血液内科 3年能力目標1608

S領域 能力目標一覧
診療科
血液内科
コース名
C3601
カテゴリ1 血液内科医として必要な知識と技術領域(1事例/コース)
・S-1 貧血患者の鑑別診断とマネジメント
・S-2 発熱性好中球減尐症患者に対するアプローチとマネジメント
・S-3 出血傾向を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
・S-4 リンパ節腫脹患者の鑑別診断とマネジメント
・S-5 M蛋白血症を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
・S-6 血球増加を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
・S-7 急性白血病患者の病型診断とマネジメント
・S-8 悪性リンパ腫患者の病型診断とマネジメント
・S-9 赤血球・血小板輸血
・S-10 造血器腫瘍診療における腫瘍関連緊急症
・S-11 幹細胞採取と造血幹細胞移植
カテゴリ2 血液内科医として必要な検査手技・治療手技の領域(1事例/年)
・S-12 骨髄穿刺・生検
・S-13 胸腔穿刺・腹腔穿刺・腰椎穿刺
・S-14 中心静脈路確保
・S-15 リンパ節生検
能力目標
・S-1 貧血患者の鑑別診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
貧血を呈する患者に対し、鑑別診断のアルゴリズムに沿って検査を進め、原因診
解説
断に到達する。原因に基づき、適切な治療計画を立案し、患者に説明の上実施す
る。
後期専修医に望まれる能力
・貧血の鑑別診断のアルゴリズムを理解し、これに沿って原因診断を進めることができる。
・病歴と身体所見から貧血患者の緊急度、重症度を把握し、速やかに診断的アプローチを開始できる。
・鉄欠乏性貧血の外来マネジメントを適切に行うことができる。
・巨赤芽球性貧血の外来マネジメントを適切に行うことができる。
・溶血性貧血の原因病態を鑑別することができる。
・自己免疫性溶血性貧血の適切な治療が行える。
・再生不良性貧血・赤芽球癆の病態を理解し、重症度に応じた適切な治療選択が行える。
・骨髄異形成症候群の病態を理解し、重症度や患者の全身状態に応じた適切な治療選択が行える。
・貧血患者における骨髄検査の適応を理解し、造血器悪性腫瘍の診断につなげることができる。
必要経験
・鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、再生不良性貧血、骨髄異形成
症候群それぞれ1例/コース(入院、外来を問わない)
・出血性、溶血性を問わず、急激に進行する貧血に対して緊急対応が必要であった症例1例/コース
・貧血精査目的に初診し、骨髄検査を行って造血器悪性腫瘍と診断された症例1例/年
ケースログの例
・ドキュメント:汎血球減尐で初診し、緊急入院、即日赤血球、血小板輸血を必要とした事例
・考察内容:鑑別診断と、そのために必要であった検査、患者への説明と治療内容、臨床経過
能力目標
・S-2 発熱性好中球減尐患者に対するアプローチとマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
発熱と好中球減尐を主徴とする患者において、悪性腫瘍に対する化学療法、感染
症・膠原病などの自己免疫疾患に伴う血球貪食症候群、、薬剤による無顆粒球症
を念頭に置いて鑑別診断を適切に行う。発熱性好中球減尐症に対する対応、マネ
ジメントを修得する。
後期専修医に望まれる能力
・発熱性好中球減尐患者に対して、基礎疾患を鑑別するための検査を計画し、実行することができる。
・発熱性好中球減尐患者に対して、適切に広域抗生物質を投与することができる。
・発熱性好中球減尐患者に対し、G-CSF投与の適応を理解し、適正に投与することができる。
・薬剤性無顆粒球症を診断し、原因薬剤を同定できる。
・血球貪食症候群の病態を理解し、適切な診断、治療を行うことができる。
必要経験
・造血器悪性腫瘍に対する化学療法後の発熱性好中球減尐症:急性白血病5例、悪性リンパ腫10例/
コース
