆された。
教育介入後の結果からは、感染経路の知識が低く、実技においては換気に関する知識の低さが目立
った。これは、精神科病棟の特徴として窓が施錠されていることと、常に閉まっていることが要因
となり、換気をすることの意識が低くなっていることが考えられる。
効果的な教育介入を行うには、①対象は多人数より少人数②実演して実際に物を使って体験して
もらう③他人を教育する側にたつ④感染流行の直前に教育するほうが実践力あることが言える。今
回の調査結果から、職員の知識不足や対処行動のあまさを改善することで教育効果はさらにあがり、
感染制御の実践力向上につながると考えられた。
-14-
特別講演
座長 大西
「厚生行政の裏話と日本の医療政策」
奈良県立医科大学 健康政策医学講座
教授
○今村 知明 先生
-15-
英周(新いずみ病院
院長)
一般演題D
13.
ウルルン
マウス
座長 畑内
ケア
喜和子(阪和第一泉北病院
副看護部長)
~口腔内を短時間で綺麗に~
阪和第二住吉病院 看護部
○坂井 沙希、荒木 弥鈴
[はじめに]
最近の厚生労働省の調査では、高齢者の約半数が口腔乾燥感を自覚し、その内約 3 割がいつも口
腔乾燥感を自覚している事が分かっている。
当院の患者の平均年齢は、82.5 歳と後期高齢者が多く、患者の大半は脳疾患(脳梗塞、脳出血)
であり、寝たきり生活の患者が主である。そして、脳疾患に伴う麻痺により長時間開口している。
また、老化による唾液分泌量低下により口腔内が乾燥している事が多く、乾燥が持続すると不快感
を感じ、粘稠度の強い痰を取り除く際、炎症や出血がしばしばみられ、それが咽頭に及ぶと刺激に
より吐気が生じる問題があった。また、汚染の強い口腔内のケアには時間がかかり、開口状態が長
いと、患者へ負担がかかってしまう事も問題となった。
そこで、私たちは、口腔内の保湿を持続させ、短時間で口腔内を綺麗にする為の解決策を考えた。
口腔内の乾燥による不快感を取り除くため、口腔内を湿潤させ、素早く綺麗にすることで爽快感を
得てもらう為にグリセリン水に着目した。グリセリン水を用いた口腔ケアの実践をここに報告する。
[実施対象者]
1. 院内の3病棟の寝たきり高齢者で経管栄養管理下の患者で患者自身の歯がなく口腔が乾燥し、
口腔内の汚染が著しい患者
2. 肺炎・糖尿病がなく、主治医の許可があり、患者または家族の同意が得られた患者4名が対象
3. 研究期間:
平成 25 年 7 月 1 日~平成 25 年 7 月 31 日の期間で実施期間は 2 週間づつの実践研究であった。
[研究方法]
1.研究方法
①データの収集方法
・グリセリン水使用前
口腔ケア前後に口腔内の写真 2 枚/日を撮影
口腔ケア後チェックリストの(ケア時間、乾燥、炎症、出血の有無)記載
・グリセリン水使用後
口腔ケア前後に口腔内の写真 2 枚/日を撮影
口腔ケア・約 2 時間ごとの吸引後グリセリン水(グリセリン 20ml+水 80ml)噴霧後、グリセリン
水使用時間表、口腔ケア後チェックリストの記載
(ケア時間、乾燥、炎症、出血の有無)記載
※方法は『スタッフが統一する為の口腔ケア表』を参照
グリセリン水は冷暗所で保存し使用期限は 2 週間。
-16-
チェック表は病室の床頭台に設置する。
[結果]
対象患者 4 人中 4 人共に、グリセリン水使用前の口腔内の炎症や出血の症状は無いものの、口腔
内に常に乾燥が見られた。グリセリン水使用後、炎症や出血もなく口腔内は時々乾燥はあるものの、
使用前より湿潤していた。
口腔ケア時間に関して A 氏はグリセリン水使用前の平均 5 分、使用後 3 分、B 氏は使用前の平均
10 分使用後 7 分、と短縮結果が得られた。しかし、C 氏 D 氏は発熱がみられ正常な場合の口腔ケア
