非磁性1成分現像方式におけるゴースト現象のトナー粒径依存性

シャープ技報
第76号・2000年4月
非磁性1成分現像方式におけるゴースト現象のトナー粒径依存性
The Dependence of the Ghost Mechanism on Toner Diameter
in the Non-Magnetic Single-Component Process
岩 松 正 *
Tadashi Iwamatsu
要 旨
非磁性1成分接触現像方式の高画質化のために,
ハーフトーン画像の濃度均一性は重要な課題である。
特にゴーストフリーな画像形成が要求されている。
本稿では,
まず現像方程式を用いてゴースト発生メ
カニズムを理論的に考察する。次に,我々が実験的に
見出した現像ローラ上のトナー粒径変動とゴーストと
の相関特性について論じる。更にこれらの結果を基
に,トナー粒径変動を抑制する除電部材を用いたゴー
ストフリーな現像システムを提案する。
The uniformity of halftone image is an important subject
in a contact single-component non-magnetic development
system. Therefore, a ghost-free image is one of the critical
requirements to realize that.
In this paper, we analyze the ghost mechanism
theoretically, then explain our finding on the relation
between the ghost and the toner particle diameter transition
on the development roller.
We also propose a ghost-free development system by
using a discharge member which restricts the toner particle
diameter transition.
東 伸 之 *
Nobuyuki Azuma
ニズム4)∼6),ドクターブレードへのトナー融着現象
の解析7),
高抵抗現像ローラを用いたときの現像ロー
ラ表面の電位変動によるゴーストメカニズムの検討8),
トナー層形成モデルから,
トナー帯電量の影響による
ゴーストメカニズムの検討10)を行ったものなどである。
しかしながら,
非磁性1成分現像方式の基礎的なメ
カニズムの解明は進んだものの,より一層の高画質プ
リント技術として確立するための検討は,
十分ではな
かった。その中で,ハーフトーン画像の濃度均一性
は,接触型非磁性1成分現像方式では重要な課題であ
る。我々は,現像ローラ上トナー層のトナー粒径変動
に着目し,ゴーストの一要因であることを実験的に見
出した。さらに,現像方程式を用いてゴースト発生メ
カニズムを理論的に説明できることを示し,除電部材
を用いたゴーストフリーな現像システムを提案する。
1 . 理論
1・1 数学的モデルと基本現像特性
図1において,現像領域に入る前の感光体及びト
ナー層のモデル概要図を上段に,そして現像領域の状
態を下段に示した。トナー層は,電荷密度ρの連続体
と仮定した。
感光体層は式(1)の Laplace 方程式で表され,トナー
層は式(2)の Poisson 方程式で表される。
まえがき
∂2φ1
=0
∂x2
非磁性1成分現像方式は簡素な構造を持ち,
パーソ
ナルクラスの LBP に搭載され,現在では本格的なオ
フィス用途の中速機やカラー用の現像システムとして
発展してきている。
このような製品への応用拡大に伴って,
非磁性1成
分現像方式の基礎的な現像特性について検討が行われ
ている。例えば,弾性現像ローラを用いた現像方式の
現像ローラ電気抵抗依存性についての検討1)∼3),9)
や,ドクターブレード方式によるトナー薄層形成メカ
∂2φ2
ρ
=−
∂x2
ε2
(1)
(2)
現像領域に入る前のトナー層表面電位Vtnr は,式(2)
を解くことで式(3)で表される。
Vtnr=
ρ
・d22
2ε2
(3)
トナー層の電荷密度ρと厚みd2は,トナーの体積密
度δ,トナー層中のトナーの比率p,現像領域に入る
前の現像ローラ上単位面積当たりのトナー付着量m0,
単位重量当たりのトナー帯電量q/mを用いると,式(4)
* 生産技術開発推進本部 精密技術開発センター
― 52 ―
非磁性1成分現像方式におけるゴースト現象のトナー粒径依存性
及び(5)で与えられる。この関係からトナー層表面電
位 Vtnr は,式(6)で表される。
ρ=
q/m・m0
d2
m0
d2=
δ
・p
Vtnr=
q/m・m02
・p
2ε・
2δ
(4)
(5)
(6)
Vopc =
d・
1σ
ε1
(13)
式(12)において,Xdiv=0 を代入することにより,現
像が開始される時の最小電圧,即ち,感光体電位 Vopc
と現像バイアス電位 Vdev との差(Vopc-Vdev)の最小値
が,現像開始電圧 Vk として式(14)の様に求められる。
同様に,Xdiv=d2 を代入すると現像終了電位 Vend が式
(15)で得られる。そして,更に式(12)を(Vopc-Vdev)で
偏微分すると,バイアス電圧と現像トナー量の関係式
(16)が導かれる。
Vk=Vtnr
Vend=−Vtnr
(14)
d1
ε1
1+2
d2
ε2
(15)
1
1
∂Xdiv
=
d1 d2 ρ
∂(Vopc−Vdev)
+
ε1 ε2
(16)
これらの式から,Vk は完全にVtnr と等しくなり,Vend
はわずかに -Vtnr より大きくなることがわかる。さら
に,Vk と Vend は式(6)から,q/m と(m0)2 にほぼ比例する
特性がわかる。
図1 解析モデル図
Fig. 1 Schematic of mathematical model.