・血球貪食症候群2例/コース、うち1例はウイルス感染症または自己免疫疾患関連、1例は悪性リンパ
腫関連のもの
・薬剤性無顆粒球症1例/コース
ケースログの例
・ドキュメント:悪性腫瘍に対する化学療法による発熱性好中球減尐症が、治療により解熱軽快した事
例
・考察内容:鑑別診断のプロセス、G-CSF投与の適応と投与期間、化学療法レジメンと好中球減尐期間
能力目標
・S-3 出血傾向を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
出血傾向を呈する患者において、血管、血小板、凝固系いずれに問題があるかを
鑑別し、その原因をふまえて適切なマネジメントを計画、説明、実行する。
後期専修医に望まれる能力
・出血傾向を呈する患者の鑑別診断アルゴリズムに基づいて検査計画を立案し、実施できる。
・播種性血管内凝固症(DIC)の病態を理解し、基礎疾患に応じた適切な治療を行うことができる。
・出血傾向を伴う特発性血小板減尐性紫斑病の患者に対し、迅速で適切な対応が取れる。
・慢性特発性血小板減尐性紫斑病の患者に対し、適切な治療選択が行える。
・凝固検査異常を呈する患者において、鑑別診断のための検査を実施することができる。
必要経験
・急激な血小板減尐とともに明らかな出血傾向を呈し、速やかな対応が必要であった事例(1例/コー
ス)
・重症感染症、造血器悪性腫瘍に合併したDICにおいて、原病ならびにDICの治療が奏効して軽快した
事例(それぞれ1例/コース)
・慢性特発性血小板減尐性紫斑病5例/コース、そのうちヘリコバクター・ピロリ除菌により軽快したもの
1例、ステロイド投与により軽快したもの1例、romiplostim/eltrombopagを投与したもの1例を含む。
・凝固系異常を認め、血中抗凝固因子が検出された事例(1例/コース)
ケースログの例
・ドキュメント:若年女性の急性特発性血小板減尐性紫斑病における大量性器出血に対する大量ガンマ
グロブリン投与、ステロイド投与による救命例
・考察内容:鑑別診断と必要であった検査、患者への説明と治療、経過
能力目標
・S-4 リンパ節腫脹患者の鑑別診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
リンパ節腫脹または脾腫を呈する患者において、原因疾患の的確な鑑別診断を
行い、マネジメントにつなげる。
後期専修医に望まれる能力
・リンパ節腫脹を呈する患者において、臨床所見を参考に適切な検査を実施して鑑別診断を行うことが
できる。
・リンパ節生検の適応を理解し、生検を実施する外科系診療科にタイミングよく依頼できる。
・生検されたリンパ節検体を速やかに処理し、病理組織診断や、予想される疾患に合致した細胞表面
マーカー検査、染色体・遺伝子検査などをオーダーすることができる。
・生検リンパ節の病理組織診断を理解し、患者に分かりやすく説明できる。
・脾腫を呈する患者において、鑑別診断のためのアルゴリズムを理解し、検査計画を立案し実行でき
る。
必要経験
・慢性進行性全身性リンパ節腫脹で、リンパ節生検で悪性リンパ腫と診断された症例(10例/コース)
・若年成人で、発熱を伴う有痛性の頸部リンパ節腫脹を呈しながら自然軽快し、壊死性組織球性リンパ
節炎を含むウイルス感染症が疑われる事例(2例/コース)
・硬く可動性に乏しいリンパ節腫脹の生検から、転移性悪性腫瘍と診断された事例(1例/コース)
ケースログの例
・ドキュメント:頸部リンパ節腫脹で外来を受診し、生検で転移性悪性腫瘍と診断された後、原発巣診断
を行い、診断が確定した事例
・考察内容:良性疾患、悪性リンパ腫との鑑別診断、腫大リンパ節と原発巣の関連
能力目標
・S-5 M蛋白血症を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
M蛋白血症を呈する患者に対して、鑑別診断のための検査を進め、原因診断に
到達する。多発性骨髄腫または原発性マクログロブリン血症と診断されれば、適
切な治療計画を立案、説明、実行する。
後期専修医に望まれる能力
・M蛋白血症を有する患者において、正しく検査を計画し施行して正確な鑑別診断を行うことができる。