の比較ができなかった。故に C 氏は使用前の平均 2 分、使用後 4 分、D 氏は使用前 2 分、使用後 3
分と時間がかかった。
[考察]
唾液の成分にはムチン、スタセリンという水分補充や乾燥の防止(湿潤)の作用がある。しかし、
高齢になると唾液の分泌量が低下する。当院は後期高齢者の医療療養型病院で、脳疾患の患者が多
く長時間開口している。その事により口腔内の唾液は過蒸発し、口腔内乾燥を招きやすい。
今回、口腔内乾燥や口腔内汚染が著しい 4 名を対象患者とし、グリセリン水使用しての保湿と口腔
ケアを行った。グリセリン水使用前後ともに炎症や出血はなかった。
A氏とB氏の 2 名はグリセリン水使用前と比べ口腔ケア時間は短縮されている。口腔ケアを行っ
ている看護補助者からは「以前は痰の付着は白色ワセリンを使用して痰を柔らかくし除去していた
が、使用しなくても除去出来るようになった」という意見があった。これは、グリセン水を使用す
ることで口腔内の湿潤が保たれた。その事から口腔内に痰は付着していても、使用する前と比べ、
除去しやすくなった。そして、強く拭き取る事が無くなった為、患者への負担が軽減されたのでは
ないかと考える。1 回/週の歯科医師による口腔ケア時には「以前に比べ口腔内が潤っている」と
いう言葉や、ご家族から「口が潤っていて、いつもより綺麗ですね」という言葉が聞かれた。
しかし C 氏、D 氏は使用前より平均時間がかかった。今回の研究では、平熱時と発熱時の口腔ケ
アの比較はできなかったが、熱が上昇した際、口腔内の水分や口腔内に付着した痰の水分も過蒸発
した為、口腔ケアに時間が掛かったのではないかと考える。C 氏の場合 1 回/2h、D 氏の場合 1 回
/3hの頻度でグリセリン水を噴霧していた。柿木 2)は「口呼吸がある場合には、保湿効果が継続し
ない傾向があるので、保湿ケアを開始する当初は頻度を多くする。およそ 1~2 時間に一回の保湿が
有効である。継続した保湿により、口腔粘膜の水分量も高くなるので、徐々に頻度を少なくできる。」
と述べている。C 氏と D 氏は口腔ケアの時間がかかった事から、体温上昇時に噴霧回数を増やし、
口腔内の湿潤を保つ事が出来れば、口腔ケアの時間短縮が出来たのではないかと考える。
フローレンス・ナイチンゲールは「看護の目標は、環境を整えることにより自然に働きかけられ
るよう、その人を可能な限り最善な状態におくことである。看護は患者の生命の消耗を最小限にす
るような環境を整え確保することで、患者の回復過程を促進させる。」と言っている。当院の患者
の大半は脳疾患の患者により、自分で意思を伝えられない患者が多い。口腔内が乾燥し、汚染され
ていても訴えることもできない。私たち看護者は患者に寄り添い、その人らしく生活できるように
環境を整えることが大切である。そして、口腔ケアはその人らしく生活する為のケアであると考え
る。また、環境を整えることで患者を支える家族と気持ちよく面会できるように関わっていくこと
は、家族看護にも繋がると考える。
-17-
[終わりに]
今回のグリセリン水使用により口腔内の湿潤を保ち、短時間で口腔内を綺麗にできた。今後、発
熱時はグリセリン水の噴霧回数を増やして行くことが課題である。
私たちは、引き続き患者の気持ちに寄り添い、その人らしい生活の提供と家族看護を実践していき
たい。
[引用参考文献]
1) 竹尾恵子:〈超入門〉事例で学ぶ看護倫理
株式会社
p.18
学習研究社
2003
2) 柿木保明:看護で役立つ口腔乾燥と口腔ケア機能低下の予防をめざして
医歯薬出版株式会社
7
P. 102
2005
3) 岸 本 裕 充 : 成 果 の 上 が る 口 腔 ケ ア
医学書院
14.