図1下部の現像領域における境界条件は,式(7)∼
(10)で示される。
ε2
∂φ2(0)
∂φ1(0)
−ε1
=−σ
∂x
∂x
φ1(−d1)=0
φ1(0)=φ2(0)
φ2(d2)=Vdev
(7)
(8)
(9)
(10)
これらの式から,
トナー層中の電界を計算すると式
(11)が得られる。電界がゼロとなる x=Xdiv の点でト
ナー層は分断される。感光体表面電荷密度σ及びト
ナー体積電荷密度ρの代わりに,感光体表面電位Vopc
及びトナー層電位Vtnrを用いると,現像トナー層厚Xdiv
は式(12)で与えられる。但しここで,Vopc は式(13)で与
えられるものとする。
d・
ρ
・d22
1σ
−V
dev−
ρ
ε
2ε2
E2= ε x+ 1
ε2
2
d2 + d1
ε1
Xdiv=
−1
d22 Vopc−Vdev
−1
d1 d2 2ε2
Vtnr
+
ε1 ε2
1・2 シミュレーション
式(12)を基本にして,現像厚み Xdiv の代わりに,式
(17)で与えられる現像トナー量mc を用い,表1のパラ
メータ及び定数で,現像特性のシミュレーションを
行った。シミュレーションを行う際に感光体と現像
ローラの周速比 k を 1.5 とした。
(11)
(12)
mc=Xdiv・δ・p・k
(17)
表1 シミュレーションのパラメータと標準値
Table 1 Parameters and standard values for simulation.
Photoreceptor
thickness
dielectric constant
charge per unit area
Toner layer
thickness
dielectric constant
charge-to-mass ratio
mass per unit surface area
packing ratio
Toner
mass per unit volume
relative dielectric constant
― 53 ―
d1
ε1
σ
20μm
3ε0
d2
ε2
q/m
m0
p
15μm
(1+p(εt-1))ε0
-12μC/g
0.6 mg/cm2
0.4
δ
εt
1g/cm3
3
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q / m = -12µm
q / m = -6µm
Mass of developed toner
mc [mg / cm2]
0.8
0.6
q / m = -24µm
0.4
0.8
Mass of developed toner
mc [mg / cm2]
図2はq/mが現像特性に与える影響を示したもので
ある。q/m が大きくなると現像開始電圧 Vk が下がり,
現像終了電圧Vend が大きくなり,現像トナー量の現像
電位差に対する傾きは小さくなる。トナーの q/m は,
トナー表面電荷密度がトナーの粒径に依存しないとい
う仮定では,トナーの粒径に反比例する。従って,ト
ナー粒径が小さくなれば,相対的に q/m が大きくな
り,現像トナー量の現像電位差に対する傾きは小さく
なる。
このq/m変動に起因するゴーストとして次のような
例が考えられる。
白部を現像した部分のトナーの小粒
径化が起これば,q/m が上昇し,現像量 mc が減少し,
ポジゴーストが発生する。
またトナーの帯電時間が長
い場合も白部の比電荷上昇が起こり,
同様にポジゴー
ストが発生する。
0.6
∆V = - 50V
∆V = 0
∆V = 50V
0.4
0.2
-200
-100
0
Vopc - Vdev [V]
100
200
図4 現像ローラ表面電位変動の現像特性への影響
Fig. 4
Effect of ΔV on development characteristics.