・多発性骨髄腫の診断、病期診断を行い、患者に合った治療を選択、説明、実行できる。
・骨病変による疼痛緩和のできる。
・原発性マクログロブリン血症の診断と治療が正しく行える。
必要経験
・良性単クローン性高ガンマグロブリン血症2例/コース
・多発性骨髄腫2例/年、原発性マクログロブリン血症2例/コース
ケースログの例
・ドキュメント:M蛋白血症、骨の多発打ち抜き像を認め、骨髄穿刺で多発性骨髄腫と診断され加療した
事例
・考察内容:病期診断、初期治療、経過と予後
能力目標
・S-6 血球増加を呈する患者の鑑別診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
血球増加を呈する患者において、慢性骨髄増殖性疾患と反応性血球増加の鑑別
診断を行い、骨髄増殖性疾患に対して適切な治療を行う。
後期専修医に望まれる能力
・慢性骨髄増殖性疾患と二次性反応性血球増加症の鑑別診断を適切に行うことができる。
・真性多血症に対する外来瀉血療法を適切に行うことができる。
・慢性骨髄性白血病の診断とチロシンキナーゼ阻害薬による外来治療を適切に行うことができる。
・本態性血小板血症の外来診療を適切に行うことができる。
必要経験
・真性多血症3例/コース(うち外来瀉血療法を要する患者1例以上)、本態性血小板血症3例/コース
・慢性骨髄性白血病の診断とチロシンキナーゼ阻害薬による治療経験3例/コース
ケースログの例
・ドキュメント:白血球増加で初診し、慢性骨髄性白血病と診断後チロシンキナーゼ阻害薬を投与してい
る事例
・考察内容:鑑別診断、治療に対する初期反応とチロシンキナーゼ阻害薬の副作用、細胞遺伝学的寛
解と分子マーカーの推移
能力目標
・S-7 急性白血病患者の病型診断とマネジメント
事例提出頻度
1事例/年
解説
急性白血病患者の病型診断を理解し、患者の年齢、社会的背景、合併症・併存疾
患、原疾患自体の予後などに基づいて、緩和医療から治癒をめざした強力な化学
療法・造血幹細胞移植がどのようにして選択されるかを学ぶ。
後期専修医に望まれる能力
・細胞化学検査、表面マーカー検査、染色体検査、遺伝子検査を理解し、急性白血病の正しい病型診
断を行うことができる。
・急性白血病に対する病型別標準的寛解導入療法を認識し、正確に実行できる。
・急性白血病の治療によく用いられる薬剤の主たる副作用を認識し、対応することができる。
・抗がん剤を用いた化学療法に先立ち、患者ならびに家族に必要性、内容、期待される効果、リスクを
説明してインフォームドコンセントを取得する。
・急性白血病治療におけるtotal cell killの理念を理解し、治癒をめざした長期的な治療計画を実施でき
る。
・急性前骨髄球性白血病に対するレチノイン酸投与の役割を理解し、適切に用いることができる。
・フィラデルフィア染色体陽性急性白血病におけるチロシンキナーゼ阻害薬の役割を理解し、適切に用
いることができる。
・中枢神経白血病の病態を理解し、適応に基づき発症予防や治療を実施することができる。
・急性白血病治療中の日和見感染予防を適切に行うことができる。
・急性白血病患者治療における造血幹細胞移植の適応を理解し、患者に説明することができる。
必要経験
・急性骨髄性白血病初発寛解導入2例/年、急性前骨髄球性白血病初発寛解導入1例/コース
・急性リンパ性白血病初発寛解導入1例/年、髄膜白血病の発症予防1例/年
ケースログの例
・ドキュメント:初発急性骨髄性白血病に対して寛解導入療法を行い、経過中発熱性好中球減尐症を併
発するも完全寛解に到達した事例
・考察内容:急性骨髄性白血病の染色体異常と予後、寛解導入療法時における感染症予防と治療、造
血幹細胞移植の必要性
能力目標
S-8 悪性リンパ腫患者の病型診断とマネジメント
事例提出頻度
3例/年
解説
悪性リンパ腫と診断された患者において、病型診断を理解し、病期診断を行うた
めの検査を立案実施し、病型・病期に基づいた治療方針を決定し施行する。
後期専修医に望まれる能力
・悪性リンパ腫の病理組織学的病型分類(WHO分類2008)を理解し、各病型の主な臨床的特徴を認識
する。