2011
便秘ですか?飲むなら今でしょ!!-オリゴ糖導入の試み-
雅秀苑 看護部
○中平 美春、森 佑梨
<はじめに>
当施設において便秘で悩んでいる入所者は多く、排便サポート(下剤・浣腸・摘便)を行っている方
は7割を超えている。薬での調整や浣腸で排便を促しているが、腹痛や下痢、腹部膨満感、嘔吐など身
体的・精神的苦痛を訴えられる方が多い。今回、下剤や浣腸に依存せずできる限り苦痛が少ない排便方
法はないかと模索した。改善策として本人の腸内細菌叢を整えることが必要であると考え、入所者の排
便状態の把握とともに下剤の連用、浣腸の使用による苦痛の緩和を目指しオリゴ糖を使用して排便コン
トロールを試みた。結果、入所者の排便状態の変化、下剤・浣腸の使用量の減少が見られ、スタッフの
意識改善も見られたのでここに報告する。
<研究目的>
乳果オリゴ糖シロップ摂取により自然排便を促すことで排便回数・性状に変化はみられるか。下剤・
浣腸の使用回数が低減可能かを検討する。
<期間>
平成 25 年 5 月~8 月までの 4 ヶ月間
<対象者>
4フロア各 10 名 計 40 名
<方法>
50~100cc の微温湯に乳果オリゴ糖を 0.6g/体重を溶かし摂取
入所者の効果により増減を行った
<結果>
個人的にばらつきがあるものの、オリゴ糖摂取期間が長くなるにつれ排便回数は増加され、下剤や浣
腸の使用数が減少された。便の性状も水様便や泥状便から普通便へと変化が見られた。
-18-
入所者のオリゴ糖使用の感想としては、下剤だと腹痛があったがオリゴ糖は腹痛なくスムーズに排便出
来ている等良い感想も聞けている。
オリゴ糖を導入してからは施設全体で勉強会を開くなど他職種とも協力し、スタッフ間でも排便状態
の評価や下剤のコントロール等を行い意識改善に繋がった。
<考察>
便の形状の変化はばらつきがあるものの、オリゴ糖がビフィズス菌を増加させ、整腸作用が働いたこ
とで、無形便から有形便へと変化したものと考えられる。排便回数の増加もオリゴ糖が腸蠕動運動を活
発化させる作用もあることから表れた結果であると考えられる。それにともない、下剤・浣腸の使用数
が減少され、腹部膨満感の軽減、下剤による苦痛が緩和された。
排便コントロールを行うために一番に必要なのは、スタッフの排便コントロールに対する意識を変え
ることである。排便コントロールについての知識や情報を共有し、ケアを継続していくためのチーム作
りを行うことが重要であると考える。
15. 阪和第一泉北病院のチーム医療の取り組み~NST で高齢者の栄養状態改善
をめざして~
阪和第一泉北病院
○大塚 理加
NST 委員会
1)
、阿弥 紀子1)、佐伯
集一1)、三木 美千代1)、上野
智代1)、
北井 晴記1)、久保 綾香1)、北野 榮1)、竹田
史1)、日野 司1)松原 由香里1)、
奥藤 渚1)、田中 優子1)、登
沙織2)、藤原 幸子2)、時安 里佳2)、
由紀子2)、神田
安田 直子3)、城 久美代1)、西尾 勇太1)、森本 千秋1)
阪和第一泉北病院 NST 委員会1)
同 栄養部2) 同
リハビリテーション部3)
〔はじめに〕
平成 24 年度診療報酬改定により療養病棟入院基本料算定病棟においても栄養サポートチーム
(NST)加算を算定することが可能となった。当院でも平成 24 年 4 月に NST 委員会を発足、準備期
間を経て同年 5 月より管理栄養士を専従とし、専任の医師 1 名、看護師 1 名、薬剤師 1 名と、患者
担当、コメディカル等で活動を開始し試行錯誤しながら 1 年半が経過した。当院での NST の活動内
容と NST 介入による栄養状態の改善度について評価したので報告する。
〔NST の活動内容〕
NST 介入は NST 実施基準〔血清アルブミン値(ALB)3.0g/dl 以下であって栄養障害を有する者、褥
瘡保有者、各担当者が必要と判断した場合等〕により判定した患者を対象とし、最終決定は主治医
が行う。活動は回診、カンファレンスを週に 1 回もしくは 2 回実施し、患者個々に適した栄養治療
実施計画書を作成し、それに基づいた適切な治療を行った後、評価し、栄養管理方法の指導、提言