分の付着量 m0 は,トナー供給不足により減少し,現
像量 mc も減少する。この現象によってネガゴースト
が発生する。
図4には,現像ローラ表面電位Δ V の影響を示し
た。Δ Vが減少すると,現像トナー量カーブは左側に
シフトする。もしも,白部現像後とベタ現像後で表面
電位が異なると,
同一バイアスで現像トナー量に差を
生じ,ゴーストとなって現れることがわかる。
0.2
2 . 実験
-200
-100
0
100
200
Vopc - Vdev [V]
2・1 実験装置概要
図2 トナー比電荷の現像特性への影響
Fig. 2 Effect of toner charge on development characteristics.
図5に本検討で用いた実験装置の概要を,
表2には
仕様一覧を示した。
Mass of developed toner
mc [mg / cm2]
図3は,現像ローラ上のトナー付着量(供給トナー
量)m0 が現像特性に与える影響を示したものである。
m0 が増えると,Vk は小さくなり,Vend は大きくなる。
この m0 変動に起因するゴーストの例としてトナー
供給性能が十分でない場合がある。
黒部を現像した部
m0 = 1.2mg / cm2
1
0.8
m0 = 0.6mg / cm2
0.6
図5 実験装置の概要
0.4
-200
Fig. 5 Schematic diagram of the experimental apparatus.
m0 = 0.3mg / cm2
0.2
-100
0
Vopc - Vdev [V]
100
200
図3 トナー付着量の現像特性への影響
Fig. 3 Effect of toner mass on development characteristics.
現像装置は,現像ローラ,トナー供給ローラ,ト
ナー規制部材(ブレード),除電部材(除電シート)が
設置され,各々 VDEV,VTAR,VBL,VDSC のバイアス電
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非磁性1成分現像方式におけるゴースト現象のトナー粒径依存性
圧が印加供給されている。現像ローラは,ウレタンゴ
ムをベースに,カーボンを分散した単層導電性弾性ゴ
ムを用いている。トナー供給部材は,ウレタンをベー
スにカーボンを分散し,
発泡させた導電性弾性スポン
ジ供給ローラを用い,トナーは現像ローラにこすり付
けられ,
現像ローラとトナー供給ローラの印加バイア
ス電圧差 VDEV-VTAR によって現像ローラに供給され
る。現像ローラに供給されたトナーは,現像ローラの
回動によって,トナー層厚規制部材との対向部に搬送
されて,
トナー層厚規制部材によって所望の層厚に整
えられて帯電電荷を得る。
感光体には予め静電潜像が
形成されていて,
トナーは感光体の表面電位とトナー
層を含む現像ローラ電位との電位差に従って,
感光体
上の潜像パターンに現像される。現像工程終了後,現
像ローラ上に残留したトナーは,現像装置内に回収さ
れ,除電工程を経て初めの工程が繰り返される。除電
工程では,除電部材に印加されたバイアス電圧と現像
表2 実験装置の仕様一覧
Table 2 Specification of the experimental parameter values.
OPC
65 mm
32 mm
60 degrees(JIS-A)
106 Ω
1 s(Rz)
10
8 mm
-250 volts
20 mm
68 degrees
105 Ω
5 mm
80 cells/inch
0.5 mm-1.0 mm
-450 volts
2・2 Ghost 検出画像
現像ゴーストは,
黒部もしくは白部の現像履歴が現
像ユニットに残存し,次工程の中間調現像時にその濃
度変動として現れるものである。
Ghost 検出画像は,黒と白のチェッカーパターンを
画像先頭部に配置し,その後に続けて 1 × 1dot(若し
くは 2 × 2dot)のハーフトーン(基準濃度 0.4)を配
置したものを用いた。画像濃度は,Machbeth RD918を
用いて測定する。全体のハーフトーンの濃度(約 0.4)
と比べて,相対的にそれより高い場合をポジ,低い場
合をネガとした8)。
2・3 現像ローラ電気抵抗の影響
現像トナー量の現像ローラ電気抵抗依存性について
は,既に報告1)∼3)されている。現像ローラの電気抵
抗が大きいときには,現像電流により実効現像バイア
スが変化する為に,現像トナー量の現像電位差に対す
る傾きは小さくなる。
本検討では,現像ローラ抵抗の影響を避けるため
0.8
Rdev = 106Ω