・悪性リンパ腫の病期診断の必要性を理解し、病期決定に必要な検査を行って、病型・病期に基づいた
治療の選択を行うことができる。
・病期診断における骨髄生検、消化管検査、腰椎穿刺の適応を理解し、病型に合った病期診断検査を
立案できる。
・悪性リンパ腫の病型に特異的な細胞表面マーカー所見、染色体異常、遺伝子検査所見を認識し、診
断に役立てることができる。
・ホジキンリンパ腫の標準化学療法ABVD療法の投与薬剤、効果、リスクを理解し、患者に説明の上正
しく安全に実施することができる。
・非ホジキンリンパ腫の標準化学療法R-CHOP療法の投与薬剤、効果、リスクを理解し、患者に説明の
上正しく安全に実施することができる。
・低悪性度indolentリンパ腫と中高悪性度aggressiveリンパ腫の生物学的な差異を認識し、これに基づい
た長期治療を計画することができる。
・分子標的薬リツキシマブの悪性リンパ腫治療における役割と副作用を理解し、正しく安全に投与でき
る。
・悪性リンパ腫治療における放射線療法の位置づけを認識し、適切な放射線科への診療依頼ができ
る。
・画像診断を用いた悪性リンパ腫の治療効果判定を的確に行うことができる。
・悪性リンパ腫治療中の日和見感染症対策を適切に行うことができる。
・悪性リンパ腫における造血幹細胞移植の適応を述べることができる。
必要経験
・ホジキンリンパ腫と診断され病期決定後、初回化学療法を導入した事例1例/年
・低悪性度B細胞性リンパ腫と診断され、初回治療を導入した事例1例/年
・中高悪性度B細胞性リンパ腫と診断され、R-CHOP療法を6~8コース施行した事例2例/年
ケースログの例
・ドキュメント:濾胞性リンパ腫と診断され、R-CHOP療法を施行するも再発し、second line治療の導入を
考慮した事例1例/コース、進行期びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対してR-CHOP療法で完全寛
解が得られず、サルベージ療法、自己末梢血幹細胞移植を考慮した事例1例/コース
・考察内容:濾胞性リンパ腫の最善の初回治療は何か、びまん性大細胞型悪性リンパ腫における自己
末梢血幹細胞移植の位置づけは何か。
能力目標
・S-9 血液製剤投与の適応を理解し、適切に実施することができる
事例提出頻度
1事例/年
解説
赤血球、血小板、血漿製剤、アルブミン、ガンマグロブリン投与の適応を理解し、
適切にインフォームドコンセントを取得の上、実施する。
後期専修医に望まれる能力
・赤血球輸血の適応と副作用を理解し、患者への説明、患者の同意を得て適切に実施することができ
る。
・血小板輸血の適応と副作用を理解し、患者への説明、患者の同意を得て適切に実施することができ
る。
・新鮮凍結血漿、アルブミン製剤、ガンマグロブリン製剤の適応を理解し、適切に使用することができ
る。
・発熱、皮疹などの頻度の高い輸血関連合併症に対して、適切に対応できる。
・血小板輸血不応状態と抗HLA抗体の関連を認識し、HLA一致ドナーからの血小板輸血による対応が
できる。
・輸血後GVHD、輸血関連急性肺障害(TRALI)について説明することができる。
・超緊急時のO型赤血球輸血、造血幹細胞移植後の輸血など例外的な異型輸血を認識しオーダーでき
る。
・宗教的輸血拒否(エホバの証人)に対して、病院内の現行マニュアルに準じて正しく対応できる。
必要経験
・輸血に関するインフォームドコンセント10例/コース
・新鮮凍結血漿、アルブミン製剤、ガンマグロブリン製剤投与例各2例/コース
・血小板輸血不応状態1例/コース、造血幹細胞移植後の「異型」輸血1例/コース
ケースログの例
・ドキュメント:頻回の血小板輸血が行われた症例で、輸血後血小板増加がきわめて不良のため精査し
たところ、抗HLA抗体が陽性と判明し、HLA一致ドナーからの血小板輸血で解決した事例(1例/コー
ス)
・考察内容:輸血前と直後の血小板値、血小板回収率の計算式、HLA一致ドナーからの輸血による改
善度
能力目標
S-10 造血器腫瘍診療における腫瘍関連緊急症
事例提出頻度
1例/コース
解説
造血器悪性腫瘍の経過中に発生する腫瘍関連緊急症の病態を理解し、速やかに
診断・治療のアプローチを取ることができる。