を行い、そのつど栄養状態改善に向け計画内容を見直している。記録は「栄養治療実施計画書 兼 栄
養治療実施報告書」にて交付する。褥瘡保有者については NST 回診とは別に褥瘡対策チームと合同
で月 1 回の褥瘡回診を行っている。また、病棟合同カンファレンスでは多職種と連携をとり NST か
らの提案事項を検討する場として活用している。NST 委員会は、月に 1 度開催し、介入患者の進捗
状況や経過報告、症例報告を定期的に行っている。
〔方法〕
-19-
平成 24 年 6 月以降に介入し、平成 25 年 5 月末までに期間満了(入院日から起算して 180 日)、ま
たは目標達成(栄養状態改善、褥瘡治癒等)により終了した患者 61 名(男性 24 名、女性 37 名、年齢
83.0 歳±44.0 歳)に対して介入時と終了時の ALB、トランスサイレチン(TTR)、BMI について比較評
価を行った。検定は危険率 1%未満を有意差ありとした。また、褥瘡保有状態で介入した 12 名(男
性 3 名、女性 9 名、年齢 78.8±39.8 歳)の治癒率を評価した。
〔結果・考察〕
ALB が改善した患者は 29 名(改善率 48%)、TTR が改善した患者は 30 名(改善率 49%)であり、両
者とも有意な改善が認められた。BMI は有意な低下を認めたが、状態悪化による病的な体重減少(半
年で 10%以上の体重減少)があった患者でも ALB、TTR は維持できていた。また、褥瘡保有状態で
介入し、終了時までに治癒した患者は 8 名(治癒率 67%)であった。
6 ヶ月間という長期に渡る NST によるチーム医療は患者個々に合わせた集中的な栄養治療を行う
事ができ、栄養状態の維持、改善に努める事で、ADL の低下を緩やかにし、QOL の向上につながるも
のである。すなわちチーム医療による取組みは NST 終了後も継続していく必要があり、NST 介入が
その足がかりの 1 つであると考える。
-20-
特別報告
「錦秀会グループ看護部教育体制の取り組み」
錦秀会グループ副部長会
錦秀会看護部
○木下 美紀、早川 恵美子、松村 薫、三原 豊子、その他
平成 22 年度より、多種多様な錦秀会施設の現状を知ることで、深く・広く看護実践能力を深める
ことが出来る事と、広報の目的でローテーション研修の発案が看護部からあった。この発案を機に
副看護部長会を発足することとなった。
また同年、厚生労働省より新人看護職員研修ガイドラインの通達があり、平成 23 年度より各施設
の教育責任を担う副看護部長会運営委員会規約を作成し、活動を開始した。
目的
第 1条
この規約は錦秀会グループ看護部における看護の質の向上・維持、看護職員の
意識とモラルの向上及び業務の円滑化、病院経営の安定化に寄与する。
第 2条
錦秀会看護・介護研修センターの運営・管理に寄与する。
これらの目的を達成するために、ローテーション研修・教育担当者研修・新人看護職員研修を主
とし活動を行う。
経緯
平成 22 年度 担当者企画によるローテーション研修の開始
平成 23 年度 錦秀会グループ副看護部長会運営委員会の発足と活動
各施設既在のチェックリストを見直し、新たにグループ統一の錦秀会新人看護職員チ
ェックリストの作成
平成 24 年度 テルモプラネックス研修センター見学
平成 25 年度 錦秀会グループ看護・介護研修センター設立・集合研修開始
活動内容
① 新人看護職員研修・・・新人看護職員を対象に、新人看護職員ガイドラインに基づ
き集合技術研修を実施、錦秀会新人看護職員チェックリス
トに基づき評価を行う
② ロ ー テ ー シ ョ ン 研 修・・・他 校 を 卒 業 し た 新 入 職 者 を 対 象 に 3 年 間 で 各 施 設 で の 研 修
を行う
③ 教 育 担 当 者 研 修・・・各 施 設 の 新 人 看 護 職 員 教 育 担 当 者 を 対 象 に 、統 一 し た 新 人 看 護
職員の育成指導が出来るよう集合研修を行う
副看護部長会の教育体制の取り組みについて発表致します。
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