Mass of developed toner
mc [mg / cm2]
Photoconductor
Material
Diameter
Development roller
Diameter
Hardness
Resistance
Surface roughness
Dielectric constant
Elastic layer thickness
Bias voltage VDEV
Toner supply roller
Diameter
Hardness(sponge)
Resistance
Sponge layer thickness
Cell density
Contact depth
Bias voltage VTAR
Doctor blade
Material
Thickness
Blade length
Pressure
Bias voltage VBL
Discharging sheet
Thickness
Resistance
Bias voltage VDSC
Process speed
Photoconductor
Development roller
Toner supply roller
ローラのバイアス電圧差 VDSC -VDEV によって,トナー
の帯電電荷を除電して,
トナー供給ローラの機械的剥
ぎ取りによる回収を容易にしている。
本検討で使用したトナーは,ポリエステルをベース
に帯電制御剤やカーボン,ワックスなどを混合して作
成した体積平均粒径約8μmの負極性帯電トナーを用
いた。トナー粒径は,Coulter 社製 Multisizer Ⅱを用い
て,50,000 カウントで計測した。トナー帯電量(μ C/g)
は,現像ローラ上のトナーを吸引して得たトナーの重
量と,エレクトロメータ(アドバンテスト社TR6852)
によって測定した電荷量から求めた。現像ローラ上の
トナー付着量は,
吸引トナーの重量と吸引面積から求
めた。
SUS304
0.1 mm
18 mm
30 gf/cm
-350 volts
0.6
Rdev = 107Ω
Rdev = 105Ω
0.4
0.2
0.2 mm
105 Ω
-150 volts
Rdev = 108Ω
-200
185 mm/sec
275 mm/sec
215 mm/sec
-100
0
Vopc - Vdev [V]
100
図6 現像ローラ抵抗の現像特性への影響
Fig. 6 Effect of development roller resistance on
development characteristics.
― 55 ―
200
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第76号・2000年4月
に,先ず現像ローラの電気抵抗と現像トナー量の関係
を,参考文献2) に示された単層型半導電性現像ロー
ラの現像の方程式を参考に解析した。
図6で示される,
シミュレーション結果から,
106.5 Ω
近傍から,現像電位に対する現像トナー量の傾きが飽
和しはじめる。そして,106 Ωと 105 Ωでは差が無視出
来ることが分かる。
我々はこの特性を実験的にも確認し,
ゴーストの検
6
討に用いる現像ローラの電気抵抗を10 Ωとすること
にした。従って以下の実験では,現像ローラの電気抵
抗を無視することができる。
トナー比電荷q/mは大きくなり,同じ現像電位差でも
感光体へ現像されるトナー量は減少し,
ポジゴースト
が発生するというメカニズムである。
図8は除電機構を設置した場合を示している。除電
部材と現像ローラとの電位差を,除電部材が正側に
200V 差になるようにセットした。
白部の体積平均粒径は6.1μmで,帯電量は-6.3μC/g,
現像トナー量は0.59mg/cm2であった。そのときの黒部
のトナー粒径は 7.2 μ m で,帯電量は -6.0 μ C/g,現
像トナー量は 0.70mg/cm2 であった。
2・4 除電機構によるゴーストの改善
図7は,
未現像トナーの除電機構を設置していない
現像ユニットを用いたときの,黒部(Solid area)及び
白部(White area)の現像ローラ上トナー層の体積平
均トナー粒径分布を示す。測定は,図6の測定ポイン
トにおいて行った。
図8 除電シートを用いたときのトナー粒径分布
Fig. 8 Distribution of toner diameter using discharging sheet.
図7 除電シートを用いないときのトナー粒径分布
Fig. 7 Distribution of toner diameter not using discharging
sheet.