後期専修医に望まれる能力
・腫瘍崩壊症候群の起こりやすい状況、起こりやすい疾患を認識し、適切な対応をとることができる。
・悪性リンパ腫による上大静脈症候群を的確に診断し、適切な対応を取ることができる。
・悪性リンパ腫や多発性骨髄腫に合併する高カルシウム血症の症状と対応について習熟し、実診療で
疑われた場合に速やかな対応を取ることができる。
・腫瘍による脊髄圧迫、横断性脊髄症状を早期に把握し、速やかな治療的アプローチがとれる。
・高蛋白血症による過粘稠度症候群の病態・症状を認識し、正しい対応を速やかに取ることができる。
必要経験
・腫瘍崩壊症候群1例/年、腫瘍関連高カルシウム血症2例/コース、腫瘍による脊髄圧迫症状1例/
コース
ケースログの例
・ドキュメント:腫瘍崩壊症候群の診断、治療成功例における病状・検査所見の改善過程1例/年、腫瘍
随伴高カルシウム血症1例/コース
・考察内容:腫瘍崩壊症候群を起こしやすい造血器悪性腫瘍・病態、電解質異常、腎不全、高尿酸血
症、播種性血管内凝固症などとの関連、治療手段。造血器悪性腫瘍随伴高カルシウム血症の病態と治
療。
能力目標
S-11 幹細胞採取と造血幹細胞移植
事例提出頻度
1例/年
解説
治療抵抗性造血器悪性腫瘍の治癒を目指した大量化学療法と造血幹細胞移植
の併用の理論、および同種幹細胞移植による抗腫瘍免疫療法、移植片対宿主反
応の病態生理を理解する。急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の治療にお
ける造血幹細胞移植の適応を理解し、実臨床で判断・実施する。
後期専修医に望まれる能力
・自己末梢血幹細胞採取のプロセスを理解し、安全かつ確実な幹細胞採取を行うことができる。
・悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に対する大量化学療法併用自己末梢血幹細胞移植の適応を理解し、患
者への説明、インフォームド・コンセントの取得、安全な治療の実施ができる。
・造血器悪性腫瘍に対し、血縁末梢血幹細胞移植を適切に行うことができる。
・造血器悪性腫瘍に対し、骨髄バンクを通じたドナーとのコーディネーション・プロセスを理解し、非血縁
者間骨髄移植を安全かつ確実に実施することができる。
・骨髄移植ドナーからの全身麻酔下骨髄採取の過程を理解し、実際に経験する。
・造血器悪性腫瘍に対し、臍帯血幹細胞移植を適切に行うことができる。
・移植片対宿主反応の病態を理解し、患者に対し適切なタイミングで適切な診断・治療的アプローチを
行うことができる。
・同種移植後に認められる肝静脈閉塞症VOD、血栓性微小血管症TMAの病態を理解し、適切な診断・
治療的アプローチを取ることができる。
・移植前処置の強度を弱めたいわゆる「ミニ移植」の理論的背景と適応疾患・状態を理解し、安全かつ
確実に実施することができる。
・同種造血幹細胞移植施行時の適切な日和見感染予防と治療につき説明し、実施できる。
・同種造血幹細胞移植の経過中に合併するサイトメガロウイルス感染症に対して、適切なpreemptive
therapyを実施することができる。
必要経験
・悪性リンパ腫および多発性骨髄腫に対する自己末梢血幹細胞採取、大量化学療法併用自己末梢血
幹細胞移植それぞれ1例/コース
・急性白血病に対する同種造血幹細胞移植を幹細胞ソース別にそれぞれ1例/コース
・同種移植後急性・慢性移植片対宿主病とその対応1例/年
ケースログの例
・ドキュメント:化学療法のみでは予後不良と判断される急性白血病患者において、寛解期に同種造血
幹細胞移植を実施し、急性・慢性GVHDを合併するも原病の完全寛解を維持している事例
・考察内容:急性GVHD予防、GVHDの治療と予後、急性白血病の造血幹細胞移植適応、移植前処置と
予後、GVHDと原病の再発との関連など。
能力目標
・S-12 骨髄穿刺・生検
事例提出頻度
1事例/年
解説
血液疾患診断における骨髄検査の適応を理解し、患者に手技を説明した上で実
施する。
後期専修医に望まれる能力
・血液疾患の鑑別診断における骨髄穿刺・生検検査の適応を理解し、正しく検査がオーダーできる。