この実験のときに,白部を通過した後に相当する部
分では,平均粒径は 4.8 μ m で,帯電量は -11.2 μ C/g,
感光体への現像トナー量は0.55mg/cm2。同様に黒部を
通過した後に相当する部分の体積平均粒径は 7.1 μ m
で,帯電量は -7.9 μ C/g,現像トナー量は 0.71mg/cm2
であり,ホッパ内のトナーの粒径とほぼ等しい粒径で
あった。以後黒部・白部と略記する。
この条件で強いポジゴーストが発生したが,
これは
前述の比電荷をパラメータとした現像特性シミュレー
ションの結果から説明される。
白部通過後のトナー粒
径が相対的に小さくなると,
現像ローラ上トナー層の
除電機構の設置が無い場合には,
ハーフトーンでの
濃度差は,O.D. で 0.04 ∼ 0.07 であったが,除電機構
を設置した場合には,Δ O.D. ≦ 0.01 と改善された。
更に,
除電機構の除電バイアスを大きくとることに
より,
ゴースト発生がより抑制されることも実験的に
確認した。
2・5 供給ローラ圧によるゴーストの改善
図9は,除電機構無しの状態でトナー供給ローラの
径を大きくし,現像ローラへの食込み量を増し,供給
ローラの圧力を上げた際のトナー粒径の変化を示す。
トナー供給ローラの現像ローラへの食い込みを
1.0mm とすると,白部の平均粒径は 5.3 μ m で,帯電
量は-8.3μC/g,感光体への現像トナー量は0.55mg/cm2,
黒部の平均粒径は 7.4 μ m で,帯電量は -6.7 μ C/g,現
像トナー量は 0.71mg/cm2 であった。
トナー供給ローラの食い込みが大きい場合には,
除
電シートを設置した場合と同様に,白部・黒部現像後
の,現像ローラ上のトナー粒径差は小さくなり,濃度
差もΔ O.D. ≦ 0.02 ∼ 0.01 にすることができた。
― 56 ―
非磁性1成分現像方式におけるゴースト現象のトナー粒径依存性
は不十分であった回収・剥ぎ取りをより効果的に行え
ることが分かる。次にトナー供給ローラ圧の効果を
図9に示した。除電部材を設置することがなくとも,
力学的な剥ぎ取り力を大きくすることができれば,未
現像トナーを現像ローラから除去することが可能であ
ることが分かる。これらの結果から,現像ローラ上の
残留トナーが,ゴーストの主原因であることがより明
確になった。
むすび
図9 供給ローラ圧を上げたときのトナー粒径分布
Fig. 9 Distribution of toner diameter not using discharging
sheet and increasing the pressure of the supply roller.
3 . 考察
前半の理論検討では,
現像特性に影響の大きい物理
量をパラメータとした現像特性のシミュレーションを
示した。現実には,比電荷のみが変動したり付着量の
みが変動したりすることはまれであり,
複数の要因が
絡み合っている。しかし,現像ゴーストの原因を分析
する上で,どの物理量の変化が支配的であるかを特定
することは重要である。
本シミュレーションで示した
ような基礎特性を把握しておくことは,
ゴーストを解
決し高画質を達成するためには非常に有効と考える。
後半の実験結果では,白部トナーの小粒径化が生
じ,それが比電荷変動をもたらし,ポジゴーストが発
生することを示した。このゴーストメカニズムは比電
荷変動のシミュレーション結果から理解できる。
ここ
で,白部においてトナーの小粒径化が生じる原因を考
察する。現像工程で消費されなかった残トナーは,現
像装置に戻ったとき,供給ローラにより完全には剥ぎ
取られず現像ローラ表面に残留し次工程の現像に使わ
れる。
トナー供給部で行われる残トナーの剥ぎ取りは
メカニカルな力によるものであるため,
相対的に大粒
径の方が剥離され易いと考えられる。従って,白部で
小粒径化が進行すると考える。
このトナー粒径変動によるゴーストを抑制する手段
として,
まず除電機構による効果を図7及び図8に示
した。この結果から,除電機構のバイアスで未現像ト
ナーを除去することによって,
トナー供給機構だけで
現像特性に影響の大きい物理量をパラメータとした
現像特性のシミュレーションを行い,現像基礎特性を
把握しておくことは,現像ゴーストの原因を分析する
上で有効であることを示した。
導電性弾性現像ローラを用いた非磁性1成分現像方
式において,
現像ローラ上に形成されるトナー層のト
ナー粒径変動が生じていることを見出し,
ポジゴース
トの主要因であることを解明した。
現像ローラ上の,
トナー層のトナー粒径を均一にす
るために,現像工程で使用されなかった未現像トナー
の除電・回収補助を行う導電性シートを設置すること
が有効であることを示した。
これによりゴーストの無
い,高い画像品質のプリントを得ることができた。
謝辞
本研究を行う機会を与えて下さったドキュメントシ
ステム事業本部田中副本部長と生産技術開発推進本部
奥田副本部長に感謝すると共に,実験・討論等に協力
していただいた同僚諸氏に御礼を申し上げます。
参考文献
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00
0年1月1
7日受理)
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