・患者に対して、骨髄検査の必要性、実施内容、合併症を的確かつ平易に説明できる。
・外来、病棟いずれにおいても骨髄穿刺(腸骨、胸骨)、骨髄生検が正しく安全に施行できる。
・骨髄穿刺塗抹標本を鏡検し、造血細胞の異形成、芽球の増加、形質細胞の増加が診断できる。
・血液内科をローテートする研修医に対し、骨髄穿刺・生検の適応と正しい手技を指導できる。
・骨髄検査の結果を理解し、患者に分かりやすく説明できる。
必要経験
・骨髄穿刺を外来(5件/年)、病棟(50件/年)いずれでも行い、経験する。
・骨髄生検を10例/年以上経験する。
ケースログの例
・ドキュメント:他の診療科より依頼を受けて骨髄検査を行い、血液疾患の診断を確定して治療を開始で
きた事例(1例/年)
・考察内容:鑑別診断と診断確定後の治療、経過。
能力目標
・S-13 胸腔穿刺・腹腔穿刺・腰椎穿刺
事例提出頻度
1事例/年
解説
特に入院患者において、体腔液穿刺検査の適応とタイミングを理解し、患者に説
明の上施行する。髄腔内抗がん剤投与の適応を理解し、実施する。
後期専修医に望まれる能力
・胸腔穿刺、腹腔穿刺、腰椎穿刺の必要性、実際、合併症を患者に分かりやすく説明できる。
・胸腔穿刺、腹腔穿刺、腰椎穿刺を正しく安全に施行できる。
・急性白血病、悪性リンパ腫患者への抗がん剤髄腔内投与を、適切かつ安全に行うことができる。
・穿刺液検査の結果を正しく解釈し、患者に分かりやすく説明できる。
必要経験
・胸腔穿刺1例/年、腹腔穿刺1例/コース、腰椎穿刺+抗がん剤髄腔内注入3例/年
ケースログの例
・ドキュメント:腰椎穿刺+抗がん剤髄腔内注入事例
・考察内容:造血器悪性腫瘍の治療において髄腔内抗がん剤予防投与の必要な場合、髄腔内抗がん
剤投与の副作用と対応
能力目標
・S-14 中心静脈路確保
事例提出頻度
1事例/年
完全中心静脈栄養、持続点滴静注抗がん化学療法、造血幹細胞移植に関連した
解説
中心静脈路の確保を行う。超音波プローブを用いて確実に穿刺する静脈を同定
し、安全で確実な手技を行う。
後期専修医に望まれる能力
・中心静脈路確保の必要性、手技の合併症を理解し、患者に分かりやすく説明してインフォームドコンセ
ントを取得することができる。
・超音波プローブを用い、鎖骨下静脈穿刺による中心静脈路確保を正しく行うことができる。
・中心静脈カテーテルに関連した合併症を的確に診断し、必要な対策を講じることができる。
必要経験
・経中心静脈抗がん剤投与を必要とするプロトコールで治療される造血器悪性腫瘍患者で、右鎖骨下
静脈穿刺により複数ルーメンを有するカテーテルを挿入留置する(5例/年)。
ケースログの例
・ドキュメント:上記手技を行った症例の病歴サマリーに手技内容を記載して提出。
・考察内容:その後の感染・出血などの合併症の有無。
能力目標
S-15 リンパ節生検
事例提出頻度
1例/年
リンパ節腫脹を呈する患者に対して診断のために実施されるリンパ節生検におい
解説
て、採取される検体を受け取り、その後の診断に必要な処置を行って検体を病理
部に提出する。
後期専修医に望まれる能力
・生検実施医よりリンパ節検体を受け取り、病理組織学的検討、細胞表面マーカー検査、染色体検査、
遺伝子検査を目的として、速やかかつ適切な処理を行い、各検査を提出できる。
・採取検体の外観、割面の肉眼的所見などを診療録に正しく記載できる。
・採取検体の一部を、必要に応じて凍結保存し、その後必要となる可能性のある遺伝子検査等に供す
ることができる。
・与えられた病理学的診断に対し、鑑別診断を目的とした詳細な免疫染色検査等を追加オーダーするこ
とができる。
必要経験
・外科系医師により採取されるリンパ節検体の処理2例/年
・症例に応じた適切な検査オーダー2例/年
ケースログの例
・ドキュメント:処理したリンパ節の病理診断で、T細胞性悪性リンパ腫が強く疑われたが最初の免疫染
色などでは診断確定に至らず、さらに凍結されていた残組織の病理学的検討、受容体遺伝子再構成の
結果から、T cell-rich B-cell lymphoma(TCRBCL)と診断された事例
・考察内容:TCRBCLについて、遺伝子再構成検査の感度、EBウイルスなどウイルス感染の関与